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真・女神転生U

〜 Opening 〜


20XX年 TOKYO
大破壊より 数十年… 荒野を耕し 悪魔の群れと戦い
無数の生と死を くり返しながら 人は生きのびていた…
だが 頼るもの すがるものなく 生きていけるほど 人は強くない
人は 明日への希望を探した…
メシア教は 救世主の降臨を説き 信じた人が集い 街が出来た
かつて―
カテドラルと呼ばれたところに…
20XX年
かくして トウキョウは TOKYOミレニアムとなった


「…起きろ!おう、いつまでも寝てんじゃねぇ!ホーク!早く起きな!ぐずぐずすんな!」
ジムのようなところ。どっかのジムの『おっちゃん』にそっくりなオヤジがいる。
「…おまえが、トーナメント決勝戦まで勝ちあがるとはなぁ…
あの日、おまえはヴァルハラの街をふらふらしてたよな…
悪魔に襲われたおまえの戦いぶりはすごかった。わしは、一目でおまえの力を見抜いたぜ。
まぁ、その時はわしの力で助かったんだがな、ありがたく思ってるんだろうな?
試しにヴァーチャル・バトルをやらしてみりゃあ、いきなりノーミスでハイスコア出したのには驚いた。
その時の金は、わしが出してやったんだ。ありがたく思ってるんだろうな?
何も覚えてねぇおまえに『ホーク』と名前を付けて、コロシアム戦士に育てるのは苦労した。
今まで、弟子に恵まれなかったわしに、やっと運がめぐってきた。
おまえが勝ってチャンピオンになれば、羽田のヤロウにもバカにはさせないぜ。
おっと、話が長くなったな…おい、わしの話がわかったか?
じゃあ、さっそく今日のトレーニングだ!ヴァーチャル・トレーナーに入んな。」
このオヤジは、どうやらジムのオーナーらしい。
有無を言わせず、ヴァーチャル・トレーナーに入れられるホーク。
「ようしホーク、用意はいいな…さあ、始めろ!」
3Dの不思議な空間を進んで行くと、突然、様々な悪魔たちが襲いかかって来る。
が、設定が低いのか、この程度のレベルでは、ホークにかなう悪魔は現れない。
あっという間に、トレーニングは終わってしまった。
「おう、ご苦労さん。これを持って、街のバーチャル・バトラーで、腕をみがいて来な。」
そう言ってオヤジは、ホークに金を渡した。
しかたがないので、ホークは、その金を持って街へ出た。
街といっても、全て建物の中だ。いくつもの部屋があり、その部屋一つ一つがジムだったり、
バーだったり武器屋だったり…といった具合なのだ。
ホークは、その中の一角、ヴァーチャル・バトラーに入った。
「いらっしゃぁい!仮想空間であなたもヒーローよ!!レベルはどうしますぅ?」
さすが、金を取るだけのことはある。ミニスカの金髪美人のヴァーチャルガールが、お出迎えだ。
ホークは、とりあえず一番低いレベルをチョイスした。カッコつけて、一番高いレベルにしようかとも
思ったが、ゲームオーバーにでもなってしまっては、元も子もない。
「こんなレベルらくしょーヨ!楽しんでってね〜。」
少しバカにされたような気がしたが、しかたがない。ホークは、ヴァーチャル・トレーナーに入った。
中は、ジムのトレーナーとは、比べものにならない美しさだった。
これが仮想空間なのかと、疑いたくなるほどだ。
ホークは、悪魔に注意を払いながら、進んで行く…すると!
向こうの方を、何かが横切るのが見えた。悪魔にしては、ちょっとおかしい…。
ホークは、急いでそれを追いかけた。追いかけて追いかけて…つきあたりまで行ってみると、
そこで、車椅子に乗った男が一人、ホークを待っていた…。
「やあ、私は悪魔じゃないよ。君に会うため、ヴァーチャル・バトルの仮想空間に入らせてもらった。
私の名は…STEVENとしておこうか。実は君に、渡したい物があるんだ。
私のつくった…悪魔召喚プログラムだ。
間もなく、ある事件がきっかけで、ここ『TOKYOミレニアム』に、悪魔の群れがあふれ出るだろう。
ミレニアムは、ずっと悪魔の出現を抑えてきたが、もう無理だね。悪魔がこの世界に
入り込んでくるのは、もう止めようがないんだ。悪魔の力を利用していかなければ、
人間は生き残れないだろう…。その時に備えて、悪魔を使える力を持つ者に、これを渡そうと思う。
君が何者か、私は知らん、知ろうとも思わん。
ただ、力ある者と思われるがゆえに、このプログラムを渡すんだ。
悪魔召喚プログラムは、君が持ってるアームターミナルに転送しておくよ。
大事に使ってくれたまえ…。君には期待しているよ。
また、ヴァーチャル・バトルの仮想空間で、君に会うことになるだろう。
今後ともよろしく…では、また。」
いつもなら、その空間のボス悪魔を倒すか、やられてゲームオーバーにならない限り、
ヴァーチャル・バトルから出られることはないのだが…
「お疲れさま〜!楽しんでいただけましたぁ?また、来てね!」
バーチャルガールが、そう言って、にこやかに手を振っている。
人の仮想空間に入り込むなんてこと、できるのか…?
STEVENと名乗るあの男…一体何者なんだ?
悪魔召喚プログラムって…?そうそう、悪魔があふれ出すとも言っていたな…
そもそも、ホークは記憶をなくしてこの街に来たのだから、最初からわけがわからないと言えば
そうなのだが、頭の中がますます混乱して来る。
