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勇者エクスカイザーの第47話


神秘で広大な宇宙

この宇宙に巣食う 悪のエネルギー生命体
宇宙海賊ガイスターが
人類の宝を狙って 地球に潜入した

しかし 破壊と略奪を欲しいままにせんとする
ガイスターたちの前に
敢然と立ち塞がるヒーローがいた

宇宙警察エクスカイザーである

これは 宇宙にはびこる悪と戦う
勇者エクスカイザーと
仲間たちの物語である


雪国ゆきぐに決戦けっせん


ガイスター基地の孤島。ゴッドマックスが盾型のエネルギー生命体捕獲装置に捕われている。

ゴッドマックス「ここから出せ! こんなことをしても、貴様たちの罪が重くなるだけだぞ!」
コウモリ「うるさい! 黙れ! と、ダイノガイスト様がおっしゃっている」
ゴッドマックス「何っ!?」

コウモリが捕獲装置に体当たり。ゴッドマックスは手も足も出せない。

ゴッドマックス「今に仲間がやって来る! そうすれば……」
コウモリ「いいザマだ! ザマ見ろ!」


一方のガイスターたち。

プテラガイスト「ダイノガイスト様、これをご覧下さい」

プテラガイストの示すスクリーンに、ウルトラレイカーの左右合体の場面が映る。
ブルーレイカーとグリーンレイカーがロボットモードからの合体の寸前、トレインモード(列車形態)に近い姿となる。

プテラガイスト「こいつらは、人間が使う乗物を利用している」
ホーンガイスト「新幹線って言うんだよぉ」
プテラガイスト「お前は黙ってろってんだい! エクスカイザーの正体も突き止めます。そうなればあとは一気にあの盾で」

ダイノガイストがスクリーンの隅に目を光らせる。
スクリーンの中。合体後のウルトラレイカーの背後、建物の影にいる星川コウタの姿……。


ところ変わってコウタの自宅、星川家の居間。
父ジンイチの手にするチケットを目にし、コウタの姉フーコがはしゃいでいる。

フーコ「えーっ、本当なの、パパァ!?」
ジンイチ「あぁ、スキー旅行だ。雪祭りも見られるんだぞ」
フーコ「キャハッ、最高──! 白銀のゲレンデで、恋の一つも生まれるかもしれないわぁ……」

