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第3話 怪しい三つ子

輝達は同じ顔した三人(三つ子)の女の子か正気を失って暴れている人を探して東京中(といってもすべてではないが)を
探し回るが、なかなかそれらしき手がかりは見つからなかった。
「まいったわね、全然手がかりがないわ。」
「関係ない情報なら、出てるんですけどね……。」
「なんだ?それって……」
「あたらしい酒場ができてるんですけど、店の前にいる人が『中に入れてくれない』っていうんです。
 聞いた人は見た感じでは入ってはいけない年齢の人なんですけど……。」
「それじゃねえのか!?ひょっとしたらそこに……!」
「『同じ顔した女の子がいるかもしれない』っていうんでしょ!?何の確証があって言えるの!?弥彦!?」
「だって怪しいじゃねえかよ!子供ならともかく大人も入れてくれないなんて……」
「全部がそうとは限らないでしょ!?」
いかにも喧嘩の雰囲気なので輝は薫と弥彦の仲裁に入った。
「2人とも、喧嘩してる場合じゃないでしょ!?」
そんなとき
「……はあ……。」
一人の女性がため息をついていた。それに三人は気がつき「どうしたんですか?」と輝が声をかけた。
「うちの人が、おかしな店に入りびったまま、戻ってこないのよ。心配で心配で……。」
「そうなんですか……。」
輝は相づちをうった。
「そこでお願いがあるんだけど、あんた達うちの人を連れ戻してくれないかしら。」
「わかりました。」
「輝!?」
弥彦は探し物はどうでもいいのかと輝に聞き出した。
「困ってる人を放っておくわけにはいけないわ。それで、その人はどこにいるんですか?」
「ここから南にあるお店なの、お願いだから…」
「わかってます。ご主人を連れ戻してきますから安心してください。えっと……」
「お律です。」
「お律さん、ご主人の方は任せてください。」
「ありがとう、本当に申し訳ありません。」
お律は輝に礼を言った。
「薫さん、その店って私が前に言ってた酒場のことです。行きましょう。」
「うん。わかったわ。行くわよ弥彦。」
「ちぇ、しょうがねえなあ。」
三人は輝が言ってた酒場へと向かうことにする。

輝が言ってた酒場の前
煉瓦造りで吊るし看板に『BAR』の文字があるが、何故かのれんが入り口に吊れられていた。
早速三人は中に入ろうとするが……
「ここは、ガキの来るような場所じゃねえぞ。とっとと帰んな。」
従業員らしき男に邪魔されてしまう。
「この店じゃなくて、来ているお客に用があるんです。中に入れてください。」
薫が従業員にお願いすると
「中の客に?……まあ、いいだろう。入んな。」
従業員は三人を店の中へと案内してくれた。

