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遊戯王デュエルモンスターズの第223話
 

遊戯「『サイレントソードマンLV5』(攻3500)『オベリスクの巨神兵』(攻500)に攻撃!!」

アテム「甘いぜ相棒! 罠カード発動『聖なるバリア−ミラーフォース−』!!」

『ミラーフォース』が『サイレントソードマン』の攻撃をはじき、遊戯の場のモンスターをすべて破壊する。

アテム「残念だったな、相棒。俺の伏せカードを見破れなかったのは……」

遊戯「ううん、キミの伏せカードは読んでいた。君の『ミラーフォース』が発動したことで僕の神を倒すコンボは完成した! この瞬間、僕の前から3体の神は取り除かれる!」
 

強き心 優しき心
 

海馬「何!? バカな……神を破るコンボが完成しただと!?」

モクバ「神の攻撃力は下がっているけど……遊戯の場にモンスターはいないんだぞ!?」

オベリスクの巨神兵(攻500)ラーの翼神竜(攻3000)オシリスの天空竜(攻2000)

アテム「相棒!」

遊戯「行くよ、もう1人の僕! 僕は手札から速攻魔法『マグネットリバース』を発動。このターン、自分の墓地に置かれた岩石族・機械族モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚、『マグネット・バルキリオン』復活! この特殊召喚により『オシリス』の特殊能力『召雷弾』が発動。しかし『召雷弾』は僕の場の罠『マグネットフォース』の効果で君の場のモンスターに向かう!」

『召雷弾』が跳ね返り、『オベリスク』に命中して爆発する。

アテム「うわ! 『オベリスク』が……」

遊戯「さらに『マグネットバルキリオン』の特殊効果発動、『磁石の戦士』に分離しろ!」

『マグネットバルキリオン』が3体の『磁石の戦士』に分離する。

モクバ「あぁ〜、3体に分離した!」

海馬「新たに召喚されたモンスターに『オシリス』の召雷弾が自動的に発射される!」

遊戯「そして『召雷弾』は『マグネットフォース』の効果で全て君のモンスターに向かう!」

3つの『召雷弾』が『オシリス』と『ラー』に跳ね返り、爆発する。

モクバ「すげぇ……」

海馬「3体の神が敗れただと!?」

城之内「信じられねぇ……」

マリク「遊戯が三幻神を……」

御伽「一気に倒した!」

城之内「あいつ、本当に奇跡を起こしやがった!」

獏良と双六が踊る。

獏良「凄い、凄いよ!」

双六「やりおったぞ遊戯……さすがはワシの孫じゃわい!」

遊戯「もう1人の僕……僕は君と一緒に闘い抜いてきたことでわかったんだ、強力な力を持つ者の最大の弱点……それは力そのものだって!」

海馬(神を倒すには神の力……)

遊戯「もう1人の僕……僕は君が言う通り、君が神を使う姿を心の中で見つめながら無意識のうちに考えていた。神を倒す方法を……」

アテム「当然だぜ相棒! より強き者に立ち向かおうとする本能……それこそが真のデュエリストである証。だがそれは俺とて同じ、まだ俺は力を出し尽くしちゃいないぜ!」

遊戯「うん、もう1人の僕、僕も全てを出して闘うよ!」

アテム「あぁ、行くぜ相棒! 俺のターン、ドロー。俺は手札から魔法カード『融合』を発動。同じく手札の『幻獣王ガゼル』と『バフォメット』を生け贄にし『有翼幻獣キマイラ』(攻2100)を召喚する!!」

