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仮面ライダーストロンガーの第30話


さようならタックル!
さい活躍かつやく!!


丘の上に立つ城茂。

茂「デルザーのアジトは……必ずこの辺りにあるはずだ」

一方、アジトに潜んでいるデルザーの魔人ドクターケイト。

ケイト「ヒッヒッヒ、ストロンガー。お前なんぞにデルザー軍団のアジトが探せるものか! ヒッヒッヒ……」

牢屋の中に捕われている子供たちが泣き声をあげる。

ケイト「えぇい、静かにおし!」
子供たち「えぇ〜ん」「恐いよぉ」「助けてぇ〜」
ケイト「やかましい! お前たちはもうすぐ、魔王に捧げる生贄にしてやる。諦めて静かにおし……キヒヒヒ!」


夜。

アジトを探し回る茂が、荒野の中に建てられた墓標を目にする。
墓標の上には頭蓋骨が置かれ、その目が妖しげに光っている。
そして墓標に刻まれた文字は……

茂「『城茂ここに眠る』……? 何!? さてはデルザー軍団、何か企んでるな?」

墓標の上からデルザーの魔人、ドクロ少佐が現れる。

ドクロ「待っていたぞ、城茂!」
茂「出たな、化け物。来い!」

戦闘員たちも現れる。

茂「変……身! ストロンガ──!!」

茂がストロンガーに変身。たちまち戦闘員を一掃する。
ドクロ少佐は大鎌を振るってスロトンガーに挑む。

ストロンガー「エレクトロパンチ!」

ドクロ少佐の胴目掛けてパンチを繰り出すも、ドクロ少佐は宙に浮かぶ頭蓋骨だけに変化してそれをかわす。
ストロンガーがその骸骨目掛けて攻撃しようとすると、今度は骸骨が人魂になり、またしても攻撃をかわされてしまう。

ドクロ「ストロンガー、手並みはわかった。改めて勝負をしよう」


翌日の日中。

カブトローを駆る茂が、再び昨夜の墓標へやって来る。
墓標の上に乗っている骸骨。

茂「昨夜の骸骨はこれか……この下に何か仕掛けがあるに違いない」

墓標に隠し扉を見つける。

茂「よし、中に入ってみよう」


一方、とあるアジトで会話を交わすゼネラル・シャドウとドクロ少佐。

ドクロ「ゼネラル・シャドウ」
シャドウ「ドクロ少佐……夜の散歩は、面白かったかな?」
ドクロ「相変わらず、油断も隙もない男よ」
シャドウ「フフフ……」
ドクロ「鋼鉄参謀までが、ライダーストロンガーにやられたと聞いては、一度奴の面を見たくなったのだ」
シャドウ「鋼鉄参謀は手柄を急ぎすぎて、ドクターケイトの怨みを買い、彼女に足を引っ張られて負けたのだ」
ドクロ「魔女は執念深い! ましてケイトの毒ときては……この俺でも寒気を感じるからな」
シャドウ「そこで、相談だが……デルザー軍団きっての殺し屋である貴公が、ケイトに協力して頂ければ、まずストロンガーは助かるまい。いかがかな……?」
ドクロ「言われるまでもない。既にストロンガーを誘い込む手は打ってある」
シャドウ「ほほぅ……いや、流石はドクロ少佐」


立花藤兵衛と岬ユリ子を乗せたジープが、あの墓標へとやって来る。

立花「おい、茂のカブトローだ」

車を降りて墓標を調べる2人。

ユリ子「こんなところに入口が……」
立花「お、おい、これ見ろ!」
ユリ子「『城茂ここに眠る』……何ですって!?」
立花「こりゃあデルザー軍団の仕業だぜ、きっと」
ユリ子「……アジトへの地下道かしら?」
立花「うーん……入ってみるか!」


茂がストロンガーに変身、ケイトのアジトに潜入。囚われの子供たちを見つける。

子供たち「あっ、ストロンガーだ!」
ストロンガー「今助けてあげる。さぁ、みんな下がって」

子供たちが牢屋の隅に下がり、ストロンガーは牢に手をかける。

ストロンガー「エレクトロファイヤー!」

電熱で次第に牢が溶けてゆく。

ストロンガー「あ……あぁっ……? いかん、エネルギーを使い果たしてしまった……」

遂にエネルギーが切れたストロンガーが、変身が解けて茂の姿に戻るが、何とか牢は焼き切って扉が開かれる。

茂「ドアは開いたぞ! さぁ、早く逃げるんだ!」
子供たち「わぁい!」「ねぇ、一緒に逃げようよ」

ところが、そこへドクターケイトが出現。

ケイト「そうはさせん、逃がすものか!」

茂が変身できない身で必至にケイトに挑む。

茂「さぁ、早く逃げなさい!」

そこへ立花とユリ子が駆けつける。

ユリ子「あっ、茂! 一体どうしたの!?」
茂「あぁ……俺の電気エネルギーが……」
ユリ子「わかったわ。先に子供たちを連れて逃げて!」
立花「ここは俺たちに任せとけ!」
茂「すまん……さぁ、行こう」
子供たち「僕たちの肩につかまって!」
立花「おい、頼むぞ!」
茂「子供たちを逃がしたらすぐ戻って来る、ケイトのマントと杖に気をつけるんだ!」
ユリ子「わかったわ!」

