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真・女神転生

〜 opening 〜


主人公(ヒーロー)、秩序を重んじるLAW系の仲間(ロウヒーロー)、混沌の世界を望むCHAOS系の仲間(カオスヒーロ)
主人公のパートナー(ヒロイン)…この4人には、初めから設定された名前がないため、
主人公…主(しゅ)をとって、シュウ
ロウヒーロー…ロをとって、ローリー
カオスヒーロー…カをとって、カイ
ヒロイン…ヒロ
という名前を使用いたします。



― 199X年 東京・吉祥寺 ―

オレは、ヘンな夢を見た…

前に立ちふさがる、大きな扉。
その扉の真ん中に、不気味に光る顔。
そいつが、いきなり、こう言うんだ。
『 ここを通らんとするは何者ぞ!名を名乗らん者を通すわけにはいかん
汝の名を名乗れ 』 ってね。
仕方がないから、オレは名前を言ってやった。
『 シュウ…汝はシュウと申すか シュウならば 秘められし力あるはず
シュウよ 扉くぐりし汝を待ちうけるは
光の下に選ばれし民の 法と秩序か…
力に頼る者どもが あい争う混沌か…
汝の天秤に二つを乗せ こぼれ落とさぬよう歩むがよい 』
なんだこいつ?と、思う間も無く、その扉が開いて…
迷路のように入り組んだ廊下を、進まされるんだ。
それにしても、ここは一体どこなのか、オレにはさっぱりわからなかった。
その内、また変なのが出てきたんだ。
今度は、神の使いと名乗る男と…十字架にかけられた男だった。
『 これは 神に捧げられし魂
あなたが名前を呼べば 目を覚ますでしょう
彼の名前を 呼んであげてください 』
神の使いは、十字架の男を指して、そう言うけど、
誰だ?そいつ…
でも、まあ、これは夢なんだし、適当に付けてやればいいか…
オレは、頭に浮かんだ、クラスのガリ勉のあだ名を言ってみた。
『 ローリーと呼びましたね 彼には 秘められた力があります 』
神の使いは、そう言って姿を消した。十字架も、いっしょに消えた。
と、思ったら、ローリーが、オレの目の前に立ってるんだ。
『 ここは どこだろう… 僕は 何かを成し遂げるはずだったのに
君が助けてくれたんですね 君といれば 答えがみつかるかも…
いっしょに 連れていってください 』
…って、たぶん無理だと思うけど。
それより、仲間になるんなら、最初から言ってくれりゃあいいのに。
だったら、ローリーなんて、あんな頭でっかちのヤツのあだ名なんか付けなかったのに…
まっ、夢なんだから、大目に見てくれよな。
そっから、オレとローリーが、また進んでいくと…
今度は、耳のとんがった悪魔と…そいつに潰されたのか、倒れてる男が出てきたんだ。
『 これは 力を求める渇いた魂
貴様が名前を呼べば こいつは目を覚ますであろう
さあ 名前を呼ぶのだ 』
こらぁ、貴様って呼ぶな!とか思ったけど、とりあえず相手は悪魔だし
いくら夢でも、逆らうのはやめておいた。
オレって、結構、小心者だったりして…
それで、こいつの名前だけど…もしかしたら、こいつも仲間になるのかもしれないし、
さっき失敗してるから、今度は、カッコイイのを付けてやるか。
んで、思い付いたのが、子供の頃あこがれたヒーローの名前だったんだ。
『 こいつを カイと呼んだな こいつには まだまだ力がある 』
最後まで気に食わないヤツだったな、あの悪魔。
悪魔が消えると、倒れていたカイが起き上がって、オレにこう言いやがった。
『 …なぜ 俺を起こした! せっかくいい夢を見ていたのに…
クソッ とにかく ここから連れ出してもらうぜ 』
おまえ、寝てたのかよ!
勘違いすんなよ、コレは、オレの夢なんだからな!
それに、なんだよ、その態度!
あ〜あ、オレの永遠のヒーローの名前…付けてやってソンした。
オレは、思いっきり後悔した。
それにしても、わけのわからん夢だな、と思いつつ、
オレとローリーとカイは、進んでいった。
そして、つきあたりの扉を開けたんだ。
!ヤ、ヤバイ…オレは、一瞬、戸惑った。なぜって…
だって、そこは真っ青な泉で…
お、女が、裸で水浴びしてたんだぜ…背中しか、見えなかったけど。
『 誰? そこにいるのは 』
女が、チラッとこっちを見た…すっげーイイ女だった。
オレは、これは飛びっきりイイ名前を付けてやろうと、内心考えていたんだ。
でも、その女…
『 あら… あなた シュウね… 私の名は ゆりこ
あなたのこと ずっと待っていたのよ…
永遠のパートナーとしてね… 』
えっ!? ゆりこ…?名前、もう付いてるのか…
な〜んだ…って、ちょ、ちょっと待った!
オレを、待っていた…って?
永遠のパートナーとしてとか、今、言わなかった?
おい、おい、ちょっと待てよ、まだ、この部屋、来たばっかじゃないか!
勝手に泉の部屋から出んなよ!
これは、オレの夢だぞ!
主導権は、オレにあるんじゃないのかよっ!
おい、待てよ…待てったらぁぁぁぁ!!!


