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勇者警察ジェイデッカーの第47話
 

ハートtoハート
 
 
ジェイデッカーがブラックチーフテン軍団に挑む。

ビクティムはそれをただ見ていた。

ビクティム(あの時私は、奴を倒せなかった……)

ノイバー「ビクティム! 何をしているのだ!? 早くジェイデッカーを仕留めろ!!」

ビクティム「わかっている!」

ビクティムは飛び立つ。

ビクティム(そうだ……あれは回路の乱れにすぎん。私の使命は、ジェイデッカーを倒すことだ!)

勇太「あっ!」

ジェイデッカー「来たかビクティム!」

ビクティム「でやああ―――っ!!」

ジェイデッカーはビクティムの槍を交わす。

ノイバー「よし、今だ……ビッグマザー、全速全身!!」

ビッグマザーが動き出す。

ジェイデッカー「あ……ビッグマザーが!!」

勇太「いけない! これ以上進ませたら……」

ビクティム「隙あり! ジェイデッカー!!」

ビクティムの槍がジェイデッカーの左腕を掠ってしまう。

ジェイデッカー「うわあっ!!」

勇太「うわっ!」

すると再びビクティムの脳に電磁波が走る。

ビクティム(ま、まただ……)

ジェイデッカーはビッグマザーに向かう。

ビクティム「逃がさん!!」

勇太「よーし! このまま中へ突っ込むぞ!!」

ジェイデッカー「了解!! うおおお―――っ!!」

ジェイデッカーがビッグマザーに突入。

ジェイデッカー「ホールドアップ! ブレイブポリスだ!!」

勇太「今すぐハーメルンシステムを止めろ!!」

ノイバー「来るのが一足遅かったようだね……すでに東京はハーメルンの笛の領域に入っているよ」

勇太「しまった……」

エヴァ「ハーメルンシステム、作動……」

ビッグマザーの口から強力な超音波が放射される。

デッカールームのデュークたちの頭部から電磁波が流れる。

レジーナ「ああっ! ダメだわ!! このままじゃみんなの心が支配されてしまう……」

エヴァ「そしてお前の心も支配してやるわ。ジェイデッカー……」

ビッグマザー内からも超音波が放射され、ジェイデッカーの脳を狂わせる。

ジェイデッカー「ぐわあっ……」

勇太「デッカード! ぐっ……」

エヴァ「ここにきたのが間違いだったけど、この距離ならどんな小細工をしてもハーメルンシステムから逃れられない」

ノイバー「さあ、くだらぬ心など消し去って偉大なるビッグマザーの足元に跪け」

勇太「こ、このくらいで負けないでジェイデッカー!」

ジェイデッカー「も、もちろんだ……勇太からもらったこの心、取られてなるものか!!」

エヴァ「ん?」

ジェイデッカー「ぐ、ぐうっ……」

ジェイデッカーのAIにハーメルンのマークが記されている。

警視庁のほうでは、ハーメルンシステムの威力が弱まる。

レジーナ「これは……」

くるみ「どうしたの!?」

レジーナ「デュークたちは機能を停止しているのに、ハーメルンの笛に抵抗してるのよ!」

あずき「みんな戦ってるのね。勇太やデッカードさんと同じように……」

せいあ「みんな頑張って!」

綾子「そうよ! 絶対に負けちゃダメだよ!! 勇太君とデッカードを信じて頑張るのよ!!」

ビッグマザー

ジェイデッカー「ああっ……」

ノイバー「おのれ……しぶとい奴め!」

エヴァ「それではハーメルンの笛の出力を上げましょう」

ノイバー「しかし、今より出力を上げたら……」

エヴァ「もちろんジェイデッカーの超AIは完全に崩壊する。でも仕方ないわね……あの子は母なるこの私に逆らっているんですもの。当然の報いだ!」

ハーメルンの笛の出力が上がる。

ジェイデッカー「ぐわああっ!!」

勇太「うわっ!」

ジェイデッカーの体内が爆発。

ジェイデッカーはそのまま倒れる。

勇太「デッカード! しっかりして!! デッカード! デッカード!!」

チーフテンたちがビッグマザーに戻ってくる。

チーフテン「イヤッホー! ん? なんだよ。パーティーはもう終わりか!?」

ジェイデッカー「ゆ、勇太……」

ジェイデッカーの瞳が消える。

勇太「デッカード!!」

デッカードの脳内

勇太「デッカード! デッカード!! しっかりしてよ……デッカード!!」

デッカード「ゆ、勇太……超AIが、完全に破壊された。私はもう助からない……」

勇太「あきらめちゃダメだ! あきらめちゃダメだよ!!」

デッカード「勇太の姿が、見えなくなってきた……私の心は本当に、消えてしまった……怖いな」

勇太「デ、デッカード……」

デッカード「勇太……デュークたちを、守ってやってくれ……これ以上、そばにいてやれなくて……すまない……」

勇太が目を覚ます。

勇太「あっ! デッカード……デッカード!!」

するとビクティムやチーフテンたちの脳に何かがよぎる。

チーフテン「うわあっ!」

ノヴァ「何!?」

勇太の涙がハンドルに落ちる。

勇太「まだ……まだ終わりじゃないぞ!」

勇太は涙を拭ったあと、ボタンを押してハンドルを操縦桿に切り替える。

勇太「勝負はこれからだ!!」

倒れたジェイデッカーが動き出す。

ノイバー「緊急用のマニュアルモードか……」

エヴァ「操縦者の友永勇太を殺して」

ノイバー「え?」

エヴァ「聞こえなかったの?」

ノイバー「はい! 母さん……やれ、ビクティム!!」

ビクティム(な、何だ!? なぜ私は躊躇う? この心は一体……)

ノイバー「どうした!? ビクティム!」

エヴァ「チーフテン、やりなさい」

チーフテン「お、お前が先に行け!」「いや、お前がやれ」「何で俺なんだよ!?」

エヴァ「誰でもいい! 早く友永勇太を殺しなさい!!」

ジェイデッカーが立ち上がる。

勇太「さあ、来い!」

するとハーメルンの笛が作動する。

ビクティム「ぐわああ―――っ!!」

ビクティムのメモリーに勇太の記憶が表示される。

ビクティム(思い出した……私はこの少年に出会ったことがある。これが、私のかつての姿)

