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(最初に)
「テイルズオブファンタジア」はSFC、PS、GBAと出ていますがPS版を準拠としたテキストにしています。

(本文)
??「天光満つる所に我はあり…」

 どこかの城の中。4人組のパーティーが金髪の男(この物語のラストボス・ダオス)と戦っている。剣士が剣を振り、ダオスがそれに反撃する。
 その間に魔術師(エドワード・D・モリスン)が詠唱を続ける。

エドワード「黄泉の門開くところに汝あり…出でよ、神の雷…」
ダオス「なに!?それは…」
エドワード「これで最後だ!インディグネイション!」
 魔術「インデグニション」の雷がダオスを直撃する。
ダオス「そんな…そんな馬鹿な!うわああああっ!」
 ダオス、倒したと思った刹那、光となって逃げてゆく。

 時の流れの中を往く一つの光。それと共にキャストの紹介。

 クレス・アルベイン 草尾毅
 ミント・アドネード 岩男潤子
 アーチェ・クライン かないみか
 クラース・F・レスター 井上和彦
 チェスター・バークライト 伊藤健太郎
 ふじばやし すず 川田妙子
 ダオス 塩沢兼人
 モリスン&ナレーション 石塚運昇

 そして舞台は地下墓地に変わる。エドワードの子孫のトリニクス・D・モリスン達のパーティーがこの時間に現れるであろうダオスを待ち構えている。雷と共に現れるダオス。
ダオス「き、貴様!!なぜ、ここに!?やめろおおおおおっ!」
 その刹那、ダオスは結界に閉じ込められ、その力を2つのペンダントに封じられた上で石の棺の中に閉じ込められる。
モリスン「これで…私の家に代々続いた使命も終わりか…」

ナレーション「そして…十数年の月日が流れた…」

 トーティスの村。自宅であるアルベイン流剣術道場にて、主人公・クレスが父・ミゲール、トリスタン師匠と話している。
クレス「こんにちは、トリスタン師匠。お久しぶりです」
トリスタン「おお、クレスか。久しぶりじゃのう」
ミゲール「クレス」
クレス「なに、父さん?」
ミゲール「母さんの具合のほうはどうだ?」
クレス「熱も下がったみたいだし、もう大丈夫だと思うよ」
ミゲール「実はな、クレス…お前にやったペンダントについて、話があるんだ」
クレス「ペンダント?ああ、15歳の誕生日の時にもらったペンダントのこと?あの時、父さんに言われたとおり大切に持ってるよ。あれが、どうかしたの?」
 一方、チェスターの家の前。クレスの親友・チェスターが妹のアミィに出かけの挨拶をしている。
チェスター「それじゃ、狩りに行ってくるよ」
アミィ「気をつけてね、お兄ちゃん」
チェスター「ああ、留守番たのむぞ」
アミィ「お兄ちゃん、クレスさんに渡したいものがあるって伝えてほしいんだけど」
チェスター「ああ、わかったよ」
アミィ「行ってらっしゃーい」
 アルベイン流剣術道場の前まで行くチェスター。
チェスター「おーい、クレス〜、行くぞ〜!」
 再び道場の中に視点は移る。
クレス「あ、父さんごめん。今日は、チェスターと約束していたんだった」
ミゲール「ああ、ペンダントのことは夕食の時にでも話そう」
クレス「はい。トリスタン師匠、ゆっくりしていって下さい」
 家の外に出るクレス。
クレス「悪い悪い、待たせたな」
チェスター「気にするなよ。それより、誰か来てるのか?みんなの声が、いつにも増して気合入ってるように聞こえるけど…」
クレス「ああ、師匠が来てるんだ」
チェスター「師匠って、トリスタンとかいうじいさんか?あんまり、すごい人には見えないけどな」
クレス「昔、父さんは師匠に厳しく剣の手ほどきを受けたという話だけど…」
???「クレス」
 クレスの母・マリアが玄関にやってくる。
クレス「母さん、まだ病み上がりなんだから外に出ちゃダメだよ」
マリア「でも、お前が心配でね。ケガしないように気をつけなさいよ」
クレス「わかってる。チェスターの弓と僕の剣があれば大丈夫さ」
チェスター「おばさん、心配しないで。山ほど獲物を狩ってくるから」
マリア「わかったわ。でも、くれぐれも無理はしないでね。はい、これを持って行きなさい」
 アップルグミを手に入れました。
チェスター「それじゃあ、そろそろ行こうぜ」
クレス「ああ、そうしよう」
チェスター「あっ、そうだ忘れてた。アミィが、お前に渡したいものがあるってさ」
 家の中に入っていくマリア。

