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 第0話 不穏な影

 神谷道場
「不穏な影って……どういうこと、剣心?」
 薫は剣心と共に廊下を歩いていた。嫌な予感がすると言い剣心はしばらく旅に出ると言った。その一言に薫は動揺する。
 剣心は立ち止まると薫の方を向いた。
「それが分からぬから、調べに行くでござるよ。心配はいらぬでござるよ」
 笑顔で薫に向かって答えた。
「う……うん」
 剣心は再び歩き出し玄関へと向かった。

「この国に動乱の予感だなんて……剣心の勘は当たるけど……」



 玄関を出てすぐの所で剣心は弥彦と目が合った。ちょうど弥彦は赤べこの仕事から帰って来たばかりである。
 剣心は足を止めた。
「あれ?どこに行くんだ?今日のメシどうすんだよ?」
「すまぬが薫殿に作って貰うでござる。拙者はこれから旅に出る」
「旅!?」
 訳のわからない事に弥彦は思わず動揺するが、剣心が再び歩き出すと思わず
「あっ、おい!!」
 止めようとするが剣心はなりふり構わず神谷道場を出た。



 東京の町中、赤べこを横切ろうとしたその時佐之助が赤べこから出て来た。いつものように食事代は払わずである。
 そして剣心と鉢合わせした。
「おう、剣心じゃねぇか。どうした?」
「佐之も気付いておろう。この国に不穏な影が覆っていることを」
 意味深な言葉を残し剣心はその場を後にした。

「ふーん。なんかおもしれえことになりそうだ」
 佐之助もまた意味深な言葉を呟き剣心を眺めるのであった。



 町中を歩き何食わぬ顔で歩く剣心。──しかし
 ピピーーーーーーっ!!警笛の音が辺りに鳴り響いた。
「そこの緋色の着物の男!廃刀令違反で逮捕する!!」
 警官が剣心に向かって走り出してきた。
「おろ!?」
 剣心は思わず驚愕し懸命に走りだし警官から逃げるのであった。
 逆刃刀を腰に提げてるため町中を歩くとこの様なことは日常茶飯事の様である。



 ──時を同じくして東京署の署長室前。一人の警官がドアの前に立っている。
 そして扉をノックする。
「獅堂達也巡査長、参りました」
「入ってきて良いよ」
 扉の向こう側からの声を聞いた後達也は扉を開け中へと入るとすぐさま敬礼をした。
 視線の向こうには丸眼鏡の上司もとい浦村署長がいた。
「浦村署長、ご用件はなんでしょうか?」
「楽にしてて良いですよ獅堂巡査長」
 浦村に言われて達也は敬礼を解き、きをつけの姿勢を取った。

「獅堂巡査長、南里さんのことはご存知ですか?」
「はい。そこの令嬢の沙織さんと仲良くやってますが、何か?」
「実はその沙織さんだが、この頃よく暴漢に襲われそうになってるんだ」
「暴漢ですか?それなら用心棒の高瀬さんがやっつけるので自分が赴くほどじゃないですが……」
「実はその暴漢だが、栃木県警の調べではその暴漢は『やった覚えはない』と言ってくるんだ」
「ただ単にしらばっくれてるだけでは?」
「それが、一人や二人じゃないんだ。一日だけでも最高5人くらい現れ、ひと月だけでも60人も検挙したんだ。
 しかも全員、襲ってきたことに対して『知らない』と言ったんだ」

「60人もですか!?いくらなんでも多すぎですよ!!何かの冗談ですか!?」
 達也は思わず驚愕した。
「残念だが事実だ」
 浦村は重苦しそうに答えた。
「署長……相当まいってますね」
「うむ。なにかありそうな気がするんだ。これは我々だけではどうしようもできん」
「そうですか……署長がそう仰るのなら調べてみる価値がありますね。何か大きな事件の予感もします……」
「そこでだ。藤田警部補と互角の実力と優れた知能を持った君にこのヤマを調べてほしい」
「分かりました。しかし、事件はそれだけではないはずです」
「他にもある……ということかね?」
「はい。途中群馬県警に寄りまして、そこでの話によると明治の世だというのに化け物が現れるという事件を聞きました」
「化け物?」
「繋がりはないと思われますが、何かひっかかって仕方がないのです」
「そうか……では獅堂巡査長、東京へ帰ってきて間もないが、日光へ向かい暴漢多発のヤマを調べてくれ」
「分かりました署長。……しかしその前に」
「その前に?」
「これまで自分が関わったヤマの報告書を作成したいので、その件は後にして貰えないでしょうか?」
「うむ、分かった」
 浦村の返事の後に達也は再び敬礼した。
「では、失礼いたします」






