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ドラゴンクエストZ オルゴ・デミーラの歩み 第7章 前編

やれやれ・・・まさか、部下を全部失うことになろうとは・・・。
だが、この万物の長にして、絶対無比の存在となったこの我が、すぐに人間どもを葬ってくれるわ!
この強靭なる力を手にした我に立ちはだかる者も、もはやいない。
竜王、ハーゴン、ゾーマ、バラモス、エスターク、ミルドラース、デスタムーア、ダークドレアム。
この者達が、我の体に埋め込まれているのだ。それらは魂となり、力となる。
完璧だ・・・。完璧すぎる!我はまさに、天地を束ねる者としてふさわしい!
勇気、希望、知恵、力。それを超えた「邪悪」の存在。
人間どもの「正義」など、「邪悪」の前では覆される。
しかし、人間どもも気の毒でならん。まさか、絶望のどん底にこれから落ちようとはな・・・。
どのように支配するものか・・・。クックック・・・うれしくてならん!!
では、人間どもを滅亡させる前に、最後の人間世界を見ておくとするか・・・。

「ふむ、『ダーマ神殿』か。ここが、人間どもの力を呼び覚ます場所と言う所か。」
神殿なだけあって、いまいましい聖なる力が感じられる。
「まあ、すぐにその力も消えるがな。」
なにしろ支配をすれば、全てが思いのまま!ダーマ神殿も支配下に置けば、ただの建物だ。
「次の場所へ行くか・・・。・・・ここは、マーディラスか。」
音楽の都、マーディラス。だが、城もある。武装面に関しても、手ごわい相手なのかもしれん。
「武装か・・・。魔界ではまったく必要の無い物だな。」

次の大陸へ飛んだ。
「ほう、ここはフォロッドか・・・。」
フォロッドの城。そして、フォーリッシュの街。
大陸の中では、最も武装面に優れている場所と言っても過言ではない。
「支配下に置いたら、どういう風にいたぶってやるか・・・。」
いろいろな大陸をまわり、そんなことを考えつつ、飛び回る。
そして、最後の大陸にさしかかった。
「エスタードの大陸か。それほど大きくは無いな。」
めぼしい物もほとんどない。
「・・・さて、人間世界の見回りも終わった。どうするか・・・。」
と、その時である。不思議な力を感じ取った。
「なんだ、この『気』は・・・。」
もう少し詳しく調べてみると、遺跡を見つけた。我は、そこに降り立ってみた。
「・・・どうやら昔、ここにも文明があったのであろうな。しかし、遺跡と言うより、廃墟だな・・・。」
遺跡とは本当に言い難い。遺跡らしい形も無いし、荒らしが通り過ぎた後のごとく、
ボロボロの建物しか立っていない。
「・・・おっと、そうだ。さっきの不思議な力は・・・。」
ふと、目に入ったのは、不思議な神殿。間違いない。ここから不思議な力が感じられる。
「・・・封印されているな。この我でも開けられそうに無い。だが、方法はある。」
我は、ある呪文を思いついた。
「アバカム!!」
すると、神殿の扉は開かれた・・・。
「やはりな。アバカムの呪文なら、どんな扉も開ける。では、奥に行ってみるか・・・。」

かつて、文明の栄えた土地が昔あったと思わせる物が、いたるところにあった。
「ふむ・・・古代文字の刻まれた床、それに石像・・・。居心地の悪い物ばかりおいてあるな・・・。
まあ、神殿なら当然だろう。どちらにしろ、この神殿も、すぐに我の物となる。」
そして、ある程度奥まで進めたのは良かったが・・・。
「む?行き止まりか・・・。ここの扉までもが封印されている・・・。」
この扉はさっきの扉と比べると、かなり強い力で閉ざされている。
「・・・アバカムの呪文でも簡単には開けそうに無いな。この先に何か重要な物でも隠されているのか?
・・・我の力をもう少し高めれば、突破できるかもしれん。
ぬああああああ・・・・・・!!」
徐々に我の体に力が蓄えられていく・・・。
「開けええええ!!アバカム!!!」
・・・扉は開かれた・・・。それにしてもとんでもない扉だ!これだけの魔力を使わないと開かないとは!
「・・・まあ良い。さっさと奥へ進むか。」

どんどん進んでいくたびに、不思議な力が増していく・・・。
「遺跡にしては、ずいぶん聖なる力がただよっているな。やはりここには何かがある!
もしかしたら、人間世界の支配に使えるものかもしれんぞ。」
そして、ついにたどり着いた神殿の入り口。やはりここも、封印されていた。
「これを突破すれば、神殿の中に入れるのだな。すぐにこじ開けてくれよう。アバカム!!」
だが、開かなかった。最後の扉なだけあって、封印の力が一番強く感じられる。
「この我の呪文を退けるとは・・・。また、力を高めなければならないのか・・・。」
我の体に、また新たに力が蓄えられた。
「はああああああ!!!我に宿う暗黒なる力よ!扉を開け!!アバカム!!!」
・・・ようやく神殿の扉は開かれた。この先に待つものは一体何なのだろうか?
「クックック・・・では、入るとするか・・・。」

