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超人機メタルダーの第38話

「メタルダー対帝王ネロス率いるネロス軍団!その壮絶な決戦の火蓋が切って落とされた!」

メタルダーとトップガンダー機甲軍団の砲撃で爆炎につつまれる秘密基地から脱出する場面に続き
メタルダーとネロス帝国との戦いの行程が描かれる。モンスター軍団凱聖ゲルドリング、
戦闘ロボット軍団凱聖バルスキーを倒し、ネロス帝国秘密基地ゴーストバンクに乗り込んだ二人の前で
帝王ネロスは本拠もろとも自爆して果てた。そして残った凱聖ドランガー率いる機甲軍団をも葬り
ネロスとの戦いに勝利したかに見えた二人だが、生き残っていたヨロイ軍団凱聖クールギンの凶刃から
メタルダーを庇ったトップガンダーが斃されてしまう…。

―河畔

『最愛の友ここに眠る』

彼の愛銃を墓標代わりにした、トップガンダーの墓の前に流星たちは佇んでいた。

流星「トップガンダー…」

生前のトップガンダーの雄姿が流星の脳裏に蘇る。

流星「ネロスを裏切り自分の信念に生きた孤独な戦士、トップガンダー…」
舞「あなたは私たちの大切な友達だった…」
八荒「…クールギンめぇっ!」
流星「ネロスが死んでも、クールギンが生きている限りネロス帝国は滅びはしない。そして…僕の戦いも終わらない!」

語気を強める流星に、ハッと一同が顔を向ける。

流星「僕は必ずクールギンを倒す!」

流星の決意の前に真剣な表情で答える三人。
そこへスプリンガーが吠えながらやってくる。

八荒「どうしたスプリンガー?」
スプリンガー「クールギンの臭いなんだが、微妙に違う」
流星「気のせいじゃないのか?」
仰木「相手はネロス帝国だ。これからも何が起こるか想像がつかん。どんな些細な事でも注意しなければ」
流星「トップガンダーを葬ったヤツ…追跡して必ず勝負をつけてやる!」

トップガンダーの墓から八荒の方に視線を戻し、流星が続ける。

流星「八荒、仰木さんと舞さんを危険な目に遭わすわけにはいかない。二人の事を頼む」
八荒「わかった」
流星「頼む…」



    大逆襲!愛と憎しみの荒野



―どこかの地下倉庫の壁に力なくよりかかる人影。
それはメタルダーに敗れ重傷負いながらも、
なんとか生き延びていたバルスキーだった。

倉庫に物音が響く。

バルスキー「誰だッ!?」
ローテール「バルスキー様!」

それは戦闘ロボット軍団唯一の女戦士、強闘士ローテールだった。
彼女はバルスキーの姿を見ると、一目散に駆け寄る。

バルスキー「おお…ローテールか…」
ローテール「バルスキー様…!?こんなお怪我を!」
バルスキー「そんな事より、ローテール。早く俺をゴーストバンクに連れ帰ってくれ」
ローテール「それが…」
バルスキー「どうかしたのか?」
ローテール「…はい、既に四軍団は壊滅。帝王ネロスもゴーストバンクとともに自爆しました!」
バルスキー「なにッ!?」

血相を変えて立ち上がるバルスキーだったが、あまりのショックによろめき
傷口からは火花を噴き始めてしまう。ローテールはすかさず、バルスキーを支える。

ローテール「バルスキー様!」
バルスキー「ローテール!それは本当かッ!?」
ローテール「はい…」
バルスキー「オオォォ…神よ!帝王ネロスよォ…!」
ローテール「落ち着いて下さい!バルスキー様!これ以上興奮なさるとダメージはもっと広がり
      修理不可能になります!落ち着いてください、バルスキー様…」

