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FINALFANTASY\ 
ーOPENINGー


…――――嵐の海。一隻のぼろぼろの帆船が海に飲み込まれようとしている。
波は高く雨も強い。高波に打ち上げられては、たたき付けられている。
帆船には白いマントを被った人が二人乗っている。今にも船から投げ出されそうだ。
そして少しづつ、船の人間の顔が明らかになる…。




ガーネットは、アレクサンドリア城の自室で目が覚めた。
ゆっくりと目をこするガーネット。先ほどの夢が嘘のように、
窓から見える空は晴れ渡っている。もうすぐ日が沈むころだ。
ガーネットはゆっくりと立ち上がり、窓の外を飛ぶ白い鳩を眺めていた。
アレクサンドリア城の周りを自由に飛ぶ鳩たち。
ガーネットは開きかけていた窓を、両手で大きく開いた。

アレクサンドリア城の下には、美しい城下町が広がっており、
その美しい町の下には、霧の海が広がっていた。
この霧の中にはモンスターがいる。
しかし、そんなことを忘れてしまったかのように、町はにぎやかだった。
今日は町で『芝居』が行われるのだった。

霧の上を行く1艘の大きな船の姿があった。
船の先端には、美しい人魚像が飾ってある。
その船の窓から、金髪の青年の頭が見える。
青年は穴のあいた船の天井から、棒をつたってひょいっと下の階に下りてきた。
彼のお尻には、黄色の尻尾が揺れていた…。


「暗いな……。」
彼は降りてすぐの船室へ入った。
「まだ誰も来てないのか?」
その部屋に明かりはついておらず、真っ暗だった。
青年は持っていたマッチをすり、部屋の中央にあるロウソクに火をつけた。
「誰だっ!!」
彼が部屋に火をつけた瞬間、隣の部屋から声がした。
「オレだよ、ジタンだよ。」
彼…ジタンは親指で自分のことを指差した。
すると、声のした部屋から、赤髪のブランク、バンダナのマーカス、白い帽子のシナが現れた。
4人は、何か敬礼のようなポーズを決める。
「よぉ、ジタン!遅かったじゃねえか!」
ブランクが元気に話し掛ける。
「すまん。ところで、ボスはもう来てるのか?」
「いんや、まだずらよ。」
シナが特徴的なしゃべり方で返事をする。
その瞬間、ブランクたちが来たのとは反対側の部屋から、青い竜の被り物を被った
男が、突然ジタンたちに襲い掛かった!!
しかし4人は慌てる様子もなく、冷静に男と向き合う。
しばらく苦戦を続けたところで男の竜の被り物が真っ二つにわれ、
中からゴーグルをかけたひげのおっさんの顔が現れた。
「グハーーーーーーーーーーー!!頭が痛ぇーっ!!!」
男は頭を抱えて叫びうずくまる。
「ちったぁ、手ぇ抜かねえかっ!!」
男が顔を上げたときには、4人は肩で息をしながら、疲れた顔を並べていた。
バグーというこの男は、ジタンが話していたボスだった。
「おめーらっ!」
バグーが大きな声をあげる。
「なかなか、ウデを上げたじゃねぇか!ガハハハハハ!!」
バグーはジタンの肩をポンとたたくと、ブランクたちが出てきた部屋方へ歩き始め、
「さぁッ!会議、はじめんど!!!」
といってドアを蹴っ飛ばして開け、部屋の中へ入っていった。
すると4人も、それぞれ立ち上がり、急いで部屋へ入っていった。

部屋の中には、中央に丸い机が置いてあり、その上にはお城の模型が置いてある。
周りには武器から宝箱やら趣味の悪い絵やら、色々なものがおいてあった。
バグーは模型の裏の椅子にどっかりと腰をおろした。
4人もバグーに続いて部屋に入り、ジタンは机のそばの椅子に、
マーカスはその隣に、シナは裏の多きな宝箱の上に、
そしてブランクは入り口のそばの柱に、それぞれ性格の分かるような形で腰をおろしている。
…ブランクは、柱に寄りかかっていた。
「今日の作戦の確認だっ!!」
バグーが腕を振り回しながら、説明をはじめた。
「我らが目指すのはアレクサンドリア王国…。」
バグーが手を出したさきには、机の上のお城の模型があった。
どうやらこれは、アレクサンドリア城らしい。
「そして、我ら盗賊タンタランス団の目的は、この国の女王、ガーネット姫をかっさらうことだっ!!」
次にバグーが取り出したのは、いかにも古臭い、ボロの女の子の人形だった。
…ガーネット姫のつもりらしい。
「され、あとは、おいらが説明するずら。」
後ろで話を聞いていたシナが立ち上がり、説明をはじめた。
「もうすぐ、おいらたちの乗っている船がアレクサンドリアに到着するずらよ。到着したら、
おいらたちは平然とした顔をして……アレクサンドリアで大人気の芝居
『君の小鳥になりたい』を演じるずらっ!!頼むずらよ!主役のマーカスさん!!」
シナがくるっとマーカスの方を向いたので、マーカスはがたんっと立ち上がった。
「頑張るッス!だけど誘拐作戦の主役は、ジタンさんとブランク兄キっス!」
マーカスがにこっとブランクの方を向いたので、ブランクはゆっくり顔を上げた。
「幕間に俺がこいつで城の連中を混乱させる……と…。」
ブランクの手には、なにか茶色で手のひらぐらいの虫が乗っかっていた。
「だけど、どうもこのブリ虫ってのは苦手だぜ。まあ仕方ないから我慢するけどよ…。」
そういってブランクはそそくさとブリ虫をポケットに戻した。
「で、そのあとは、ジタン、おまえの出番だぜっ!!」
ブランクがにたっっとジタンの方を向いたので、ジタンは元気よく返事をした。
「よし、わかった!!その隙に、ブラネ女王を誘拐すればいいんだな?」
するとバグーが太っていて小汚い人形を取り出した。
「そうだ〜、我々が誘拐するのは、この太って醜い〜、ブラネ〜〜、なんでじゃぁ!!!」
バグーは人形を頬リ投げた。…あれはブラネのつもりだったらしい…。
「あぁ、悪い。その隙に、ガーネット姫を誘拐すればいいんだな?」
するとバグーは、さきほどの“ガーネットのつもり人形”を取り出した。
「そうだ〜、我々が誘拐するのは、アレクサンドリアはじめって以来の美姫と名高いガーネット姫!!!」
人形はちっとも美しくなかった。



一方そのころ、空はすっかり表情を変え、今にも暗くなりそうな夕焼けだった。
アレクサンドリア城下町では、芝居のための準備がちゃくちゃくと進んでいる。
そんななか、大きなとがった帽子に、黒魔道師のかっこうをした男の子が、人ごみのなかで
帽子を直していた。男の子はこの城下町の者ではないらしく、周りをきょろきょろ
見回していた。
と、その時、男の子の上を大きな船の影が通り過ぎていった。
男の子が顔を上げると、空飛ぶ大きな船が門のところを通り過ぎていくところだった。
ジタンたちの乗った船だ。
船は城下町の間を通り抜け直進してゆく。

アレクサンドリア城のシンボルともいわれる大きな剣に、船の姿が綺麗に映し出される。
船は今、アレクサンドリアに到着した。




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