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電子戦隊デンジマンの第50話


将軍は
  二度死す


赤城一平の門下生の小学生、野田三太、平井浩、中川ゆみ子、佐藤勝男の4人組が下校中。

「俺も早く大人になって、免許欲しいなぁ」「俺、オートバイが欲しいな!」
「私、車の方がいいわ」「俺もだ。だけどこんなかっこ悪いのはなぁ」

そう言って傍らに駐車している車を蹴飛ばすと、排気ガスが噴出す。
驚いて一同が車内を覗き込むと、中は無人なのにひとりでにシフトレバーが動き始める。

「あ、誰もいないのに!?」

無人の車が動き出し、一同を追いかけ始める。

「わぁ!」「逃げろぉ!」「助けてぇ!」「誰かぁ!」

一方、アスレチッククラブの控え室でくつろいでいる、赤城を始めデンジマンの面々。
黄山純が飲み物を運んで来る。

黄山「はい、お待ちどう」
あきら「サンキュ!」
青梅「おぉ! これにはね、アンパンが最高なんだよな」

青梅大五郎がロッカーを開けると、中に大量のアンパンがあるはずが、空の袋ばかり。

青梅「あ!? ない、ない、ない! アンパンがない! おいアイシー、お前食ったろ?」
アイシー「アホか。子供たちが危険だ、急げ!」
赤城「え? 行くぞ!」
青梅「よっしゃ!」

5人が外へ飛び出す。無人車に追い回される子供たち。

赤城「デンジスパーク!」

赤城がデンジレッドに変身、車を押さえつける。
そこへ青梅たちも駆けつける。

レッド「子供たちを頼む!」
青梅たち「OK! さ、行くぞ!」「早く!」

青梅たちが子供たちを逃がしたのを見届け、レッドもジャンプで脱出。
直後、車が大爆発。

青梅「危機一髪だったな……」
レッド「油断するな」
黄山「おい、見ろ!」

草むらに隠れているダストラーたち。

青梅たち「デンジスパーク!」
レッド「行くぞ!」
一同「おぅ!」

青梅たちもデンジマンに変身。レッドとともにダストラーを追い、次々に倒す。
偶然近くにいた子連れの女性が、ダストラーに人質にされる。

ダストラー「動くな、見ろ!」

それに気づいたブルーが、目にもとまらない素早さで母子を救い出す。
残りのダストラーたちも、デンジマンに一掃される。


戦いを終え、デンジランドに帰還した赤城たち。

赤城「どうも変だ…… 近頃の事件に、いずれも怪物が登場していない。ダストラーが主体だ」
あきら「今まで、怪物抜きの襲撃は無かったわね?」
赤城「あぁ。やり方も凶暴化しているし、しかも子供まで巻き込んでいる……!」
青梅「ベーダーの奴ら、焦ってるって感じだなぁ」

青梅は顔をしかめながら、アンパンをパクついている。

黄山「お前も焦って食ってるって感じだよ」
アイシー「諸君、ベーダー一族に何かが起こったのだ」
赤城「そうか…… やっぱり」


ベーダー一族の拠点、ベーダー城。


ベーダー城を占領したバンリキ魔王は
ヘドリアン女王 ヘドラー将軍を
牢に入れることもなく 自由に振舞わせていた


魔王「おおぃ、酒だ酒だ!」

バンリキ魔王がミラーとケラーを従わせ、横暴に振舞っている。
そばにはバンリキモンスが寝そべっている。
ヘドリアン女王とヘドラー将軍は、傍らで小さくなっている。

魔王「無人車を走らせたり、公園でガキを人質にとったり、お前らのやることは幼稚っぽくていけねぇよ」
ヘドラー「侮辱するのか、貴様!?」

バンリキ魔王に歯向かおうとしたヘドラー将軍が、たちまちバンリキモンスの念力で金縛りに遭い、吹き飛ばされる。

ヘドラー「うっ、うわぁっ!?」
魔王「ハッハッハ! そういうのを、はかない抵抗っていうんだよ!」
ヘドラー「クッ……!」
魔王「酒だ酒だ!」
ケラー「もう飲み尽くしてしまいました」
魔王「あぁ? 持って来い!」

