…夜…暗い部屋の中に暖炉の炎により照らされていた。 その部屋にいたのは、誰でも知られている音速の青いハリネズミ、
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』。 しかしそんな彼は目元に開いた本を乗せ、暖炉の前にあるソファーの上で寝ていた。
ソニック「ZZZ…。」
気持ち良さそうに寝続けている青いヒーロー。 悪の天才科学者『Dr.エッグマン』の騒動もなく、平和の日々が続く毎日…。
そんなソニックはただ寝ていた。
???「あの…。」
その時、どこかから女性の声が聞こえて来た。 その声はソニックに話しかけていた。
ソニック「ZZZ…。」
しかしその声は熟睡しているソニックの耳には届かなかった。
???「もう…ねぇ、おきて。」
ついにその声がソニックの耳に届いた後、ソニックは目元に乗せていた本を取り外し、大きくあくびをし、背を伸ばしながら起き上がった。
ソニック「ふぁあああ…もうこんな時間か。 いま何時だ?」
そんな寝ぼけたソニックはテーブルの上に置かれている時計を取ろうとするが、間違えてその隣に置かれていたリングを取った。
ソニック「ん!?」
リングを手に持ったソニックは、何か不思議に思った。 テーブルの上にはこんな物は置かれてなかったはず…。
その時、リングから奇妙なエネルギーが発生した。
???「あなたが青いハリネズミさんね。」
再び聞こえて来た女性の声…。 そしてその後、リングから何者かが飛び出て来た。 アラビア風なドレスを着た、赤い髪の少女…。
そんな彼女の突如なる登場により、ソニックは驚いていた。
ソニック「ワァアアアアーオ!!」
???「そんなにおどろかないで! 私はリングの精「シャーラ」。 …というか、「アラジンと魔法のランプ」は…?」
ソニック「まだ読んでない。」
シャーラ「えぇ〜。 もう、大丈夫かなぁ…。」
彼女は呆れそうにそう言うが、当然ながらも冒険好きのソニックには読書には興味はなかった。 文句言われても当然である。
シャーラ「アラビアンナイトの中でも1・2をあらそうおもしろさ…ってそんな説明はともかく、これを見てください!」
彼女はソニックに先ほどの本を取り出すと、ソニックはその本の内容を見た。 …しかし、内容があるどころか、白紙になっていた。
ソニック「ページが白紙になってるぜ!?」
彼は次のページを開くと、次のページにはちゃんと文字が書かれてあった。 しかし、その文字がなぜか自然的に徐々に消され始めていた。
ソニック「!」
シャーラ「私たちの世界が…アラビアンナイトの世界が消されつつあるんです。」
ソニック「消される? なぜ?」
シャーラ「それは…あしきマジン…「イレイザー・ジン」のしわざです。」
ソニック「イレイザー…ジン?」
シャーラ「そうです。 カレは強力な魔力をもったマジン。 それゆえに、自分の力をもてあまし、本の中にとどまっていることに
がまんできなかったんです。 カレは本の文字を刈りとり、本の力を吸収しはじめました。」
ソニック「本の力を吸収…。」
シャーラ「このまま私たちの世界がなくなれば、もう二度とこの物語をよむことができなくなるだけでなく、力を吸収したカレは、
あなたのいるこの世界にもやってくるでしょう。」
ソニック「たしかにそいつは大変だ。 で? オレにどうしてほしいんだ?」
シャーラ「あなたにはカレを…イレイザー・ジンをとめて欲しいんです。 それができるのは、「青いハリネズミ」、あなただけです。」
ソニック「フン。 ちょっとワガママな坊やと遊んでほしいってことか。 ただ助けるといっても、しょせんは本の中のできごとだろ?
どうすればいいんだ?」
シャーラ「かんたんです。 リングの精である私は呼びだした人をご主人さまとし、その方の願いをかなえることができるんです。
かんたんな願いに限られますけど…。 あなたをアラビアンナイトの世界につれていくことぐらいはできます。」
ソニック「えぇ!? 本の中に?」
その後、シャーラは指輪に変身し、ソニックはそれを両手で受け取った。
シャーラ「さぁ! そのリングを指にはめてください!」
ソニックは言われた通り、リングを右中指にはめた。
ソニック「…こうか?」
彼がそれをはめた後、突然の激痛が走り出した。
ソニック「OUCH! いててて。」
シャーラ「すみません、ご主人さま。 これで契約は完了です。」
ソニック「契約?」
シャーラ「そう。 そして…これであなたをお守りすることができます。 さぁ、リングをこすってください。」
ソニックは言われた通り、リングをこすり始めた。
ソニック「これでいいのか?」
その後、リングから再びシャーラが出現し、ソニックに拝んだ。
シャーラ「『なにがお望みでしょう? ご主人さま、なんなりとご命令を。』」
彼女がそう言った後、ソニックは突然くしゃみをし始めた。
ソニック「ヘックシュ、ヘックシュ。 ハンカチをくれ! たくさん。」
彼がそう頼むと、シャーラは魔法でハンカチを出した。 しかもそれは数え切れないほどたくさん出し、ソニックはその山から一枚だけ取り出し、
鼻をかんだ。
ソニック「いやーマジたすかったぜ! じつは昨日から風邪ぎみで…。」
シャーラ「マジメにやってください!!」
ソニック「わかってるって。 ハンカチぐらいいいだろ。」
シャーラ「もう…まったく。 ほんとうに大丈夫かしら…。」
明らかに遊ばれているのに気付き、呆れるシャーラ。
ソニック「じゃ、いくぜ。 オレをアラビアンナイトの世界に連れていってくれ!」
シャーラ「わかりました、ご主人さま!!」
ソニック「よせよ! オレはソニック! ソニック・ザ・ヘッジホッグだ。」
シャーラ「わかりました、ソニック。 …伝説のハリネズミ。」
彼女は小声でそう呟くが、ソニックはそれに気付かなかった。
シャーラ「ではいきますよ! アラビアンナイトの世界へ。」
ソニック「OK。」
シャーラは魔法で空飛ぶじゅうたんを出し、ソニックはそれに乗った。
ソニック「ファーストクラスでたのむぜ! Here We Go!!」
そしてソニックとシャーラは本の中に飛び入り、本を閉ざした…。