酒場の中
「おまえらの探しているヤツがいるか、見てみろよ。」
(感じの悪い人ねえ)
(ああ!)
(老若男女、だれかれ構わずに嫌われるタイプですね。)
三人は心の中でそう思いつつもお律さんの旦那さんを探すことにした。
酒場の中は以外にもイメージとは違ってシーンとした雰囲気であった。
薫が店中に声を上げた。
「すみません!ここにお律っていう人の旦那さんがいらっしゃるって聞いたんですけど、どなたですか?」
「………………。」
「お律さんに頼まれて探しているんですけど……。」
「………………。」
返事はまったくなく、一言も誰も喋ろうとはしない。
「……えーと、聞いてます?」
「こいつら、様子が変だぜ。まるで、起きたまま眠ってるみたいな……。」
突然変な音が店中に響き渡った。
「!?」
「な……何だ!?」
すると店中の人たちが怪しげに動き出した。一人の男が弥彦に襲い掛かった。
「危ない!」
薫が呼びかけると同時に輝は刀を抜き攻撃を受け止め弥彦の危機を救った。その後すかさず薫が木刀で男を気絶させた。
「なんなのよ、いったい?いきなり襲い掛かってくるなんて…。」
「どうやら、私達の探し物を掘り当ててしまったみたいですね。」
「よーし、やってやるぜ!」
三人は背をあわせて戦闘体制に入った。
薫と弥彦一人ずつ倒していったが、輝だけは一気に2〜3人を次々と素早く峰打ちや蹴りなどで倒していった。
「すごい!まるで剣心みたいに一気に数人倒してるわ。」
「でも、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)じゃねえのは確かだぜ。なんせ蹴りとかやんねえからな。」
薫と弥彦は輝の戦い方を一瞬だけだが見て会話した。
当の本人はそんなことを気にしてる場合ではなかった。
そして全員倒した。
「ワーオ^◇^すっごいじゃないの。」
突然女の子の声がした。三人は声がする方向の目をやると、そこには同じ顔をした三人の女の子がいた。
一人は朱色、一人は碧色、一人は藍色の髪の毛をしていた。
「ほーんと。こいつらをみーんな倒しちゃうなんてね。」
「てめえら、何者なんだ!?」
弥彦が三人に質問をした。すると三つ子は相談して……
「くふふっ^^そんなの、あんた達には関係ない。」
「そうそう、聞いてもしょうがないでしょ。」
「わたい達を捕まえられたら、教えてあげる。」
「きゃはは!」
すると三つ子は逃げていった。
「待ちやがれ!」
三人は三つ子を追いかけるが、逃げ足が速いのかすぐには追いつけなかった。
店の外に出たころには既に姿を見失ってしまった。
「さっきのヤツ、三人ともおんなじ顔してやがった……。」
「桧ノ山さんが言ってた通りね。」
「それにしても、あいつら、どこ行きやがったんだ!?」
「見失っちゃったわ。やっと見つけた手がかりだったのに……。」
その後三人はお律さんのもとにご主人を戻してやったが、ご主人は何をしてたのか覚えていなかったそうだ。
「……手がかりを失っちゃあ仕方ないわね。一度家に戻りましょう。」

仕方なく神谷家に戻ってきた三人であったが
「大変よ!ちょっと、あんたたち何してたの!?」
恵が輝達のところにあわててやってきた。
「何あわててるの、恵さん?」
「また出たのよ、あの愚連隊が!」
「なんだと!?今度は、どこで暴れてやがんだ。」
「道場の南側よ。ああ、もうこんなときに、剣さんがいないなんてっ。」
「大変だわ!」
「恵さんありがとう!すぐに向かいます!」
三人は休む暇もなく愚連隊が暴れてるところへと向かった。

「ぎゃははは!泣け!わめけ!!」
「なんでですか、私達が何をしたというんですか!?」
「うるせえ!気に入らねえんだよ!」
「きゃああ!!」
愚連隊の一人が女性を張り倒した。目はやはりイカレたような目であった。
「あいつら、なんてことしやがる!」
それを見ていた弥彦は腹を立てた。
「見て!あの時の桧ノ山さんと同じ目をしてる。きっと操られてるのよ!」
「急いで止めましょう!」
三人は間に割り込んだ。
「おっ、なんだ、おまえら。おまえらも痛い目に遭いたいのかよ。」
「うるせえ!覚悟しろ!」
愚連隊三人と輝達三人の戦いが始まった。

数秒後(おそらく45秒くらいだろう)
三人はあっというまに愚連隊を薫と弥彦は面、輝はかかと落しを決めてやっつけた。
「うーーん……。」
愚連隊の三人は気絶をした。すると輝は愚連隊の一人に近寄り接した。
「あっ、輝さん!」
「ううっ。」
「大丈夫です。この人たちは正気に戻ってます。」
輝の言う通り、愚連隊の目は先程のイカレたような目はしていなかった。
「あっ、あれっ?オ、オレは今まで、何を……。」
「……やっぱり、操れられていたのね。」
「あの三人の女どもの仕業だな。」
薫と弥彦の言葉に愚連隊は語り出した。
「さ、三人の女……?そ、そうだ。俺達、同じ顔した小娘に会って、それから急に何もわからなくなって……。」
「それは、どこで起きたことなの?」
「どこっていわれても……。」
「思い出せよ!大切なことなんだ。」
「うーん……確か、仲間でメシ食いにいったんだよな。それで……。」
愚連隊は考えに考えた……すると、何か思い出したようだ。
「そうだ!店で誘われたんだよ。きっとあいつら、あの店でワナ張って待ってやがんだ!」
「どこの店!?」
「えーと、確か……赤べこっていう牛鍋屋だったっけ。」
「赤べこ!?」
意外な場所に三人は驚いた。
「大変だわ!赤べこって、妙さんや燕ちゃんのいるお店だわ!もしあの人たちに何かあったら……。」
「早く、赤べこに行くぜ!」
「うん。大事な情報ありがとう!」
輝たちはいそいで赤べこに向かった。

