*主人公の名前は、公式名の「リュウ」にしてあります。
*暗闇の中、おぞましい目玉がこちらを見ている。
目玉:……力が、足りぬ。……神に捧げよ。……力を。神に祈れ!神を崇めよ!神の力になるのだ……。
*どこかの神殿。小さな女の子が、神殿から走り去る。
ガナー:あ!こら!待ちなさい、ユア!!ユア!お昼寝しなさい!……とほほ、逃げられた。おーい、リュウ!リュウ、ちょっと来てくれー。
*リュウがやってくる。
ガナー:また、ユアがどこかへ行ってしまった。……あの子は、お昼寝が嫌いなのかな?リュウ、お前あの子を探してきてくれよ。よし、じゃあ頼んだぞ。
*裏山、白い竜が眠る前にいるユアを発見する。と、モンスターが現れる。苦戦するも、がナーが駆けつけ、事なきを得る。
ガナー:危なかったな、リュウ。ユアを護るために戦ったんだな。偉いぞ。こら!駄目じゃないか、ユア!どうしてこんなところに来たんだ!?
ユア:だって、お母さんに会いたかったのにー!
ガナー:お母さん!?
ユア:そーなのにー!ここでお昼寝したら、お母さんの夢が見られるのにー!!
ガナー:……母さん、か。でも、ユア……。
ユア:知ってるのにー!!お母さんは……死んじゃったのにーっ!
ガナー:ああ……。昔、村がモンスターに襲われた時、父さんは、母さんを守ることができなかったんだ……。あの時、このドラゴンが来てくれなければ母さんどころか、お前たちさえ守れなかったかも知れない……。すまんな、リュウ……。父さんに、もっと、もっと力があればよかったのにな……。
リュウ:そんなことないよ!
ユア:そーなのにー!!父さまは悪くないのにーっ!!村の人、みーんな言ってるのに!このドラゴンと、父さまが村をモンスターから守ったって言ってるのにーっ!!
ガナー:ハハハハ、そうだな、ユア。母さんも、そう言ってくれるといいんだがな……。
ユア:言ってるのに……ドラゴンが、教えてくれたのに……。
ガナー:ありがとう、ユア。お前はまるで、ドラゴンとお話ができるみたいだね……。
ユア:お母さん、夢に出てくるのにー!!
ガナー:よし、じゃあお家に帰ってお母さんの話をしような……。お前も、暗くなる前に帰るんだぞ。
ユア:お兄ちゃんも、お母さんの夢見たらいいのにーっ!
*目をつぶってみるリュウ。しかしそこに見えたものは、母の姿ではなくて、おぞましい目玉。
*村に戻ると、異変が起きていた。誰もがリュウやユア、ガナーのことを知らないのだ。困ったリュウは、取りあえず教会に行ってみることにする。
ハルク神父:エバの神のもとへ、ようこそ……幼子よ。君も身寄りがないのですね?しかし、心配はいりませんよ……。教会は、君のようなかわいそうな子を見捨てはしません……。たとえ、君がかっぱらいだとしても……。さあ、ここを自分の家だと思ってゆっくりお休みなさい……。
*その夜、教会に泊まるリュウ。先客の犬の子(ボッシュ)が動き出す。
ボッシュ:よっこらせっと!ちぇっ、しけてやがる。このロウソクでもいただくとするか。
*リュウも起き上がる。
ボッシュ:……よう!何も言わなくていいよ!お前も俺とおんなじだろ?可哀相な子供のふりをして教会に上がりこんで……金目の物をいただくって手だろ?でも、ここはしけてるぜ……。もっと大きな町じゃないと駄目だな。俺は他の町に行くけど、お前はここに残るかい?
リュウ:いいえ。
ボッシュ:よーしっ!じゃ、行こうぜ。どこか大きな町でバンバン盗んで金持ちになろう、な!俺はボッシュ!よろしく!相棒!
*ボッシュが仲間になった。
*村の外へ出た二人。
ボッシュ:……ん?クンクン、やばいぜ。一雨来そうだな。うひょー!来やがった!どしゃぶりだ!!どこかで雨宿りできねえか?
*近くの洞穴に入る二人。
ボッシュ:なんだ、真っ暗だな……。お!そうそう!さっきのローソクを……と。これでよし!さ、行ってみようぜ!
*入り口付近で、奥に行く変な蛇のようなものを見る。
ボッシュ:……今の、何?ちょっと、追いかけてみよう!
*誘われるように奥に進む二人。最奥で、それは二人を待ち構えていた。
ボッシュ:あ……あ……ば、化け物だー!!
*あっさり尾で一蹴されるボッシュ。進み出たリュウを前に、化け物(バルバロイ)は驚く。
バルバロイ:……お前が、そうだと言うのか?お前が、使命の子だと!?……よかろう、見せてもらうぞ!!
*バルバロイと戦闘。あっさり負ける。
バルバロイ:行くが良い……リュウ!門を開いて見せろ……さだめの子よ……。そして……そのときお前は神の力を思い知るのだ!!
少年は 長い夢を 見ていた
父親と妹がいなくなり 少年のことを覚えている者は 誰もいなかった
そして……
少年の心を引き裂いた おぞましき姿と邪悪なる力を持つ魔物
……全ては 長い夢のようであった
やがて 闇が落ちてくる
心の闇をさまよう少年は 気が付くと そこにもう一つの世界を見ていた
静寂が支配する沈黙の世界
光差さぬ深い夜の世界
少年はそこに 恐ろしさと懐かしさを感じた
「使命の子」
魔物の言ったその言葉だけが いつまでも少年の心に残った
その言葉だけが 全てが現実であったことを物語っていた……