おっと、うっかりトレーニングを忘れるところだった…。
ホークは気を取り直すと、もう一度、バーチャル・バトルに入った。
ちゃんとトレーニングしないと、ジムへ帰って何を言われるかわからない。
こんどこそ…と、ホークは、仮想空間を進もうとした。ところが…
「…もし…この通信を…受け取っていたら…こちら…」
どこからともなく聞こえる、途切れがちな声…そのうち、目の前がぼやけて、ホークの頭の中に、
見たこともない…それでいてどこか懐かしいような、不思議な映像が浮かんできた。
―― ラボのようなところに、白髪頭の男が一人…その横に大きなカプセルがあり、
中に男が立っている…白髪頭の男は、ホークにこう言った、カプセルの男を指しながら…
『…彼は、知力に優れている…彼の名を付けてあげなさい…』
名を付けてあげなさい…って言われても、ホークにはワケがわからない。
『彼に名を付けられないのか?…では、彼に与えられた名を教えよう…
彼の名は、ギメル だ…』 ――
その映像がぼやけて…ホークが、はっ!と我に返ると、先ほど聞こえていた声が、また…
「…ギメル…こちらはギメル…今…アルカディア…に…いる…」
その声も、そこまでで、聞こえなくなった。
? 何がどうなっているのか、ホークにはまったくわからない…
何なんだ、今の声といい、不思議な映像といい…
ギメル?誰なんだギメルって…アルカディアから通信?
あのカプセルに入っていたのも、ギメルって言ってたよな…あのおっさん。
ホークは、何かを振り払うように、がむしゃらに仮想空間を進み、
そして、一気にそのレベルのボスを倒すと、外へ飛び出した。
ちょっと待ってくれ、誰か教えてくれ、何がどうしてどうなっているのか説明してくれ…と、
ホークは叫びたい気持ちだった。だが、この街には、友だちと呼べるような人はいない―
言ってみたところで、相手にしてくれないだろう。
本当は、自分が誰なのかさえわからないホークの、そんな話、信じるはずもない。
行く当てもなく、街をさまよっていると、ホークは、占いの店を見つけた。
占いで、カタがつくとも思えないが、とりあえず入ってみるか、気晴らしになるかもしれない…
「そなた、ここへ来るのは初めてか?」
なんとも変わった格好の占い女は、ホークが前に座るやいなや、こんなことを言い始めた。
「うむ…うむむむ、そなたの心の奥底に、一人の女性の名前が沈んでおる
…その名前、思い出せるか?」
またかよ…ホークは、占いやなんかに入ったことを後悔した。
当然、思い出せるはずもない…。カンベンしてくれよ…。
「思い出せぬか…では、わらわが伝えよう。その名は…ヒロコ じゃ。
ヒロコ という名前、ゆめゆめ 忘れるでないぞ。」
おいおい、ギメルの次は、ヒロコかよ…
気晴らしどころか、かえってイライラすることになろうとは…
言い知れぬ不安とプレッシャーを抱え、街を歩くホーク。
と、ホークの肩をポンとたたく、見覚えのない男…。
「あんたを探してるヤツがいたぜ。どんなヤツかって言うと…」
男がそこまで言った時、またホークの目の前がボヤけ、バーチャル・バトルで見たのと同じ、
ラボに、白髪頭の男と大きなカプセルの光景が…
『…君たちの中で、最も優れた力を持つのが彼だ…彼の名を、君に付けてもらおう…ダメかね?』
おいでなすった…もう、どうでもいい…知りたくもないが、さっさと教えてくれ。
『君に付けてもらいたかったんだが…では、彼に与えられた名を教えよう。
彼の名は…ザイン だ…』
「…おい、どうしたんだよ?人の話は、ちゃんと聞くもんだぜ!」
声をかけてきた男のその言葉で、ホークの目の前の景色は、再び元に戻った。
「あんたを探してるヤツは…ザイン って名乗ってたぜ。」
…そうきたか、そいつが探してるって?はっ!カプセル入りのヤツが、何の用があるってんだ?
あのラボは、どこなんだ?あのおっさんは?ギメルだのヒロコだのザインだの…
自分と、どういう関係なんだ?!わからない…思い出せない…もう、やめてくれ!
これ以上街にいては、頭がおかしくなりそうで、ホークは、ジムに帰った。
「おう、帰ったか、おまえこの頃よくボーっとしてるが、何か思い出してるのか?
だが、コロシアムでそんなマネすんな。ちょっとでもスキを見せたら終わりだからな。」
このオヤジは、なんとしてもホークを、コロシアムでチャンピオンにする…そのことで、
頭の中がいっぱいのようだ。チャンピオンを輩出したジムには、莫大な資金が転がり込むらしい。
…この人に相談するのは、やめておいた方が無難だろう。
「さあ、トーナメント決勝戦だ。あと1勝でおまえはチャンピオン…!早ぇとこ、コロシアムへ行くぜ!
いいか、おまえは強い!必ず勝てる!おれの教えたことを守ればな。」
そうだ、とりあえずチャンピオンだ…。誰かが言っていた…チャンピオンになれば、このミレニアムを
支配している『センター』に行けると…!『センター』に行けば、何かわかるかもしれない。
自分のことを知っている人が、いるかもしれない。
ホークは、コロシアムへの道を急いだ。
チャンピオンになるために…自分が誰か知るために…


〜 Start 〜


なお、このゲーム、プレイヤーのとる行動によっては……とんでもないエンディングが、
待っているかもしれない…


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