そこへ現れるコウタの母ヨーコ。

ヨーコ「あら、コイ? ご近所で鯉が生まれたの?」
フーコ「そうじゃなくて……な、それ、どうしたの!?」

気が早いことに、ヨーコは既に分厚い防寒服に身を固めている。

ヨーコ「今からこうやって、雪祭りの気分を盛り上げてるの」
フーコ「……スキーウェアの方が格好いいわよ」
ヨーコ「あら、そ」

防寒服を脱ぎ捨てると、その下はちゃっかりとスキーウェア姿。
いつもの如く、ジンイチが愛妻の艶姿に鼻の下を伸ばす。

ジンイチ「ママ、どっちも素敵だよ」
フーコ「あ〜ぁ。コウタ、何とか言ってやっ……ん?」

当のコウタはソファで頬杖をついて沈み込んでいる。傍らにいる愛犬マリオも同様である。

フーコ「どうしたのよ? ここんとこ、元気ないわねぇ。スキー旅行、嬉しくないの?」
コウタ「……嬉しいよ」

小さな声で呟くコウタ。とても嬉しそうには聞こえない。

フーコ「だーっ、嬉しいなら、もっと嬉しそうな顔したらどうよ!?」
コウタ「マリオ、行こ」
フーコ「ちょっ……?」
ジンイチ「おい……コウタ?」

コウタがマリオと共に、とぼとぼと居間を去る。

ジンイチ「どうしんたんだろう、コウタは……」
フーコ「きっとコトミちゃんにフラれたのよ」


星川家のガレージ。
カーモードでガレージに収まっているエクスカイザーのもとに、コウタが佇む。

エクスカイザー「雪祭りか。コウタは楽しみにしていたんじゃないか。スキーをやりたいって言ってただろ?」
コウタ「それどころじゃないよ。ゴッドマックスのことが心配じゃないの?」
エクスカイザー「ゴッドマックスのことは心配するな。今、レイカーブラザーズが捜索しているところだ」
コウタ「でもぉ!」
エクスカイザー「気持ちは嬉しいが……これは我々の問題だ」
コウタ「そんな風に言わないでよ! 僕だって……」
エクスカイザー「わかっている。しかし今は待つしかないんだ。だからコウタは、いつもの元気なコウタでいてくれ」
コウタ「うん……」


ジンイチの運転する愛車──エクスカイザーが長いトンネルを潜り抜ける。
一面に広がる雪景色。
フーコが窓の外に見惚れる。

フーコ「素敵ぃ──!」
ジンイチ「『トンネルを抜けるとそこは雪国だった』ってわけさ」
コウタ「わぁ……」
フーコ「こういうのを『銀世界』っていうのね」
エクスカイザー (これが『雪国』か……)

コウタも、笑顔がないながらも景色に目を奪われる。
そこへ並ぶ高級車。窓が開くと、そこには金有タクミと月山コトミ。

コトミ「コウタくん!」
コウタ「コトミちゃん?」
タクミ「やっ、奇遇だね、コウタ。雪景色にため息かい? 幼いねぇ〜」
コウタ「だってこんなに綺麗じゃないか!」
タクミ「雪国なんて、僕にとっちゃ庭みたいなものさ。毎年見ていて、これと言った感動もないけどね。ま、スキーの腕を磨くために、こうして来ているわけだけど。今年はコトミちゃんをエスコートしてねぇ」
コトミ「タクミくんの別荘に招待されたのよ。コウタくんたちもスキーに行くの?」
コウタ「うん……」
タクミ「向こうで会うかもしれないけど、僕の華麗な滑りに腰を抜かすなよ。じゃあねぇ〜」
コトミ「コウタくん、必ず会いましょうね!」

いつものようなタクミの嫌味口調の台詞を残し、高級車がスピードを上げ、エクスカイザーを追い抜いて行く。

コウタ「あ、コトミちゃん……」
フーコ「やっぱり……恋わずらいなんだぁ」


とある線路を走る新幹線。突如、線路の敷かれた地面が大きく揺れる。

乗員たち「地震だ!?」「大きいぞ! ブレーキをかける!」

地面を砕き、ホーンガイストが出現。

乗員たち「うわぁ──っ!?」
ホーンガイスト「グフフフフ……!」
乗客たち「何だぁ?」「地震か!?」

ホーンガイストが客車の窓ガラスを叩き割り、車両を持ち上げる。

乗客たち「うわぁ──っ!?」
ホーンガイスト「違うなぁ!」


別の線路を走る新幹線。
超特急で走る車両の隣に、地を駆けるサンダーガイストが並ぶ。

乗員「おぉぉぉぉ!?」
サンダーガイスト「俺、早い!」

サンガーガイストがその口で、車体を咥えて持ち上げる。

乗客たち「わあぁ──っ!?」
サンダーガイスト「違う……!」


新幹線として同じく線路を走るブルーレイカー、とある地点で信号停止に遭っている。

ブルーレイカー「何で、こんなところで信号が……一体、何が起こったんだ?」

運転室内の乗員のもとに通信が届く。

通信「新幹線が、各所で恐竜ロボットに襲われています! 復旧作業をしますので、最寄の駅に引き帰して下さい!」
乗員「了解!」
ブルーレイカー「……ガイスターか!」


とある駅ホームに、グリーンレイカーが新幹線として停車している。

グリーンレイカー「何だって、新幹線が!?」
ブルーレイカー「ガイスターは新幹線ばかりを襲っている。手当たり次第にな」
グリーンレイカー「ってことは兄さん、奴らの目的は俺たちなのか!?」
ブルーレイカー「恐らくそうだ。だが私たちのために、罪もない人々を巻き添えにするわけにはいかん! 私は今そちらへ引き帰しているところだ。お前も充分注意してくれ」
グリーンレイカー「わかった……あっ、あれは!?」
ブルーレイカー「どうした、グリーンレイカー!?」

