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仮面ライダーV3の第51話
ライダー4
号
ごう
は
君
きみ
だ
!!
長野県・八ヶ岳の山中。
城南大学・山岳部の部員5人が、リーダーの西岡保を先導に登山をしている。
突如、どこからともなくゴゴゴ……と妙な音が鳴り響く。
部員たち「何だ、あの音は?」「雷かなぁ」
西岡「おい、あれを見ろ」
山腹が扉の如く開き、ロケット発射台が現れる。
西岡「ロケットだ……!」
山腹の内部に築かれたデストロン基地。
司令室では、ヨロイ元帥の指揮のもと、デストロン技術陣がロケット発射の準備を進めている。
技術陣「映像準備完了」
ヨロイ元帥「よぉし、秒読み開始!」
危機に表示された数字が、3、2、1、0とカウントダウンされてゆく。
ヨロイ元帥「発射──っ!」
ロケットが発射。 機内の操縦席では、デストロン戦闘員が操縦桿を握っている。
やがて空目掛けて放たれたロケットは、下方へと軌道を変え、海上に浮かんだ孤島に命中。大爆発を起こす。
基地のスクリーンに、もうもうときのこ雲の昇る様子が映し出される。
ヨロイ元帥「成功だ!」
通信でデストロン首領の声が響く。
首領「おめでとう、諸君。我らデストロンは、一瞬にして全てを消し去る、プルトンロケットの開発に成功した。我々来るべきゼロ・アワーを期して、東京の中心にプルトンロケットを撃ち込む……一瞬にして東京は消滅し、日本のすべての機能は止まってしまうだろう。その期に乗じて、日本を我らデストロンの支配下に収めるのだ!」
部員たち「自衛隊の秘密基地かな」「まさか……」
西岡「何か知らんが、私はとんでもないものを見てしまったんだ。早く山を降りて、みんなに知らせよう」
部員たち「よし」
山を降りる部員たち。
そのとき、目の前の地面がモゾモゾと動く。
部員たち「な、何だ、あれは!?」
地中から、ザリガニを思わせるデストロン怪人・ザリガーナが出現。
西岡「ババ、化け物だ!」
ザリガーナ「お前たちは見てはならぬ物を見てしまった。死ね!!」
西岡「みんな、逃げろ!」
西岡が他の部員たちを逃がし、単身、ザリガーナに挑む。
西岡「この化け物め!」
登山用ピッケルで果敢にザリガーナに挑む西岡だが、到底敵うわけもない。
ザリガーナに吹っ飛ばされ、斜面を滑り落ちてゆく……
一方、逃走中の部員たちの前に戦闘員たちが現れ、襲い掛かる。
部員たち「助けてくれ!」「逃げろ!」
そこへザリガーナも現れる。
部員たち「何だぁ!?」
ザリガーナ「皆殺しにしてやる」
ザリガーナが口から泡を吹き出し、部員たちに浴びせる。
部員たち「わぁっ!」「助けてくれぇっ!」
ザリガーナ「死ね……」
泡を浴びた部員たちが、跡形もなく溶けてしまう……
少年ライダー隊本部。
立花藤兵衛、珠純子、弟の少年仮面ライダー隊員・シゲルがテレビのニュースに見入っている。
テレビ「小笠原諸島、南方洋上の無人島が、突然、謎の爆発を起こして海中に没した事件につきましては、その後の調べでも、原因は一切わかっておりません」
シゲル「いよいよ日本沈没かなぁ……」
立花「何を言っとるんだ!」
テレビ「次のニュースを申し上げます。八ヶ岳山中で消息を絶ち、遭難が伝えられていた城南大学・山岳部パーティ5人の内、リーダーの西岡保さんが発見され、ふもとの消防団員によってただちに病院に収容されました」
純子「会長、八ヶ岳と言えば確か……」
立花「うん……志郎が調査に行っているところだ」
八ヶ岳ふもとの七条医院。
医務室で、風見志郎が医師に面会している。
