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魔法戦隊マジレンジャーの第48話


小津家に 15年ぶりに家族の笑い声が響く

だが 絶対神ン・マが転生した

緊迫した時間の中で 麗とヒカルは
お互いの気持ちを確かめ合い ささやかに結婚式を挙げる

だが 一方でダゴンは 神罰執行命令から逃亡した
スフィンクスを スレイプニルと共に粛清

そしてリンから 最も戦慄すべき報せがもたらされた


魁「マジトピアが……全滅?」
リン「えぇ……ほんの一時いっときで……マジトピアの空が、曇ったかと思うと……」



回想──


マジトピアの空に暗雲が立ち込め、雷光が轟く。

リン「あ……あれは!?」

どこからともなう無数の触手が蠢いたかと思うと、絶対神ン・マが巨大な姿を現す。

リン「ン・マが……これほど早く現れるとは!? なんて力……!」


Stage.48

決  戦

〜マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン〜


大聖堂の天空大聖者マジエルのもとへ、リンが駆けつける。

リン「マジエル、ここはお退き下さい! ン・マが……!」
マジエル「天空大聖者が、インフェルシアに背を向けて何とする!?」
リン「しかし……!」

そこへ絶対神ン・マが出現。

ン・マ「天空大聖者マジエル──マジトピアの頂点に立つお前の魂ならば──我が飢えを満たせる──」
マジエル「地底冥府の絶対神よ……世界の法を忘れ、慢心したか!?」
ン・マ「世界の法──? それは私だ──」
マジエル「はぁ、哀れな……お前はお前自身を滅ぼすまで、飢えと恐怖に囚われるであろうよ。せめて眠れ! ゴジカ! ハロー・ミラージュ!!」

至高魔法ハロー・ミラージュがン・マを直撃。

リン「やった!」

だがン・マは、そのハロー・ミラージュを打ち破ってみせる。

リン「なぜ……? マジエルの至高魔法が効かない!?」
マジエル「むっ……?」
ン・マ「さらばマジエル──」

ン・マの攻撃が嵐の如く炸裂。リンが血を吐き、倒れる。

マジエル「ルナジェル! ブレイジェルとスノウジェルに報せるのじゃ!!」

マジエルの魔法により、リンの体が光の球体で包まれる。

リン「マジエル!?」
ン・マ「とどめだ──」

ン・マの攻撃が次々に大聖堂を砕く。

リン「マジエル!? マジエル──ッ!!」

光球がリンを包んだまま、リンをマジトピアの外へと連れ去り、飛び去っていく……



勇「あのマジエルのハロー・ミラージュですら……つまりそれが、スノウジェルの言った秘密の力か! ルナジェル、スノウジェルのもとに向かえ。このことを報せ、一刻も早く傷を癒してもらうのだ」
リン「……共に戦えないことを、私は悔やむ」

魁たち5兄弟を見やるリン。

リン「しかし、決して悲観はしない! あなたたちは……地上界とマジトピアの、最後の……けれど、最強の希望だから!」

魁たちとリンが頷き合う。
リンがスノウジェルのもとへ向かうべく、姿を消す──

勇「サンジェル、俺たちはすぐにマジトピアに向かう」
ヒカル「はい!」
魁「父さん! 俺も行く。俺も父さんと一緒に戦いたい! これが……最後の戦いになるかもしれないんだから」
勇「魁。お前は残って、地上界を守れ。インフェルシアの襲撃が絶対にあるはずだ」
魁「ン・マを倒すのが先だ! 今の俺は、父さんと互角の力を持ってるんだぜ」

睨み合う父子。

勇「すぐに戻る……ゴール・ルマ・ルジュナ」

勇の呪文により、2人が魔法部屋から姿を消す。


そこは魔法空間の闘技場。
既に魁はマジレッドに、勇は天空聖者ブレイジェルに姿を変えている。

ブレイジェル「俺と互角だというその力、手合わせによって見極めてやろう」
レッド「勝ったら……俺は父さんと行く!」
ブレイジェル「いいだろう……」

二刀流の構えをとるブレイジェル。

ブレイジェル「父親として、戦士として、お前にこのフェイタル・ブレイドを伝授する!」
レッド「フェイタル・ブレイド……?」
ブレイジェル「そうだ! フェイタル・ブレイドとは、戦士として最大の戦いに際し、自分にある伝説の力を確かめ、更なる奇跡を呼び込むための型!」
レッド「その構えが……!」
ブレイジェル「お前のすべての力をぶつけてこい!」