天を仰ぎうめき声を上げていたバルスキーだが力なく崩れ落ちる。

バルスキー「滅びた!?帝王ネロスも、ネロス帝国も!…そして我が戦闘ロボット軍団も!」

バルスキーの脳裏に今は亡き軍団員たちの雄姿と激闘が次々と蘇る。

「豪将ガルドス―俺の片腕として軍団の名誉を守りぬいた男…。

 暴魂クロスランダー―部下のゴブリット、デデモスを縦横に使い、
 スナイパーのプロとして目的達成のためには手段を選ばぬ非情な男…。
 
 雄闘ジャース―機甲軍団にも劣らぬビーム砲を全身に備え、
 メタルダーの弱点を突きもう一歩の所までに迫った男…。
 
 爆闘士ゴチャック―その優れた格闘術でメタルダーの主要回路を破壊しながらも敗北した男…。
 
 烈闘士ザーゲン―地位も名誉も望まず、敵を葬る事だけに命を賭けた、
 別名『死神ザーゲン』と呼ばれた男…。
 
 そして、元豪将ビックウェイン― 一度は戦いを捨てながらも、若い軍団員たちのために蘇り
 メタルダーと見事な戦いを展開し、壮絶に散った伝説の巨人…。
 
 様々な男たちが、死力を尽くしてメタルダーに挑み、散っていった…。
 帝王ネロスと帝国のために、戦闘ロボット軍団員として見事に戦い抜いて…。
 それに比べ…軍団長であるこの俺はッ!」

悔しさを滲ませバルスキーが床を叩く。

ローテール「バルスキー様…」
バルスキー「ローテール!お前の力を俺に与えろ!」 
ローテール「私の…力を?」
バルスキー「そうだ。ロボット軍団の記録係として、お前は皆の力と技を分析しインプットしている。その力を俺に!」
ローテール「嫌です!」
バルスキー「何ッ!?…ローテール、死ぬのが恐いのか?」
ローテール「違います!私は貴方に、これ以上メタルダーと戦って欲しくないのです…。
      バルスキー様、貴方は生き延びて下さい。軍団員たちの生き様を語り伝えるために。
      そして…私のために…」
バルスキー「ッ!ローテール…」
ローテール「お願いです…」

小さく、バルスキーが頷く。体をその胸に預けるローテール。

バルスキー「…ん!?」

だが、その時何者かの足音が近づいてくる。
ローテールが侵入者の背後から近づくが、逆に足をかけられてしまう。

ローテール「うッ…」

ローテールは起き上がると同時に殴りかかるも、返り討ちにされてしまう。

ローテール「うっ…くっ…!?貴方は!」

ローテールが地下室の電灯を着けるとともに露になる侵入者の姿。
ヨロイ軍団凱聖・クールギンだった。

ローテール「クールギン様!何しにここへ?」
クールギン「バルスキーに会いに来た」
ローテール「バルスキー様はここにいません。帰ってください!」
クールギン「フフフ…、お主、バルスキーに惚れていたのか」
ローテール「!…帰ってください!ウッ!」

クールギンにつかみかかるローテール。
だが、簡単にクールギンに叩きのめされてしまう。

ローテール「帰ってください…!帰って!アアッ!」

それでも食い下がるローテールにクールギンは容赦なく鉄拳を浴びせる。

ローテール「帰って、帰って下さい…」
バルスキー「止めろッ!ローテール」

手すりに寄りかかりながらもバルスキーが姿を現す。

ローテール「バルスキー様!」
バルスキー「ローテール、勝手な真似をして俺に恥をかかせるな」
クールギン「バルスキー、俺と一緒に来い。その傷を修理してやろう」
バルスキー「クールギン…?」
クールギン「そしてメタルダーに最後の勝負を挑むのだ」
バルスキー「応ッ!!望むところだ!」

慌ててローテールがこれを制止する。

ローテール「止めて下さい、バルスキー様!」
バルスキー「ローテール…俺はメタルダーと戦う!奴に破壊されて散った多くの部下を弔うために、
      そして、どちらが史上最強のロボットかをかけて!」
クールギン「…それでこそ戦闘ロボット軍団、凱聖・バルスキーだ」
バルスキー「世話になったな、ローテール…。お前は身を隠し、戦闘ロボット軍団を弔い、ひっそりと暮らすがいい」
ローテール「バルスキー様、私もお供を…」
バルスキー「ローテール!わかってくれ…」」

クールギンの肩を借り、去って行くバルスキー。

ローテール「バルスキー様…、バルスキー様…」

その背中を見送る事しかできないローテールは一人泣き崩れるほかなかった…。

―そのころ、クールギンの臭いを追って、森を行く流星とスプリンガー。

流星「どうしたスプリンガー。クールギンの臭いが消えたのか?」
スプリンガー「いや。以前、俺の嗅覚回路にインプットしたクールギンの臭いと違うんだ…」
流星「どこがどう違うんだ?」
スプリンガー「汗の臭いだ。まるで別人の汗だ」