茂と子供たちが逃げた後、ユリ子が果敢にもケイトに挑む。

ケイト「おのれぇ、生意気な小娘が! 殺してやるわぁ!」
ユリ子「あのマントよ!」
立花「杖にも気をつけろ!」
ケイト「かかれぇ!」

戦闘員たちが出現。
ユリ子が応戦し、立花も必至に戦闘員を蹴散らす。
戦闘員一掃後、突如、ケイトの杖から放たれた毒液が、ユリ子の体に浴びせられる。

ユリ子「うわぁっ!?……うぅっ……う……」
ケイト「キヒヒヒ……私の毒の恐ろしさがお分かりかい? お前の体にはもう私の毒が回り始めている。やがてお前は死ぬのさ」
ユリ子「……悪魔っ!」
ケイト「暴れれば暴れるだけ毒の回りは早くなるよ……キヒヒヒ、ほぅら、毒の効き目が出てきたようねぇ」

咄嗟にユリ子が、燭台の蝋燭をケイトに突きつける。

ケイト「おやめっ! な、何をするの!?」
ユリ子「おじさん!」
立花「読めた……こいつは火に弱いんだ!」

立花がユリ子から蝋燭を受け取り、ケイトを威嚇する。

立花「さぁ、今だ!」

地上へと逃げ出す2人。
尚も戦闘員たちが襲ってくる。

ユリ子「えい、やぁ、とぅっ!!」

ユリ子が電波人間タックルに変身。

タックル「電波人間タックル!」
ケイト「小生意気な娘ぇ……!」

戦闘員たちを蹴散らし、そしてドクターケイトに挑むタックル。

ケイト「ケイトガス!」

ドクターケイトの頭から毒ガスが吹き出し、タックルに浴びせられる。

タックル「あぁっ……! あ……体が痺れる……目が……あ……あぁ……」
ケイト「よぉし……そろそろ、仕上げをしてあげようね。キヒヒヒ、覚悟はいいね?」

そこへカブトローを駆る茂が到着。

タックル「ストロンガー!」
茂「変……身! ストロンガ──!!」

茂がストロンガーに変身、ケイトに挑む。

タックル「ストロンガー、ドクターケイトは燃える火に弱いのよ」
ストロンガー「何?」
タックル「アジトで蝋燭の火をかざしたとき、ケイトは怯えたわ!」
ストロンガー「そうか……よし!」

立花が木切れを拾い、ストロンガーに投げ渡す。

立花「さぁ、これを使え!」
ストロンガー「電気ビーム!」

指先からの放電で木切れを燃やし、ケイトに突きつける。

ケイト「やめて! ギャアァ……!」

ドクターケイトが退散して行き、ストロンガーは尚も後を追う。

立花「逃げるか、こらぁ! 卑怯者め!」


突如、タックルがふらふらと倒れしまう。

立花「お、タックル!? おい、どうした、大丈夫か!? お、これは……大変な熱だ!」
タックル「いいのよ……どうせ私は、助からないんだから……」
立花「……? 何を言ってるんだ!?」
タックル「さっき、ケイトが言っていたでしょ……ハァ、ハァ……私の体には、ケイトの毒が……回っているのよ」
立花「……タックル!」
タックル「お願い……このことは……決して茂には……言わないでいてね」
立花「しかし……」
タックル「お願い……」


ドクターケイトを見失うストロンガー。

ストロンガー「ケイトめ……とうとう逃がしたか」

ドクターケイトは洞窟のアジトの中に身を潜めていた。

ケイト「見つかってたまるか」

そこへドクロ少佐が現れる。

ドクロ「ドクターケイトも散々だったな」
ケイト「ドクロ少佐、私をからかいに来たのかい?」
ドクロ「おーっと、仲間喧嘩はよそう。実は力を貸そうと思ってな」
ケイト「余計なお世話さ」
ドクロ「そう言うな。手柄を山分けということにすれば、悪い話ではあるまい?」
ケイト (山分けなんぞにするもんか……)


茂とユリ子が滝のふもとで焚き火をし、野営している。

ユリ子「コーヒーが入ったわ。飲む?」
茂「へぇ〜? はっ、珍しいことがあるもんだなぁ」

コーヒーカップを手に取る茂。

茂「ユリ子とは長い付き合いだけど、コーヒーなんか入れてもらったのは始めてだぜ!」
ユリ子「……ねぇ茂」
茂「ん?」
ユリ子「いつか、悪い怪人たちがいなくなって、世の中が平和になったら……」
茂「……平和になったら?」
ユリ子「2人でどこか遠い……美しいところへ行きたいわ」
茂「いいねぇ、俺も行きたいよ」

