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「ここは・・どこ?」
ここは、城塞都市ジャドの南、ラビの森の海岸。
そこに、一人の少年が居た。
少年の名は・・イクス。
白銀の髪で、前髪の一部を蒼く染めている。
服装は極めて普通で、背中に折り畳み式の弓を背負っていた。
そして、左腕に見た事も無い紋章のあざがあった。
気が付いたら、海岸に倒れ込んでいた。
そしてなにより・・記憶が無かった。
「とりあえず、街で寝よ。」
というわけで、ジャドで一晩過ごす事にした。

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聖剣伝説3 〜神龍の皇子〜
第一話 物語の始まり
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・・翌日
外が騒がしい。
「どうしたんですか?」
「獣人軍が街を占領したんだよ。」
獣人軍とは、強国の一つ:ビーストキングダムの獣人軍団の事である。
「じゃあ、街から出れないんですか?」
「ああ・・でも酒場なら、出る方法が掴めるかもな。」
「ありがとう。」
・・酒場
「マスター、なんとか外に出れないかな?」
「それなら、夜まで待ちな。奴等は夜になると変身するんだが、
そうなるとじっとできないらしいからな。」
「夜だね、ありがとう。」
「気を付けなよ。変身した方が、奴らは凶暴で獰猛だからな。」
「はい。」

・・夜
イクスは、宿を出て月を見上げた。
「夜・・かぁ。」
タッタッタッタッ・・
漆黒の中、森に向かって駆け出す少年が一人。
ドンッ!!
「キャッ!?」
「ワッ!?」
訂正・・二人でした。
「イテテテッ、ごめん。」
「いいえ。私こそ、すいません。」
ぶつかった少女は、金髪で、槍を持っていた。
「とにかく、この街を出よう。」
「はい。」

・・ラビの森
「そういえば、名前聞いてなかったよね?」
「そうでしたね。私は、リースって言います。」
「リース・・いい名前だね。・・似合ってるよ。」
「あ、ありがとうございます。」
リースは、少し顔が赤くなった。
「そ、それで貴方は?」
「僕の名前は、イクス。」
「素敵なお名前ですね。」
「・・ありがとう。」
「フフッ。」
「でも、なんでリースは旅を?」
「ええ、・・実は。」
リースの顔が、真剣にそして悲しい表情になった。
「私は、風の王国ローラントの王女でした。」
「・・でした?」
「ええ。・・ローラントは、ナバールに滅ぼされてしまったんです。」
「・・ごめん、嫌な事思い出させちゃったね。」
「いいんです。・・父は死に、弟のエリオットがさらわれてしまったんです。」
「そうだったんだ・・。」
「それで、ウェンデルに居る司祭様のお知恵をお借りしたくて来たんです。」
「光の司祭・・ねぇ。」
「それで、イクスさんは?」
「・・僕は、分からないんだ。」
「えっ?」
「気が付いたら、ジャドの海岸に倒れてたんだ。・・この弓を持って。」
リースはイクスが背負っていた弓を持つ。
綺麗に手入れされたその弓にはイクスの腕にある紋章と同じ物があった。
「・・すいません。」
リースはイクスに弓を返した。
「いいよ、気にしないで。・・・・ねぇ、リース。」
「なんですか?」
「あのさ、・・君と一緒に行っていい?」
「えっ?」
「知りたいんだ。・・僕が何者なのか。」
「・・ええ、一緒に行きましょ。」
「ありがとう、リース。」
「そんな・・。」
「では、参りましょうか?お姫様。」
「ええ、参りましょう・・フフフッ♪」
「ハハハッ♪」
と言う訳で、良い雰囲気で目指すは、聖都ウェンデル!!
・・だったのだが、

湖畔の村アストリア
「・・まさか、結界が張ってあるなんてね。」
「ええ。・・どうしましょう?」
「・・・・。」
「イクスさん?」
「ん?・・さっき聞いた光の事が気になってね。」
「湖の光の事ですか?」
「うん、・・なんだと思う?」
「・・錯覚ではないですか?」
「そうかな?」
「イクスさんは、何だと思います?」
「女の子が言ってた・・妖精・・かな?」
「フフッ、可愛い発想ですね。」
「からかわないでよ。・・ホラッ、早く宿屋行くよ。」
「はいはい。」
まるで、姉弟である。
・・一応同い年なんだけど・・、

・・宿屋
「・・相部屋。」
「どうしましょうか?」
二人とも、顔がまるでトマトである。
「・・寝ましょうか?」
「えっ!?アッ!?・・いいの?」
「・・ええ。・・あなたなら・・。」
なんか凄い展開だが、何も起こらず一晩過ごせ・・、
キラキラキラキラ・・・、
・・なかった。
「んっ、んんんん・・、もう朝?」
イクスは、外の光で目が覚めた。
「この光は!?・・リース、起きて!」
「なんですか?・・この光は?」
「・・どうやら、例の光のお出ましみたいだよ。」

アストリアで遭遇した謎の光
この光が、二人の・・いや
これから巡り会う七人の運命を大きく変えるとは、
・・今は、誰も知らない。

第二話に続く

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