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特救指令ソルブレインの第52話
 

ナレーション「ソルブレイン解散が決定し、それを知った高岡の最後の朝鮮が開始された」

高岡「今日の午後2時、東京都内のどこかで殺人事件が起きる。それがソルブレイン崩壊へのスタートだ!」

ナレーション「そして、予告通り殺人事件が発生した。だが、ソルブレインが現場に駆けつけたとき、そこには死体はおろか、犯行が行われた痕跡すらなかったのだ……」

勇「嘘じゃないよ。本当に僕、見たんだ!」
 

特救・爆破命令!
 

ソルブレイン本部

竜馬「いいかい勇君……君がいくら見たといっても、死体はおろか、血痕も争った後も見つからなかった……」

勇「でも僕、本当に見たんだもん!」

大樹「君は今日、お父さんと一緒におじいちゃん家に遊びに行った。そうだったね!?」

勇「うん……」

大樹「そこで1人で遊びに出て、あの廃屋に行き、事件を目撃した。どうしてあんな寂しい所に行ったんだい!? それも1人で」

勇「それは……遊んでたら知らないおじさんが来て、面白い物があるから行ってごらんって言われたんだ……」

竜馬「知らないおじさん? どんな人!?」

勇「わかんない。普通の人だよ、背広着て……」

大樹「どういうことなんだ!? まさか、この子に犯行現場を見せるためにわざと……」

純が入ってくる。

純「隊長、ちょっと……実は妙なことが。犯行現場のあの廃屋なんですが、20年前にも同じような殺人事件が」

大樹「20年前!?」

純「これがそのときの、加害者と被害者の写真です」

純のファイルにその2人の写真が貼ってあった。

勇「あっ! 僕が見たのもこの人たちだよ。この人(左)がこの人(右)を刺したんだ」

純「バカ言っちゃいけないよ。これは20年前の事件で、この男はその時死んでるし、犯人のこの男だって今はもう年を取ってるはずだよ!?」

勇「でもこの2人に間違いないよ。本当だよ!」

大樹「加害者が中井誠一で、被害者が佐藤幸雄……」

勇「中井誠一!? パパと同じ名前だ」

竜馬「本当かい!?」

勇「でも顔は全然違うよ。だってパパ、もっと年取ってるもん」

司令室

大樹たちが現在の中井の写真を見ていた。

純「えー? じゃあ、あの子は本当にこの中井の息子だったんですか!?」

本部長「クロス!」

クロス「20年前、暴力金融から金を借りた中井誠一は、取り立てに着た佐藤幸雄に脅かされ、逆にこれを中原町の廃屋で殺害。中井は8年の実景を受け、出所の結婚。2年後に長男・勇君が誕生して現在に至っています」

純「どういうことですか? つまり勇君は20年前に起こした事件とそっくり同じ事件を目撃したことになるんですか!?}

亀吉「そんなバカな……俺、頭が混乱してきましたよ」

竜馬「背後に高岡がいることを忘れるな……高岡の仕組んだ事件なら、奴の科学力を持ってすれば過去の事件を何らかの方法で……例えば、立体映像化何かで再現すれば、そんなに難しいことじゃない」

大樹「立体映像か……」

本部長「だが、もしそうだとすると……何で20年前の父親の事件を見せる必要があったか……」

玲子が入ってくる。

玲子「本部長、勇君のお父さんが迎えにきました」

本部長「うん……」

玲子「どうぞ」

勇の父・中井誠一が入ってくる。

それから大樹と玲子は中井親子を送ろうとする。

中井「信じられません……20年前と同じ場所で、同じ事件が起きるなんて」

大樹「中井さん、高岡という名前に心当たりはありませんか!?」

中井「いえ……ところで刑事さん、勇は、勇は私のことを……20年前に私のやったこと、知ってしまったんでしょうか!?」

大樹「いえ、気づいていないようです。20年前の写真から、あなたを想像することは出来なかったようです……もちろん、我々も話していません」

中井「よかった……」

大樹「どうぞ」

ソルギャロップに乗る中井。

大樹も運転席に乗る。

大樹「ところで、死体が発見されなかったので……まだ事件として成立していませんが、一応あなたのアリバイを聞いておきたいんです」

中井「私を疑ってるんですか? 違う。そりゃ、私は人を手にかけました。でも、刑務所を出てからはずっとまじめに……私には勇がいるんです。そんなことをするはずがないじゃありませんか! 信じてください」

