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特警ウインスペクターの第48話
 

竜馬の住むアパート

竜馬が目覚ましを止めて目を覚まし、カーテンを開けて外に出る。

少女「お兄ちゃーん、おはよう!」「行って来ます!」

竜馬「行ってらっしゃい! 気をつけてね」

竜馬が部屋に入ると頭痛を感じ始める。
 

特警を壊滅せよ!
 

警視庁

純子がコーヒーを入れる。

竜馬「バイクル、ウォルター。今日もがんばってくれよ」

バイクル・ウォルター「はい!」

バイクル「今日も頑張るでね。なあウォルター!」

純子「はい竜馬さん」

竜馬「ありがとう……」

純子「はい」

野々山「サンキュー!」

すると竜馬はまた頭痛を感じ始める。

純子「どうしたの竜馬さん? 頭でも痛いの!?」

竜馬「いや、なんでもない……」

本部長がやってくる。

本部長「やぁおはよう……」

一同「おはようございます!!」

本部長「みんな、聞いてくれ……君達全員、来月早々、フランスへ行ってもらうことになった……」

一同「え? フランス!?」

本部長「ああ……ICPO・国際刑事警察機構から、ウインスペクターを招聘したいと要請があって、警視庁はこれを了承したんだ」

純子「どういうことですか? つまり、世界のウインスペクターになれって言うんですか!?」

本部長「その通りだ……自然破壊や、科学の発達による災害や事件は、地球規模で進行しつつある。だがそれに対応する世界的な救急警察はまだない……そこでインターポールは、我々に注目し、招聘したいと申し込んできた」

バイクル「ほんなら、ワシらパリに行けるんがね!」

ウォルター「パリか……」

デミタス「まって待って! 僕は? 僕はどうなるの!?」

本部長「もちろん、デミタスにも行ってもらうよ……」

デミタス「やったやった!!」

バイクル「やった。やったがね……ファッションの町・パリ。セーヌ川の流れ……」

ウォルター「ルーブル美術館にエッフェル塔……!」

野々村「とても素敵なところですよ……」

純子「待ってください。もちろん本部長も一緒に……」

本部長「いや。私は、残ることになる……」

野々村「え?」

純子「なぜですか?」

本部長「君たちがいなくなれば……当然ウインスペクターは解散だ。だが事件がなくなったわけではない! ウインスペクターに変わる、新しい組織が必要……私は、その組織作りに専念することになる。家族や、親しい人と別れることになるが、私は……世界中の人のために、ぜひみんなのために頑張ってもらいたい。みんな…… 頼んだぞ!」

一同「はい!!」

こうしてウインスペクターのICPOへの招聘の話題は全国に広がった。

優子のビニールハウス

優子の育てた花がついに咲いた。

竜馬「ついに咲いたのか……よかったな。優子!」

優子「うん!」

竜馬「(3年前……あの化学工場に強盗が入り、廃液処理設備を破壊してから、この土地は……花1つ咲かなくなってしまった。それを優子が頑張って、たったこれだけだが……ついに咲かせた。偉いぞ、優子! 二度とこの花が枯れるようなことがあってはならない。二度と……)ところで優子。お兄ちゃん、実は……」

優子「知ってる。フランスに行くんでしょ!? 新聞で読んだ……おめでとう。お兄ちゃん!」

墓地

2人は亡き両親の墓参りをしていた。

竜馬(お父さん、お母さん……優子の面倒は、僕が見ると約束したのに……それができなくなりました。ごめんなさい……)

優子の目から涙がこぼれる。

竜馬「優子……」

優子「平気よ。1人でもつらくないもん……平気よ」

竜馬「優子……」

優子「お兄ちゃん!」

竜馬に抱きつく優子。

竜馬(たった1人の妹を……竜馬。お前は本当に……この妹をおいてフランスに行けるのか? お父さんが……あの陽の海の中から優子を助け出してくれなければ……この妹もなく、お前は本当に1人ぼっちだった!)

竜馬が少年時代の回想

竜馬「優子!! お父さん、お母さん!!」

竜馬の父が優子を抱えてやってくる。

竜馬「お父さん!」

竜馬の父「竜馬!! 優子を頼むぞ!」

竜馬「優子、大丈夫か!?」

竜馬の父「お母さんを探してくる!」

竜馬「お父さん! お父さん!!」

竜馬の父は母を探しに戻る。

家の炎は広がり、竜馬と優子はすでに脱出していた。

竜馬「お父さん!!」

優子「お母さん!!」

現在

また頭痛を訴え始める竜馬。

優子「どうしたのお兄ちゃん!?」

竜馬「頭が……この所頭痛がして……医者はどこも悪くないって言ってるんだけど……」

優子「大丈夫!? お兄ちゃん……うちへ行って、少し横になったら?」

竜馬「それより優子。お兄ちゃん……本当にフランスに行ってもいいのか!? それで寂しくないのか?」

首を縦に振る優子。

一方、本部長は新組織の開発に取り組んでいた。

本部長(ウインスペクターに変わる新しい組織のケテーマ……ウインスペクターに欠けていたもの……それにしてもウインスペクターは、結成以来よく頑張った。特にファイヤーは……クラステクターの重圧に耐え、頑張った……)

