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第4話 三つ子との戦い

我孫子の森
「わが配下となり、わが後に従え。
 わが配下となれ。わが配下となり、わが後に従え。……。」
男の催眠で人々はなすがまま連れ去られるのであった。
後を追った輝たちは物陰に隠れながらもようやく到着した先はお寺のような建物であった。
「この中にこの騒ぎの首謀者がいるはずよ。気をつけていきましょう。」
「おう!」
「はい!」
3人は建物の中へと入っていった。

建物の中 2階
(あっ!)
向こう側の部屋に三つ子がいた。輝は思わず声を出しどうになったが気付かれないようにするため声を出さず心の中に留めた。
そして3人は壁際に身を潜め向こうの部屋の様子を見た。
「我らは、あなた様のしもべ……あなた様のご命令に従います……。」
「それでいいのよ^^さあ、それじゃあ町に行って、一暴れしておいで。」
操れられた人々と三つ子のやりとりが部屋の中で行われていた。そして人々は建物を後にする……。
「くっふふ^^根津(ねづ)様からいただいた水晶玉、ホンットに効き目があるわよね。」
「そうそう、さっすが根津様よね。」
「くふふ^^」
三つ子の女の子は楽しそうに笑っていた。
(水晶玉!?…根津!?)
(どうやら根津って言うヤツがこの事件の首謀者らしいな)
(そうね。……でも今はあの子達をなんとかしましょう。)
「(うん!)そこまでよ!!」
3人は三つ子の前に颯爽と現れ構えた。
「あっ!あんた達はあの時の!!」
「ここまで来るなんてなかなかやるじゃない。」
「でも、ここまでみたいよ。^^」
「どういうこと!?」
「決まってるじゃない^^あんた達をやっつけちゃうんだから!」
「でも、その前に名前を教えとくね。わたいは茜(あかね)。」
「わたいは碧(みどり)。」
「あたいは、藍(あい)。」
朱色の髪が茜、碧色の髪が碧、藍色の髪が藍である。(髪の色以外区別がつかん^^;)
あまりのややこしさに弥彦はキレてしまった。
「同じような顔に、同じような名前しやがって。てめえらの悪さは、みんなバレてんだ!覚悟しやがれ。」
「おチビちゃんカッコつけちゃって。くふふっ。」
「てめえらだってチビじゃねえかよ!!」
弥彦と茜達との身長差はそんなに変わらないのである。が、チビにチビと言われる筋がないため弥彦はますますキレてしまう。
「そんなことどうでもいい。覚悟するのは、向こうのほうなのにね。」
「わたい達、強いんだから。」
三つ子はそれぞれの武器を持って構え始めた。茜はわっかのような物。藍は鉄球。碧は懐刀2本を手に持っている。
「オレは赤い髪のヤツをやる!」
「わかったわ。私は藍と戦うわ。」
「それじゃ、私は碧とね。」
かくして戦いは始まった。

「行くぜ!この野郎!」
「いっくわよ!」
「でやあ!!」
「おっと!」
弥彦の攻撃は茜にかわされた。それでもすかさず攻撃を弥彦は仕掛けた。
茜も負けずと攻撃を仕掛けるも弥彦には当たらなかった。
「なかなかやるじゃない!でもこれならどう!?」
「!?」
「翔鳥紅脚(しょうちょうくれないきゃく)!」
「うわっ!!アブね!!」
弥彦は間一髪で茜の技をかわした。
「このやろ!アブねえじゃねえかよ!」
「普段からそんなの(竹刀)背負ってるあんたに言われたくないわね^^」
「……このヤロウ!!」
弥彦が茜に向かって突進してきた。
「スキあり!翔鳥紅脚!」
「!?」
茜の技が弥彦に直撃し、弥彦は吹き飛んだ。
「弥彦!?」
「人の事より自分の方を心配したらどう?」
「!!」
薫は藍が振り回してきた鉄球を間一髪でかわした。
「このー!でもこれならかわせないでしょう!?踊鳥乱打襲(ようちょうらんだしゅう)!」
「!?」
藍は手持ちの鉄球を思いっきしブンブン回す。それでも薫は避け続ける。
一方輝は碧と互角に戦っていた。いや、正確にはわずかだが輝が押していた。
「やるわね!」
「やあ!」
お互いの刀がつばりあうが輝の刀さばきに碧は苦戦しているようである。
「でもこれならどう!?飛鳥翠爪裂(ひちょうすいそうれつ)!」
「くっ!!」
輝は碧の技を間一髪で受けとめた。
(危なかった……急降下から斬りかかるなんて……)
その時輝は何か思いついた。
(!?……何!?今の感覚!?……でも、やってみる!!)
「この子達……強い。」
「だから言ったのに^^。」
「降参するなら今のうちよ!」
茜と藍は2人を挑発した。その途端……。
「だ〜れが降参なんかするかよ!!」
「「「!?」」」
茜の技をくらった弥彦が平然と立ち上がった。
「なんであんた立てるのよ!?」
弥彦のタフさに驚く茜。
「こんなんで、負けるようじゃ……立派な剣士になれねえからな!」
「弥彦……。」
弥彦の無事を輝と薫は安心した。
「へへっ……2人とも、そろそろケリをつけようぜ!」
「……そうね。」
「うん!」
「あなた達の攻撃は見切ったわ!覚悟なさい!」
薫は木刀を三つ子に向けて挑発した。すると三つ子は一瞬だけだが怖気づいた。
「な……なに言ってんのよ!?」
「あたい達の攻撃を見切ったって!?」
「馬鹿にしないでよ!!」
「ホントかどうか…試せばわかるぜ!」
新たに戦いは仕切りなおされた。
そして相変わらずお互い一進一退の戦いが続いていた。
「今度こそ終わりにしてやる!」
「それはこっちのセリフだぜ!!」
再び茜に突進する弥彦
「あんたもこりないわね……。」
そして茜が技に入る……が
「翔鳥…えっ!?」
突然弥彦が急激に止まり走る方向を変えながら茜に突進してきた。弥彦の変則的な動きに茜は戸惑ってしまった。
「同じ手はくわねえよ!!でえい!!」
「うわっ!!」
そして、見事に弥彦の面が茜に命中し茜はバタンと倒れた。
「どんなもんだい!!」
「あ…茜!?」
茜の負けに藍は驚きを隠せなかった。
「今度はあなたの番よ!」
「こ……この!踊鳥乱打襲!」
藍は薫に技をお見舞したが「はあ!!」
薫はすばやく木刀を振り回し鉄球に当たらず見事に藍の胴に命中した。
「うっっ!!」
藍は腹を抱えてうずくまり倒れこんだ。
「茜!…藍!……!!」
「やあ!」
「うわっと!」
輝と碧の戦いももうすぐ終わろうとしていた。
「この!これで流れを変えて。茜と藍の敵をとってやるんだから!!飛鳥翠爪裂!!」
碧が技を放った瞬間輝は構える。そして……「はあ!…迦陵の型(かりょうのかた)!!」
輝は下から思い切り飛び上がり(碧の斬撃をかわしつつ)胴に峰打ちを決めた。(本来は斬りつけるのだろう)
「うっ!!」
碧は直撃のため体制をとれずそのまま床に落ちて倒れこんだ。