ソルギャロップとソルドレッカーが走り出す。

数分後、中井家の前に到着。

中井親子が降りる。

中井「今日は本当にどうも……」

「あなた!」

声をかけたのは中井の妻だった。

それから下に降りる。

中井の妻「お帰りなさい」

勇「ママ、ママ!」

中井の妻「勇。大丈夫!?」

勇「うん。あ、お兄ちゃん」

中井家に現れたのは佐藤和也だった。

佐藤「勇君」

勇「お兄ちゃん、またキャッチボールやろうね」

佐藤「よし!」

大樹「あの人は!?」

中井「踏み切りの先の、あのアパートに住んでる方です。一月ぐらい前に引っ越して来られて、勇とよく遊んでくれるんですよ」

佐藤が頭を下げると、中井も下げ返す。

ソルブレイン本部

本部長「何? 手掛かりなし!?」

大樹「はい。勇君のお父さんのアリバイもちゃんとありましたし……」

玲子が入ってくる。

玲子「本部長、新事実がわかりました。20年前に殺された佐藤幸雄に、息子がいることがわかりました!」

本部長「ん?」

玲子「この男です」

玲子が差し出した写真はあの佐藤だった。

大樹「この男……この男が、殺された佐藤幸雄の息子!?」

玲子「中井に殺された、害者の佐藤幸雄。当時6歳になる息子がいるとわかり、調べた結果、この男・佐藤和也だと判明したんです。現在26歳です」

竜馬「どういうことだ!? 害者の息子が、向かいのアパートに住んでるのか?」

本部長「確か、1月前に引っ越してきたと言っていたが……まさか……」

印刷所

大樹「知ってた!?」

佐藤「ええ、引っ越してきて中井さんの顔を見てすぐに思い出しましたよ。随分老けてたけど、忘れることの出来る顔じゃありませんからね」

純「あんた、最初から知ってて引っ越してきた。復讐するつもりでな!」

佐藤「違いますよ。本当に偶然なんですから」

大樹「じゃあ、中井さんに復讐するつもりは全然ないと言うんですか!?」

佐藤「ないと言ったら、嘘になります……」

純「何!?」

佐藤「当たり前じゃないですか。父を殺され、母もその後を追うように……それからの僕はどうなったか。親戚中をたらいまわしにされて、そりゃもう……だから犯人を見つけて殺してやりたいと、何度も思ったが……それがいけないとおっしゃるんですか!? でも、復習なんてしませんよ、自分の人生が台無しになりますからね。それに、勇君のことが大好きだし、忘れようと努力してるんですよ」

中井家

中井「ああっ……ああ……私の、私の罪は……まだ許されてはいなかったんだ……」

大樹「何を言ってるんです? あなたは立派に罪を償い、今までまじめにやってきたじゃないですか」

中井「しかし……私たちがのうのうと暮らしている間、あの若者が、どんなにつらい人生を送ってきたか……それを思うと私は……」

竜馬「中井さん! 中井さん、あなたは佐藤和也に殺されてもいいと思ってるんですか!?」

中井の妻「何言ってるのよあなた……そんなことになったら残された私と勇はどうなるの!? あなたじゃなくて勇が殺されるかもしれないのよ?」

中井「勇を?」

中井の妻「ええ……」

中井「そんな……」

勇「ママー! 和也兄ちゃんと遊ぶ約束したんだ。行ってくるね」

中井の妻「ダメ! 行っちゃダメよ!!」

勇「どうしたのママ? やだよ、約束したんだもん!」

勇が外に出る。

中井の妻「勇!!」

大樹たちもその後を追う。

公園

勇「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」

佐藤「勇君!」

勇「お兄ちゃん、キャッチボールやろう」

佐藤「よし、さあやろう」

勇「うん!」

「勇!!」

大樹たちが駆けつける。

中井の妻「勇! 刑事さん、お願い。勇を、勇を……」

後ろから純もやってくる。

佐藤「刑事さん、僕を尾行させたりして、どういうつもりですか!? 言っときますけど僕は被害者の息子で、悪いことをしたのは中井さんの方なんですよ? それを忘れないでほしいですね」