医師「あぁ、西岡さんですか。どうやら、意識は取り戻したんですがね。でも……ロケットがどうしたとか、ザリガニのお化けが出たとか、妙なことばかり言っていて……転落したショックで、幻覚でも見たんですかねぇ」
志郎「うーん……とにかく、会わせて下さい」
医師「そうですか……それじゃあ、病室の方へ」
志郎が医務室を去ろうと背を向けたとき、いきなり医師が灰皿で志郎の後ろ頭を殴りつける。
志郎が気を失い、倒れる。
そこへヨロイ元帥が出現。
ヨロイ元帥「フハハハ……風見志郎! まんまと罠にかかったな。よぉし、地下室へ運べ」
戦闘員たちが風見志郎を地下室へ運んでいく。
地下牢の中には、医師と看護婦が倒れている。今まで志郎が面会していたのは、デストロンの手引きによる偽医師だったのだ。
ヨロイ元帥「本物の医者と看護婦は、始末しろ」
戦闘員「はっ」
戦闘員が志郎を牢へ放り込み、代わりに医師と看護婦を運び出す。
ヨロイ元帥「憎むべき風見志郎……どう始末してやろうか!」
そこへもう1人の戦闘員が、ヨロイ元帥のもとへやって来る。
戦闘員「大変です! 西岡とかいう男が逃げました!」
ヨロイ元帥「何!? ……今に見ておれぇ!」
ヨロイ元帥が消え去る。
結城丈二が西岡を助け出し、バイクの後ろに乗せて山道を走る。
突然、バイクが止まる。
結城「おかしいなぁ……どうなってるんだ?」
車輪は回っているのに、一向にバイクは前に進まない。
結城「おかしいなぁ……あっ!」
地中からハサミが飛び出し、前輪を押さえつけている。
そして地中から出現する怪人、ザリガーナ。
西岡「出た! ぼ、僕がや、山の中で見たのも、こ、こいつです!」
結城「わかってる! こいつはデストロンの怪物なんだ!」
ザリガーナ「裏切り者・結城丈二。このザリガーナが貴様を始末してやる!」
ザリガーナが巨大なハサミを振るい、攻撃を繰り出す。
戦闘員たちも加勢。
結城が戦闘員を蹴散らしつつ、逃走する。
結城「さぁ、早く!」
七条医院の地下牢。
倒れている志郎に、あの偽医師が注射を打つ。
しばらくして、志郎が意識を取り戻す。
偽医師「気がついたか、風見志郎」
志郎が体を起こす。
両手は手錠で繋がれ、足には鎖で鉄球が繋がれている。
だが改造人間である志郎にそんなものは無駄。力任せに鎖を引きちぎる。
志郎「……なぜ、俺を助ける?」
偽医師「頼みがある」
志郎「……?」
偽医師「私の妻と子が東京にいる。そこへ報せてほしいんだ」
志郎「報せる……一体何を?」
偽医師「デストロンのプルトンロケットが今日午後、発射される。目的地は東京だ!」
志郎「何だと!? よし……その計画は俺が阻止する。で、場所は!?」
偽医師「蠍谷の奥だ」
志郎「蠍谷の奥か……とにかく、ここから脱出するんだ」
偽医師「……私は既に、デストロンの一員として散々手を汚してきた。今さら逃げても、罪は消えん……」
志郎「そうか……」
偽医師の肩を、志郎がポンと叩く。
志郎「ともかく、君の家族は俺が守ろう」
一方、結城たちはザリガーナたちの攻撃により、崖にまで追い詰められている。
結城「しまった……後がない!」
ザリガーナの泡攻撃。結城が咄嗟に避ける。
結城「くそぉ……ヤァ──ッ!!」
結城がヘルメットを装着し、ライダーマンに変身。
戦闘員たちを一掃する。
ライダーマン「ロープアーム!」
ロープアームのロープを放ち、遥か遠くの木に絡ませる。
ザリガーナ「おのれぇ……!」
ライダーマン「さぁ、早く!」
ライダーマンは西岡を抱いたまま、ロープを巻き取って遥か遠くへ逃げおおせる。
西岡「逃げるんだ、早く!」
だが地中からザリガーナが出現。ライダーマンの足をつかむ。