アテムの場に『キマイラ』が融合召喚される。

獏良「凄い……」

御伽「神がやられてもすぐに強力モンスターを……」

アテム「行け、『キマイラ』(攻2100)『磁石の戦士α』(守1700)を攻撃『インパクトダッシュ』!!」

『キマイラ』の突進攻撃が『α』に炸裂し、爆発する。

アテム「これで俺のターンを終了するぜ!」

木馬「つっ、強い! 遊戯がやっとの思いで神を倒してもアテムの優勢に変わりないんだ……」

海馬「いや、違うな!」

モクバ「兄様!?」

海馬「ライフポイントは不利とは言え、三幻神を倒した前人未踏のコンボを成功させた遊戯に勝負の流れは傾いている……遊戯、今こそ俺は信じるぞ。貴様の言葉をな!」

遊戯「海馬君!」

城之内「えぇ―――! 海馬の野郎が遊戯を応援するってのか!?」

遊戯「僕のターン、ドロー。僕は『磁石の戦士β』と『磁石の戦士γ』を生け贄に『バスターブレイダー』(攻2600)を召喚。出でよ『バスターブレイダー』!」

遊戯の場に『バスターブレイダー』が召喚される。

獏良「遊戯君も一歩も引いてない……負けずに1ターンで上級モンスターを召喚したよ」

城之内「全くすげーぜ。神がいようがいまいが関係ねーのかよ、あの2人には……」

遊戯「行くよ、もう1人の僕。『バスターブレイダー』(攻2600)の攻撃『破壊剣一閃』『キマイラ』(攻2100)を切り裂け」

『バスターブレイダー』の剣が『キマイラ』を切り裂く。

アテム4000→3500

アテム「うっ、やるな相棒……だが『キマイラ』が破壊されたこの瞬間、『キマイラ』の特殊能力が発動! 墓地に眠る『バフォメット』か『ガゼル』のどちらかを特殊召喚する事ができる。俺は『バフォメット』を特殊召喚! 蘇れ『バフォメット』」

アテムの場に『バフォメット』が特殊召喚される。

御伽「さすがだよ。アテム君もモンスターが途切れない」

城之内「だが神が消えた今、アテムのデッキにはもはや『バスターブレイダー』の攻撃力を上回るモンスターはそうはいないはず」

杏子「ということはやっぱり遊戯が有利?」

遊戯「これで僕のターンは終了だ」

アテム「相棒、随分強力なモンスターを呼んで来たじゃないか。だが……俺のターン、ドロー。俺は『バフォメット』を生け贄に、出でよ『ギルファーデーモン』(守2500)」

アテムの場に『ギルファーデーモン』が召喚される。

アテム「そして場にカードを1枚伏せてターンを終了するぜ」

城之内「『ギルファーデーモン』……攻撃力は『バスターブレイダー』には及ばないけどあいつには破壊された後に相手モンスターの攻撃力を500ポイント下げる能力があるんだ」

遊戯「(もちろんもう1人の僕がそれを狙っている事は分かっている。だけど初めて訪れた攻撃のチャンス。ここで立ち止まるわけにはいかない!)僕のターン、ドロー。僕は場に伏せカードを出し『バスターブレイダー』(攻2600)で『ギルファーデーモン』(守2500)を攻撃する。行け〜『バスターブレイダー』(攻2600)『破壊剣一閃』」

『ギルファーデーモン』が『バスターブレイダー』に斬られ、爆発する。

アテム「だがこの瞬間『ギルファーデーモン』の特殊効果が発動。このカードが墓地に送られた時、装備カードとなり装備モンスターの攻撃力を500ポイント下げる」

『ギルファーデーモン』の残骸が『バスターブレイダー』に吸収され、攻撃力を500ポイント下げる。

遊戯「ターンエンドだ」

アテム「俺のターン、ドロー。俺はカードを1枚伏せ、手札から魔法カード『死の床からの目覚め』を発動する。このカードは相手がデッキから2枚カードを引く代わりに、俺は自分の墓地からモンスターカードを1枚、手札に加えることができる。さぁ相棒、カードを2枚ドローしろ!」

遊戯はアテムに言われた通り、カードを2枚ドローする。

アテム「俺も墓地から、モンスターカードを手札に加える!」

遊戯(あのカードは神を除けば今までもう1人の僕が捨てたモンスターの中で通常召喚できるのは『THE トリッキー』が最高の攻撃力だけど、『トリッキー』は5つ星モンスター……特殊能力で呼び出すには手札を1枚捨てなければならない。だが現在……もう1人の僕の手札は1枚だけ。コストにするカードがない以上、もう1人の僕が復活させるのは『バスターブレイダー』よりはるかに攻撃力の低いモンスターのはず……)

アテム「相棒! 俺には読めるぜ、お前の目算が。だが俺のデュエルはお前の一歩も二歩も先を進んでいるぜ! 俺が墓地から復活させたモンスターはこれだ、出でよ『疾風の暗黒騎士ガイア』!!」

城之内「何! 『ガイア』だと!?」

アテムの場に『疾風の暗黒騎士ガイア』が召喚される。

アテム「『疾風の暗黒騎士ガイア』は手札が1枚だけの場合、生贄なしで召喚することができる!」

遊戯「バカな! いつのまに『ガイア』が君の墓地に!?」

アテム「あったのさ! ……たった1度だけ『ガイア』を墓地に送るチャンスが!」

遊戯「あ……!?」

(アテム『俺の先攻、ドロー! 俺は手札を1枚捨て……』)

遊戯「あの時だ……もう1人の僕が『ガイア』を墓地に置く機会はあの時しかない。あの時、最初に捨てたカードが『疾風の暗黒騎士ガイア』!」

アテム「その通りだぜ、相棒! 俺はこの状況を最初から予測していた」

遊戯「最初からこの状況を!?」

アテム「そう……俺にはファラオだからこそ操れる強力なカードがある。3体の神だ……確かにそれは俺に圧倒的アドバンテージを与えてくれるだろう。だがそれがなんらかの手段で破られた……相棒、俺はお前が神を倒す可能性を予測していた」