その夜、中井家の前で張り込むする3人。

純「どうするんですか!? このままじゃ、中井家は崩壊ですよ」

中井が一家の写真を見つめる。

純「佐藤和也が、踏切の向こうのアパートに住んでるだけで、何もしなくても十分復讐になってるんですから……」

大樹「それが高岡の、最初からの狙いかもしれない……」

純「佐藤はアパートから追い出すわけには行かないし、中井さんが引っ越すとか……」

大樹「いくら逃げても、高岡がいる限り探し出して、佐藤を張り込むに違いない」

竜馬「しかし、どうもわからない。高岡の目的はソルブレインをつぶすこと……奴は必ず、次の手段を考えているはずだ」

酒を飲む中井。

中井の妻「あなた……」

中井(どうしたらいいんだ!? どうしたら……)

翌日・運送会社

中井「じゃあ、頼んだよ」

社員「はい!」

女子社員「社長、お電話です」

中井が電話を取る。

中井「お待たせしました。中井ですが……」

受話器からメロディーが流れる。

中井「もしもし……もしもし!?」

電話の相手はなんと、高岡だった。

高岡「中井さんですか!? あなたの隣のアパートに住んでる佐藤和也は、私が送り込んだんです……」

それを聞いた中井は、席に座る。

高岡「佐藤和也は、あなたに復讐しようとしている……」

中井「何!?」

高岡「息子さんの勇君の命を狙っています……」

中井「誰だ、君は!?」

高岡「息子さんを殺されたくなかったら、私の言う通りにしなさい……」

中井「……!?」

高岡「あなたのデスクの2番目の引き出しを開けなさい……」

中井は高岡に言われたとおり、引き出しを開けると鍵が入っていた。

高岡「それは新宿駅のロッカーの鍵です。ロッカーの中に手紙が入っています……その指示通りにすれば勇君は死なずにすみます。さあ、急ぎなさい……勇君は今日にも殺されるかもしれません」

一方、玲子は勇を尾行していた。

すると正面から車が猛スピードで勇に突っ込もうとした。

勇「うわああ!!」

玲子「危ない!!」

玲子が必死に勇をかばう。

車はバックしてくる。

玲子が銃を発砲。

車も左に曲がる。

運送会社

中井が電話に出る。

中井「はい、都波運輸ですが……なんだ、お前か。何? 勇が!?」

中井の妻「ええ。怪我は大したことないけど、勇にもしものことがあったら、どうしたらいいの? どうしたら……」

都内では、タクシーが停まる。

大慌てで降りたのは中井だった。

そこへ大樹と竜馬が駆けつける。

中井は新宿駅に入ると、大樹と竜馬も入る。

どんどん地下に入って行くと、見失う。

そこで二手に別れる竜馬と大樹。

中井はようやくロッカーにたどり着き、鍵を開けると中には封筒が入っていた。

それを開けると、手紙が入っていた。

「紙袋の中に時限爆弾がある。タイマーをセットしてソルブレインに持って行け……そうすれば、勇君の命は助かる」

手紙をしまい、紙袋の中を覗くと中には爆弾が入っていた。

それをしまおうとするが、勇を助けるためにこっそりタイマーをセットする。

中井(爆発まで、あと1時間……)