メモリーに自分の元の姿も表示される。

ビクティム「(私の、私の心が……消える……)うわああ―――っ!!」

ビクティムはそのまま動かなくなる。

ノヴァ「フフフ。バカな子ね……おとなしく命令を聞いていれば心をなくさずにすんだのに。さあビクティム! 友永勇太を殺しなさい!!」

ビクティムがジェイデッカーに挑む。

勇太「ぐうっ!」

ジェイデッカーは槍を交わすのが精一杯だった。

勇太「ま、負けないぞ……僕はみんなを守るって約束したんだ! デッカードと、約束したんだ!!」

ビクティムの左パンチがジェイデッカーを吹き飛ばす。

勇太「うわあっ!!」

すると再びチーフテンの脳に何かがよぎる。

エヴァ「ビクティム早く!!」

ビクティムが止めを刺そうとしたその時、2つのAIが光りだす。

チーフテンたち「うわあっ!!」

チーフテンたちの様子がおかしくなる。

ノイバー「ど、どうしたというのだ!?」

エヴァ「ま、まさか……」

ノイバー「母さん!?」

ジェイデッカーやビクティムの周りに光が満ちる。

勇太「な、何なの!? この光は……」

ジェイデッカーやビクティムだけではなく、チーフテンたちにも光が満ち始める。

ノイバー「こ、これは……」

エヴァ「超AIの共鳴現象……」

デッカールームでも同じことが起こっていた。

藤堂「こ、こいつは一体……」

冴島「どういうことなんだ!?」

レジーナ「わかりません!」

柏崎「彼らは今、超AIの根源に触れようとしている」

レジーナ「超AIの根源!?」

柏崎「そう。彼らは……いや、全てのAIはデッカードからコピーされた物……」

ビッグマザー

エヴァ「だから全ての超AIには、デッカードが持っていた友永勇太の記憶には潜在意識の中に秘められていたもの……」

ノイバー「じゃあ、ビクティムが友永勇太を殺せないのは……」

エヴァ「心を持ったロボットたちには、作り主である私以上の存在になった」

デッカールーム

レジーナ「それが勇太君だと言うのね!?」

柏崎「そう。デッカードに心を与えた友永勇太こそ、超AIを持つものにとって創造主……神と言っていい存在なのだ」

あずき「柏崎さん、なんだかすごいわ……」

くるみ「まるで別人みたい」

柏崎「そして彼がその根源に触れたとき、超AIの点画は起こる……」

ジェイデッカー内のデッカードの頭部が光りだす。

回想

勇太「ねぇデッカード。今日はそろそろ帰るね! それじゃあ入り口まで僕を運んで」

デッカード「了解……」

デッカードは勇太を手に運んだあと、止まる。

勇太「どうしたの!? 僕を降ろして」

デッカード「了解……」

勇太に言われたとおり勇太をおろすデッカード。

勇太「もしかして、故障してるんじゃない!?」

デッカード「私は正常……ただし、AIに乱れが生じる時がある」

勇太「それはどんな時!?」

デッカード「君と離れる瞬間だ」

勇太「それってもしかして、寂しいんじゃないの!?」

デッカード「理解不能。寂しいとは何か!?」

勇太「う―――ん……寂しいっていうのは……1人ぼっちで、悲しいみたいな気持ちのことかな!?」

デッカード「悲しいとは、何か!?」

勇太「ええっと、難しいな。えーっとね……ええっと……悲しいは悲しいだよ。わかんない!?」

デッカード「わ、わ、私は……」

勇太「ど、どうしたの!?」

デッカード「世界で、1番……友達……」

勇太「デッカード!?」

デッカード「寂しい、悲しい……友永勇太は世界で1番、大切……離れ、悲しい……寂しい……」

勇太「まさか……僕と離れるのが寂しいっていうの!?」

デッカード「悲しい……寂しい……」

勇太「わかったよデッカード……ずっと、ずっとそばにいてあげるからね。壊れちゃダメだよ!? デッカードってば!!」

デッカード「勇太……大切……友達……」

デッカードの機能が停止。

デッカード「私はデッカード……誰かが、誰かが私を呼んでいる……」

「デッカード、どうしちゃったんだよ!!」

デッカード「その声は……」

デッカードのAIが復帰する。

デッカード「勇太!」

勇太「良かった……気がついたんだね!?」

勇太「勇太……私なら大丈夫だ!!」

勇太「デッカード……」

現在

デッカード(私が、寂しさと悲しみを認識したと、私のAIは変化を始めた! そして……大切な人と離れたくないと願ったとき、私は心を持ったのだ。そう……私の心は、勇太の優しさから生まれたのだ……私は超AIを持つものとして、心をくれた勇太を守りたい!)