この一言に一同が驚く。

海馬「遊戯が神を倒す事を最初から予測していただと!?」

アテム「所詮力など真のデュエリストの前ではまやかしに過ぎない。本当の闘いは神が消えた時から始まる。極限の緊張とカードを信じる勇気に支えられた奇跡のドローによって成り立つ、限界ギリギリのせめぎ合いが! 行くぜ、相棒。『疾風の暗黒騎士ガイア』(攻2300)『バスターブレイダー』(攻2100)に攻撃!!」

『ガイア』が走り出す。

イシズ「遊戯……けれど今のあなたにはファラオの闘志を跳ね返す力があるはず……」

アテム「『スパイラルシェイバー』!!」

『ガイア』の槍が『バスターブレイダー』に刺さり、爆発する。

遊戯2400→2200

遊戯「うっ……」

杏子「あ、遊戯!」

獏良「遊戯君!」

遊戯「罠カード『魂の綱』発動。自分のフィールド上のモンスターが破壊され墓地に送られた時1000ライフポイントを払う事でデッキからレベル4のモンスター1体を特殊召喚する。僕はデッキより『黒き森のウィッチ』を守備表示で特殊召喚」

遊戯2200→1200

遊戯の場に『黒き森のウイッチ』が特殊召喚される。

アテム「俺はこれでターンを終了するぜ」

獏良「これでまたアテム君が断然有利になった」

本田「ここに来て攻撃力2300は痛いぜ」

城之内「あぁ……」

御伽「やはりアテム君の方が読みが深いのか」

双六「いや、まだじゃ」

城之内「え?」

双六「なぜ、遊戯が1000ポイントものライフを払い場にモンスターを残したのか」

城之内「そうか、生け贄にするため!」

双六「そうじゃ、遊戯は諦めとらん」

城之内「遊戯!」

遊戯「僕のターン、ドロー。僕は『黒き森のウィッチ』を生け贄に、来い『デーモンの召喚』!!」

遊戯の場に『デーモンの召喚』が召喚される。

遊戯「さらに僕は『黒き森のウィッチ』の効果でデッキから守備力1500以下のモンスター『マシュマロン』を手札に加える」

アテム「『デーモンの召喚』だと!?」

城之内「『暗黒騎士ガイア』と『デーモンの召喚』……」

杏子「どちらも遊戯を支え共に戦ってきたモンスターたち……」

城之内「あぁ、ピンチのたびに2人の遊戯を救ってきたモンスターたちだ」

杏子「それが今……こうして敵味方で戦うことになるなんて……」

本田「2人が戦うことで本当に辛いのはモンスターたちなのかもしれないな……」

遊戯「行くよ、もう1人の僕! 『デーモンの召喚』(攻2500)の攻撃『魔降雷』!! 『暗黒騎士ガイア』(攻2300)をうち砕け」

雷攻撃が『ガイア』に炸裂し、爆発する。

アテム3500→3300

アテム「うわ!! ぐは……」

遊戯「ターン終了だ」

アテム「(さすがだぜ、相棒、すぐ逆転のカードを出してくるとはな……俺は今ほどデュエルに恐怖を感じたことはない。それはいつだって俺の背中を見つめてくれていたお前が、いつも俺の事を支えていてくれたお前が今、俺に対峙し俺の目の前にいるからだ。共に試練を乗り越え、共に成長してきた、我が生涯最強のライバル… …武藤遊戯! お前に勝つ方法はただ1つ……自分自身の……そして自分のデッキを信じることだけだ!) 俺のターン、お前が奇跡を起こすなら俺もまた奇跡を起こす! 俺は『ビッグシールドガードナー』を召喚する。ドロー、『ビッグシールドガードナー』守備表示で召喚!」

アテムの場に『ビッグシールドガードナー』が召喚される。

城之内「え……どういうことだ!?」

本田「アテムの奴……ドローする前にモンスターを言い当てたぞ!」

獏良「ドローするカードが分かっているみたいに……」

マリク「いや! ドローするカードが分かるんじゃない……ファラオは自分のイメージしたカードをドローしたんだ!」

杏子「自分のイメージしたカードって?」

城之内「んなこと、出来るかよ! デッキの順番はセットした時に決まってるんだぞ!?」

イシズ「いいえ……私もドローとは運命に導かれ決定するものだと思っていました。しかし今のファラオは運命さえ自らの信念と意志で導いている」

杏子「運命を……自らの意志で導く!?」

城之内「アテムと遊戯……2人のデュエルはとっくに俺たちの想像を超えてるってのか!?」

アテム「俺のターンを終了するぜ」

遊戯「僕のターン。僕は『強欲な壷』を発動。デッキから新たに2枚のカードをドローする。そして『ワタポン』を特殊召喚。さらに『ワタポン』を生け贄に『カースオブドラゴン』を召喚!」