レッドがマジスティックソードを抜く。
だが、ブレイジェルは構えをとったまま微動だにしないものの、その威圧感の前にレッドは圧倒される。

レッド (何でだ……? ウルザードを、父さんを凌いだことだってあるのに、体が……動かない……!?)
ブレイジェル「どうした!?」

意を決したマジレッドが、全身を炎に包んで突撃。

レッド「マジ・マジ・マジ・マジカ! レッドファイヤー!!」

だがブレイジェルのフェイタル・ブレイドの前にレッドは玉砕。
マジスティクソードが手からこぼれ、魔法変身も解除される。
なおも魁が手を伸ばそうとするソードを、人間の姿となった勇が踏みつけ、魁に剣を突きつける。

魁「いけると思ったのに……手も足も出なかった!」
勇「魁……勇気とは何だ?」
魁「それは……」
勇「勇気とは、己を知り、信じること。俺はそう考えている……その究極の境地に達したとき、フェイタル・ブレイドはきっと奇跡を呼ぶ! お前は、お前の勇気を見つけろ。そのとき、お前は本当に強くなれる!」


小津家の庭先。

最後の戦いに臨む一同。
魁だけは、未だにうつむいている。
そんな魁を、深雪が笑顔で、優しく肩を叩いて元気づける。

ヒカル「麗、君にはスモーキーを託す」
スモーキー「げぇ!? やだやだ! 俺様が旦那を守らなくて、誰が守るっていうんだよぉ!?」
ヒカル「いや、スモーキーには麗を……僕の妻を守ってほしい」
スモーキー「妻……」

ヒカルがマジランプを麗に手渡す。

麗「スペシャル・アップルパイを作るから、絶対に帰って来て! ヒカル先生……」
ヒカル「うん」
スモーキー「しゃあねぇなぁ、わかったよぉ。旦那の頼みだもんにゃあ」
翼「父さん母さん、みんな……ここが俺たちの、家だよな……だから絶対、全員無事で、ここに戻って来ようぜ。そんでその日を、新しい、特別な記念日にしようぜ!」
深雪「素敵なアイディアだわ、翼」
芳香「京都に行こうよ! お父さんとお母さんの想い出の場所、案内してもらうの!」
蒔人「いいなぁ! マンドラも、スモーキーも、ヒカル先生も、みんな一緒だ!」
マンドラ「わぁ〜、僕ちん楽しみでござりますですぅ!」
翼「あぁ、約束だ」

勇、蒔人、芳香、麗、翼、ヒカルが輪になり、手を重ね合う。
魁だけは、未だにうつむいたまま。
そんな魁の手を、深雪が優しく握り、皆の手に重ねる。

突如、空を闇のオーロラが覆い、轟音が轟く。

勇「恐らくこれが最後の戦いになる……全力を尽せ!」

頷き合う蒔人たち。 魁は未だにうつむいている。
勇が魁を力づけるように、肩に手をやる。


冥府神スレイプニルが巨大な姿で、街中を魔導馬車で疾走し、地上界を蹂躙する。
ビル群が次々に砕け、燃え上がり、人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。

マジレンジャーがマジレジェンドで立ち向かう。

グリーン「ン・マの手先! これ以上、地上に手を出すな!!」
スレイプニル「冥府神スレイプニル、裏切り者のスフィンクスに代わり神罰を下す!」
ピンク「許さないわ、そんなこと!」
イエロー「行くぜ、みんな!」
ブルー「おぅ!」
5人「スクリューカリバー・ファイヤートルネード!!」

必殺のファイヤートルネードが炸裂。炎の渦がスレイプニルに浴びせられる。
だが炎の中から無傷のスレイプニルが飛び出し、マジレジェンドにオーディーンスピアーの攻撃を浴びせる。

スレイプニル「覚悟のほどは認めよう。だがやはり、力不足だ……冥府神最強のこの俺の力を、思い知るがいい!!」
レッド「父さんは……こいつ相手にだって戦えた! 俺たちだって!」
スレイプニル「お前たちの力など、神の前では無に等しい!」