「シュウ、いつまで寝てるの?休みだからって、寝坊はダメよ。
早く、起きてらっしゃい!」

オフクロの声で、オレは、目を覚ました、というわけだ。
なっ、ヘンな夢だろ…
それに、なんか頭がガンガンしてる。
自慢じゃないが、オレが夢をこんなにはっきり覚えているなんてこと、そうあるもんじゃない。
えっ?!特に、ゆりこの事をだろって?
……まぁ、当たっていなくもない、おしいコトしたよな。
ん?コンピューターに、通信ファイルが送られてきてる…何だろう?

DDS−NET
DATE:199X−10−XX
NAME:STEVEN
このNETに接続している全ての人へ
現在 我々人間に 深刻な危機が迫っている
伝説の悪魔達が 闇から目覚めたのだ
すぐにも悪魔が 襲ってくるだろう
悪魔と戦うために 悪魔の力を利用することだ
このプログラムがあれば できるだろう
勇気ある者が 受け取ってくれることを祈る…
悪魔と戦い 人々を救うために

何だこりゃ!って言ってる間に、
勝手にダウンロードしてるし…

> 『悪魔召喚プログラム』を、ダウンロードしました


そんで…勝手に通信、切りやがった。
ったく、イタズラにしちゃあ、手の込んだ事してくれるぜ。
このプログラム…下手に開かない方だよさそうだな。
悪魔なんとかなんて、いかにもうさんくさいし…
オレは、コンピューターをそのままに、部屋を出た。

「シュウ、やっと起きたの?ゆうべは、よく眠ってたみたいね。
パトカーの音があんなに凄かったのに、気付かないで寝てるんだから。
きっと大きな事件ね…あれは。」
オフクロは、オレがあんまり起きてこないんで、ちょっと自慢しているみたいに言った。
ふうん、パトカーねぇ…全然知らなかったな。
すげー事件だったかもしれないのに、ヘンな夢見てたおかげで、見物しそびれた。
ちぇっ、ついてない…
「出掛けるんなら、アーケードのCAFEでコーヒー買ってきて!
お金はたてかえておいてね。」
おい…オレは、もしかすると、コーヒのために起こされたのかよ。
オフクロが起こさなければ、ゆりこと、うまくいってたかもしれないのに…
なーんてこと、あるわけないか…どうせ、夢なんだし…な。

