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ゼルダの伝説

時のオカリナ

〜Opening〜


ハイラル王国に広がる 深き森…
その森を 守り続けてきたワシを
人は デクの樹と 呼んでおった…
この森には、コキリ族という者たちが 住んでおる。
彼らは それぞれ 自分だけの妖精を持っておった。
じゃが…たった一人だけ 
妖精を持たぬ少年がおったのじゃ…

― 主人公の少年リンクが、夢にうなされている ―
雨の中、お城から、馬をとばして逃げてゆくお姫様
その目は、リンクに何かを訴えているようだ…
その後から、追いかけて出てくるもう一頭の馬
その馬には、目つきの鋭い男がまたがっている
リンクは、ただ、おびえてたたずんでいる…

「ナビィ…妖精ナビィ、どこじゃ…ここへ おいで…」
デクの樹が、呼んでいる。
「おぉ、妖精ナビィ…このワシの…デクの樹の言葉を聞いておくれ…
お前も感じておろう?この世に満ちた悪しき力を…
今、ハイラルは、その力に飲み込まれようとしておる…
このコキリの森は、命の源…人の侵入をこばむことで
外の世界をも守ってきた…
しかし、この巨大な悪しき力の前では、今のワシはまったくの無力…
どうやら、あの『妖精を持たぬ子』が、立たねばならぬ時が来たようじゃ。
あの子こそ、このハイラルを、善き方向へみちびく者…
さぁ、ナビィよ…あの子をここへ いざなうのじゃ…
ワシに、残された時間は、もう…多くはない…たのんだぞ…」
白い光の玉に羽をつけたような…妖精は、そんな姿をしている。
ナビィは、大急ぎで、コキリの森へ向かって飛んだ。
一目散に向かったのは、リンクの家。
窓から飛び込むと、リンクは、まだ眠っていた。
「リンク!ねぇ、起きてよ リンク!デクの樹サマがお呼びなのよ!
リンク!起きなさい!」
リンクは、なかなか起きない。
「うーん…もぅ!こんなねぼすけが、ハイラルの運命をにぎっているなんて、
ホントかしら…?」
やっと、リンクは起きて、ベッドのふちに腰掛けた。
「やっと目がさめたのね?ワタシ、妖精のナビィ!
デクの樹サマのご命令で、これからワタシが、アナタの相棒よ、ヨロシクね!
デクの樹サマが、お呼びよ!さぁ、いっしょに行きましょ!」
リンクは、まだちょっとぼーっとしていたが、とにかく、自分にも妖精がついたこと、
デクの樹サマが呼んでいること、この2つは、なんとか理解できた。
家の外へ出ると、友だちのサリアが、かけよって来た。
「ヤッホー、リンク!わぁ〜っ、妖精ね、やっとリンクのとこにも妖精がやってきたんだ!
よかったネ!なんだか、サリアまでうれしくなっちゃう!
これでリンクも、りっぱなコキリ族の仲間よネ!」
サリアはそう言って、にっこり笑った。
「え?デクの樹サマのご用なの?スゴイじゃない!デクの樹サマと、お話できるなんて!
アタシ、ここで待ってるから、デクの樹サマのところへ、早く行ってあげて!」
サリアにそう言われて、リンクは、とにかくデクの樹のところへ行こうと、
デクの樹へ続く道へと走っていった。
と、そこにいたのは、森のいじめっ子のミドだ。
「なんだ、妖精なし!デクの樹サマに何の用ダ!妖精もいない半人前のくせに…
アレ?い、いるじゃん、妖精…
なに〜っ!?デクの樹サマに呼ばれたって?なんだよっ!なんで、このミドさまじゃなくて
オマエなんだよっ!おっ、おっもしろくね〜っ!!オイラは認めねぇゾ!
オマエなんて、まともな装備もしてないジャンか!
剣と盾ぐらい持ってなくちゃ、デクの樹サマのお手伝いなんてできないぜ!
まっ、オイラも持ってないけどナ…
ここを通りたきゃ、剣と盾ぐらい装備してきナ!フン!」
ミドは、両手を広げて、通せんぼしている。
急いではいるが、ミドの言うことももっともなので、
リンクは、いったん、引き返すことにした。
盾は、いい…お店で売っているから。
でも、剣なんて、どこにあるのだろう…。
友だちに聞いてみると、この森のどこかに、コキリの仲間の剣があるのだと言う。
あちこち探し回って、リンクは、ついに不思議な細い道で、剣を見つけた。
大きな岩が、とめどなく転がってくるので、あやうくペチャンコになるところだった…。
リンクは、剣と、お店で買った盾を装備して、再びミドのところへ行った。
「剣と盾ぐらい装備してって、アレ?なんだ、デクの盾つけてるじゃん。
あ!?それ、『コキリの剣』?ちっくしょーっ!!
でもヨ、そんなモン持ってたって、ヨワいやつはヨワいんだかんナ!フンッ!!
このミドさまは、ぜ〜ったい認めねぇかんナ!
ちくしょー…なんでデクの樹サマもサリアも、オマエなんかを…ブツブツ。」
ミドは、かなりおもしろくないようだが、しかたなく道を開けてくれた。
その道のつきあたりに、デクの樹は立っている。
この森を、長い長い間、守り続けている大きな樹だ。
「デクの樹サマ…ただ今、戻りました!」
ナビィは、デクの樹のそばへ飛んでいった。
「おぉ…ナビィ…戻ったか…そしてリンク…よく来てくれた…
森の精霊である、ワシの話を聞いておくれ…
お前は最近、毎日のように、恐ろしい夢を見ているはずじゃ。
その夢は、今、この世界に忍び寄る邪悪な気配そのもの…
お前は、それを感じたのじゃ。リンクよ…今ここで、お前の勇気をためさせて欲しい。
ワシはのろいをかけられておる。お前の知恵と勇気で、
それを解いて欲しいのじゃ。その覚悟があるかな…?」
デクの樹の言葉に、リンクは黙ってうなずいた。
ちょっと怖かったけれど、デクの樹のために何かしたいと、そう思ったから…。
「では、リンクよ…ナビィと共に、ワシの体内へ入るがよい…
妖精ナビィ…リンクの力となれ…」
すると、デクの樹の大きな幹の根元に、樹の体内への入り口が現れたのだ。
リンクは、恐る恐る、デクの樹の中へ入っていった…。

子供のリンクに、一体何ができるというのか…
そもそも、なぜリンクが、世界を救う者なのか…
そして、ゼルダ姫とは、いつ出会うのか…

これから手に入れることになる 『オカリナ』 が、
そのすべてを、解き明かしてくれるかもしれない。


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