スレイプニルの振るうスピアーが、次々にマジレジェンドに炸裂する。


その様子を、地上から人間大となった冥府神ダゴンが見上げている。

ダゴン「スレイプニルは戦士の中の戦士。魔法使いに勝ち目はない……」

その背後に、マジマザーが現れる。

ダゴン「やめておけ。俺は手加減はせぬぞ」
マザー「あなたを倒すために来たのではないわ」
ダゴン「何ぃ!?」
マザー「知りたいと思ったのよ。あなたたちインフェルシアがなぜ、そうまでして戦うのか……そこに、何の意味があるのです!?」
ダゴン「フフフ、なぜ戦うのか、か……お前も血迷い滅びたスフィンクスと同じだな。絶対神ン・マの世界は完全なる闇! そこに曖昧な物はいらぬ……排除するだけだ!!」


一方マジトピアへは、ウルザード・ファイヤーとマジシャインがトラベリオンエクスプレスで駆けつける。
既に廃墟同然となったマジトピア。

ウルザード「マジトピアが!?」
シャイン「これが……すべてン・マひとりだけの仕業だというのか!?」


崩壊した大聖堂にウルザード・ファイヤーとマジシャインが降り立つ。

シャイン「マジエル──!」
ウルザード「気配がない……ルナジェルの言う通り、マジエルは……」

そこへ轟音と共に、ン・マが出現する。

ン・マ「マジトピアも──天空大聖者の魂も──私の飢えを満たしはしなかった──」
シャイン「何!?」
ウルザード「まさか!?」
ン・マ「ブレイジェル──呪縛転生を打ち破り──私から一部なりとも奪った──ただ1人の男──」
ウルザード「ン・マよ、最後の戦いのときだ!」
シャイン「かつてない大きな力が湧き出し僕を包んでいる! 死の運命を切り捨て、必ず地上に戻る!」
ン・マ「楽しませてみよ──一時ひととき──飢えを忘れるほど──」

ウルザード・ファイヤーとマジシャインがン・マに立ち向かう……


地上。マジマザーとダゴンが戦いを繰り広げる。

マザー「闇だけの世界には変化も成長もないはず、永遠に封じられた世界が望みですか!?」
ダゴン「ン・マが望むならそれが絶対なのだ! 闇の力は偉大なり!」
マザー「いいえ、闇の力は必ず勇気が打ち砕く!!」
ダゴン「スフィンクスと同じ世迷言だ! 無限の勇気など!」

ダゴンの攻撃の前に、マジマザーが爆炎に包まれる……


スレイプニル「食らえっ!!」

マジレジェンドは成すすべもなく、スレイプニルの連続攻撃を浴び続ける。

ピンク「信じられない、強すぎる!」
グリーン「俺たちだって、必死なのに!」
ブルー「どうなるっていうの!?」
イエロー「知るか! 俺たちがやらなきゃ、駄目なのに!」

マジレジェンドが倒れる。

レッド「何でだよ……何で俺はこんなに弱いんだ……!? 父さんには一生敵わないってことなのか!?」

(勇『勇気とは、己を知り、信じることだ』)

レッド「知ってるよ……知ってるし信じてるけど……駄目なんだよ、父さん!!」

再び立ち上がるマジレジェンド。

スレイプニル「さらば、魔法使いども……フレンジー・スピアー・クラッシュ!!」
5人「わああぁぁ──っ!?」

スレイプニルの必殺技がマジレジェンドの胴を貫く。
伝説合身も魔法変身も解け、もとの人間の姿に戻った5兄弟が地面に叩きつけられる。

マザー「魁、翼、麗、芳香、蒔人!?」


マジトピア。

シャイン「プロミネンスシュート!!」
ウルザード「ブレイジングストーム!!」

2人の繰り出した同時攻撃を、ン・マは左右の手で受け止めてみせる。

ウルザード「何!?」
シャイン「攻撃を受け止めた!?」

更にその受け止めた攻撃を、2人に跳ね返す。

2人「うわぁっ!」
ン・マ「どうした──そこまでか──」
シャイン「まだだ! この勇気で、最強の魔法を呼び覚ましてみせる! ルルド・ゴジカ・ゴルディーロ! デトネーション・フレア!!」