デッカードの超AIが破損。

ジェイデッカーが復帰する。

ジェイデッカー「勇太!」

勇太「デッカード……」

ビクティムの周りの光も消える。

ビクティム「い、今のは……」

チーフテンやデュークたちの光も消える。

デューク「ぼ、ボス……」

レジーナ「デュ、デューク……! それにみんなも」

ビクティムは足をどける。

ビクティム「そうだったのか……友永勇太よ。君は私の超AIの中にいた……君がデッカードに与えた優しさが、私にも感じられた」

勇太「ビクティム……」

ジェイデッカーが立つ。

ジェイデッカー「そして……その優しさは、私に新たな力を与えてくれた。私はもう、超AIを必要としない!」

デッカールーム

せいあ「みんな、気分はどう!?」

マクレーン「はい。どうやら我々は、夢を見ていたようです……」

ダンプソン「それも、みんなと同じ夢を」

綾子「みんなで同じ夢を!?」

絵美里「ねぇねぇ! それってどんな夢だったの!?」

パワージョー「それがな……」

ドリルボーイ「ボスとデッカードが出てくる夢だった!」

デューク「確かにその夢だった」

シャドウ丸「不思議なことに、そうでしたね……」

ガンマックス「どういうわけだかな」

レジーナ「みんなが同じ夢を見るなんて……」

柏崎「それは夢ではない……君たちの超AIには、友永勇太とデッカードの思い出が秘められていたんだ」

マクレーン「では、あの光景は……」

シャドウ丸「デッカードが心を得た瞬間!?」

デューク「そうか……我々の心の中には、ボスがいたんだな」

マクレーン「みんな、行こう! ボスとデッカードのところへ!!」

一同「おう!!」

デュークたちは駆け足でデッカールームを出る。

冴島「どうやらあいつら、ハーメルンシステムを完全に克服したようだな」

藤堂「それよりも旦那。勇太君はここを出て行く前に、何して行きましたっけ!?」

冴島「何って……ああっ!」

すでにデュークファイヤー、スーパービルドタイガー、ガンマックスアーマー、シャドウ丸が飛び立っていた。

藤堂「そう。あいつらの機動スイッチはオフのままなんだぜ!?」

柏崎「変革を遂げた彼らは、すでに生命を持っている……」

冴島「機械の体を売った、新たなる生命の誕生か……まさに奇跡だな」

柏崎「奇跡!? そんなことはない……君たち人類にもかつて同じ現象が起こっている。君たちはそれを、進化と呼んでいるのさ……」

ビッグマザー

勇太がジェイデッカーから降りる。

勇太「よーし! ハーメルンシステムを破壊するんだ!!」

ジェイデッカー「了解!!」

轟音

ハーメルンシステムが破壊される。

そこの通路から伸びる触手がチーフテンを貫通し、踏みつける。

出てきたのはフォルツォイク親子の操縦するマッドマザーだった。

ノイバー「ハハハハハ!! 母さんの言うことを聞かない奴は、みんな殺してやる!! たあっ!!」

マッドマザーの触手がジェイデッカーの足に絡まる。

ジェイデッカー「しまった!!」

ジェイデッカーは床にたたきつけられる。

ノイバー「死ねぇ!!」

勇太「ジェイデッカー!!」

チーフテンがジェイデッカーの縦となり、斬られる。

チーフテン「畜生……やりやがったな!! おりゃあ―――っ!!」

チーフテンのパンチが炸裂。

先ほどのチーフテンが倒れる。

勇太「ち、チーフテン……」

ジェイデッカー「しっかりしろ!」

チーフテンの体からオイルが漏れる。

チーフテン「へへへ……や、やられ方としちゃ……かっこいいほどねぇな」

ジェイデッカー「ち、チーフテン!」

チーフテン「こ、こんなのを……罰が当たったって、いうのかなぁ……す、すまねぇな坊主。散々悪いこと、しちまってよ……俺たちも……お前のこと、ボスって、呼びたかったぜ……」

