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城砦都市ザールブルグにある王立魔術学校「アカデミー」は錬金術士の卵たちの学舎。
このアカデミーを卒業し、晴れて錬金術士となった二人の生徒がいました。
一人は、マルローネ。アカデミー創立以来、最低の成績で、卒業もままならなかった生徒です。
しかし、5年にも及ぶ卒業試験を通じ、彼女は錬金術士としてめきめきと頭角を現しました。
卒業試験に合格した彼女は、広い世界で研究を続けるために旅立っていきました。
もう一人は、エルフィール・トラウム。
命を助けてくれたマルローネに憧れて錬金術士を志すようになった少女です。
入学時は何の知識もなかった少女も、しかし、たゆまぬ努力によってみるみる力をつけていきました。
やがて彼女は、研究機関である「マイスターランク」へと進む資格を得るにいたりましたが、研究よりも実戦を重んじ、卒業という道を選んだのでした。
卒業したエルフィールは、まず、錬金術士たちの故郷ケントニスへと向かいました。
そこで待っていたのはマルローネとの再会。
すぐに意気投合した二人は、錬金術とは何かという命題について語り明かし、更なる高みを目指すため、連れ立ってザールブルグへの帰途につきました。
エルフィールは帰ったらお店を開くことに決めていました。工房になる建物も見つけてあります。
錬金術士としての新しい生活。希望に満ちた第一歩を踏み出そうとしていたのです。
ところが……。

エリー:え!?どういうこと、ダグラス?
マリー:本当に、エリーのものは全部盗られちゃったって言うの?
ダグラス:そうだ。最近、新手の盗賊が出没している。そいつらの仕業に違いねぇ。
エリー:そんなぁ、どうしよう……。
ダグラス:聖騎士隊を代表して謝る。すまねぇ!ったく、治安を守るはずの俺たちがこのザマじゃ、あまりにも情けねぇ!
エリー:いいよ、ダグラス。謝るようなことじゃないよ。悪いのは盗賊だもん。
ダグラス:そういってもらえるのはありがたいが、俺は自分が許せねぇ。待っててくれ。ぜってーに犯人を捕らえてやるからな!取り敢えず、俺は戻るが、何かあったら、いつでも連絡してくれ。
エリー:うん。頼りにしてるよ!…………。はぁ……でも、本当にどうしよう。なんにもなくなっちゃったよ。
マリー:エリー……。
フューレン:どうやらお困りのようですね。
マリー:……あ、フューレンさん!
フューレン:よかった。どうやら、私のことを覚えていてもらえたみたいですね。
エリー:忘れませんよ。ケントニスからずっと一緒だったじゃないですか。ケントニスアカデミーの用事っていうのは終わったんですか?
フューレン:お陰さまで。ついでにしばらくはこっちで働くことになりました。え〜と、れおはさておき、盗賊の被害に遭われたそうですね。実は、他にも被害に遭った錬金術士がいましてね。アカデミーとしても、今回のことは由々しき事態と受け止めているのです。犯人を捜すことも重要ですが、被害にあった方への救済策を用意しました。私どもの依頼を受けてくだされば、しばらくの間、家賃を補助し、基本的な器具もお貸しします。
エリー:本当ですか!?受けます!やらせてください!
フューレン:では、3年間差し上げます。その間に原初の炎を作成してください。
エリー:原初の炎?
マリー:あたしも初耳。どんなものなの?
フューレン:原初の炎は、いまだかつで、誰も目にしたことのない幻の逸品です。はっきり言ってしまえば、それがどんなものなのかすら知る者はいないのです。
マリー:誰も見た事がないのに、なんで存在するってわかるの?
フューレン:風を見たものはいないけれど、風が存在しないわけではない。自信がなければ、依頼をキャンセルされても構いませんが……。
エリー:とんでもありません!
フューレン:では決定ですね。器具などは後で誰かに持ってこさせます。期待していますよ。……失敬。
エリー:…………。原初の炎か。本当に私にできるかなぁ……。ううん、悩んでもしょうがない!やらなきゃいけないんだ!
マリー:心配しなくても大丈夫だよ。
エリー:え?
マリー:あたし決めた!一緒にやらせてくれない、エリー?
エリー:ええっ!?
マリー:あたし、この街で何やるかなんて具体的には決めてなかったし、あたしも、その調合に挑戦してみたいんだ。……もちろん、エリーがいいって言ってくれたらだけど。
エリー:いいも悪いもありません!マルローネさんが一緒ならとても心強いです!
マリー:よかった!じゃ、一緒にやるにあたって、これからはあたしをマリーって呼んで。いつまでもマルローネさんじゃどうにも落ち着かないんだ。
エリー:はい、マルロー……えーと、マリーさん!よろしくお願いします!
マリー:うん、こちらこそよろしく。力を合わせて頑張ろ!エリー!

エリー:あの、マリーさん、ひとつ、お願いがあるんです。
マリー:ん、何?
エリー:私、盗賊にアイテム図鑑も盗られちゃったから、調合のレシピがわからなくなっちゃったんです。だから、マリーさんの図鑑を見せてもらってもいいですか?
マリー:図鑑……?
エリー:はい。
マリー:…………。あぁっ!ケントニスに置いてきちゃった!!
エリー:え!?
マリー:あはは……。ま、気にしない、気にしない!心機一転、今度は二人の図鑑を新しく作っちゃおうよ!どっかに白紙のノートなかったっけ?
エリー:(人によっては命より大切なアイテム図鑑なのに……でもマリーさんらしいのかな) えーと、確かここら辺にあったあった!
マリー:あたしさ、真っ白いノートって好きなんだ。
エリー:あ、その感じわかります!いろんな可能性が詰まってる感じがしますよね。
マリー:うん、そうそう。なんかワクワクするよね。じゃ、取り敢えず、覚えているのだけでも書き込もうか。
マリー:………………。う〜ん、これだけかぁ。
エリー:なんか、普段よく作るものばかりですね。
マリー:仕方ないよ。高度なものは、作る機会も少ないから。
エリー:でも、忘れた知識はきっと必要ない知識ってことですね!
マリー:うん、そういう考え方もあるね。あとはお金が貯まったらアカデミーショップで参考書を買おう。その他にも大事なことは、そこの掲示板にまとめて書き出しておこうか。
エリー:はい!ここから私たちの工房の始まりです!
>基本的なアイテムの作り方を思い出した!

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