かつてのクールギンとの対決を思い出す流星。

流星「ネロスこと桐原剛造と、瓜二つの影武者だった。あの時、ネロスの側には忠実な影武者クールギンはいなかった…。
 まるでネロスが、僕とトップガンダーを誘い込み、自爆して葬ろうとしていたのを知っていたかのように…。
 あのネロスが、自分の命を犠牲にするのか…?」

ここまで考えを巡らせ、流星はハッとする。

流星「違う!ネロスはそんな奴ではない。だとしたら、自爆したネロスは…瓜二つの影武者・クールギン!
   そしてトップガンダーを斬ったクールギンこそ、ネロス!」
スプリンガー「じゃあ、ネロスの桐原剛造とクールギンの影武者が入れ替わってるのか?」
流星「おそらく…ネロスは生きている!」

―ネロス帝国の秘密洞窟で、バルスキーはクールギンから修理および強化改造を受けるため
手術台に寝かされていた。だが一向にクールギンは作業を始めようとしない。

バルスキー「…?クールギン、早く修理を…」
クールギン「あわてるなバルスキー…」

途端、クールギンの声色が変わる。

バルスキー「アッ!?その声は!」

おもむろにマスクを脱いだクールギンの姿は、桐原剛造の顔から、帝王ネロスのものへと変わった!

バルスキー「帝王ネロス様ッ!御無事だったのですか!」

ゆっくりと頷くネロスの回想が始まる

〜メタルダーたちがゴーストバンクに攻め込む直前の事…

ネロス『クールギン、ドランガー、チューボ。他の者は下がれ』

名前を呼ばれた三人が玉座に歩み寄る。

ネロス『メタルダーは間もなくここに来る。クールギン、お前は余と入れ替わり、奴を油断させ一気に勝負をつけろ』
クールギン『我が身にかえても、必ずメタルダーを…』



ネロス「だがクールギンは失敗しヨロイ軍団凱聖として見事に散った」
バルスキー「クールギンが…」
ネロス「バルスキー!残るはお前一人…」
バルスキー「ハハァッ!!!」

―どれくらい時間がたったか…。クールギンを追っていた流星が何かを察知する。

流星「スプリンガー…逃げろ!」

突然激しい砲撃が二人を襲う。それをかわした流星が見たのは
崖の上に立ちはだかるバルスキーだった。

流星「バルスキー!?」
バルスキー「メタルダーッ!ネロス帝国戦闘ロボット軍団、凱聖バルスキー!部下の無念を晴らすため、
      そして、どちらが最強のロボットかを決するため、お前に最後の勝負を挑む!!!」

崖を隔てて睨み合う二人。だが、流星の瞳はどこか悲しみの色が映っていた…。

スプリンガー「流星、バルスキーはおそらくパワーアップしている。気をつけろ!」
流星「(小さく頷く)…でやっ!」

同時に飛びかかる二人。戦闘ロボット同士の最終決戦の火蓋が切って落とされたのだ!
だが、バルスキーが流星につかみかかるが、流星は反撃しようとしない。

流星「待つんだ、バルスキー!」
バルスキー「うるさいッ!俺はお前に勝つッ!」
流星「バルスキーッ!貴様もネロスにさえ作られなかったら、もっと別な生き方があったはずだ!」
バルスキー「黙れ、メタルダー!これは俺の運命。そしてお前も俺と変わりはしない!」

バルスキーの言葉に流星の表情が一瞬驚愕につつまれ、そして曇る。

バルスキー「所詮人間に作られ、与えられた使命でしか生きられないのがロボットなら
      俺は力の限り戦うッ!キェエエエエエエエエッイ!!!」

大きく投げ飛ばされる流星。

バルスキー「俺たちロボットに、情けもッ!悲しみもッ!人間の心など無用ッ!!!」

バルスキーの言葉に首を横に振る流星。だがバルスキーの覚悟の前に最早、二人の和解の道は閉ざされてしまっていた…。

バルスキー「行くぞッ!メタルダァァアアッ!!!」

バルスキー怒涛の鉄拳受け倒れる、流星。そして意を決した表情で立ち上がり、ついに決着をつける事を決意する。

流星「怒るッ!!!」

<b>「剣流星の体内に秘められていた全エネルギーが、感情の高まりとともに頂点に達した時、彼は、超人機メタルダーに瞬転する!」</b>

バルスキーの追撃を交わし跳躍するメタルダー。その蹴りがバルスキーの胸に炸裂する。

メタルダー「ヤアッ!」
バルスキー「ウワァッ!?」

起き上がりざまバルスキーの腕から放たれるロケットランチャーの弾幕。さらにそれをかいくぐった
メタルダーがGキックの照準をバルスキーに合わせたその時だった。

ローテール「バルスキー様ぁっ!!!」
メタルダー「Gキック!」
ローテール「ゥアアアアアアアアッ!!!」

メタルダーのGキックが炸裂したのはバルスキーではなく、彼を庇ったローテールだった。
バルスキーの身を案じて後をつけてきたのだ。その威力にひとたまりもなく火花を噴いて倒れるローテール…。