赤べこ前
「ここに、あのふざけた女どもが入るんだな!」
弥彦は中に入ろうするが
「待ちなさいよ!」
薫に止められてしまった。
「止めるなよ、薫!」
「闇雲に飛び込んで、どうすんのよ。騒ぎを立てたら、それこそ赤べこの人に迷惑がかかるかもしれないわ。」
「じゃあ、どうしろっていうんだよ!」
「赤べこにくるお客を、奴等が狙っているんなら……いい手だてがあるのよ。」
「いい手だて?」
「ただのお客に混じって、奴等が来るのを待ち伏せるの。どう?」
「おお、そりゃいいぜ。輝もそう思うだろ。」
「ええ。私もそう思うわ。」
「よっしゃ、じゃあ行こうぜ。」
こうして薫の考えた作戦(?)のもと三人は赤べこの中へと入っていった。

赤べこの中は相変わらずの大盛況である。輝は周りなどを見た。どうやら運がいいのか妙さんや燕ちゃんは
今の時間帯は非番のようである。
「いらっしゃい、お客さん。ご注文はお決まりですか?」
「まだ、考え中です。」
「わかりました。お決まりでしたらどうぞお呼び下さいませ。」
(しばらく注文を考えるフリをするのが妥当ですね。)
(そうね。お店の人には悪いけど……。)
三人がしばらく待つことにした。

数分後 一人の男が満席であるにかかわらず店に入ってきた。
「すみません、お客さん。ただいま満席なんですよ。少し待っていただけるのなら……」
店員の女性が申し訳ないという誠意を込めて男に呼びかけたが「きゃあっ」
男は店員を跳ね除けてしまった。
「お、おい!ひでえ事しやがるな。」
「乱暴はよせよ!」
客達が男に注意をしたとたん男は玉みたいなものを取り出し地面に投げつけた。
すると玉の大きさからは考えられないほどの煙が出てきた。
「いけない!息を止めて!」
薫の言葉に反応して弥彦と輝は慌てて息を止めた。
煙はあっといまに辺りを包み込んだ。
「な、なんだこれは!?」
「ゲホゲホッ!い、息が……。」
(なんなの!?これはいったい……!?)
お客達はむせかえりしばらくするとむせかえる動作を止めた。
するとお客達の様子がおかしな状態になっていった。まるで夢遊病のようである。
そして辺りを覆っていた煙がはれて視界は元に戻った。。
「……これでいいだろう。さあ、お前たち。
 わが配下となれ。わが配下となり、わが後に従え。
 わが配下となれ。わが配下となり、わが後に従え。……。」
男は『わが配下』といった同じ言葉をブツブツと口にした。
(な、なんだ……こいつら?)
(シッ!みんなと同じように動くのよ。)
「わが配下となり、わが後に従え。
 わが配下となれ。わが配下となり、わが後に従え。……。」
すると男の言葉に人々はまるで操り人形の様に動いていき男の後へと続いていき店入り口の方へと向かった。
「わが配下となり、わが後に従え。
 わが配下となれ。わが配下となり、わが後に従え。……。」
人々は男の言うがままに店の外へと出て行ってしまった。
輝たちは術にかかったフリをして動いたが外にはすぐに出なかった。
「どうやら、あの繰り返してる言葉が、呪文の代わりになってるのね。」
「煙と呪文の二本立てってわけか。念の入った話だぜ。」
「見失わないように後を追いましょう。」
そして三人は操れられた人達の後を追うのであった。

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