奥へ引っ込んだケラーが、密かに酒の壷に毒薬を注ぐ。

ケラー「殺してやる…… 今に見てろ、バンリキ魔王」

ケラーが何食わぬ顔で酒の壷を抱え、バンリキ魔王のもとへ戻る。

ケラー「申し訳ございません。もう一つございました」
魔王「ほれ見ろ。フフフ……」

ケラーの真意を察し、ヘドリアン女王が密かにほくそえむ。
バンリキ魔王の杯に酒をつぐケラー。しかしバンリキモンスが、尻尾で杯を叩き落す。

魔王「何をする!? おい、杯だ! 持って来い!」
ケラー「魔王様」
魔王「よしよし」

ケラーが別の杯に酒を注ごうとするが、バンリキモンスは壷ごと叩き落してしまう。

女王「あ……!」
魔王「フフ、このイタズラ者め。ヘドラー、そんなところに突っ立っていないで特攻隊を指揮しろ」
ヘドラー「特攻隊?」
魔王「爆弾を積んで、電子戦隊に体当たりするんじゃ!」
ヘドラー「体当たり……?」


ベーダー城格納庫。1機だけ待機しているベーダー戦闘機に、ダストラーたちが爆弾を積み込む。

ヘドラー「1機だけか?」
ダストラー「あとは破損して、飛行不能です」
ヘドラー「破損だと? (バンリキモンスの仕業だ…… わしに死ねということか)」

戦闘機に乗り込むヘドラー将軍。ヘドリアン女王が駆け寄る。

女王「ヘドラー将軍、行ってはいけません! 犬死には許しません!」
ヘドラー「はっ、しかし……」
女王「闇雲に飛んでもどうにかなるものでもない、待つのじゃ。魔王の挑発に乗ってはいけません」
ダストラー「魔王様の伝令です。電子戦隊はただいま、東京南部地域をパトロール中とのことです」
ヘドラー「ご苦労」
女王「ヘドラー将軍……?」
ヘドラー「……」
女王「そなた、まさか……」
ヘドラー「デンジマンと刺し違えて死ねたら……本望です」
女王「ヘドラー……」
ヘドラー「では…… 行って参ります!」

戦闘機が発進する。

魔王「がんばれ、ヘドラー! フフフ……」


電子戦隊はベーダーの不気味な動きに
一層パトロールを強化していた


レッド「ブルーとピンクはB地区からE地区へ。グリーンとイエローはCとD地区を回ってくれ。俺はI地区を回る」
一同「OK!」

デンジマシーンに乗ってパトロール中のデンジレッドを、ヘドラー将軍の戦闘機が捉える。

ヘドラー「デンジレッドめぇ……!」

デンジマシーン目掛けて銃弾が降り注ぐ。


デンジレッドは ヘドラー将軍の出撃に驚いた
ベーダー城に異変が起こったに違いない


レッド「デンジミサイル、発射!」

銃撃をかいくぐり、デンジマシーンの放ったミサイルがベーダー戦闘機に命中。
戦闘機が火を吹きつつ墜落し、傷を負ったヘドラー将軍が転げ出る。

ヘドラー「うっ、うぅっ……」
レッド「ヘドラー!」

戦闘機が大爆発。咄嗟にデンジレッドが爆風からヘドラー将軍をかばう。

ヘドラー「なぜ助ける……? 殺せ、うぅっ!」
レッド「傷を負った者は殺せない。だが、貴様を捕虜にする」

そこへダストラーたちの銃撃。
必死にかわすレッド。その隙にヘドラーは宙へ身を踊らせ、異次元へと消える。

レッド「しまった……」


ベーダー城に帰還したヘドラー将軍。

魔王「腰抜けめが! お前、それでも軍人かぁ!?」
ヘドラー「もう一度チャンスをくれ…… 今度こそ倒してみせる! こ、この通りだ……」
魔王「うるさい! この、くたばり損ないめが! おめぇのような腰抜けに何ができる!?」

