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ドラゴンクエストZ オルゴ・デミーラの歩み 第5章 前編

私は・・・私の体は、痛恨の心につつまれていった・・・。
全体をつつまれたわけではないが、それも時間の問題であろう・・・。
この痛恨の心は、太古の魔王エスターク、そしてデスピサロまでが倒されたのことにより、できたものである。
いったいどうしたことだろうか。なぜあんな人間どもに、次々と誇り高き魔王達が倒されなければならないのだろうか・・・・。

魔王という魔王は、もはや、わずかしか残されていなかった・・・。
今度は、バラモスとミルドラースを人間世界に送り込むことになった。
バラモスはともかく、ミルドラースならやってくれると思っていた・・・。
本来バラモスは、前の戦いで出そうと考えていたのだが、魔王としての力が足りなかった・・・。
まあ一応、今は魔王としての力は手に入れているが。

そして、作戦が決行された。
まず、バラモスを人間世界に送り込み、征服。これは言うまでも無い。その後、ミルドラースも送り込んだ。
これで、だいたいの戦闘準備も完了した。
だが、あの人間どもがいつやってくるか・・・。この悩みだけは、征服する際に浮かび上がるのである。
そして、「パパス」という戦士が、あろうことかバラモスとミルドラースに戦いを挑んでいった。
いきなり作戦失敗か!?と、思った。が・・・・。
バラモスとミルドラースは、あっという間にパパスを倒してしまったのだ!
この戦いを見た私は、バラモスとミルドラースは確実に力をつけている、と確信した・・・。

それから数日後経ったある日。ついに人間どもがやってくるという知らせを聞いた。
そして、町は徐々に我らの手から、解放されていった・・・。
征服した土地が、これほど早く解放されてしまうとは・・・。
やはり人間どもの力は、我ら魔王の力を上回るほどになっている!
そうしている中で、予想もしなかった事件が起きた!
魔物が・・・我らの魔物が、人間どもの仲間になっているではないか!
どうしてだ・・・一体どうしてだ!!私はこう思いながら、ものすごく荒れていた・・・。
だがこちら側にも、運がまわってきた。
悩みに悩んで頭を抱え込んでいる私の前に、何者かが現れた・・・。
「む・・・そなたは何者だ!?」
「・・・・・・・・。」
返事が無い・・・。だが、「魔王の気」を感じ取った。
これは、我ら魔王の一人である証である・・・。
「そなたは魔王だな?だが、誰だ・・・?この気は・・・。」
言いかけてはっとした。
「まさか・・・、お前はエスターク!?」
そう・・・。死んだはずのエスタークが、私の前に立っていたのだ・・・。
「・・・我はエスターク・・・。お前は魔王オルゴ・デミーラ・・・。」
「お・・・覚えているのか?・・・なぜだ!?あの時死んだはずでは・・・?」
「我の力で、よみがえった・・・。我の力で、封印を解いた・・・。」
「そうか、死んだと思っていたが、まだ生命力は残されていたのか!」
「我の生命力は、前とは比べ物にもならん!今こそ、我の本当の力を見せる時・・・。」
「お前の体から殺気を感じる・・・。よみがえったのは、復讐心によるものでもあるのか。」
「我は人間どもに殺された・・・。前の戦いで殺された・・・。」
「だが、現にお前は今こうして生きている。」
「そうだ・・・。生きている・・・。次は・・・我が、人間どもを殺す時・・・。この世から消す時・・・。」
「・・・わかった!・・・エスターク・・・。」
「グウオオオ・・・オルゴ・デミーラ様、なにか?」
「戦闘準備だ!今度は負けてはならぬぞ!!もし負けたら・・・わかっているな!?」
「必ず人間どもは、この手で消してくれる!フハハハハハハ!!!」

こうして我らの戦力は、おぞましいほどになっていった。
魔王が3人。もはや我らにとって、不足など無い。
バラモスはすでに戦闘態勢をとっており、ミルドラースは着々と人間世界を支配していった。
そしてついに、ほとんどの町を支配することに成功した。
だが支配したとしても、油断は出来ぬ。時が経てば、いずれ人間どもがやってくる。
はたしてこの先一体どうなるだろうか・・・。
                                第5章 完

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