チーフテンが力尽きる。

勇太「チーフテン……」

チーフテン「おりゃああ―――っ!!」

もう1体のチーフテンがマッドマザーに斬りかかる。

しかし、剣が折れてしまう。

チーフテン「何!?」

ノイバー「フッ。貴様らごときに、このマッドマザーが傷つけられると思うか!!」

チーフテン「うわああっ!!」

チーフテンは壁に激突。

ノイバー「食らえ!!」

マッドマザーの触手がチーフテンを貫通。

チーフテン「ぐおおおっ……」

最後の1体も倒れる。

ビクティム「こ、これが……これが母なる者の仕打ちか!!」

エヴァ「フッ。私はお前たちの様な聞き分けのない子供を持った覚えはなくてよ!? あなたもチーフテンの後を追いなさい……ビクティム!」

マッドマザーのビームがビクティムの左足を落とす。

ビクティム「しまった!!」

ジェイデッカー「ビクティム!」

ジェイデッカーはビクティムを支える。

ノイバー「ははっ。何度も同じ手を使うものか! 2人で仲良くあの世へ行け!!」

マッドマザーがとどめを誘うとしたそのとき、銃撃が響く。

なんとデュークファイヤーたちが壁を破ってやって来た。

デュークファイヤー「今度は我々が相手だ!!」

勇太「みんな!!」

ノイバー「フッフッフ。わざわざ出向いてきてくれるとは手間が省けたというものだ……行くぞ!!」

マッドマザーはデュークファイヤーたちに触手を伸ばす。

銃撃を繰り出すデュークファイヤーたち。

しかし、全く通用しない。

ジェイデッカー「ダメだ。こちらの攻撃がまるで通じない!」

ビクティム「私が奴を止める」

ジェイデッカー「え?」

ビクティム「その間に、奴に集中攻撃をしろ!」

ビクティムが上空から攻撃を繰り出そうとする。

ビクティム「でやああ―――っ!!」

ノイバー「こしゃくな!!」

マッドマザーの腕がビクティムを貫通。

ビクティム「ぐわっ!」

勇太「ビクティム……」

それでもビクティムは前に進んで槍をマッドマザーの方に突き刺す。

ノイバー「な、何!?」

ビクティム「今だ! 撃て!!」

ジェイデッカー「し、しかし……」

ビクティム「早くしろ……長くは持たせられん!」

勇太「……みんな! マッドマザーを攻撃するんだ!!」

ジェイデッカー「了解!」

勇者たちはマッドマザーを一斉射撃。

銃撃がマッドマザーの胴を貫通。

エヴァ・ノイバー「うわああっ!!」

ビッグマザーのあちこちが爆発。

ビクティムはマッドマザーの手を抜き取る。

すると床が抜け、マッドマザーが落ちそうになるとビクティムがその手を掴む。

デュークファイヤー「ジェイデッカー……」

ジェイデッカー「ああ……」

ジェイデッカーとデュークファイヤーが2体の元に駆けるが、通路が爆発。

マッドマザーとビクティムは落ちてしまう。

エヴァ「ビクティム……どうして!?」

ビクティム「私は……償い切れない大きな罪を犯してしまった。それに……あなたは我々の母親だ」

エヴァ「……!? バカな子ね……」

マッドマザーとビクティムは奈落の底に落ち、大爆発。

ガンマックス「やべぇぜ!!」

シャドウ丸「脱出しましょう……」

ジェイデッカー「勇太、早く!!」

勇太「う、うん……」

勇者たちはビッグマザーから脱出。

ビッグマザーも海に墜落して大爆発する。

ジェイデッカー「終わったな。勇太……」

朝日が昇る。

一方、冴島たちは勇者たちの帰りを待っていた。

レジーナ「あ……みんな見て!! 勇太君たちよ!」

一同「やった―――!!」

ジェイデッカーたちが帰還する。

勇太が手を振る。

勇太「みんな―――! ただいま―――!!」
 

(続く)
 

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