グリーンレイカーのいる駅、数台の新幹線が待機する車庫目掛けてプテラガイストが舞い降りる。

プテラガイスト「あれはどうだぁ!?」

車庫の屋根をぶち破ったプテラガイストが、車庫内の新幹線を襲う。

プテラガイスト「出て来い! レイカーの野郎!」
駅客たち「な、何だあれは!?」
グリーンレイカー「兄さん、ガイスターだ!」
ブルーレイカー「何だってぇ!?」
グリーンレイカー「プテラガイストが、車庫を破壊している! 俺は……このまま見ていられないよ!」
ブルーレイカー「待てっ! 今お前が動けば正体がばれてしまう!」
グリーンレイカー「しかし兄さん!」

車庫内では新幹線が破壊され、煙が上がっている。
プテラガイストが車庫から飛び出し、今度は駅舎を破壊し始める。

グリーンレイカー「これ以上ガイスターの横暴を見過ごすわけにはいかない……!」
ブルーレイカー「それは奴らの罠だ! とにかく待て!!」

次々に駅施設が破壊され続ける。

プテラガイスト「こいつぁ面白いぜぇ!」
グリーンレイカー「駄目だ兄さん……もう我慢できないっ!」
ブルーレイカー「待て!!」
グリーンレイカー「チェ──ンジ!!」

たまりかねたグリーンレイカーがロボットモードに変形、プテラガイストに立ち向かう。

グリーンレイカー「やめろ! プテラガイストォッ!! これ以上の破壊は、この俺が許さないっ!!」
駅客「新幹線が、ロボットになった!?」
プテラガイスト「ようやく現れやがったな、グリーンレイカー。ヘッヘッヘッヘ!」
グリーンレイカー「待てっ! どこへ行く!?」

プテラガイストがホームに停車中の電車を掴み上げる。

乗客たち「おわぁ──っ!?」「うわぁ──!」
プテラガイスト「あばよっ!」
グリーンレイカー「おのれぇ……逃がさんっ!!」

電車を抱えて飛び去るプテラガイスト。
グリーンレイカーもトレインモードに変形、光のレールで宙を駆けて後を追う。

駅客「こ、今度は新幹線が空を飛んだぁ!?」
プテラガイスト「ついて来たな……」


コウタたちが到着した、雪祭りことスノーフェスティバル会場。様々な雪像が並んでいる。

フーコ「ねぇパパ、早く滑りに行こうよ」
ジンイチ「あぁ、そうだな」
ヨーコ「パパ、滑るときは怖いから、手をつないでいてくれる?」
ジンイチ「大丈夫だよ、ママ」
フーコ「あ〜ぁ……あら、コウタは?」

コウタは、駐車場に停まっているエクスカイザーと共に雪を眺めている。
カーモードのエクスカイザーの車内、スクリーンに雪の結晶がズームアップされる。

エクスカイザー「これが『雪』か……見事な造形だ。他の星でも見たことがない……この結晶が、こんな風な純白の美しさとなるのか……地球の神秘さは驚くことばかりだ」
コウタ「エクスカイザー、僕もこんなに雪があるのを見るのは初めてなんだ。ゴッドマックスにも……見せてあげたいな。この景色を……」

雪像が並ぶ中にロボットの雪像。コウタの視界の中、雪像にゴッドマックスの姿がだぶる。

エクスカイザー「コウタ……」

そこへコトミとタクミが。タクミは高級そうなスキーウェアに身を包み、スキーを担いでいる。

コトミ「コウタくん!」
コウタ「あ……コトミちゃん」
タクミ「どうだい、コウタ? このスタイル」
コウタ「いいけど……スキー場、あっちだよ。こっからスキー担いで行くつもり?」