ついに、神殿の最深部と思われる場所に到着した。
さすがに最深部となると、聖なる力が今までより桁違いに感じられる・・・。
「それだけ重要な物が残っているようだな。」
まず、一つ目の部屋に入った。すると、台座がいくらかおいてあった。
「なんだこれは?」
よく見ると、台座の上に地図のような模様が浮かび上がっている。おまけにひびが入っている。
どうやらこの台座は、それぞれの形をした石版のような物で形成されているようだ。
「しかし、これのどこが重要なのだろうか?我の手をあずらわせてまで隠すほどの物には思えん・・・。
・・・他の部屋も調べてみるか・・・。」
神殿内をくまなく調べて見たが、どの部屋も石版の台座が数個おいてあるだけ。
そして中央の部屋に、訳のわからない小屋らしきものが4つ・・・。
「ん?この扉はなんだ?・・・鍵が掛かっているようだな・・・。」
もちろんこの扉は、アバカムの呪文で難無く開いた。この扉だけは、手薄のように思えた・・・。
そのまま奥に進んでみたが、あったのは同じ石版の台座。
「うーむ・・・なんとなく考えてみたが、この石版の台座に秘密があるようだな・・・。」
台座をもう一度、くまなく調べてみた。とその時、急に台座が光りだした・・・!
「ぐう・・・!なんだこの光は!?・・・な・・・ぐわあああああああ!!!」

「・・・ん?どこだ、ここは?」
気が付くと、森林の風景が目に入った。だが、ここがどこかはすぐにはわからなかった。
「・・・空から調べてみるか・・・。」
我は空に昇り、その島を見てみた。するとこの島は、意外な場所だったことがわかった。
「ウッドパルナ!?あの台座は、移動するための道具だったのか!?」
しかしよく見てみると、さっき見たウッドパルナとはいくらか違っているところが発見できた。
となると、この島は・・・。
「過去のウッドパルナか!?と言うことは、あの台座は・・・。」
そう、あの台座は、あらゆる場所の過去に向かえると言う、不思議な道具だったのだ。
少々とまどったが、ふと、我の頭にある考えがうかんだ。
「あの台座を使って、過去の世界を支配してしまおう!そして、人間どもを消滅させ、
完全なる、我の世界を完成させるのだ!!」
過去の世界を支配し、人間どもを消滅させれば未来が変わり、我の天下となる。
なぜこんな簡単な支配の仕方を今まで発見できなかったのだろうか!

そして一度現代に戻り、魔界から優秀な魔物達を多数連れ出した。
「いいか!我のかわいい部下どもよ、よく聞け!
今からお前らはこの台座から過去の世界へ行き、人間どもの世界を支配して来い!!
そうすれば、この人間世界は確実に我らの物になるのだ!!!」
「ははっ!我ら魔界族、オルゴ・デミーラ様のために人間世界の支配に行ってきます!!」
「うむ、しっかり頼んだぞ!!」
すばらしいアイディアだ。人間どもに一番苦痛を与えられる支配の仕方だ!
「おっと、まだ一つ台座が残っているな?この台座はどこに繋がっているのだろうか・・・?」

そして、とある世界に到着した。
だがここは、現代には無かった大地だ。聖なる力もただよっている。大昔の世界と言っても良い。
「む?ここは・・・神の居所か!?」
そう。今、神の「気」を感じ取った。どうやらここは、神が生活する場のようだ。
「ふふふ・・・、神を滅ぼすのも良いかも知れんな。クックック・・・。」
そして、神を見つけた。このいまいましい神をも消滅させれば、人間世界は我の手に入ったも同然だ。
「な、何奴じゃ!おぬし、この世界の者では無いな!」
「よくぞ見抜いたな。さすが神だ。
我が名は、魔王オルゴ・デミーラ。魔界の王である我が、貴様を滅ぼしに来た。」
「魔王じゃと!?ぬう・・・。このわしの前に立つとは良い度胸じゃ!
オルゴ・デミーラ!おぬしを逆に葬ってやるわい!!」
「無駄だ、止めておけ。我の前に立ったお前こそ、我の手に葬られても良いのか?」
「むう!そのうるさい口を今から黙らせてやるわい!!
天界の稲妻よ!魔界の王を打ち砕くのじゃ!!ギガデイン!!!」
ピシャーーーン!!ズゴゴゴゴーーーン!!!
「ふん、神にしてはそれほど強い威力じゃないみたいだな。」
「な、なんじゃと!?」
「神よ。本当の呪文と言うものを教えてやる。
暗黒なる力よ、全てを燃やし尽くす炎となり、神を葬れ!メラゾーマ!!!」
グオオオオオ・・・ボボボボボーーーーン!!!
「ぐふう!!お、おのれ・・・。」
「なんだ、まだやられたいのか?望み通りにしてやる。
よく見ておけ、これが貴様に対するとどめの攻撃だ。暗黒処刑、ねんじボール!!」
ヒュウーーン・・・ズガーーーーン!!!
「ぐおおおおおお!!く・・・この平和を・・・乱しては・・・。」
「その体で何ができる。老いぼれめ。いいかげん諦めて、この世界を我に渡したらどうだ?」
「・・・ぐ・・・その余裕も・・・これまでじゃ・・・!わしと共に、滅びよ!
はあああああ・・・!」
「む、その呪文は!?」
「天と大地を結ぶ精霊達よ・・・。我が魂と共に・・・悪しき者を・・・葬り去ってくれ!!
・・・オルゴ・デミーラよ!わしの呪文で葬ってくれるわい!道連れの呪文・・・メガンテ!!」
グオオオオオオ・・・・・・ズガアアアアーーーーーーン!!!
「うぐ・・・!!メガンテか・・・さすがの我でもこれ以上は耐えられん!!
・・・だが、神はこれで滅びた。我は去るが、神が滅びた世界を後でもう一度支配してやろう!
フハハハハハ・・・ハッハッハッハッハ!!!」

なんとか脱出できた。しかし、メガンテの呪文による傷がズキズキ痛む・・・。神め・・・。
「さて、野郎どもはもう、人間世界を支配した頃だ。
このまま好き放題やらせてしまうか。我は、この傷を癒すために、魔界に戻らねば・・・。」
クックック・・・人間どもの歴史は終わった。
これからは、我が人間世界を動かしてくれる!!!
                                  第7章 完

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