戻る TOPへ

ファイアーエムブレム〜烈火の剣〜
オープニング(ヘクトル編)

フェレ侯失踪の報がリキアを駆け巡ってから、一月…
内外でさまざまな憶測が飛び交う中、
盟主であるオスティア侯ウーゼルは、
表立っては何ら動きを見せなかった。
変わり者、と民たちに噂されるオスティア侯弟は、
フェレ侯公子エリウッドの幼い頃からの親友である。
気性の荒い彼が、この事態を静観できるはずもなかった。

オスティア侯弟ヘクトル。後に猛将と恐れられる鋼の壮漢。
彼の戦いの道は、苛烈を極めるものとなる…

〜第11章・もう一つの旅立ち〜

〜オスティア城〜

ヘクトル「兄上!
 兄上っ!!いるんだろ!?
オズイン(オスティア家のアーマーナイト)「ヘクトル様!少し落ち着きなさい!!」
ヘクトル「うるせーっ!これが落ち着いてられっかよ!!」

青髪の青年こそ、オスティア侯弟ヘクトルである。
彼はとても落ち着いていられない状況であった。

ウーゼル(オスティア侯。ヘクトルの兄)「騒々しいぞ、ヘクトル!いったい何用だ?」
ヘクトル「決まってんだろ!フェレ侯爵失踪のことだ!!」
ウーゼル「その件なら何度も話しただろう。
 今回の件は、オスティアのあずかり知らぬこと。
 くれぐれもよけいな手出しはならん。」
しかしヘクトルは納得しない。
ヘクトル「エリウッドの親父さんが行方不明なんだぞ!
 ラウス侯があやしいってのはとっくにわかってんだ。
 オスティア軍を動かして白黒はっきりさせりゃいいじゃねーか!」
ウーゼル「落ち着かんか、ばかもの!
 他の諸侯の領地は不可侵が原則…
 特に、今のリキア内部の情勢では絶対に兵を出すことなどできん。
 おまえにも、それぐらいは理解できるだろう!」
ヘクトル「…ちっ、よくわかったよ。
 だったら、その大事な玉座にずっと座ってりゃいいさ!
 俺は、一人で勝手にやるからな!」
オズイン「ヘクトル様っ!侯爵になんて態度を…」
ウーゼル「よい、オズイン。ほうっておけ。
 ああなったら何を言っても聞かん。」
オズイン「……」