バンリキ魔王が、傷を負ったままのヘドラー将軍を激しく痛めつける。

女王「何をする、バンリキ魔王! あまりに無体な……」
魔王「ケッ、乳離れしねぇ坊やだ。えぇ、ヘドラー? おいモンス、いよいよわしらの出番らしいぞ。行くか。このくたばり損ないめが!」
モンス「コノクタバリ損ナイメガ!」
女王「バンリキ魔王め……!」


デンジランド。突如、機器類が異常を示し始める。

黄山「おい、おかしいぞ!」
赤城「どうした? はっ、これは……?」
黄山「原因不明だ!」
あきら「通信も乱れてるわ」
緑川「おい、スイッチ類が勝手に動いてるぞ!?」
アイシー「念力のせいだ」
赤城「念力?」

ひとりでにモニター画面が表示される。
バンリキ魔王とバンリキモンスが、のん気に海岸で釣りをする姿。

魔王「モンス、釣れるか?」

赤城「あれは……」
青梅「バンリキ魔王め!」
赤城「それに、あれは何だ?」

赤城がバンリキモンスを指す。

アイシー「あれが念力の主だ」
赤城「よし、行くぞ!」
一同「デンジスパーク!」
レッド「行くぞ!」
一同「おぅ!」

5人がデンジマンに変身して出動。バンリキ魔王のもとへ駆けつける。

魔王「フハハハ! ようこそ、デンジマン! お忘れかな? 宇宙の用心棒、バンリキ魔王! こいつはわしの子分で、バンリキモンス! まぁ、よろしく」
レッド「貴様、ベーダーを支配したな!?」
魔王「そういうことだ。フフフ…… ところで、お前さんがたも名乗っちゃくれまいか」
レッド「デンジレッド!」
ブルー「デンジブルー!」
イエロー「デンジイエロー!」
グリーン「デンジグリーン!」
ピンク「デンジピンク!」
レッド「見よ、電子戦隊」
5人「デンジマン!!」

デンジマン5人が名乗りを決める。

魔王「ほぅ、よぉくわかった。おいモンス、ちょっくら可愛がってやれ」
モンス「デハ、ヤルカ」
5人「ショットガン! アタック」「アタック!」
魔王「モンス、念力逆ゴマ回し!」
モンス「念力逆ゴマ回シ」