ライダーマン「しまった!」
ライダーマンの首を、ザリガーナの巨大なハサミが締め上げる。
ザリガーナ「どうだぁ……!」
そこへV3が、愛車ハリケーンを駆って飛来。
V3「待てっ!」
ライダーマン「V3!」
V3「ハリケーンダッシュ!!」
ハリケーンでV3がザリガーナに体当たり。
V3「ザリガーナ、今度は俺が相手だ!」
ザリガーナ「今の俺にはもっと大事な任務がある。いずれまとめて始末してやる」
ザリガーナが地中へと消える。
志郎「ふむ……なるほど。この人が、ミサイルの発射されたのを見た時刻と、小笠原南方の無人島が爆発して消えた時刻を考えてみれば、もう疑う余地はないな」
結城「プルトン爆弾だな!?」
志郎「うん……奴らは正午に、その爆弾を東京に向けて発射する」
結城「発射基地は!?」
志郎「蠍谷」
結城「蠍谷!?」
西岡が地図を広げ、その場所を指す。
西岡「僕たちがベースキャンプを張っていた近くの……この谷です」
蠍谷近くへとやってきた志郎と結城。
志郎「あそこ」
結城「おぅ? 見たところ……あの中に基地があるなんて、とても信じられんなぁ」
志郎「むっ……見ろ」
近くに、志郎を逃がしたあの偽医師が宙吊りにされている。口からは血が滴り、既に息絶えているようだ。
志郎「何という惨いことを……!」
結城「ヨロイ元帥の仕業か!」
志郎「俺を逃がしてくれた男だ。降ろして葬ろう」
2人が近づいたとき。
大爆発──
爆風がやみ、かろうじて軽傷で済んだらしい結城が岩陰から姿を現す。
志郎の姿はない。
結城「か、風見ぃっ!? くっ……風見志郎──っ!!」
遠く離れた河原。
志郎が目覚める。爆風で思いのほか、遠くへ飛ばされてしまったようだ。
時計のアラームが鳴る。
志郎「爆破まであと10分しかない……」
結城は単身、基地へ接近。
見張りの戦闘員を倒し、基地へ乗り込んでいく。
基地への入口とおぼしき地下への洞穴を見つけると、ロープで中へ降りてゆく。
結城が基地へ潜入。
戦闘員を倒しつつ、奥へと進む。
司令室の前までやって来た結城。
部屋の中から、首領の声が響いている。
首領「我が忠実なるデストロンの諸君。我々の開発したプルトンロケットを、東京へ撃ち込むゼロアワーが近づいてきた! いよいよ我々の世紀が始まるのだ」
ヨロイ元帥「首領を日本にお迎えした甲斐がありました。ただ、風見志郎と結城丈二の死体が、まだ確認されていないのが残念です」
首領「ハッハッハッハ! 結城丈二か! あいつの馬鹿さ加減には笑いが止まらぬ。あいつは、自分が利用されるだけ利用されて、消される運命だったことも知らず、私をV3の前からかばったのだからな! ハッハッハ! 結城丈二は生きている!」
ヨロイ元帥「え!?」
首領「性懲りもなく、今もそこのドアの外に来ているぞ!」
ヨロイ元帥「何ですと!?」
ドアが開き、結城が姿を現す。
ヨロイ元帥「よぉく来たな、結城丈二」
結城「ヨロイ元帥……!」
首領「ヨロイ元帥、そんな奴に構うな。そろそろゼロアワーだ。発射準備をせよ!」
ヨロイ元帥「……発射準備!」
結城「あっ!? ……待ってくれ、首領! あなたは人類を滅ぼすつもりか!?」
首領「それがどうした!? 人類など虫ケラの価値さえもない!」
結城「首領!? あなたは……あなたはそれでも人間か!?」
首領「愚か者め! 私が人間だと誰が言った!?」
結城「それでは俺は……俺は……悪魔に忠誠を誓っていたというのか!?」
首領「ヨロイ元帥、あと1分でゼロアワーだ。これで私の言葉は終わる」
結城「……」
ヨロイ元帥「発射用意!」
スイッチが入れられる。