コウタが指すスキー場。会場からは遥か彼方、スキー客は豆粒のようにしか見えない。

タクミ「う……甘いな。通はここから担いで行くものさ」

いつものように強がりを言うも、内心がっくり来ている様子のタクミ。

コトミ「ねぇ、コウタくんも一緒に滑りに行きましょうよ」
コウタ「う、うん……」

フーコの投げた雪玉がコウタの頭に命中する。

コウタ「わぁ!?」
フーコ「コトミちゃんの前だからって、格好つけてんじゃないよぉ!」
コウタ「ち、違うよぉ! よぉし!」

コウタが雪玉をフーコにお返しする。

コトミ「私も!」
フーコ「やったわねぇ!」

雪合戦が始まる。無邪気に雪玉を投げるコウタの姿を見つめるエクスカイザー。

エクスカイザー「良かった……コウタに元気が戻ったようだな」

タクミ「よぉし、僕も! えぇい!」

タクミの投げた雪玉がフーコを外れ、近くを歩いていた男性の顔に命中。

タクミ「し、しまった……」

顔の雪をほろう男性──徳田オサムである。

徳田「やったなぁ〜!」
フーコ「徳田さん!?」
徳田「お返しだぁ! 行くぞっ」
ジンイチ「徳田ぁ!」
徳田「え? あ、編集長!」
ジンイチ「お前も来てたのか」
ヨーコ「徳田さんも、お休みをもらったの?」
徳田「とんでもない。取材ですよ、雪祭りの。この雪の芸術を記事にするべくやって来たんです!」
フーコ「フフッ、雪のロボットなら逃げないもんね」
徳田「そりゃないんでないかい……」
一同「あははははっ!」

エクスカイザーのもとへ通信が届く。

グリーンレイカー「エクスカイザー! 今、プテラガイストを追跡して、大場山を通過中だ」
エクスカイザー「大場山……このすぐ近くだ!」
グリーンレイカー「ガイスターはとうとう俺たちを!」

グリーンレイカーの眼下、雪原に隠れていたホーン、アーマー、サンダーガイストが現れる。

ガイスターたち「待ってたぜ!」

3人の一斉攻撃がグリーンレイカーに浴びせられる。

グリーンレイカー「うわあぁぁ──っっ!!」
エクスカイザー「グリーンレイカー! どうした!? 応答しろ!」
ホーンガイスト「かかったな、グリーンレイカー!」
グリーンレイカー「ガイスタ……ァ……!」
プテラガイスト「貴様さえ連れて来りゃ、こんなものはいらねぇ!」

プテラガイストが、自分の掴んでいた電車を宙へ放り投げる。

乗客たち「おわぁ──っ!?」
グリーンレイカー「あぁっ……チェーンジ!」

グリーンレイカーがロボットモードに変形、ワイヤーを放って電車を救う。
すかさずプテラガイストもロボットモードに変形、ミサイルを食らわす。

プテラガイスト「格好つけてんじゃねぇっ!」
グリーンレイカー「うわあぁっ!」

かろうじて電車は雪原に柔らかに着地したものの、グリーンレイカーは地面にしたたかに叩きつけられる。
たちまちガイスターたちの集中攻撃を浴びてしまう。

ホーンガイスト「いいザマだぜ!」
アーマーガイスト「苦しめ、苦しめぇ!」
プテラガイスト「苦しんで兄貴を呼ぶんだなぁ!」
グリーンレイカー「あぁっ……うっ……兄さ……ん……」
ブルーレイカー「待てっ! そこまでだ!!」