マジシャインが最強攻撃を放つ──が、ン・マはその魔法力を触手で捕らえ、口で飲み込んでしまう。

シャイン「これは……!?」

さらにン・マが伸ばした触手が、ウルザード・ファイヤーとマジシャインの魔法力を奪い去る。
2人の天空勇者の天空変身が解け、天空聖者ブレイジェルとサンジェルの姿に戻ってしまう。
そして奪い去られた魔法力をも、ン・マが口で飲み込む。

ブレイジェル「これが……マジエルの技を破った、秘密の力……そうか、ン・マは魔法を食らったのか!?」
サンジェル「何て奴だ!」
ン・マ「魔法も──その元になる勇気も──私の餌でしかない」

ン・マの再び伸ばした触手が、サンジェルを締め上げる。

ブレイジェル「サンジェル!?」
ン・マ「食らえ──」

触手を伝い、ン・マの攻撃がサンジェルに炸裂。

ブレイジェル「サンジェル!?」
サンジェル「ぐわぁ……っ!」
ン・マ「とどめだ」

一際強烈なン・マの攻撃が、サンジェルを直撃。

サンジェル「がああぁぁ──っ!」
ブレイジェル「サンジェル──ッ!?」

致命傷を負って倒れるサンジェル。
サンジェル「麗……」

手にした指輪が落ちる……


地上。

マジマザーが魁たち5人を守るように、ダゴンに立ち塞がる。

翼「歯が立たねぇ!」
魁「強すぎる……」
ダゴン「魔法使いたちよ、お前たちが事あるごとに口にする“勇気”とやらはどうした!?」
芳香「悔しい!」
麗「挫けないで! 私たちは戦えるはずよ!」

指輪をはめた拳を握り締め、麗が進み出る。

ダゴン「ほざけ!!」

ダゴンが麗目掛けて攻撃を放つ。
咄嗟にマジランプからスモーキーが飛び出し、盾となる。

スモーキー「危ねぇっ! 麗ぁっ!! わぁぁ──っ!?」

直撃を食らったスモーキーの姿が爆風と共に掻き消え、空洞となったマジランプだけが地面に転がる。

麗「嫌……スモーキー……?」

マジランプを拾い上げる麗。そのマジランプすらも、消滅してしまう。

なおもダゴンが攻撃を繰り出す。
咄嗟にマジマザーが魁たちの盾となる。
直撃を受けて変身が解除され、深雪の姿に戻って倒れてしまう。
深雪に駆け寄る魁たち。

魁たち「母さん!?」
ダゴン「自らを犠牲にする……それがスフィンクスの言う、お前らの“絆”という奴か?」
深雪「聞いて、魁……翼……麗……芳香……蒔人! あなたたちは、私とお父さんの子。お父さんにできたことなら……あなたたちにだって、できるはずよ! あなたたちには……無限の勇気と、可能性があるのだから!」

そこへ、人間大となったスレイプニルも現れる。

スレイプニル「フン! お前たちは敗北し、地にまみれているではないか……」

深雪が立ち上がる。

深雪「いいえ……必ず立ち上がるわ!」
ダゴン「ならばお前に、インフェルシアの力を、インフェルシアの景色を見せてやろう! 闇の力の生き証人。スレイプニル、後は任せる」

ダゴンの姿が赤い霧と化して深雪を包み込み、そのまま深雪ごと地底へと姿を消してしまう。

蒔人たち「母さん!?」「お母さん!?」
スレイプニル「お前たちには今、とどめを刺してやる……」

深雪が消え去った地面にすがりつく蒔人たち4人。
魁だけがただ1人、スレイプニルに立ち向かう。

スレイプニル「何だ? お前は負けたのだ……」
魁「俺は……父さんの子だ!」

その身が燃え上がる如く、マジレッドへと姿を変える。


マジトピア。

ブレイジェル「ン・マよ! 俺を倒しても、地上に俺の子供たちがいる限り、世界はお前のものにはならん!」

ン・マ目掛け、ブレイジェルがフェイタル・ブレイドの構えを取る。

ブレイジェル「可能性、未来、そして勇気! お前には無いものだ。光の前に闇は滅びる!!」


地上。

マジスティックソードを振るい、マジレッドがスレイプニル目掛けて突進する。
スレイプニルがオーディーンスピアーで猛攻を繰り出すが、爆炎の上がる中を、尚もレッドが走り続ける。

