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*主人公たちの名前は、公式名のフリオとキャロにしてあります。
*大樹の神殿にて。二人の女神が、大樹の前にいる。

エイダ:…………。
ステラ:……お姉様、このままでは大樹が……いえ、世界そのものが滅んでしまいます!
エイダ:……判っています……。彼らはこれまで幾多の危機を救ってきた勇者……しかし、彼らほどの者が、こんなに苦戦するとは……。
ステラ:お姉様……異世界の者同士の干渉という禁を破ってまで、協力していただいたのに……ああ、これではマーテルを始めとする精霊たちに申し訳が……。やはり、世界を救う為には……。
エイダ:この世界に生まれ、我らを信じる者が必要……。
ステラ:しかし、その存在はまだ……。ああ、こんなときにあの方がいてくれたら……。
エイダ:…………。おやめなさい。過去のことを言っても、仕方がありません。
ステラ:お姉様……。
エイダ:残された道は、もう他には無いのです……待ちましょう。今を生き、未来を信じる者を……。

*レグリアの町、孤児院にて。

シスターミル:ほら、あなたたち、そんなに落ち込まないで。『大樹の神殿』にお祈りに行ってらっしゃいな。
フリオ:なあ、ミル姉さん?いつになったら、成人の儀は受けられるんだい?
シスターミル:アナスイの花が咲かなければ儀式は始められない。それは判っていますよね。もう咲いてもよい季節なんですけど……。
キャロ:一ヶ月以上も遅れてる……どうなっちゃうんだろう、私たち……。
フリオ:ちぇっ。成人の儀ができれば、俺たちも独立できるのに……自分の仕事をちゃんと持って働けば、この孤児院も少しは楽に……。
シスターミル:いいのよ、あなたたちはそんなことを気にしなくても……気持ちは嬉しいわ……。でも、孤児院のことよりも、あなたたち自身のことを心配しなさい。夢があるんでしょ。自分自身のやりたいことが……。それに、あなたたちが落ち込んでいると、小さい子たちが不安になるわ。
フリオ:…………。
キャロ:…………。
シスターミル:ほら、いつまでもグズグズしない!でないとアナスイの花も咲いてくれないわよ。
フリオ:だな!らしくねぇ、らしくねぇ!
キャロ:うん。あんたみたいな単細胞は特にね!
フリオ:んだとォ!だから、お前は胸ぺタで可愛くねぇんだよ!
キャロ:な、何よ!それ!関係ないじゃない!アンタこそ短足のクセして!
シスターミル:ふふ、泣いたカラスが何とやら……さぁ、早く神殿に行ってらっしゃい。
フリオ:うん、行ってくるよ!ミル姉さん!
シスターミル:寄り道ばっかりしてないで、すぐ帰ってくるのよ!
フリオ:ちぇ、ばれてたか……。
キャロ:やれやれ、子供のお守りは苦労するわねぇ〜。
フリオ:うっせー!ペタンコ娘〜!
キャロ:また言ったわねぇ!ちょっと!待ちなさいよ!
シスターミル:ふふ、これだけ元気があれば大丈夫ね……。

*大樹の神殿にお祈りに来たフリオとキャロ。

キャロ:ねぇ、いつものことだけど……誰もいなくて寂しいね、ココって……。
フリオ:勝手だよな大人って!神殿はほったらかしなのに、祭りの形式にだけはうるさいんだからな……。
キャロ:ホント。早く『成人の儀』受けたいね……。
フリオ:さっさとお祈りすませちゃおうぜ!俺、遊びに行きたいしな!
キャロ:もう!寄り道はダメって言われたでしょ!

キャロ:早く、アナスイの花が咲きますように……。
フリオ:早く、遊びに行けますように……。
キャロ:ちょっと!まじめになさいよ!
フリオ:へへ、悪い、悪い。ん?何だ?うわっ!