攻撃を繰り出そうとしたデンジマンたちが、バンリキモンスの念力で操られる。

5人「う!?」「うわぁ!」
魔王「念力デングリ返シ!」
5人「おわぁ!」「うぅっ!」

念力に翻弄され続けるデンジマンたちは、到底まともに戦うことができない。

魔王「やれやれ! モンス、もっとやれ!」
レッド「デンジブーメランだ!」
一同「おぅ!」「デンジブーメラン!」

必殺武器デンジブーメランが放たれるが、バンリキモンスはたやすく念力で跳ね返す。

レッド「伏せろ!」

デンジブーメランが危うく、デンジマンの頭上で大爆発。

魔王「ワッハッハ! お前ら、何をやってるんじゃ! もっとしっかりせい!」
レッド「デンジタイガー発進、オートコントロール」

巨大戦艦デンジタイガーが発進。

レッド「デンジタイガー、ミサイル攻撃せよ」

しかしデンジタイガーも念力に阻まれ、レッドの指示を受け付けない。

レッド「ダメだ……」
魔王「ワハハハ! おいモンス、デンジタイガーを引きずり下ろせ!」

デンジタイガーが地上へと降りてゆく。


バンリキモンスの念力によって
デンジタイガーは強行着陸させられてしまった


イエロー「念力だ! デンジタイガーは、あの怪物の念力に押さえつけられているんだ!」
魔王「さてどうする? デンジマン諸君! ワハハハ!」
レッド「貴様ぁ!」

デンジマンたちがバンリキモンスに立ち向かおうとするが、念力の前にどうしても歯が立たない。

魔王「よしよし。もっとやれ、もっとやれぇ!」


電子戦隊は ダイデンジンを出動させることができなかった


ベーダー城ではヘドリアン女王たちも、デンジマンたちの戦いの光景を見ている。

女王「ダメじゃ……」
ヘドラー「女王様、ヘドラーめにベーダーの剣を授けて下さい」
女王「何、ベーダーの剣? ヘドラー、そなたは自らを怪物と化すつもりか?」
ヘドラー「悔しくてなりません!」
女王「ヘドラー……」
ヘドラー「電子戦隊を倒すのは、我らベーダーでなければなりません。バンリキ魔王に手柄を奪われるくらいなら……!」
女王「…… よかろう。それほどの覚悟なら」

ヘドリアン女王が呪文を唱えると、その手に長剣が現れる。

女王「存分に戦うがいい」
ヘドラー「は……!」


魔王「モンスよ、そろそろ引きちぎれ! ほら、ちぎれ、ちぎれ! ハハハ!」

デンジマンたちの戦いの場に、ヘドラー将軍が現れる。

ヘドラー「待てぇ!」
魔王「ほぉ?」
ヘドラー「その勝負、わしが預かった!」

ヘドラーがベーダーの剣を鞘から抜くや、その体がみるみる巨大化する。
巨大ベーダー怪物なみの巨体となったヘドラーが剣を振り回し、岩を蹴散らす。
デンジマンたち目掛けて大岩の雨が降り注ぐ。

ヘドラー「えぇい、どけぇ、どけぇ! デンジレッド! さぁ、わしと勝負しろ! バンリキ魔王、邪魔をするなぁ!」
魔王「モンスよ、念力を解け。ヘドラーにやらせてみようじゃねぇか」
モンス「ハイ」

バンリキ魔王とバンリキモンスの姿が、忽然と消える。

イエロー「はっ、念力が解けたぞ!」
レッド「よし、デンジファイター発進!」「ファイターチェンジ・ダイデンジン!」

デンジタイガーからデンジファイターが発進、変形してダイデンジンとなる。

レッド「搭乗せよ!」
一同「おぅ!」
レッド「行くぞ、ヘドラー将軍! アクション!」

デンジマンの乗ったダイデンジンと、ヘドラー将軍の戦い。
ヘドラー将軍の振るうベーダーの剣と、ダイデンジンの鉄拳が激しくぶつかり合う。
ベーダーの剣から放たれた光線が、ダイデンジンを襲う。

ヘドラー「ハハハハ!」
レッド「デンジボール!」

ダイデンジンがデンジボールの鎖で剣を絡め取るが、ヘドラーは剣の熱で鎖を焼き切る。
さらに剣で斬りかかるヘドラー。しかしダンデンジンのパンチがヘドラーの顔面に炸裂する。

ヘドラー「ううっ!?」
レッド「デンジ剣!」「電子満月斬り!」

ダイデンジンの必殺剣技が炸裂。咄嗟にヘドラーが剣で防ぐ。
しかしダイデンジンのデンジ剣はベーダーの剣をも叩き折り、ヘドラーを真っ二つにする。

ヘドラーが大爆発──

レッド「ヘドラー将軍に、敬礼!」

武人として散ったヘドラー将軍に、デンジマン5人が敬礼を捧げる。


戦いを終え、赤城が海岸で、海を照らす夕日を見つめる。

赤城 (ベーダー城は、バンリキ魔王に征服されたに違いない…… そうでなければ、ヘドラー将軍自ら怪物と化すことはない。恐るべし、バンリキ魔王!)

青梅たちが駆けてくる。

青梅「赤城! どうした?」
赤城「いや、夕日をみていたのさ」
あきら「まぁ、綺麗……」
黄山「あぁ、綺麗だな」
緑川「俺には血の色に見えるな……」
青梅「お、おい、変なこと言うなよ」
あきら「そうよ」
緑川「すまん……」


デンジマンたちは 各々の胸の中で
バンリキ魔王との 決戦の時が
迫っていることを 予感していた
それこそ 命を懸けた決戦になることを


つづく


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