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第17話 番外編 輝の日常 その2

剣心が神谷道場に戻ってきてから数日経ちました。
剣心が色々手伝ってくれているおかげで私は少し家事などが楽になりました。
今日も相変わらずの一日が始まります。
違う所と言えば……剣心がいるくらいです。
「おはよう輝殿。」
「おはよう剣心。」
まずは台所で剣心との挨拶から始まります。
「いつもすまぬな。薫殿から聞いた話によるといつも食事を作ってるそうで……。」
「ううん。剣心が戻ってくるまでやるって言ってたけど、これからもやっておくって言いましたからね。」
「うむ、拙者も手伝うでござる。」
剣心はいつもやってることなので心配する必要はないのですが、腕はやはり私の方が上みたいです。
そしてしばらくすると……
「弥彦!稽古の時間よ!早く起きなさい!!」
「うるせぇ!!」
2人にとっては相変わらず騒がしい朝の始まりです。
私と剣心は呆れて何も言えず冷や汗を掻くだけです。
「向こうは相変わらずでござるな……。」
「……そうね。」
今回もいつものように朝食後薫さんは出稽古。弥彦は赤べこの手伝い。佐之助はのんびりと……。
ただ……今回の場合は剣心がお買い物に行くのですが……薫さんが出稽古に行く前に買い物内容を告げました。
それを聞いて私も剣心も思わず絶句してしまいした。
買う物はいつもと同じように米、味噌、塩、醤油なんですが……。
「……薫殿……これはちょっと多いのではござらんか?」
剣心が冷や汗かきながらおどけた顔で薫さんに聞きました。
「仕方ないわよ、なにせ輝さんもいるんだから。」
薫さんは平然とした顔で答えました。
買う物の全ての量はいつも剣心が運んでいるのより1.5倍くらいの量が記されていました。
さすがにこれは剣心1人ではつらいのではと思い「私も手伝います。」と言いました。
なにせ薫さん達には何倍も世話になっているんですから少しは役に立たないと申し分が立ちませんからね。
「しかし、輝殿……。」
「輝さんにはちょっと……。」
「いいえ!こうなったら少しでも剣心が楽できるように私も買い物に付き合います!」
そう言って私は薫さんと剣心の制止を振り切りました。
確かに私は力仕事は得意な方ではないのですが、腕ではなく腰の力で持てばなんとかなると思い
剣心のために腰痛覚悟で荷物持ちをする事にしてます。

そして何気ないお喋りをしながら市場へと向かう事にしました。
「いつもすまぬな。」
「いいのよ。私の方が何倍もお世話になってるんだから。

でも、“男子厨房に入らず”なのに剣心がいつも食事作りをしていたとはね……薫さんが作る食事を考えれば納得するわ。」
昔からその言葉があって、大抵料理は女性の仕事になってるんです。何でも、鳥を絞める時の断末魔を男子は聞いてはならぬ
ということが理由だそうです。でも、剣心はいつも食事を作ってるそうです。なにせ何度も言うように薫さんが作った食事って
メチャクチャ不味くて思わず生ゴミ入れ(!)に口の中のものを吐き出してしまう程でしたから……。
「……あまり薫殿の料理の悪口はいかんでござるよ輝殿。」
「あんなの平気で食べられるの!?剣心は……そうなったらよっぽど味覚がおかしいわよ……。」
私は剣心を疑いの眼差しで見つめる。
「いや……決して味覚がおかしい訳ではござらんよ……ただ薫殿のことを気遣っているのでござる。」
剣心は冷や汗をかいて手を振りながら答えました。
「…………ふぅ、反論したらあの怒りっぷりだから仕方ないわね。
 私も色々教えてるけど……やっぱり調理ミスが目立ってるわ。」
「どんなの……でござるか?」
「調味料を入れすぎたり、下ごしらえを間違えたり……挙げるとキリがないわ……。」
「ハハハ……輝殿も大変でござるな……。」
またしても剣心は冷や汗をかいて今度は呆れた顔で言いました。
「なんだか昔の私以上にひどいわね……。」
「ハハハ……。今ごろ、薫殿クシャミをしてるかもしれぬな。」
「まさか……そんなことはない…………と思うわ……。」
私は苦笑いしながら言いました。

