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モノローグ:ロアーヌ候ミカエルは、モンスター討伐の遠征中だった。ここはその宿営地……。

*天幕の中、ミカエルと兵士がいる。

兵士:異常ありません!
ミカエル:そうか、わかった。モンスターは稲光を嫌う。今夜は警戒を軽くしてもよかろう。見張りの数は最低にして、できるだけ休め。
兵士:はっ!
ミカエル:嵐か……。

*同じ頃、森の中で、モニカが馬を駆っている。ところが馬は止まってしまう。

モニカ:どうしたの?走って!お願い、走って!!

*しかし馬は動かず、モニカはやむなく一人で先を急ぐ。

モノローグ:その次の日。

*再び宿営地の天幕の中。ミカエルの前に兵士がやってくる。

兵士:モニカ様がいらっしゃいました!
ミカエル:モニカが!?よし、通せ。

*モニカ、ユリアン、トーマス、エレン、サラ、ハリードの5人が入ってくる。

ミカエル:モニカ、いったいどうしたのだ?こんなところまでやってくるとは。
モニカ:お兄様、大変なのです。ゴドウィン男爵と大臣が反乱を!
ミカエル:そうか……それをわざわざお前が知らせに来てくれたのか……。後ろの者たちは?
モニカ:私をシノンの村からここまで護衛して下さったのです。
ミカエル:我が妹を助けてくれたことに感謝するぞ。今は遠征中であるから、大した礼はできぬ。ロアーヌへ戻ってから、十分な恩賞を取らせよう。すぐにロアーヌへ向けて出発せねばならん。ゴドウィンとは一線交えることになる。お前が一緒に来るのは危険だ。そうだな……お前たち、もう一仕事してもらえぬか?モニカを北のポドールイまで送り届けてくれ。
ユリアン:ポドールイ……あのヴァンパイア伯爵の所へですか!
ミカエル:そうだ。レオ二ード伯爵は信頼できる。下手な人間よりもだ。モニカ、よいな?
モニカ:お兄様のお言いつけならば、喜んで。
ミカエル:勿論、モニカが吸血鬼になられては困る。十分注意してくれ。では出発の準備をするように。待て!お前、トルネードではないか?
ハリード:オレをそう呼ぶ奴もいるな。
ミカエル:これはよい所に現れた。トルネードよ、お前は私とロアーヌに来てくれ。モニカの護衛はその4人でよい。
ハリード:出すもんを出してくれれば、オレは構わんぜ。
ミカエル:こんなところで貴重な戦力が手に入るとは、世の中何があるかわからんもんだな。ロアーヌへ戻ったら、すぐ迎えの者を送る。頼んだぞ。

*天幕の外、馬に乗るミカエルに、モニカが別れを告げる。

モニカ:お兄様、お気をつけて。
ミカエル:ロアーヌで会おう。
ハリード:もう少し護衛をつけてやったらどうだ?
ミカエル:予定外なのだ。
ハリード:えっ。
ミカエル:ゴドウィンが父の生前から陰謀を企んでいるのは判っていた。反乱を起こさせておいて、奴らの一味を一気に片付ける。
ハリード:計画通りというわけか。恐ろしい人だ。だが、妹が知らせに来たのは計算外だと。
ミカエル:男爵に勝てる最低限の兵しか連れてきていない。そうでなければ奴は反乱を起こさない。これ以上、一兵たりとも減らすわけにはいかんのだ。
ハリード:しかし、妹の身に何かあったらどうする?
ミカエル:私が死ねば、あれも生きてはおれぬ身よ。

*天幕の中。

兵士A:敵は2つの部隊に分かれております。本隊をゴドウィン男爵自ら率いており、前衛部隊の指揮官はラドム将軍です。
兵士B:ラドム将軍までもがゴドウィンと……。
兵士A:仕方あるまい、ラドムの妻は男爵の娘だ。
兵士B:そのラドムってのはいい将軍なのか?
ミカエル:ああ。曲がったことが嫌いな男で、部下にも好かれている。しかし、ラドムが相手となると苦しい戦いになるな。
伝令兵:申し上げます。ゴブリンの群れが領内に侵入してきました。ゴドウィン男爵が誘い込んだようです。
兵士C:ゴドウィンめ、モンスターと手を結ぶとは!
ミカエル:ゴブリンどもを蹴散らすぞ。
兵士D:殿!!それではゴドウィンとの決戦に差し支えます。
ミカエル:私はロアーヌ候だ。この地を護らねばならん。
ハリード:新しいロアーヌ候が名君だという噂は聞いていたが事実らしいな。
ミカエル:ハリード、お前は命を張る必要はない。ご苦労だった。
ハリード:冗談じゃないぜ、ここからはが稼ぎどころだ。
ミカエル:ふっ、ならばアビスの底まで付いて来い!

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