「やったな。輝!」
勝ちを喜ぶ弥彦
「すごいわね!なんなの?あの技は?」
さっき輝が放った技について質問する薫
「わからないんですけど、突然ひらめいたみたいなんです。」
「しっかしすげえなあ!下から上に斬りかかるなんて。」
3人が勝利を別ちあっていたその時茜達が立ち上がってきた。
「そ……そんなぁ。」
「わたい達が負けるなんて……。」
「ふえーん!根津様ァ!」
三つ子は状況を不利と感じ咄嗟に逃げ出した。
「待ちやがれ!」
弥彦は追いかけようとするが「やめなさい、弥彦!」薫に止められた。
「それより、あの水晶玉。」
薫が指差した方向には水晶玉があった。どうやら戦いの最中に落としたようである。
「あの茜…とかいう子達、これのこといってたわよね。もしかしたら、これが、操れられてる人たちに関係してるんじゃない?」
「その水晶玉が?」
弥彦にはとても信じられなかった。
「……輝も、そう思うのか?」
輝に問いただすと輝は
「うん。もしかしたら操ることができるんなら……元に戻すこともできるんじゃないかな…って。」
と、答えた。すると弥彦は
「うーん……まあ信用するか。」
しばらく考えた後弥彦は笑顔で答えた。
「じゃあ、これを持って、町に戻りましょ。操れられてる人達のことが心配だわ。」
そして一向は水晶玉を手に入れ東京へと戻っていった。

東京 町中
「わあーーーーっ!」
町に入った途端わめき声が聞こえた。
「ど…どこなの!?」
「……あそこだ!」
弥彦が指をさした所には、操れられてる人に襲われてる子供がいた。
「あいつ、操れられてるんだ。」
「水晶玉を使ってみるわ!」
薫は水晶玉をかざすと水晶玉は光を放った。すると襲い掛かってきた男は突然倒れ出すがすぐに立ち上がった。
「ん……?あれ?俺こんなとこでなにしてんだ。早く帰んなきゃ、カーチャンにしかられるぜ。」
男は何事もなかったかのようにその場を去っていった。そして子供は輝たちに近寄ってきて
「ああ、怖かった。いきなりあのおじさんが殴ろうとするんだもん。止めてくれて、ありがとね。」
と輝たちにお礼を言って去った。
「やっぱり、この水晶玉がカギなのね。これさえあれば、操れられてる人を元に戻せるんだ。」
「やれやれ、やっと解決かよ。早く帰ろうぜ。」
一行が家に帰ろうとしたその時
「見つけたよ、このドロボー!」
突然茜の声が輝達の背後から聞こえた。輝達は声のした方向にすぐ振り向いた。
「!!……あなたたち!」
「わたい達を追っ払って、根津様の水晶玉を盗むなんて!」
「うるせえ!人を操って危ねえ事してるお前らにドロボーなんて言われたくねえ!!」
弥彦は怒りを露にして3人に怒鳴りつけた。
「まだやるの!?もうあなた達は私達に勝てないのに……」
輝はもう何度戦っても無駄だという意味を込めて三つ子に言ったが三つ子は聞き入れようとしない。
「今回は根津様がついているんだから、もう負けないんだから!」
「根津様、こいつらがいけないんですよう!」
「根津……!?」
輝は咄嗟に刀を抜き構えを取った。

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