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風のクロノア 2

・・ 世界が望んだ忘れもの ・・


だから忘れた夢がある
思い出せない夢なのか
思い出さない夢なのか
僕が夢を忘れたのか
夢が僕を忘れたのか
それでも夢は確かに
あった


落ちてゆく…
いったいどこから、落ちてきたのだろう?
大きな耳をふわふわ揺らしながら
クロノアが、ゆっくりと落ちてゆく…
右手に、緑色に光る宝石の付いた大きなリングを持って…

『…て……けて……助けて…助けて……助けて……』
夢の中で、誰かが助けを求めてる…
ひとすじの光が、落ちてゆくクロノアの体のまわりを回り、
そして、クロノアは目を覚ます。

落ちたところは、嵐の海…
激しい雨、大きなうねり。
波は、何度も何度もクロノアの無抵抗な体を跳ね上げる。
もぐっては持ち上げられ、そしてまた、水面にたたきつけられるクロノア。
とうとうクロノアは気を失い、その体を海に漂わせる…
そこへ飛んできた赤い小型飛行機。
乗っているのは…シルエットで2人と確認できる。
それは、クロノアの上空を旋回…いったいナニモノなのか。
「みつけたー!」
「まちがいない…“夢見る黒き旅人”だ!」
「おっけーおっけー。いただきィ!」
「…待て。」
水面に近づこうとしたその時、岩場に人影が。
「わん!わんわわん!!あーん、何アレ?」
波に漂うクロノアを見つけたらしい犬と、
一人のオンナの子。
赤い飛行機は一旦水面を離れ、岩場の様子をうかがっている。
「巫女か…ちがうな…。」
「ジャマっけー。やっちゃおっか?」
「…いや、リングを落とされるとやっかいだ。
まあいい、少し様子をみるさ。」
黒い雲に隠れるように飛び去る赤い飛行機。

「う、うぅーん……。」
岩場で、再び目を覚ますクロノア…
緑色の大きなリングは…?
大丈夫、しっかり握っているようだ。
二つの顔が、クロノアの顔を覗き込んでいる。
さっきのオンナの子と犬だ。
クロノアは、体を起こして目をこすった。
「あ、あの…大丈夫ですか……。」
オンナの子が、心配そうに尋ねた。
「え、ああ……うん、なんとか平気みたい。」
「よかった。私はロロ。巫女…巫女見習いのロロっていいます。
このコはポプカ。」
「うっす!」
黄色い犬ポプカは、そう言って左手を挙げる。
「そっか。君が助けてくれたんだ…。ありがとう。僕はクロノア。」
「クロノア……。クロノア様とおっしゃるんですか。
“夢見る黒き旅人”様のお名前。」
「え……。ちょっと待ってよ。僕は……」
クロノアがそこまで言った時、突然、荒い波間から!
ザッバ〜ン!!
魚のバケモノがジャンプ!クロノアたちに飛びかかる。
だが、勢いあまって岩肌に激突!
バケモノ魚は、海にそのまま吹っ飛んでいった…。
「ちっ。こんなトコまで幻獣が出やがってら!」
…と、ポプカ。
「と、とにかくっ、詳しくは後程お話します。
クロノア様、お力を貸して下さい!」
ロロは、ちょっと慌てているようにも感じられる。
「え…、力って……?」
クロノアには、何のことかさっぱりわからない。
「ロロ!」
ポプカが、今までとは違った厳しい表情でロロに合図を送ると、
ロロはうなずいて、ふんわり空中へ浮き上がった。
そして、小さな光に姿を変えると、
そのまま、クロノアの持つリングの緑色の宝石の中へ
吸い込まれるように入ってしまった!
「オッケ。とにかく冒険開始っ!」
ポプカは、そう言うけれど…クロノアには何が何だか…??
「え?は??はぁ???」
「いーからさっ。まずあそこ、あの島まで急ごうぜ!」
「島?」
ポプカの指差すその島は、波しぶきの向こう側にそびえ立っている。
「ここは…いったい……。」
「うしっ!行くぜ!」

いったい、どうなっているのだろう…?
ここは、どこなのだろう…自分は、なぜここにいるのだろう…
わからないことだらけのクロノアだったが、
とにかく今は、あの島へ行ってみよう!
ロロとポプカの言うとおりにしてみよう!と、そう思った。

クロノアは、ロロが入り込んだ緑色の宝石のリングをしっかり握り、
ポプカと一緒に、その島を目指す。
途中、幻獣たちがクロノアのジャマをしようと襲ってきたが、
不思議と怖くはなかった。
リングの中のロロが…、そしてポプカがいてくれるから。
こちらから離れたところに立っているその島へ渡る時には、
大きな鳥が背中を貸してくれた。
その島の真ん中には、とてつもなく大きな女神の像が、
やさしく微笑みながら立っている。
クロノアたちは、その女神像の足元に、やっとたどり着いた。
女神の足元には、小さな入り口があって、
その手前には、鐘がぶら下がっている。
「ここらでいいのかい?」
きょろきょろとまわりを見ながら、クロノアが尋ねると、
「うーし。クロノア、リングの力で、そこの鐘をうってみてくれ。」
ポプカはそう言って、その鐘を指差した。
「これを?ああ、うん。」
クロノアが、持っていたリングでその鐘を一つたたいてみると…
り〜〜〜〜ん!
「やった!鐘が鳴った!」
そう言いながら、うれしそうにリングから飛び出すロロ。
「うわっ。そ、その鐘がどうかしたの?」
「ためしの鐘。巫女になるための試練ってヤツさ。
この鐘が鳴るくらいの霊力があれば、
巫女として認めてくれるってな。」
説明するポプカの手をとって、ピョンピョンはねるロロ。
「やったやった!やったよ、ポプカ!」
そして…どてっ!とコケた…
「てへへ…。」
それでも、とびっきりの笑顔を見せるロロ。
「よっしゃ!バグジのところへ行こうぜ!」
「バグジ?誰?」
クロノアは、次から次へと飛び出す「?」に戸惑った。
「ルーナティアで一番の予言者様さ!」
「ルーナティア…。…ルーナティアか…。」
この世界はルーナティアというらしい。
クロノアは、巨大な女神像の肩越しに、
どんより鉛色のルーナティアの空を見つめるのだった。


“夢見る黒き旅人”ってなんのことなのか?
そして、ルーナティアって…?
クロノアには、何のことかさっぱりわからない。
でも、ロロとポプカという仲間ができ、
持って生まれた好奇心は人一倍。

クロノアは、今、世界を救う冒険に出る!!


ー GAME START ー

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