オレは、気分を変えようと外へ出た。
コーヒー買ってくるまで、オフクロがうるさいに決まってるし。
ところがだ。
道路があちこち封鎖されてて、街は、武装警官だらけじゃないか!
犯人捜索のため、非常線を張ってるって?
一体、何があったんだ?
アーケード街は…入れるみたいだな。
オレは、とりあえずCAFEへ向かった。
CAFEの中は、ゆうべの事件の話でもちきりだった。
「駅の南のイノガシラ公園で、殺人事件が起きたの知ってる?
酷かったらしいわよ。」
そうか…殺人事件があったのか。
犯人が、まだ捕まってないんだ…。
客の中にいた、オレと同じ学校の生徒が、オレを見るなり駆け寄ってきた。
「シュウくん、公園で殺されたの、同級生らしいの。私、怖いわ。」
マ、マジかよっ!?
殺されたって…同級生が? だ、誰だろう…
そいつの名前、知ってるヤツはいないのか?
オレは、顔なじみを、片っ端からつかまえて聞いてみたが、
まだ、被害者が誰なのか、知ってるヤツはいなかった。
その時だ…
オレは、一瞬、自分の目を疑った!
CAFEの隅で、コーヒー飲んでるあの女は…!!
「また会ったわね、シュウ。こんなところで会えるなんて夢みたいね。
ウフフフフ…」
そう言って笑う女…ゆ、ゆ、ゆりこ!ゆりこじゃないか?!
そんなはずはない、あれは、オレの夢の中に出てきた女のはずだ。
ゆうべの夢で、初めて会ったんだ…でも、「また会ったわね…」と、確かに言った。
オレは、顔を両手でパン!とたたき、もう一度、ゆりこを見た。
…!!!!い、いない?!
今、そこにいたはずのゆりこが!
オレは、急いで店内を見渡した!が、ゆりこらしき女は、どこにもいなかった。
どうなってんだ?オレ…まだ、夢を見ているのかな。
目の錯覚?…いや、確かに、いた。
そりゃ、服は着ていたけど、あれは、絶対にゆりこだ。
オレが、あんなイイ女、見間違うはずがない。
しかも、「また会ったわね、シュウ…」と、言ったんだ。
でも、人が瞬時に消えるなんて!……ははは、マジシャンだったとか?
そういうくだらないオチじゃ…ない…よな…
そうだ、オレ、疲れてんのかもしれない。
家帰って、もう一度、寝よ…
おっと、オフクロに頼まれたコーヒー買っていかないとな。
オレは、マスターにコーヒーを家に届けてもらうよう頼み、
店を出ようとした…すると、
「ドラッグストアの裏で、ナイフ持った男が暴れている!」
そんな話が、聞こえてきた。
おっ!こりゃ、もしかすると、ゆうべの殺人事件の犯人かもしれないぞ。
犯人が、捕まる瞬間が、見られるかも?!
オレは、今度は見逃すまいと、夢中でドラッグストアの方へ走った!!
…え?
野次馬の一人も、いないじゃん…で…も…
「俺に何か用か?近寄るな!それ以上近付いたら、俺のナイフで…」
こいつ…こいつ…が…この男が…?
ヤバイ!!と、思ったが、もう遅かった。
そいつは、ナイフをオレに向けて近寄って来た!…が?!
「うっ、うえっ、うえええっ、ぐえええっ…」
な、なんだ?
男が、そいつが……悪魔になっちまった!
避ける間も無く、悪魔は、オレに飛びかってきて…
倒れたオレを飛び越え、そのまんま、逃げていった。
何なんだ!今のは!!
何がどうして、どうなってんだか、さっぱりわからないけど、
とにかく、命だけは、助かったみたいだ。
オレは、無意識に、そいつが落としていったアタックナイフを拾ってポケットへねじ込んだ。
帰ろう…とにかく、家に帰ろう…
オレ、混乱してるんだ。
最近、コンピューターばっかりいじってるから、少し頭がパニクってるんだ、きっと…
オレは、別に何も悪い事したわけじゃないのに、
なぜか、警官と目を合わせないようにしながら、家に帰った。
あぁ、したか…拾得物横領ってやつ…

家に帰ると、オフクロが結構心配して、オレを待っていた。
「どこいってたの?あまり遅くならないでねって、言ったじゃない…
ねえ、シュウ、聞いた?イノガシラ公園で、女の子が殺されたんだって。」
へえ、女の子だったんだ、殺されたの。
でも、オレは、もうそんな話、どうでもよかった。
何も考えずに、早く、眠っちまいたかったんだ…
オレは、自分の部屋に行くと、そのままベッドへ倒れこんだ。