「クシュンッ!」
「どうしました?」
「ううん、なんでもない。(誰か私のウワサしてるのかしら?)」
案の定出稽古先で薫はクシャミをしていた。

買い物の手順としてまず軽い物(献立の材料)を買ってから重い物(調味料)を買うことにしてます。
そうでないと後がつらいですからね……。
今夜の献立は、焼き鳥です。材料を購入するのは簡単でしたが、問題はここからです。
「輝殿……大丈夫でござるか!?」
「だ……大丈夫……。」
とは言ったものの結構重たいです……。今私は剣心が持つモノの3分の1くらいしか持ってないのですが……
重いです。もしも全部持ったとすると結構な重さになります……。
こんなのいつも剣心は持っているのね……薫さんったらこんな買い物なんでいつも剣心にさせるのかしら?
私のときみたいに少しずつ運ぶみたいですけど何故こんなに一気に買い込む必要があるのかしら……?
う〜〜……重い〜〜〜〜〜っ…………けど、ここは根性で持ち運ぶのみ………………。
途中で桧ノ山さんが手伝ってくれて助かったのですが……。やはり桧ノ山さんもつらそうでした。
「いつもこんなに運んでるのか?」
「ああ……。」

…………やっとのことで神谷道場に戻ってきましたけど……ちょっと無理したせいか身体がしんどい……。
「輝殿、後のことは拙者がやるでござるからゆっくり休んでくれぬか?」
剣心の言うとおり私は休むことにします。その時剣心は心配そうな顔をしていました。
「うん……。」
初めての重労働の為か身体がだるい感じがします。
剣心は、ああいうのをほぼ毎日行っていてなおかつ炊事や洗濯などをこなしてるのね……。
私にはとても厳しくて耐えられないと思います……。まあ徐々に慣らしていこうと思ってるのですが……。
戦いのときなんかはこうはいかないんですけどね……。状況の違いなんでしょうか?
そして残った時間はどうしてるかといいますと、前までは戦いの動きをやっていたのですが、記憶が全てとは言いませんが
戻ったのでやらずその時間は掃除をしたりお休みしたりと有効に時間を過ごしています。

そして夕方頃になりますと……薫さんと弥彦が帰ってきました。そして佐之助も来ました……。
喧嘩が起こるといけないんでいつでも仲裁に入れるように心の準備を整えてます。
「輝さん、そんな気を張っていないで……。」
「でも……。」
「そうだぜ。確かに飯のことで喧嘩すっけどよ、いつもやってる訳じゃねぇぜ。」
「そうそう、今日も楽しくお食事しましょう。ね?」
私は複雑な表情をして渋々夕食の支度をすることにしました。

そして夕食の始まりです。
「う〜〜ん、おいし〜い!」
「ほんと、輝殿の料理はおいしいでござるよ。」
いつもの様に歓喜の声が来ています。
作った自分が言うのも難ですけど……少し恥ずかしいです。褒め方が大袈裟に感じているんですけど……気のせいでしょうか?
「輝、何でお前照れているんだ?」
「えっ!?」
「別に恥ずかしがることないのに、輝さんったら……。」
「家族に褒められたときっていつもこんな風に照れているの?」
「……いえ、それはこんなことなかったんですけどね……。」
「家族みたいに接して良いのよ、みんな家族みたいなものなんだから。ね?」
「う……うん。」
「早く慣れるでござるよ、みんなも待っているでござるから。」
私はまだみんなに対して慣れていないところがあるようです。生活には慣れてもまだ色々と慣れていないみたいです。

「……輝殿、湯加減はいかがでござるか?」
「うん。ちょうどいいわ。」
お風呂の時間です。今日は剣心が風呂焚きをやってくれています。
相変わらずくつろいでいます。いつも通りの行動です。ちなみに剣心は最後に入るそうです。
たまに覗きがくるでしょうけど、その時は………………バシャッ!!
「うわっぷ!!」
どこの誰だか知らないけどのぞき撃退しました。
「輝殿!?」
「大丈夫よ剣心、変なニワトリが来ただけだから……。」

「#$%&@*?……鼻にお湯が……。」
覗いていたのは佐之助でした……。

日常は剣心がいる以外本当に何も変わらない一日でした。
私の方の変化はと言いますと、大体の記憶を取り戻したことぐらいです。
まだ不慣れな所がありますが、いつの日か本当の意味で家族になれるように頑張っていきたいと思っています。
今日も1日お疲れ様……いい夢が見れるといいなぁ……。


あとがき
なんだか日記風になってしまいましたね……^^;(しかも内容は短いし)
ホンットに剣心がいること以外は第7話とほとんど変わってないです。
これを書いて思ったんですけど、本当に日常なの?って思ってしまいました。
剣心たちにとっては“非日常的な日々”が“日常”では?と漫画やアニメを見て思いましたから……。
夏はどうも無気力になってしまう為か小説が進んでいかないです……。(これ書いてた時季が夏の為)
なんとか進めていけるようにしたいと思っております……。
物語りもあとがきも短めですいませんm_ _m

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