メタルダー「しまった!ローテール!」

吹き飛ばされた彼女を抱きとめようとしたバルスキーとともに崖を転がり落ちて行く。

バルスキー「あああ…、ローテール!ローテールッ!!!
ローテール「バルスキー…様…」

バルスキーの呼びかけに弱弱しく答えるローテール。すでに致命傷を負っていた。
二人を見守るメタルダー、さらに遠くから、クールギンの甲冑を纏ったネロスが現れ
三人を見下ろす。

バルスキー「しっかりしろ!ローテール!」
ローテール「わた…しが…私が記録した軍団員の力を……はや…く、早く私と合体して…軍団員の…力を…!」
バルスキー「ローテール…」
ローテール「私は…貴方が…貴方…が…」

バルスキーがローテールを強く抱きしめる…。そして二人が光に包まれ、
バルスキーの戦闘回路にローテールの記録回路が上書きされ、ローテールの姿が消える。

バルスキー「……。たあっ!」

一気に崖を飛び上がり、メタルダーと対峙するバルスキー。

メタルダー「バルスキー!」
バルスキー「俺には貴様に倒された軍団員たちの技とパワーが与えられた。俺は軍団員たちのために貴様を倒す!」
メタルダー「!!!」
バルスキー「爆闘士ゴチャック!」

バルスキーが叫ぶとともに、彼の戦闘回路が激しく反応を始め、
バルスキーの姿にゴチャックのイメージが重なる。

ゴチャック(バルスキー)「メタルダー!行くぞォ!」

かつてのゴチャックのようにメタルダーを投げ飛ばし、首を締め上げるバルスキー。

バルスキー「ゴチャックロック!」
メタルダー「ぐあああっ!」

もがきながらもなんとかバルスキーの腕を跳ね除けるメタルダー。
しかし今度は巴投げの要領で投げ飛ばされてしまう。
起き上がったメタルダーを今度は赤い閃光が直撃する。

メタルダー「うわぁっ!?」
ジャース(バルスキー)「どうだメタルダーッ!」

崖の上に飛び移ったバルスキーの姿にジャースのイメージが重なる。

バルスキー「雄闘ジャース!」

バルスキーの目から発射される光線の雨を交わしたメタルダーの背後に
今度はクロスランダーの姿が現れる。

クロスランダー(バルスキー)「メタルダァアッ!」

メタルダーは背後からその銃撃をもろに受けてしまう。

メタルダー「ぐあああっ!」
クロスランダー(バルスキー)「暴魂クロスランダー!」

その集中砲火を掻い潜ったメタルダーが跳躍、その頭を蹴る。

メタルダー「やっ!」
クロスランダー(バルスキー)「ぐわっ!?」

そのままクロスランダーがバルスキーの姿に戻り、新たな軍団員のイメージと重なる。

バルスキー「元豪将…ビックウェイン!」

その腕から発射されるボウガンの矢を交わすメタルダー。

ビックウェイン(バルスキー)「おのれメタルダーめっ!」

対峙した二人がお互いに駆け寄り交差、振り返りざまに放った矢がメタルダーの胸に突き刺さる!

メタルダー「ぐっ…レーザーアーム!」

その矢を抜き放ったメタルダーのレーザーアームがバルスキーを襲う。
それをかわし、再びバルスキーが軍団員のデータを呼び出す。

バルスキー「豪将ガルドス!」

バルスキーの姿にガルドスのイメージが重なる。

ガルドス(バルスキー)「メタルダー!覚悟ッ!」

襲い掛かるガルドスにメタルダーも拳を握り立ち向かう。

ガルドス(バルスキー)「むぅうううんッ!」
メタルダー「ヤアッ!」

打ち合う、二つの拳。だが、威力はバルスキーのものがまさり
メタルダーの拳が火花を噴いて弾き飛ばされてしまう。
バルスキーの拳の連打をまともに受け手も足も出ないメタルダー。

クールギン(ネロス)「バルスキー、そのまま一気にメタルダーの息の根を止めるのだ!」

追い詰められるメタルダー。止めを刺すべく、バルスキーが一歩一歩彼に近づく。

メタルダー(どうすればいい…、どうすればロボット軍団員の力を封じる事ができるんだ…!)