結城「あっ!? 待てっ!!」
結城がヨロイ元帥に飛び掛る。
ヨロイ元帥「結城丈二……!」
結城の目の前で、ヨロイ元帥が身を翻すと、その姿が怪人・ザリガーナへと変わる。
結城「ザ、ザリガーナ……!? ヨロイ元帥、貴様の正体はザリガーナだったのか!」
群がる戦闘員を蹴散らしつつ、結城もライダーマンに変身。
ザリガーナに戦いを挑む。
その頃、志郎もどうにか発射基地近くへ到着。結城に倒された戦闘員たちを尻目に、基地へと近づいてゆく。
地下への洞穴へロープが伸びているのを見つけ、自らも中へ降りて行き、基地内に潜入する。
どこからともなく、首領の声が響く。
首領「来たな、風見志郎」
志郎「そこの声は……デストロンの首領!」
デストロン親衛隊が出現。
志郎「行くぞ! 変……身! V3──!!」
志郎がV3に変身。
親衛隊員を一掃し、奥を目指す。
一方のライダーマンは、ザリガーナの前に苦戦を強いられている。
ザリガーナ「あれを見ろ」
機器に表示されている数字が57、56、55、54とカウントダウンされてゆく。
このままでは東京が危ない。
ライダーマンが戦闘を放棄し、司令室を飛び出す。
基地の外へ出て、発射台近くまで接近するライダーマン。
ライダーマン「あれか……発射基地は」
一方でV3は、なおも群がる親衛隊員たちを蹴散らしつつ、奥へ進む。
そして奥には、頭巾とローブで素顔を隠した謎の男。彼が首領……?
V3「いたな……逃がさん!」
V3が頭巾をはぎとるが、中は何もない。頭巾の下もローブの下も、もぬけの空である。
首領「ハッハッハッハ……V3、まんまと私の挑戦に乗ったな。既にロケットの発射ボタンは、押されたぞ!」
V3「何だと……? しまった!」
再び群がる親衛隊員たち。
ロケット発射を阻止しようにも、これでは足止めを強いられてしまう。
プルトンロケットに、操縦者として戦闘員が乗り込もうとしている。
ライダーマン「ロープアーム!!」
戦闘員をライダーマンがロープアームで捕えると、自らがロケットに乗り込む。
ようやく親衛隊員を一掃したV3が、ザリガーナの待ち受ける司令室へ辿り着く。
V3「待てぃ!」
V3がザリガーナや戦闘員と戦いを繰り広げる。
ザリガーナ「あれを見ろ!」
モニターに映っているのは、ロケットを操縦する戦闘員──の筈が、操縦しているのはライダーマン。
V3「よせ、ライダーマン!!」
ライダーマン「……さらばだ、V3。後を頼むぞ! プルトン爆弾は安全な場所で爆発させてやる」
V3「ライダーマン!?」
V3が司令室を飛び出す。
山の上。V3を追ってきた戦闘員たちやザリガーナとの戦いが続く。
ザリガーナ「ロケットが飛んで行く!」
ロケットの急加速に顔を歪めるライダーマン。
ライダーマン「くそっ……ライダーマン・結城丈二の最期を見ろ!!」
隠し持っていたらしい、小型爆弾を放り投げる。
爆弾が爆発。機内が炎に包まれる。
そして、プルトンロケットが上空で大爆発──
東京消滅の危機は免れた……
ザリガーナ「ライダーマンめぇ……」
丘の上に立ち、空を見上げるV3。
V3「ライダーマン……よくやってくれた! 君は人類を守った! 君は英雄だ! 俺は君に……“仮面ライダー4号”の名前を贈るぞ!! ライダーマァァ──ン!!」
ライダーマンの熱い想い、戦友を失った悲しみ、そして激しい怒りを胸に、V3は尚もザリガーナに立ち向かってゆく……
ライダーマンは
デストロンの魔の手から人類を守って
雄雄しく死んでいった
ライダーマンの魂よ
安らかに眠れ……
そう心に祈りながらV3は 怒りを込めて
デストロンに立ち向かってゆくのだっだ
つづく