光のレールに乗り、彼方からブルーレイカーがトレインモードで飛来。

グリーンレイカー「に……兄さん……!?」
プテラガイスト「やっとお出ましかい!」
アーマーガイスト「待ってたぜぇ!」

攻撃の矛先をブルーレイカーへ向けるガイスターたち。
しかしブルーレイカーは攻撃をすばやくかわすと、ロボットモードに変形、飛び蹴りを見舞う。

ブルーレイカー「たあっ!」
プテラ・アーマー「ぐわあぁ……っ!」

ブルーレイカーが、倒れている弟グリーンレイカーのもとに降り立つ。

グリーンレイカー「に……うっ、兄さん……」
ブルーレイカー「大丈夫か、弟よ!」
グリーンレイカー「すまない、勝手な……行動をして……」

力を振り絞って立ち上がるグリーンレイカー。
しかしガイスター側にも、ダイノガイストが参戦する。

ダイノガイスト「フフフ……揃ったな、レイカー兄弟! ここが貴様らの墓場となるのだ!」
グリーンレイカー「ダイノガイスト……!」
ブルーレイカー「行くぞ、弟!」
グリーンレイカー「わかった、兄さん!」
ブルー・グルーン「フォ──ム・アップ!」

ブルーレイカーとグリーンレイカーが合体、ウルトラレイカーとなる。

ウルトラレイカー「左右合体・ウルトラレイカ──!! ショルダークラッシュ!」
ホーン・サンダー「おわぁっ!?」

ショルダークラッシュでホーンガイストとサンダーガイストが、スキー場のある山の上まで放り投げられる。
そのまま2人が斜面を転がり落ち、雪を巻き込んで巨大な雪玉と化し、ジャンプ台で大ジャンプ。
雪まつり会場にあるパンダの巨大雪像の隣に、空から落ちてきたホーンらの雪玉が着地。
衝撃で隣のパンダの頭が転げ、ホーンらの雪玉の上に乗り、雪だるまが完成する。

観客たち「わあぁっ!」「いいぞいいぞぉ!」
ヨーコ「大きな雪だるまね」
ジンイチ「あんなことするなんて、予定にあったかなぁ……?」

雪だるまがむくむくと動く。

見物客たち「おぉっ」「動いたぁ?」

雪を砕いてホーンガイスト、サンダーガイストが出現。観客たちから悲鳴が上がる。

コウタ「ガイスターだ!」
ホーンガイスト「どこだ、ここは!?」
エクスカイザー「チェ──ンジ!」

エクスカイザーが駆けつけ、ロボットモードに変形して2人に攻撃を見舞う。

ホーン・サンダー「ぐわぁ──っ!」
エクスカイザー「ガイスター、ゴッドマックスはどこだ!? 返してもらおう!」
ホーンガイスト「うるせぇっ!」

ホーンガイストが雪像群目掛けてにエネルギーボックスを放つ。
たちまち城、ロボット、自由の女神、マンモス、クジラの雪像が氷像のガイスターロボと化す。

コウタ「うわぁ、大変だぁ!」


一方のウルトラレイカー対ダイノガイスト。

ダイノガイスト「ダイノブレード! 行くぞ! ブラックサンダーストーム!」

ウルトレレイカーがブラックサンダーストームで吹き飛ばされるも、かろうじて踏みとどまる。
ダイノガイストが雪に覆われた崖面に剣を投げつける。雪の中に隠されていたエネルギー生命体捕獲装置が飛び出し、ダイノガイストの手に収まる。
捕獲装置の表面に映る、捕われの身のゴッドマックスの姿。

ウルトラレイカー「ゴッドマックス!?」
ゴッドマックス「いかん! ウルトラレイカー、逃げるんだ!!」
ダイノガイスト「もう遅い……!」

捕獲装置が作動。放たれたビームがウルトラレイカーを襲う。

ウルトラレイカー「うわああぁぁ──っっ!?」

本体であるエネルギー生命体の光球がウルトレレイカーのボディから抜き取られ、捕獲装置に吸い込まれる。

ウルトラレイカー「……しまったぁ!」
ゴッドマックス「ウルトラレイカー……!」
ウルトラレイカー「おのれ、ダイノガイスト!」
ダイノガイスト「フッフッフ……フハハハハハァッ!」