眠ってすぐ、オレは、すっげー後悔した…なぜって…?!
夢だ…また出てきたんだ。
こいつには…確かローリーって名前…付けたよな。
『 やあ シュウくん また会いましたね 』
できれば、オレは会いたくなかったんだけど。
…ほら、やっぱりおまえもいたのかよ…カイ。
『 よお シュウ またヘンな夢見ちまったな 』
見ちまったな…じゃねえよ。
出てくんなよ、おまえら…
ん?ということは、次に出てくるのは…
『 また会えて うれしいわ シュウ 』
ゆりこ!!おまえ、CAFEにいた時と同じ服着てる!
『 私は、ずっとあなたの傍にいるのよ…忘れないね… 』
ずっと傍にって…おい!いたよな!おまえ、CAFEにいたんだよな?
待て!待って!…待ってくれよ…説明してくれよぉ…
オレの意思なんて、やっぱり無視され、どんどん廊下を進まされる。
進みたくもない廊下を進み…開けたくもないドアを開ける…
!今度はなんだよ…
部屋の中で、火なんか燃やして…
頭から布をかぶった、怪しいヤツが3人…
今にも消えちまいそうな、半透明の女を真ん中に…
いったい、何の儀式だよ?
『 何だ、この気味悪い儀式は? 』
カイ…おまえが言うなよ…
『 悪魔を、呼び出そうとしてるんでしょうか? 』
こっちが聞きたいよ…ローリーさん…
『 …深きに眠る 我が暗黒の王よ この若き魂を 受け取りたまえ! 』
おい!おっさん…まさか、その女を生贄にしようとしてるんじゃないよな?
じょ、冗談じゃねーよ…
やめろよ、人の夢ん中で、勝手なことすんじゃねーよ!
オレは、もう、ヤケくそで、その女を引っ張ろうとした。
『 おい 後ろのヤツは剣持ってるぜ こっちは丸腰だ 無茶だぜ! 』
おまえ、いやに冷静だな…カイ。
だけど、コレは夢なんだぞ。無茶もくそもあるかよっ!
もうじゅーぶん、目覚め悪そうだけど、これ以上目覚め悪くしたくないんだよっ!
『 何者だ!我が儀式を邪魔するのは!! 』
はん!おまえこそ、何者だ?勝手に人の夢ん中で、儀式なんかしてんじゃねぇ!
『 シュウさん!助けに来てくれたのね!早く 私の名前を呼んで!! 』
女が、叫んだ!
オレは、とっさに、あの女の名前を叫んでいた!!
『 なにっ!この少女の名前は ヒロなのか? そっ その名前は………グッ グワーッ! 』
3人の、怪しげなヤツらは、消えていった…
えっ?ヒロって名前、まずかった?
…オレん家の隣に住んでる、幼なじみの女の子。
気が強いけど、結構いいヤツなんだけどな…
まぁ、いいか、助かったみたいだし…結果オーライってことで。
『 ありがとうシュウさん もう少しで生贄にされるところでした
私が 生贄にされていたら 恐ろしい魔王が 呼び出されていた事でしょう…
ああ 私の失われていた力が 戻ってきました… 
あなたに会えるのは まだ先の事 そして 一度は 別れる定め…
いつか 私に会いにきて…… 』

…目が覚めた


コンピューターが、また通信ファイルを受け取ってる…

DDS−NET
DATE:199X−10−XY
NAME:STEVEN
オートマッピングプログラムが 完成したので送ろう

> ダウンロードします


STEVEN…この前と同じハンドルネーム…

さすがのオレも、ここまでくると…
何かが、起こり始めていること…感じないわけにはいかない…よ。
オレの中で…いや…もしかすると、この世界で、
何かが、起こり始めているんだ。
夢と現実のシンクロ…
悪魔の出現…
謎のプログラム…
へへっ、おもしろそうじゃん!
…とか、言いながら、ほんとは、ちょっとビビッてるけど。

オレは…
手をつけずにいた 『悪魔召喚プログラム』と
今、送られてきたばかりの 『オートマッピングプログラム』…
開いてみる決心を…した!

それが、とんでもない事に首をつっこむことになるなんて…
…この時は、オレ…想像もつかなかったんだ。


〜 真・女神転生 start 〜

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