レッド「俺は戦う! 父さんの子である俺を、俺の力を信じる!! レッドファイヤークラッシュ!!」

マジレッドの身が宙を舞い、炎と共に振り下ろされた必殺剣が、オーディーンシールドを叩き割る。

スレイプニル「何ぃ!?」
翼「そうだ……やろうぜ! 俺たちなら、やれる!」
麗「この世界の……家族みんなのために!」
芳香「地上を、守るのよ!」
蒔人「魁に続けぇっ!!」

蒔人たち4人もまた立ち上がり、突進する。

蒔人たち「魔法変身!!」

4人がマジレンジャーに変身。

スレイプニル「とどめを待つばかりだった魔法使いが、この期に及んで復活するとは……どういうことだ!?」
グリーン「魁!」
レッド「おぅ! 一気に行くぜ!」
一同「おぅ!」
スレイプニル「何!?」

マジレンジャー5人の身が宙を舞う。
5人の勇気が、新たな呪文を呼び覚ます。

一同「溢れる勇気が魔法に変わる! マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン! ファイブ・ファンタスティック・エアリアル!!」

5人のエレメントが最大限に高められて一体化し、最強攻撃となってスレイプニルに炸裂。

スレイプニル「ぐわぁぁ──っ!? こ……これが……スフィンクスの言う、勇気と力か!? 確か……に……」
一同「チェック・メイト!!」

スレイプニルが爆死──

グリーン「やったぁ! やったなぁ!」
レッド「母さん……やったよ! 俺、ちゃんと父さんみたいに戦えたんだ!」


そのとき突如、暗雲と共に轟音が轟く。

グリーン「何だ!?」
ピンク「みんな、あれ!」

空から降りてくる、ン・マの巨大な姿。

イエロー「まさか……!?」

ン・マが何かを投げ捨てる。
地面に転がったそれは──サンジェルの力尽きた姿。

ブルー「ヒカル先生……!? 嫌ぁ──っ!! ヒカル先生、ヒカル先生、ヒカル先生!!」

マジブルーがサンジェルに駆け寄り、泣きじゃくる。
続いて、力尽きたブレイジェルが地面に転がる。

レッド「父さん!?」
イエロー「馬鹿な……」
グリーン「これがインフェルシアの力だっていうのか!?」
ピンク「お父さんが……やられるなんて……!?」
レッド「嘘だ……何でだよ……父さんは、最強の戦士じゃなかったのか……!? 父さんみたいに戦えば、地上は守れるはずじゃなかったのかよ!?」
ン・マ「まだだ──満たされぬ──まだ虚無が私の内にある──ブレイジェルはお前たちがいる限り世界は私のものにならぬと言った──ならば──お前たちが私の最後のにえだ──味わせてくれ──極上の恐怖と苦悶を──」
グリーン「みんな、負けるな! 勇気を振り絞れ! 俺たちの可能性を信じるんだ!!」
ン・マ「可能性──なんとそらぞらしい言葉か──」

ン・マの放った触手がマジレンジャー5人を締め上げ、吊り上げる。

ン・マ「その真の姿を見せてやる──」

地球が突如、異常な高速回転を始める。

周囲の景色が、凄まじい速度で流れ去ってゆく。
空の模様が次々に変わる。
建築物が一瞬にして砕け散る。
海の模様が激しく変わり、あっという間に干上がる。
陸が盛り上がって一瞬にして火山となり、火を噴く。
人の遺体が一瞬にして白骨となり、あっという間に風化してゆく。

やがて、地球の回転が元に戻る。


一同の周囲に広がっているのは、暗黒に閉ざされた、荒涼とした世界。

グリーン「ここは……インフェルシアか?」
ブルー「でも、空があるわ」
ン・マ「ここはお前たちの未来──地上の姿だ──」
イエロー「何だって!?」
ピンク「そんなはずないわ!」
ン・マ「時間を食らうなど──たやすいことだ」

マジレンジャー5人が地上に放り投げられる。

レッド「嘘だ……」

ン・マ「ようやく私の飢えが満たされる時が来た──」


孤立無援となった5人
だが ン・マの力はあまりに強い

果たしてマジレンジャーは
荒れ果てた未来の地上で
戦うことができるのか!?


レッド「これが俺たちの未来だなんて、嘘だぁぁ──っっ!!」


(続く)


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