跡に残されたのは、物言わぬ機械と化したウルトラレイカーのボディのみ……。


氷像のガイスターロボと戦い続けるエクスカイザー。だが相手は氷だけあり、砕いても砕いても再生してしまう。

エクスカイザー「ドラゴンジェットォッ!」

支援戦闘機ドラゴンジェットが飛来。エクスカイザーが内部に収容され、巨大形態のドラゴンカイザーとなる。

ドラゴンカイザー「フォーム・アップ! 巨大合体・ドラゴンカイザー!」

しかしそこへ、ダイノガイストが現れる。

ダイノガイスト「そこまでだ、ドラゴンカイザー!」
ドラゴンカイザー「何っ!? ……ダイノガイスト!?」
ダイノガイスト「見るが良い」

ダイノガイストの構える捕獲装置に、ウルトラレイカーとゴッドマックスの姿が浮かび上がる。

レイカー・マックス「ドラゴンカイザー!」
コウタ「あっ、ゴッドマックス! ウルトラレイカー!」
ドラゴンカイザー「おのれ、ガイスターめ!」
ダイノガイスト「貴様も生け捕りにしてくれる!」
ゴッドマックス「危ない、ドラゴンカイザー!」
ドラゴンカイザー「むっ!?」

捕獲装置の放ったビームを、ドラゴンカイザーがジャンプでかわす。
さらにドラゴンカイザーが得意の格闘技で、ガイスターロボを次々に破壊。たちまち、氷像群が大量の氷片と化す。

ダイノガイスト「小癪な……!」
ドラゴンカイザー「ドラゴンコークスクリューキ──ック!」

ダイノガイスト目掛けてドラゴンカイザーのキックが炸裂。手を離れた捕獲装置が宙を舞い、雪原に突き刺さる。

ドラゴンカイザー「盾は頂く!」
ダイノガイスト「そうはさせん!」

捕獲装置を取り返そうとするドラゴンカイザー目掛け、ダイノガイストがダイノブレードを振り下ろす。
すかさすドラゴンカイザーがドラゴンアーチェリーの弓で受け止める。

コウタ「あの盾を!」
徳田「コウタくん!?」

捕獲装置目掛けて走るコウタ、それを追う徳田。
しかし一足早く、捕獲装置のそばにプテラガイストが舞い降りる。

コウタ「あぁっ!?」
プテラガイスト「覚悟しやがれぇ! それっ!」

捕獲装置をドラゴンカイザーの方へ向けるプテラガイスト。だが、装置が作動しない。

プテラガイスト「あぁ……撃てねぇ? なぜだぁ!?」
徳田「待てよ……そう言えば、あのときも」
コウタ「えっ?」

ゴッドマックスが装置に捕獲された際のことを思い出す徳田。
あのときは捕獲装置の光線発射部分がオイルにまみれ、光線が発射されなかった。
同様に今の捕獲装置も、雪の中に落ちた拍子に発射部分が雪まみれになっている。