 5月の平和な風景を見せるトーティスの村。アミィにお手製のマスコットをもらったり、雑貨屋からもらったりんごをアミィにあげたりした。
 結婚を控えた村人はその事を幸せそうに語っていたりと、この後に起きる悲劇の事は何も感じられない平穏な日々の情景がそこにはあった。
 村の外に出ようとすると、
トリスタン「クレスよ〜い」
 トリスタンもまた帰る所であった。
クレス「師匠、お帰りですか?」
トリスタン「実はな、先程、見知らぬ者が来て急に呼び出されたんじゃ。何の用事か告げもせぬ。まったく、無作法者じゃ。おんしはどこへ行くんじゃ?」
クレス「南の森まで猪狩りに行ってくるんです」
トリスタン「そうか、精進せいよ」
 トリスタン、村を去る。

 南の森にて。
チェスター「あっ、猪だ!!」
 一目散に逃げていく猪。
チェスター「追いかけよう!」
 森の少し奥にて先程の猪を見つける。
クレス「いた、あそこだ!!」
 またも逃げる猪。
チェスター「逃がすもんか!」
 森の奥の大きな枯れ木の近くにやってくる二人。
クレス「あれ?見失ったか…」
チェスター「間違いなく、この辺にいるはずなんだけどな…オレ、近くを探してくるぜ」
クレス「確かに、こっちへ来たと思ったんだけど…」
 その時、精霊のような女性の声がする。
???「樹を…けがさないで…」
 そしてクレスの眼に映る、枯れ木がまだ生きていたころの姿。しかし気がつくとそこはまた元の大きな枯れ木であった。
チェスター「こっちには、いなかったぞ。そっちはどうだ?クレス、どうした?」
 チェスターの声に我に返るクレス。
クレス「いや…」
 その時、猪が目の前に現れる。
チェスター「いたぞ!」
 猪(ボア、ボアチャイルド×3)との戦い。勝利した後、
クレス「大物だな!」
チェスター「これだけ獲れれば十分だろう。それじゃあ、村に戻ろうぜ」
 その時、村の危急を告げるための半鐘が森の中に鳴り響く。
チェスター「なっ、なんだ!?」
クレス「あれは…村の半鐘の音だ!何かあったのか!?」
チェスター「急ごう!!」
 大急ぎで南の森を出て、トーティス村に戻る二人。しかし二人を待ち受けていたのは火をかけられ、廃墟と化したトーティスの姿だった。
クレス「そ、そんな…」
チェスター「オレ…家を見てくる!アミィ!」
 アミィの名を呼びながら、単身家のほうへ走っていくチェスター。
 トーティスの村人たちはすでに息絶えたものがほとんどであった。先程まで平穏な日々を過ごしていたはずの村人たちが何故?
 クレスはアルベイン流剣術道場まで戻るが、そこには瀕死の重傷を負ったミゲールの姿があった。
クレス「と、父さん…」
ミゲール「クレス…母さんは…無事か…」
クレス「父さん、何が起きたの?」
ミゲール「…ぐふっ!」
 息絶えるミゲール。
クレス「父さん!!」
 その時、家の戸口からマリアが現れる。
クレス「母さん!!」
 しかしマリアも瀕死の重傷を負っていたようで、クレスの前で倒れる。
クレス「母さん、しっかり!」
マリア「クレス、逃げなさい。伯父の住む北の都ユークリッドに…あいつらは、お前のペンダントを…」
クレス「あいつらって誰!?いったい誰が…こんなことを…」
マリア「父さんは…私が人質にとられなければ…ああっ…」
 息絶えるマリア。そして降り出す雨。
クレス「母さん、母さん!!」
マリア「……」
クレス「目を、開けてよ…母さん!!」
 クレスの悲痛な絶叫が空に木霊する。
クレス「うわあああああ!!!」

 そしてチェスターの家。チェスターがアミィの亡骸のそばにいた。
クレス「……チェスター…チェスター、ここは危険だ。ユークリッドの僕の伯父の所へ行こう…」
チェスター「……アミィや村の人達をこのままにして、逃げるっていうのか?オレはいやだ!行くんなら一人で行け!……みんなを弔わないと…オレ一人だけでも…」
クレス「村を襲った奴らが戻ってきたら、殺されるかもしれないんだぞ!」
チェスター「……すまん、クレス…それでも、オレは…」
クレス「チェスター…」
チェスター「先に行っててくれ…二人とも残るのは危険だ。オレは後から必ず行くから」
クレス「必ずだぞ…」
チェスター「ああ、必ずだ…二人で必ず敵を討つぞ!」
クレス「ああ!」
 チェスターの家を出ようとしたとき、マリアの最期の言葉が甦ってくる。
マリア「あいつらは…お前のペンダントを…」
クレス「父さんがくれた、ペンダントを狙う奴ら…………早くここから離れよう!そうすれば、少なくともチェスターが狙われることはないはずだ…」

 そしてクレスは単身、ユークリッドを目指し村を出ることとなる。
 これが、時間を越える大いなる旅の始まりだとは誰もまだ知らない…

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