帰ろうとすると、大樹が立ち塞がる。

大樹「中井さん、ここで何をしているんですか!?」

後ろから竜馬も姿を現す。

竜馬「何か我々に、隠していることがあるんじゃありませんか? 本部へ来て、話を聞かせていただきます」

中井「本部へ……」

ソルブレイン本部

こうして本部に連れてこられた中井。

竜馬「中井さん、どうぞ」

竜馬が椅子に座らせる。

本部長「勇君が襲われたのは、ご存知ですね!?」

中井が頷く。

本部長「その後あなたはすぐあなたは新宿駅に行った。なぜなんです!?」

中井「そ、それは……」

時計を見ると、時間が3時28分だった。

中井(爆発まで、あと19分……)

本部長「中井さん……話してくれませんか、何があったんです!?」

竜馬「中井さん!」

大樹「なぜ言えないんですか!?」

中井は未だ黙ったままだった。

中井(勇……私は死ぬ。ソルブレインと一緒に……勇……)

(高岡『今度襲われたら勇君の命はありませんよ!?』)

時間も残り5分を切った。

本部長「その紙袋、さっきから大事そうに抱えてますが……中に何が入ってるんです!?」

中井「な、何でもありませんよ……」

本部長「ちょっと中を見せてもらえませんか!?」

すると中井が抵抗し、竜馬が抑える。

竜馬「中井さん!」

中井「放せ……放せ!! やっぱり私には出来ない……放してくれ!」

中井が外に出る。

竜馬「中井さん!!」

本部長は中井が落とした手紙を拾い、中を見る。

本部長「待て大樹、紙袋の中は時限爆弾だ!!」

大樹「何ですって!?」

本部長「高岡の差し金だ……中井さんは自殺するつもりだ!!」

竜馬は必死で中井を追いかける。

竜馬「中井さん!!」

逃げたのは廃工場だった。

威嚇射撃して中井を止める竜馬。

竜馬「中井さん……」

中井「放せ! 私が死ねば勇は助かるんだ!! 放せ!!」

すると紙袋から爆弾が落ち、時間はもう爆発寸前だった。

竜馬「危ない!!」

爆弾は爆発し、工場内が炎上する。

そこへソルギャロップとソルドレッカーが到着する。

大樹「プラスアップ!!」

大樹がソルブレイバーにプラスアップ。

純とドーザーで現場に入り込む。

ブレイバー「行くぞ!」

純「はい!!」

ブレイバー「中井さん!!」

純「中井さん!」

ブレイバー「純、ドーザー、向こうを探せ!!」

純「はっ!」

天井が崩れる。

ブレイバー「先輩!!」

純「中井さん!!」

竜馬と中井が火災に追いやられる。

純「中井さん、中井さん!!」

ドーザー「中井さん!!」

すると柱が竜馬と中井の方に倒れる。

ブレイバー「ボスワインダー!!」

ブレイバーがボスワインダーでどける。

竜馬「ブレイバー!」

ブレイバー「竜馬先輩!」

純「隊長……」

ブレイバー「ドーザー、消化だ!」

ドーザー「消化ビーム!!」

ドーザーの肩のビームが火を消化する。

ブレイバー「中井さん! 先輩、大丈夫ですか!?」

ブレイバー、ドーザー、純が竜馬と中井に駆け寄る。

ブレイバー「さあ、早く行きましょう……」

一同が外に出ると、本部長と玲子がやってくる。

ブレイバーもヘルメットを外す。

跪く中井。

中井「ああ……」

大樹「中井さん……」

中井「私がバカだったんだ。ソルブレインに爆弾を仕掛ければ、勇を助けると言われて……私がバカだったんだ! ああ―――っ……お願いです。勇を……勇を助けてください! お願いします……」

大樹「高岡……」

どこかの部屋では、高岡が高笑いしていた。

高岡「はっはっは!! これで終わったわけではないぞ、ソルブレイン。必ず貴様らを叩き潰してやる!!」
ナレーション「高岡が、ついに牙をむいた。ソルブレインは、危機一髪爆発を逃れたが、ソルブレイン解散まであと一月。果たして、高岡を逮捕できるのか!? そして、勇の命は? ソルブレインは今、大揺れに揺れていた……」
 

つづく
 

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