*光とともに、二人の女神が現れる。

フリオ:め、女神様ぁ?
キャロ:あ、あんたが真面目にお祈りしないから、怒ってるのよ!
エイダ:私はエイダ……。
ステラ:私はステラ……希望の子たちよ、よく来ましたね……。
フリオ:ご、ごめんなさいっ!
キャロ:私たち、お願いがあってここへ来たんです!『アナスイの花』を咲かせていただきたくて……。でないと私たち……。
フリオ:お、お願いします!
エイダ:残念ですが、それはできません……。
ステラ:…………。
フリオ:な、なんでさ!女神様ならそのくらいパパッと……。
キャロ:ちょっと!女神様に対して失礼でしょ!お願いします!私たちのお祈りが足りないのならば、もっとしますから……。
ステラ:それはあなたたちの行いが悪いからではありません……。
エイダ:今、大樹は……いえ、この世界は危険な状態にあります……。
ステラ:大樹から、世界を維持する為の力が……力が失われつつあるのです……。
キャロ:そ、そんなことが……。
フリオ:マジかよ!?こりゃ、儀式どころじゃないぜ!
エイダ:希望の子たちよ……。
ステラ:あなたたちならできるかもしれません。
フリオ:へ?
キャロ:私たちが?
ステラ:魔物たちの力が拡大しつつあります。そのために、大樹の力は衰えるばかり……。
エイダ:その原因を突き止めて、解決してほしいのです。
キャロ:そんな……。
フリオ:魔物と戦うなんて無理だよ!
エイダ:我々は何も、あなたがたに無謀な戦いを強いるわけではありません。
ステラ:その為の力……魔物に対抗のできる『力』を授けましょう。
エイダ:その上で、やるかやらないか決めるのはあなたたち自身です。
フリオ:…………。
キャロ:…………。
フリオ:やる!やるさ!アナスイの花どころか、このままじゃ世界そのものが危ないんだろ。
キャロ:うん!できることをしないで後悔はしたくないもんね!
エイダ:ありがとう、希望の子たちよ……。
ステラ:では、始めましょう……。あなたたちの名前を私たちに教えてください。
フリオ:うわっ!ん?何か変わったのか?
キャロ:特に変わった様子はないけど……。
エイダ:あなたたちに授けた力とは、あらゆる人物に《なりきる》力です。
ステラ:『剣士の服』を着れば剣の技に優れ、『魔術師の服』を着たのなら、魔法が使える……。
エイダ:ただし、その力を使いこなせるかは、あなたたちの努力次第……。
フリオ:伝説の剣とかスゴイ魔法とか、そういうのじゃねえのか……。
キャロ:大丈夫かなぁ、私たちで……。
???:グルルルル……。
フリオ:ゴ、ゴメンなさいっ!!いや、文句とかじゃなくて……。
エイダ:私たちではありませんよ……?
ステラ:!!!お姉様、魔物が!
エイダ:そんな!神殿には魔物は入れないハズ……結界の力が弱まっている?
キャロ:どうしよう……。
フリオ:くっそー!こうなったら、やぶれかぶれだ!
???:待てッ!ここは僕に任せろ!

*謎の剣士が魔物をやっつける。

???:お怪我はありませんか?
???:すいません、手負いの魔物を逃がしてしまいました。
キャロ:この人たちは?
エイダ:この二人は、大樹の危機を救う為に、『異世界』より招いた勇者です。
クレス:僕の名前は『クレス』。よろしく頼むよ!
ミント:私は『ミント』と申します。クレスさんたちと一緒に旅をしている者です。
フリオ;なんだよ!こんなに強い人がいるのなら、俺たちなんていらないじゃん!
ステラ:彼らではこの世界を……本当の意味で救うことはできないのです……。
クレス:僕らはこことは違う世界の人間……。
ミント:私たちが魔物を倒しても、いずれ復活してしまうのです。
キャロ:そんな……。
フリオ:でも、みんなで一緒に戦えるんだったら安心だな!
クレス:いや……悪いが、君たちはまだ力不足だ……。沢山の魔物を相手にしながらでは、君たちを守れるかどうか……。それに、こうしている今も魔物はどんどん増えている……。僕たちは、魔物を完全に倒すことはできなくても、町や人々を守ることは出来る。だから、その間に力を付けてくれ!魔物と戦う力、世界を救う『力』をね!
キャロ:大丈夫かなぁ……私たちだけで……。
フリオ:…………。
ミント:……あの、クレスさん……。まだ、不安も大きいと思います……だから、しばらくは、私が一緒に……。
クレス:ミント……。判った。君がそう言うのなら……。
ミント:クレスさん……。
クレス:大丈夫さ、僕は一人でも何とかなる!
フリオ:じゃあ……。
ミント:ええ。あなたたちがその『力』に慣れるまで、私がご一緒させていただきます。私は非力かもしれませんが、この法術の力はお役に立てるでしょう。
エイダ:では、我々からもこの『服』を授けましょう。
キャロ:服?
フリオ:どうするんだ?服なんかで?
エイダ:服を着て《なりきる》ことが、あなたたちの力です。まずは、様々な服に着替えてみなさい。それで、どのような力を使えるのかを、覚えるのです。この力を使える者は、《なりきり師》と呼ばれています。
フリオ:なりきり師……。
キャロ:私たちの力……か……。
エイダ:では、ミント。この子たちを頼みましたよ……。
ミント:はい。お任せください。では、町に戻りましょうか。

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