(暗い……怖い……嫌だ死にたくない………………誰か……助けて…………死ぬのは……嫌だ…………)
 何もなく辺りどころか果てまで真っ暗な世界。そこはまるで死後の世界の様であった。
 そんな世界にて少女の声が響いた。



 ──そしてどれだけの時が過ぎたのであろう……少女は意識を取り戻した。
 少女は赤い袴に白の装束を羽織り、朱色の髪をしたおかっぱ頭だが何故か耳もとだけは髪を伸ばしている容姿端麗の少女である。
「……ここは?」
 少女は辺りを見渡す。あるのは平らな地面、そこには沢山の木。どうやら森の中である。
 しかし異なる所は上の方、見渡すと斜面になっておりそこからも木が生えている。どこかの山の中の森といえば良いのだろうか。

 おぼつかない状態でゆっくりと立ち上がった。
「……私、なんでこんな格好をしているんだろう?」
 今度は自分を見渡した。赤い袴に白い装束が目に映った。
 何故自分はこの姿でこんな所で倒れていたのか。少女は全く分からなかった。

「うっ!!」
 突然頭痛が走り出し少女は頭を抱えた。
 しばらくすると痛みは治まったが、少女は戦慄する。
「……逃げなきゃ…………ここにとどまってはいけない気がする……」
 逃げる?何から?そんな思考が少女の頭をよぎった。しかし分からなかった。
 考えようにもそれを遮るように恐怖が横切った為、少女は考えるのをやめた。

「逃げなきゃ……」
 少女はおぼつかない足取りでゆっくりと山を降り始めた。


 この時少女は知らなかった。故郷、家族、仲間、そして記憶を失っていることを。

 しかし命は残っている。


 この少女の物語の幕が開くのは、山を降りた先の町で左頬に十字の傷跡のある剣客に助けられ、東京で一人の少女と少年によって保護された後である。
 そしてその後最初に思い出すのは、戦う勇気である。

















あとがき

2012年8月20日発売の週刊少年ジャンプにて『るろうに剣心』の第0話が連載されたのでそれにあやかって私の小説『吉祥天の化身』でも
第0話を書いてみました。

小説はまだ完結してませんが、十勇士陰謀編が発売されてから15年(2012年現在)。月日がたつのは早いですね……。
ゲームキャラのキャストを改めて見ると
主人公(聖or輝)の声優の竹内順子さんは現在人気放映中のアニメ『NARUTO─ナルト─』シリーズの主人公うずまきナルト役で
るろ剣でも藤原鎌足(ふじわらのかまたり)という男なのに女に間違えられる大鎌使いのキャラの声もやっていました。
そしてラスボス(名前はゲーム終盤まで進めてない方or小説を読んでない方には内緒です)の声優は郷田ほづみ氏で
ゲーム『第2次スーパーロボット大戦Z(破界編&再世編)』に参戦しているロボットアニメ『装甲騎兵ボトムズ』の主人公キリコ・キュービィ役で
最初に放送された『ハンター×ハンター』のレオリオの声も担当されました。
後者はあまり知らないので省きますが、前者はよく妄想で輝VS鎌足を良くやります。(笑)輝の圧勝で(笑)


十勇士陰謀編リメイクされる時は主人公イベント時セリフ&声入りでフルリメイクして欲しいですね。
でもユーザーのイメージを壊すから無理か……ツンデレな輝を考える人いそう。

プレイステーションネットワークのアーカイブスにも出てないんですよね……。
実写映画化もされる程るろ剣未だに人気あるのになんで十勇士陰謀編出ないんでしょうか?マイナーすぎるのかな?

9月辺りに実写版『るろ剣』観ましたけど凄かった。私の予想を良い意味で裏切ってくれました。
続編やってくれませんかね?やるとしたら『京都編』ですか?

『十勇士陰謀編』はマイナーすぎると思いますし、主人公の髪型が独特なのでそこはカツラでフォローでしょうか?
アニメ化してくれるなら主人公は私の場合はモチロン輝で声は竹内さんで希望します。
それ以外だとイメージ崩れちゃうけど井上麻里奈さんかな?(代表作は『戦場のヴァルキュリア(アリシア)』『天元突破グレンラガン(ヨーコ)』等)

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