本部長の心にこれまでのファイヤーの活躍の記憶が蘇る。

振り向くとウォルターとバイクルがダンボール箱を持って立っていた。

本部長「おい……どうした?」

バイクル「本部長……見てちょうよ。これみんなウインスペクターへ来たファンレターだがね!」

ウォルター「フランスへ行ってほしくないっていう手紙ばかりです」

本部長「え?」

バイクルが1枚の手紙を取り出す。

バイクル「『ウインスペクター様。私はバイクルとウォルターの大ファンです! 絶対に、フランスへ行かないでください。悲しくなります……』こっちも悲しくなるがね……」

そこへ六角警部が現れる。

六角「おお、ウォルター、バイクル! フランスへ行くんだってなぁ……2人がいなくなって、警視庁も静かになるってわけだ!」

バイクル「何!?」

ウォルター「虎五郎さんは、そんなに私たちがフランスへ行くのがうれしいんですか!?」

六角「バカヤロー! 俺だって悲しいよ。悲しいからこうやって笑ってごまかしてるんじゃないかバイクル……」

バイクル「ありがとう。ありがとう……本部長! ワシら本当にフランスへ行かないかんのがね!?」

ウォルター「本部長……」

バイクル「ねぇ、本部長!」

本部長「バイクル、ウォルター……」

バイクルやウォルターの活躍の記憶が蘇る。

喫茶「チャコ」

良太「やだよ僕! みんな行っちゃうなんてやだ!!」

久子「そんなこと言ったって仕方ないでしょ? お仕事なんだから……」

良太「なら僕もフランス行く!」

純子「良太君。人にはそれぞれ生きる道っていうのがあるの……良太君はたくさん勉強して、お姉さんを守るのが道でしょ!? 今までだってそれで頑張ってきたじゃない……」

良太「……」

純子の心に自分と久子の活躍の記憶が蘇る。

純子「久子さん。私はフランスへ行くのは平気……でも、1つだけ気になることがあるの。竜馬さんのこと……最近、気分が優れないみたいなの」

久子「え?」

純子「ウインスペクター結成以来、ずっとクラステクターを着化してきて、体無理してるでしょ? それがここへ来て、出てきたんじゃないかと思って……」

久子「本当? でも、低利的にちゃんとチェックして……」

純子「ええ。でも、今の医学じゃわからないことだってあるじゃない……それに、優子ちゃんのこともあるし……」

久子「わかるわ。私たちと同じで、この世で2人きりの兄弟ですもの……別れるのも、つらいと思うわ……」

純子「それで、今度何かあったらいけないって、それが心配で……」

東都映画撮影所

スタッフ「おはようございます! シーン21から行きます!」

役者たちが映画の撮影を始める。

それを見るグラサンの大男。

大男は撮影所を立ち去る。

すると撮影所が大爆発。

マドックス「事件発生! 東都映画撮影所で爆発による火災が発生しました!」

本部長「何!? バイクル、ウォルター、出動!!」

2人「了解!!」

本部長「竜馬!」

火災現場に向かう竜馬たち。

撮影所からスタッフや役者が外に出る。

そこに竜馬たちが到着。

母親「子供が! 子供が!!」

竜馬「頼む。ウォルター、バイクル!!」

2人「はい!」

竜馬がウインスコードに乗り込む。

竜馬「着化!!」

竜馬がクラステクターを着化。

ファイヤーとなり、ウインスコードもファイヤースコードに変形。

ファイヤーは降りて中に入る。

中ではバイクルとウォルターが救助に向かう。

ファイヤー「バイクル、ウォルター!」

ウォルター「まだ奥に人が……」

ファイヤー「わかった! さあ早く、急いで!!」

そこに少女が1人倒れている。

ファイヤー「しっかりするんだ!」

ファイヤーは少女を抱えて脱出しようとすると、再び頭痛を感じ始める。

ファイヤー「頭が……頭が……」

本部長の車が火災現場に到着。

ウォルターとバイクルも脱出。

バイクル「さぁ、もう大丈夫だがね!」

純子「しっかりしてください!」

ウォルター「お願いします!」

バイクル「さぁ、この人もお願いするがね」

純子「お願いします。本部長!!」

本部長「ファイヤーは?」

純子「まだ出てきません!」

マドックスから通信が入る。

マドックス「大変です! ファイヤーの脳波に異変が現れました……」

本部長「何? どういうことだ!? マドックス!」

マドックス「わかりません。クラステクターのタイムリミットもあと1分に迫っています……一刻も早く脱出しなければ、ファイヤーの生死に関わります!」

純子「本部長! ひょっとしたら、優子ちゃんと別れるつらさが引き金になって、ずっとクラステクターを着化してきた無理だったんじゃ……」

本部長「バイクル、ウォルター! ファイヤーを救出するんだ!!」

撮影所内

バイクル「もう大丈夫だがね。さぁあっちへ……」

ウォルター「隊長!」

バイクル「隊長!!」

一方、ファイヤーは頭痛に苦しみ続けていた。

ファイヤーの視界の中、少女に幼い頃の優子がだぶる。

ファイヤー「優子……」

ファイヤーは少女を抱えて扉を開けるとそこは花畑だった。

そこに幼い頃の優子がいた。

ファイヤー「優子!」

優子「お兄ちゃん!!」

優子が向かった先には少年時代の竜馬もいた。

竜馬「優子!! 優子!」

竜馬が優子を抱える。

そこへ竜馬の両親もやってくる。

竜馬の母「優子!」

竜馬の父「竜馬!」

ファイヤー「優子! お父さん、お母さん……ああっ!! 僕の頭は……いったいどうなってしまったんだ!?」

激しい頭痛にとうとう倒れるファイヤー。

現場前

マドックス「ファイヤーの生命反応が落ちてきました。クラステクターのタイムリミットも5分オーバー! このままでは死んでしまいます!」

ファイヤー「ぐおっ、ううっ……」

ナレーション「国際刑事警察機構から招かれたウインスペクター……だが、その矢先、ファイヤーに危機が襲った!」

本部長「ファイヤー!!」

ナレーション「何がファイヤーに起きたのか……果たして、助かるのか!? 負けるなファイヤー! 日本中の子供たちは、君の無事を祈っているのだ……」
 

つづく
 

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