遊戯の場に『カース・オブ・ドラゴン』が召喚される。

御伽「遊戯君がもう1体上級モンスターを召喚した!」

遊戯「行け、『デーモンの召喚』(攻2500)! 『魔降雷』!!」

本田「何で守備力が上の『ビッグシールドガードナー』(守2600)を……」

城之内「いや、これでいい」

杏子「あ……?」

『デーモンの召喚』の雷攻撃が『ビッグシールドガードナー』に弾かれる。

遊戯1200→1100

『ビッグシールドガードナー』の表示形式も攻撃表示に代わる。
 
杏子・御伽「あ……!?」
 
城之内「このモンスターは攻撃を受けると攻撃表示に変わる。だが、その攻撃力はわずかに100!」

遊戯「『カースオブドラゴン』(攻2000)で『ビッグシールドガードナー』(攻100)を攻撃! 『ドラゴンフレイム』!!」

『カース・オブ・ドラゴン』の攻撃が『ビッグシールドガードナー』を焼き尽くす。

アテム3300→1400

アテム「う……ぐっ」

遊戯「僕のターンは終了だ」

獏良「これでアテム君と遊戯君のライフはほぼ同じだぁ!」

御伽「そして遊戯君の場には上級モンスターが2体」

本田「遊戯の勝利が見えてきたな!」

すると杏子が後ろ向く。

城之内「ん? どうした、杏子!?」

杏子「私、もう観てられない。きっとアテムだって本当は帰りたくないはずよ……まだ私たちと一緒にいたいと思っているはずよ! なのになんで!?」

城之内「杏子、あの2人が闘っているのはもう個人の意志じゃない。デッキに染みついたデュエリストたちの魂のせいさ……」

杏子「デュエリストたちの……魂!?」

城之内「あの2人はここに来るまで多くのデュエリストたちと闘ってきた。俺や海馬、マリク、バクラ、舞、羽蛾、梶木、ペガサス!! その他にも対戦した多くのデュエリストたちの魂が互いのデッキを鍛えあげてきたんだ! だから、デュエリストはその分まで闘わなくちゃならない」

杏子「城之内……」

城之内「きっとあいつらにはもう冥界に帰るなんてことは頭になくなっちまってるんだ。もうこのデュエルは誰にも止めることは出来ねぇ……ただデュエリストとしての魂に突き動かされて闘い続ける。たとえこの先にどんな運命が待っていてもだ、悔しいけどオレたちには何もできねぇ……辛くてもそれを見守ってやるのが友情・辰討發鵑犬磴佑Г・」

杏子「うん」

アテム「(感じる……感じるぜ、俺のデッキに眠る魂の鼓動)待たせたな、マハード! 行くぜ相棒。俺のターン、ドロー。俺は手札から魔法カード『黒魔術のカーテン』を発動!」

アテムの場に『黒魔術のカーテン』が出現する。

アテム「このカードはライフポイントを半分払うことで自分のデッキから『ブラックマジシャン』を特殊召喚することができる!」

アテム1400→700
 
アテムから光が『黒魔術のカーテン』に注がれるとそこから黒雲が現れ、その中から『ブラックマジシャン』が特殊召喚される。

遊戯「『ブラックマジシャン』……」

杏子「2人の遊戯が最も信頼する切り札……」

海馬「このタイミングで出るのか!?」

アテム「さらに俺は場の魔法カード『秘術の書』を発動。『ブラックマジシャン』(攻2500)の攻撃力と守備力を300ポイントアップ」

『ブラックマジシャン』の攻撃力が2800になる。

アテム「行け、『ブラックマジシャン』(攻2800)!『デーモンの召喚』(攻2500)を攻撃『ブラックマジック』!!」

『ブラックマジシャン』の攻撃が『デーモンの召喚』に炸裂し、爆発する。

遊戯1100→800

アテム「マハード……」

マハード「ファラオよ……三千年の時を越え、再び我が魂をあなたに捧げる!」

イシズ(はっ……)

マリク「どうしたの!? 姉さん」

イシズ「い、いえ……なんでもありません(『ブラックマジシャン』……この懐かしく切ない思いは一体何なのでしょう……)」

遊戯「やはり出てきたね、『ブラックマジシャン』……」

アテム「相棒……これが俺の最後の切り札にして我が最強のしもべ・『ブラックマジシャン』! この『ブラックマジシャン』を倒さない限り、お前に勝利はない!」

遊戯(この僕が『ブラックマジシャン』を倒す!)
 

(続く)

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