徳田「あの盾は、曇っていると使えないんだ」
コウタ「本当ぉ? じゃあ徳田さん、あれを使おうよ!」

コウタが会場作業用の除雪車を指す。

ダイノガイスト「この剣で撃ち砕いてくれる!」

ドラゴンカイザーとダイノガイストの鍔迫り合いが続く。
捕獲装置の発射部分の雪を拭うプテラガイスト。

プテラガイスト「くそぉ……よぉし、これならどうだ!」
コウタ「徳田さん!」
徳田「行くぞぉ!」

徳田とコウタの乗った除雪車が雪を排雪。プテラガイストもろとも、捕獲装置に大量の雪が浴びせられる。

プテラガイスト「おわぁっ!?」
徳田「やったぁ──っ!」
コウタ「あはははぁっ!」
ダイノガイスト「むぅっ!?」

除雪車を乗り捨て、徳田と共に駆け去るコウタの姿がダイノガイストの目に留まる。

徳田「さぁ、早くみんなのところへ!」
コウタ「うん!」
ダイノガイスト「あのガキは!?」

ダイノガイストがコウタに気をとられた隙をつき、ドラゴンカイザーが鍔迫り合いを振り解く。

ドラゴンカイザー「キングローダ──ッ!!」

巨大トレーラー・キングローダーが出現。
ドラゴンカイザーから分離したエクスカイザーがキングローダー内に収容されてキングエクスカイザーに。
さらにドラゴンジェットのパーツが全身に装着され、グレートエクスカイザーとなる。

エクスカイザー「フォーム・アップ! 超巨大合体・グレートエクスカイザー!! ダイノガイスト、今度こそ容赦しないぞ!!」
ダイノガイスト「チッ……あのガキが!」

コウタ目掛け、ダイノガイストがワイヤー付きのカプセルを投げつける。

コウタ「あぁっ!?」
徳田「はっ、コウタくん!?」

カプセルがコウタを捕らえようとする。咄嗟に駆け寄る徳田。

徳田「危ない、コウタくん!!」
エクスカイザー「コウタ……!?」

カプセルが雪原に炸裂。
ダイノガイストがワイヤーを引いてカプセルを手繰り寄せた時、そこに残っていたのはコウタのマフラーのみ……。

エクスカイザー「コウタぁっ!?」
ダイノガイスト「こいつは預かったぞ! ワハハハハァッ!」
エクスカイザー「待てっ、ダイノガイスト!!」

ダイノガイストがジェットモードに変形して飛び去る。
後を追おうとするエクスカイザーを阻むように、氷像群の破片が合体、ダイノガイストを模した巨大氷像、アイスガイストとなる。
すかさずプテラガイストも、捕獲装置を手にしたまま飛び去る。

プテラガイスト「今の内だ、それぃっ!」
ダイノガイスト「エクスカイザー、貴様の相手はそいつがしてくれよう!」
エクスカイザー「カイザーソ──ド!!」

必殺剣カイザーソードが天から舞い降りる。

エクスカイザー「サンダ──フラ──ッシュ!! おおぉぉ──っっ!!」

カイザーソードを構えたエクスカイザーがアイスガイスト目掛けて突進。
怒りの最強技サンダーフラッシュが炸裂。
袈裟懸けに一刀両断されたアイスガイストが大爆発──エクスカイザーの胸の獅子が咆哮を上げる。

しかし、そこにいたのは勝利の雄姿ではなく、降りしきる雪を呆然と見つめるエクスカイザーの姿であった。

ヨーコ「コ──タ──!」
フーコ「コウタ……」
コトミ「コウタくん……」
エクスカイザー「コウタ……」

そのとき、雪原がむくむくと動く。雪の中から現れたのは、さらわれたはずのコウタ。

コウタ「ぷはっ……」
エクスカイザー「コウタ!?」
コウタ「エクスカイザー……」
ジンイチ「コウタ、無事だったのか!」
ヨーコ「良かった……」
コトミ「コウタくん!」
コウタ「あれ……徳田さんは?」
ヨーコ「あら……?」
フーコ「……あっ!」

雪の中に転がっているカメラを、フーコが拾い上げる。

フーコ「徳田さんのよ!」
コウタ「えぇっ!?」
ジンイチ「まさか……徳田が……ガイスターに連れて行かれたんじゃ?」
コウタ「そんな……!」

フーコの手からカメラを受取るコウタ。

コウタ「僕のせいだ……僕を助けようとして……徳田さんが!」


エクスカイザーとコウタが空を見上げる。

無情なほどに、静かに雪が降り続ける──。


(続く)


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「アニメ、漫画、特撮の最終回」の「や行」から
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