ヘクトルは、城の裏口近くまで来て、部下である密偵のマシューを呼んだ。
マシューは、影ながら、キアラン公女をキアラン城まで守り、送り届たほどの実力の持ち主だ。

ヘクトル「マシュー!マシュー、いねえのか?」

マシューが、煙とともに現れる。

マシュー「ここに。」
ヘクトル「おまえな…
 悪玉とその手下じゃねえんだから、もっと普通に出てこい。」
マシュー「あれ?密偵っぽくなかったですかね。ま、いいや。
 若さまの指示どおりの旅支度に、ご愛用の斧。
 それから、この離れの衛兵と門番に金をつかませて
 裏口から抜け出せるよう手配しときました。」
ヘクトル「よし、ご苦労。兄上に当分ばれないよううまくやっとけよ。」
マシュー「へ? おれもお供しますけど?」
ヘクトル「バカ野郎!ついてくんなっ!!
 兄上の密偵のおまえを連れてったら
 いつ裏切って報告にいくかわかりゃしねー!!
 俺は1人で行く!」
マシュー「しー! そんな大声をだしたら
 城の警護兵が聞きつけて飛んできますって。」
ヘクトル「…ちっとにかくついてくんな。」
マシュー「信用していただけないのはかなり心外ですけど…
 ま、しかたないですかね。んじゃ、これにて。」
そう言い、立ち去るマシュー。
ヘクトル「?…なんかやけにあっさりしてんな。
 さてと…とっととここ抜け出して
 エリウッドに合流しねえとな。
 なんだよ、荷物えらく多いじゃねーか!
 2人分にしてもなんだってこんな…
 !!」
ヘクトルは、謎の殺気に気がつく。
ヘクトル「………でてこいよ。
 そこにいるのはわかってんだぜ?」
すると、謎の男が現れる。
???「……」
ヘクトル「何者だ?」
???「……」
ヘクトル「…だんまりかよ。
 いいぜ、たとえおまえが何者でも
 俺の行く道をふさぐんなら叩き潰して通るのみだ!!」
謎の男を倒そうとするヘクトル。
すると男は逃げてしまい、何故かまたマシューが現れた。
ヘクトル「!!」
マシュー「わーっ!
 待った待った!!
 おれ、おれですって!!!」
ヘクトル「…なんだ、マシューかよ。
 てっきり奴らの仲間かと思ったぜ。」
マシュー「なんだじゃないっすよ!
 もうちょっとで、おれ、真っ二つじゃないっすか!!」
ヘクトル「いきなりでてくる、おまえが悪い。
 それより、どうして戻ってきた?」
マシュー「え?いや、不穏な空気を感じとってこうして助太刀に…」
ヘクトル「…ふんまあ、そういうことにしといてやるぜ。」
マシュー「…それで、どうします?」
ヘクトル「なにがだ?」
マシュー「この離れに忍び込んでる敵の気配は…
 ざっと7、8ってとこです。
 しかも、かなりヤバイ雰囲気のヤツばっかりだ。
 いくら若さまが腕に自信あるって言っても
 ほとんど戦力外のおれと2人じゃあきびしくないっすかね?」
ヘクトル「…言いたいことがあるなら、はっきり言え。」
マシュー「裏口から出るのはあきらめて、
 城の警備兵に助けを求めに戻るってのは…」
ヘクトル「ありえねぇ!!」
マシュー「はは やっぱりっすか。
 んじゃぁ、気合入れて死ぬ気でがんばるとします。」
ヘクトル「おまえはぬけてもいいんだぜ?」
マシュー「それこそ、ありえませんって。お供しますよ、どこへなりとね。」
ヘクトル「よし、奴らを蹴散らして城から抜け出すぞ!!」

ヘクトルたちは、すさまじいパワーで、謎の組織を蹴散らした。

※マシューが倒れた場合

ヘクトル「終わった…か。
 …ったく
 だから……
 ………!
 今は、悲しまねぇぞ。マシュー…
 …ここで戻るくらいなら
 おまえが…おまえがやってくれたことの意味が…なくなっちまう。
 エリウッドのところへ…俺には、迷ってる時間なんてねぇ…!!」


※マシューが生存している場合

マシュー「やー、あぶなかった。2人とも無事でよかったすね。
 さ、若さま!急いで脱出しましょう。
 今の騒ぎで、城の兵に気付かれたかもしれません。」
ヘクトル「…マシュー、てめぇ
 最初っからこうなると分かってやがったな?」
マシュー「仕方ないじゃないすか。
 あいつら、若さまが1人になるまで姿現さないって感じだったし。」
ヘクトル「…まあな。
 おい、マシュー!ついてくるってんなら
 おまえ、兄上の密偵じゃなく俺の配下になったって思っていいんだろうな?」
マシュー「もちろん!騎士の誓いでもしましょうか?」
ヘクトル「いらねぇ。自分の言葉に責任持ってればいい。」
マシュー「了解!」
ヘクトル「じゃあ、行くぞ!エリウッドのところへ!!」


エリウッドのいるフェレへと急ぐヘクトルたち。
一方、城では…


オスティア兵「侯爵様、大変です!ヘクトル様が!」
ウーゼル「やはり、行きおったか。」
オスティア兵「は…?はい!
   す、すぐに部隊を編成し、後を追います!」
ウーゼル「よい。あれの好きにさせよ。」
オスティア兵「は…はいっ。」
ウーゼル「フッ…まったく仕方のないやつめ。」
ヘクトルのことは、兄であるウーゼルが一番知っているのであった。
ウーゼル「うっ、
 ごふっ、ごふっ」
オズイン「ウーゼル様っ!大丈夫ですか!?」
ウーゼル「… …
 ……案ずるな。もうしずまった。大したことはない。」
オズイン「…己の体力を過信するべきではありません。
 このところは特に眠る時間もとれぬほど政務に追われる毎日…
 無理をすればいつか倒れることに…」
ウーゼル「…わかっておる。
 明日にでも医師を呼び病ではないか診させる。それで構わんだろう?」
オズイン「はい。必ずですよ。」
ウーゼル「…オズイン、ヘクトルのことだが…
 おまえにまかせてよいな?」
オズイン「もちろんです。この命にかえてもお守りいたしましょう。」

オスティア侯弟ヘクトルの冒険の始まりである…

inserted by FC2 system