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風のクロノア
-door to phantomile-


                                                     −OPENING−


そしてぼくは不思議に思う

あさ目がさめると
たしかに見たはずの夢が
思い出せないことがある

その夢はいったいどこへ
行ってしまうのだろう

でも その日の夢は
鏡を見るように
はっきりと覚えているんだ

〜大きな月と、大きな指輪が、星空に映っている…〜





―― 『ファントマイル』にある、風の村・ブリーガル…
大きな花に、一匹の蝶がとまっている。
その奥から、木の根をかき分けてこっちにやってくる男の子。
この子の名前は クロノア。
かわいくたれさがった長い耳に、トレードマークの帽子がよく似合う。
ここブリーガルに、じっちゃんと二人で住んでいる。

さっきの蝶が、クロノアの目の前に飛んできた。
「あそぼ!」 とでも言いたげに…
クロノアは、喜んでその蝶と、追いかけっこ…
と、その時、空からなにかが降ってきて、クロノアの後ろへ― ドッスーン!
びっくりしてクロノアが振り向くと、そこには、地面に半分埋まった大きな指輪が!!
近づいて、まじまじと見つめるクロノア。
そして、その指輪を、う〜ん!と引き抜こうとしてみるけれど…
深く地面に埋まった指輪は、なかなか全部、姿を見せてくれない。
やっと抜けた!!でも、クロノアは勢いあまって後ろへゴロリン…
その時、その指輪から、水色の丸い妖精が姿をあらわした。
そう…これがクロノアの親友になる、指輪の精・ヒューポー。
二人はじっと見つめ合い、そしてニコっと微笑んだ。

それから、クロノアとヒューポーは、毎日草原を駆け回って遊んだ。
まるで、本当の兄弟のように仲良しになった2人。
クロノアは、毎日が楽しくて楽しくて、しかたがなかった。

そんなある日、鐘の丘に、何か大きなものが墜落してきた。
でも、どうやら今度は、指輪ではないようだ。
大地は揺れ、鐘が大きな音を立てて鳴り響く。
そこから、不思議な黒い雲がモクモクと広がり始め、
すごいスピードで、クロノア達の方までやってくる。
早く逃げなきゃ!でも、足がすくんで動けないクロノア…
その黒い雲は、やがて大きな影となり、クロノアに襲い掛かってきた!!――


「わにゃっ!」


クロノアは自分のベットの上で、目を覚ました。
頭の上で、帽子の大きなぼんぼんが揺れている。
今までのは夢?…。
あの鐘の丘に落ちたものは何だったんだろう…。
そしてあの黒い雲…黒い影は…。
そうだ!ヒューポーは?あんなに仲良くなれたのに、それも夢?…。
クロノアが、急いで、机に目をやると、
そこに、かわいらしいヒューポーが、指輪からちょこんと顔を覗かせている。
それを見て、クロノアはニッコリ!安心するのだった。

その時、外で何かがぶつかったような音が!!
「な、なんだぁ?」
クロノアが窓を開けて外を見ると、鐘の丘のほうから煙が立ち昇っている。
「鐘の丘のほうだよね?」
ヒューポーも外を眺める。
「何か落ちたみたい。夢と同じだ……?」
クロノアは、さっき見た夢を思い出した。
「行ってみようよ、クロノア!」
うなずいて、ヒューポーを、指輪の中に戻すクロノア。
そして、ドアをいきおいよく飛び出した!
お気に入りの帽子と、ヒューポーの指輪を持って…。

今、クロノアとヒューポーの、
この世界『ファントマイル』の平和をかけた大冒険が始まる…


「ヒューポー!行こうっ!!」



VISION1-1
「風のはじまり」
〜風の村、ブリーガル〜




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