茂がコーヒーを飲む。

ユリ子「……本当に約束してくれる?」
茂「あぁ、約束だ!」
ユリ子「……」

そこへ立花が焚き火の木を運んで来つつ、複雑な面持ちとなる。

茂「親父さん、何、湿っぽい顔してんだい?」
立花「あぁ? まぁ、木が湿ってるから煙くってしょうがねぇ……」
茂「ははっ! あ、うまいコーヒーがあるんだ。今日はちょっと珍しいことが起こってねぇ」

茂がユリ子のもとからコーヒーを手にしようとしたとき、ユリ子はなぜか顔を伏せていた。
まるで涙を隠すように──


そのとき突然、滝の上にドクロ少佐が出現。

ドクロ「来い、城茂!」

すかさず身構える茂だが、ドクロ少佐は崖下の洞窟へと姿を消す。
茂もその後を追う。

茂「逃げるか、ドクロ少佐!」


ユリ子たちのもとには戦闘員たちが出現。
必至に応戦するユリ子。

立花「ユリ子、やめろ! 今の体じゃ無理だ!」
ユリ子「茂のために食い止めなくちゃ!」


洞窟内。 茂がストロンガーに変身。群がる戦闘員を蹴散らしつつ、ドクロ少佐に挑む。
ドクロ少佐はまたしても、宙を舞う頭蓋骨に姿を変え、ストロンガーを翻弄する。


ユリ子はタックルに変身し、戦闘員と戦い続ける。

タックル「電波投げ!!」

得意の電波投げで戦闘員の一団を一掃。
しかし、尚も別の戦闘員の一団が襲ってくる。

毒のダメージか、次第にタックルの体の動きが鈍る。

立花「タックル、駄目だ! 戦っちゃいかん!」


ストロンガーがドクロ少佐と戦い続ける。


遂にタックルが倒れる。
そこへドクターケイトが出現。

ケイト「今度こそお前の最期……覚悟をし!」

タックルは必死に体を奮い起こし、焚き火の木を手にして対抗する。
しかしケイトが杖を振るい、タックルの手にした木は川に投げ捨てられてしまう。


いつしかストロンガーとドクロ少佐の戦いの場は、洞窟入口まで移っている。

ストロンガー「あっ、タックル!? 無理するな!」

ドクロ少佐の戦いを放棄し、ストロンガーがドクターケイトの元へ躍り出る。

ストロンガー「タックル、無理するんじゃない」
タックル「……大丈夫よ」
ストロンガー「俺がやる!」

ストロンガーがケイトに挑む。
タックルがドクターケイトを後ろから羽交い絞め。
しかしドクターケイトはタックルを叩きのめし、自分の盾にしてしまう。

タックル「私に構わず攻撃して!」
ストロンガー (いかん……このまま攻撃したら、タックルが危ない……)
ケイト「ストロンガー、死ね! ケイトガス!」
ストロンガー「う……うぅっ、ゴホッ、ゴホッ!」

毒ガスを食らったストロンガーを、ドクターケイトがキックでいたぶる。

タックル「いけない……私のためにストロンガーが! このままではストロンガーがやられてしまう!」

成すすべもなく、ストロンガーがドクターケイトの攻撃を受け続ける。

タックル「よぉし!」

意を決したタックルが、ドクターケイトの前に回り込み、その両肩に手刀を突きつける。

タックル「ウルトラサイクロン!!」

タックルの電波エネルギーが超振動波となり、ドクターケイトに叩き込まれる。

ストロンガー「やめろ、タックル!? やめるんだ!」

そのままタックルに投げ飛ばされたドクターケイトが、大爆死──


立花「タックル──! うぅっ……」
ストロンガー「なぜウルトラサイクロンを使った……?」

タックルもまた、その場に倒れる……


ウルトラサイクロン……

ウルトラサイクロンとは タックルにとって
最後に残された攻撃手段であった

相手と共に 自分の命も捨てる
文字通り捨て身の攻撃 ウルトラサイクロンを
タックルは使ったのだ


変身が解けたユリ子に、立花が駆け寄り、抱き起こす。

立花「ユリ子!」

唇が微かに動くが、もはや言葉が出ない。

立花「何故だ!? 何故あんなことやったんだ!?」

ユリ子が目を開いたまま、息絶える……。
変身を解いた茂が、ユリ子の手を目に当て、瞼を閉じさせる。

茂「ユリ子……なぜ死んだんだ……?」
立花「茂……ユリ子はな……ケイトのアジトで戦った時、ケイトの毒でやられたんだ。もう長く生きられないことを知ってたんだよ……」
茂「それを……なぜ黙って?」
立花「ユリ子は……足手まといになることばかり気にしていた……だから、苦しくても隠してたんだ……」
茂「……」
立花「このことは決して茂には言わないでくれと、俺に頼んでた……」
茂「ユリ子……」

ユリ子の手を握る茂。その手に、涙の雫がこぼれ落ちる。

茂「すまん……俺の力が……足らなかった……ユリ子!!」


ユリ子の亡骸を抱いた茂が、夕陽を見つめる。


束の間の青春を ストロンガーの協力者として
人類の敵との戦いに捧げ 儚く散っていった
タックル 岬ユリ子

限りない悲しみと怒りを胸に 茂は
今こそデルザー軍団に対する復讐を
固く心に誓うのだった


つづく
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