打開策を探るメタルダーのセンサーがバルスキーの胸の回路を捕らえる。
そこに映し出されたのはバルスキーに力を与えたローテールの姿だった。

メタルダー「ローテール?・・・!!!そうか!レーザーアーム!」

突然、レーザーアームの構えを取ったメタルダーに、バルスキーは一瞬反応が遅れ、
彼の体をレーザーアームが掠める。

バルスキー「ぐあぁっ!?」

大きく隙を見せてしまうバルスキー。

メタルダー「ヤアアアッ!!!」
バルスキー「ぐおぉっ…」

間髪いれず、メタルダーはその胸をレーザーアームで貫いた!


ローテール(アアアアアアッ!!!)

ローテールの記録回路が火花を噴いて砕け散る。
それはバルスキーに勝ち目がなくなった事を現していた。
だが、よろめきながらも彼はまだ勝負を諦めていなかった。

バルスキー「ぅ…ぐぅ…ローテール…。ネロス帝国戦闘ロボット軍団に、栄光あれぇッ!」
メタルダー「バルスキーッ!?」
バルスキー「メタルダー…勝負ッ!!!」

空中で二人の蹴りが交差――――そして大爆発。

バルスキー「うわああああっ!!!」
メタルダー「ぐああっ!!!」

大きく吹き飛ばされ、地面に倒れ伏す二人。どちらもまったく起き上がろうとしない。
その壮絶な光景にさしものネロスも目を見張った。

クールギン(ネロス)「バルスキー…」

先に動いたのはバルスキーだった。

バルスキー「うぁ…うぅ…ぐぉ…」

しかし、起き上がろうとするもそのまま崩れ落ちてしまう。

メタルダー「う…ぐ…」

遅れて起き上がったメタルダーは、満身創痍になりながらも
ゆっくりと仰向けに倒れたバルスキーに歩み寄り、その体をゆすった。

メタルダー「バルスキー!」
バルスキー「…あぁ…俺は…もう駄目だ…。メタルダー…、俺も…お前のように生きたかった…!」
メタルダー「!?…バルスキー!」
バルスキー「さがれ…もうすぐ、俺の自爆装置が爆発する…」
メタルダー「ッ!」

バルスキーの体内では既に回路の電気信号が滅茶苦茶に暴走を始めていた。

メタルダー「どうすれば自爆を止められる!」
バルスキー「…もう遅い…」
メタルダー「バルスキーッ!」
バルスキー「これでいいんだ…。俺は精一杯戦って敗れたのだ。…俺は、ローテールや、皆の所に逝く…」
メタルダー「バルスキー…」
バルスキー「メタルダー…、お前は誰にも利用されずに、俺たちの分まで生き抜いてくれ…。さら…ばだッ…」
メタルダー「バルスキーッ!?オイッ――」
バルスキー「さあっ、早く俺から…離れろッ!」

最後の力を振り絞りバルスキーがメタルダーを投げ飛ばした次の瞬間―その体は爆炎に包まれ、消えていった…。

メタルダー「バルスキーッ!!!…!?」

すぐに駆け寄ろうとしたメタルダーが、別の気配を察知する。
視線の先にあったのは、全てを見届けていたクールギンだった。

メタルダー「クールギンッ…ネロス!!!」

メタルダーのセンサーがクールギンの甲冑の中の正体、帝王ネロスの姿を映し出す。

クールギン(ネロス)「フフフフフ…」

不敵な笑いを残し去って行くネロス…。追いかけようとするメタルダーだが、
バルスキーに負わされたダメージのせいで身体が思うように動かせず、ひざをついてしまう。

メタルダー「くっ…必ず、貴様を倒す!!!」

「ネロス帝国戦闘ロボット軍団は、凱聖バルスキーの死によって壊滅した…。
 残るは、クールギンの鎧に潜む、ネロスただひとり!ラストファイトにかけろ!メタルダーッ!」




                                                        つづく

※この続きはTOPページの
「アニメ、漫画、最終回」「た行」から
「超人機メタルダー」をご覧ください

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