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ペルソナ 2 罰


〜Opening〜



「ペルソナ2〜罰〜」は、「ペルソナ2〜罪〜」で、世界大崩壊を避けるために主人公たちが選択した、
すべてをリセットし、すべてを忘れることを条件に手に入れた「やり直しの世界」…
つまり、〜罪〜と、同じであって異なる、もう一つの世界が舞台である。
詳しくは、「ペルソナ2〜罪〜」のエンディングを、ご一読いただきたい。
なお、〜罰〜の世界は「こちら側」、〜罪〜の世界は「向こう側」と表されている。



一人の青年がいる。
周防 達哉…。彼は、気づいてしまった。あの日、彼女と駅でぶつかってから…。
すべて忘れるはずだったのに…忘れなければいけなかったのに…。
友を…思い出を…そして、彼女を、忘れてしまうことなんてできなかった。
また一人になるのが、…怖かった。
後から後からあふれ出す、数々の記憶…。
思い出すことは決して許されない、過去であって過去ではない「向こう側」の記憶…。


アラヤ神社 

社の脇の草むらから、黄色に輝く蝶が、飛び立つ。
達哉が、思い足取りでやってきて、社の前にたたずむ。
と、そこにいた老婆が、達哉に声を掛けた。
「なんとまぁ、寂しい背中だい…あんた、大事なもんでも無くしなさったかね?」
達哉は、下を向いたまま、黙っている。
「そうかい…無くしたんじゃあないね。見つけちまったのかい…思い出を。」
はっと、老婆を見る達哉。
「人間は、罰当たりな生き物さね。ここも昔は、夏祭りで賑わったもんだに…
時が過ぎれば、大切なことすら忘れちまう。
忘れちまったままの方が幸せなのか…思い出した方が幸せなのか…
あんた、厄介なもんに囚われちまったねぇ…」
老婆には、まるで達哉の心の中が見えているかのようだ。
達哉は、ゆっくりと鳥居に向かって歩を進めた。
「そう…俺は思い出した…この世にあってはならない罪を…どう償う…?」

某所 会議室

正面に不気味な祠があり、奥に鎧のようなものが祭られている。
その手前では、護摩がたかれ、8人の拝礼者が並んで立っている。
そこへ、杖をつきながら老人がやってきて、護摩壇の前に立った。
白髪交じりのもみ上げに、威厳を感じるその老人が、厳かに言った。
「これより、定例の『言霊の儀』を執り行う。 では、御前、お願いいたします。」
太鼓が鳴り響き、祠に向かって、かしわ手を打つ一同。
護摩の炎が、ますます激しく、まるでヒトガタのように燃えあがる。

キスメット出版 クーレスト編集室

天野 舞耶(主人公)が、入ってくる。
舞耶は、ここで、高校生向け情報誌「クーレスト」の編集の仕事をしている。
舞耶に気づいた黛 ゆきの(『女神異聞録ペルソナ』に登場)が、声を掛けた。
「取材、お疲れさま。舞耶さんに、手紙届いてますよ。差出人とか書いてないけど…」
(サンクス ユッキー!、と、ありがとう でも誰だろう、の選択肢あり
今回は、サンクス ユッキー!を選択)
舞耶は、ゆきのから手紙を受け取り、自分のデスクに行くと、早速手紙を読んでみた。
『次ハ、オ前ダ。  JOKER』
ただのいたずらだろう…と、舞耶は思ってはみたものの、何か、心に引っかかる。
なぜなのかは、わからないが…。
「天野先輩、編集長が呼んでますよ。」
新人の男が、そう言って、舞耶を呼びに来た。
「いっつも面倒な仕事ばっか押し付けられて、先輩も大変すね…。あくせく働いても、
たいしていい事あるわけじゃないし、やっぱ夢と現実って、こんなもんすかね…
はぁ、会社辞めようかなぁ…」
舞耶は、新人君の肩をポン!と叩くと、編集長室へ入っていった。
「来たわね…天野。」
水野編集長が、意地の悪い笑顔を浮かべる。
(水野編集長:舞耶と対立の絶えない、仕事一筋のキャリアウーマン 30ウン歳独身)
「今日、呼ばれた訳、解ってるわね?あなたが出したインタビュー企画…
『噂の高校生の夢』ってあれ、ボツだから…。つまんないのよね、インパクトが無いのよ。
今日び、誰が青臭いガキの夢なんて読みたがる?」
(はぁ…、と、でも 大事なことだと思います。の、選択肢あり
今回は、でも 大事なことだと思います。を選択)
「また口答えする気!?あなたには、JOKERの噂を取材してもらう。これは決定よ!
最近の、連続猟奇殺人事件、子供の間じゃ、JOKER様の仕業だって噂されてるの、
知ってるわよね!?七姉妹学園に行って、それを取材してきなさい!バイトの黛は、
今回の仕事から外すわ。あなた一人でやるのよ!」
一気にまくし立てる編集長。
「わかってると思うけど…当然、今日あなたが出していた午後半休届けも却下よ。
嫌なら会社辞めなさい。代わりはいくらでもいるんだから。さ、分かったら行って頂戴。
私は、忙しいんだから!」
舞耶は、反論する気にもなれず、編集長室を出た。

編集長室の入り口で、ゆきのが舞耶を待っていた。
「舞耶さん、芹沢さんって人から電話ありましたよ。受付に迎えに来るって言ってたけど、
来たら内線あるんじゃないかな?」
ゆきのは、キスメットの社員ではないが、カメラマンの見習いとして、舞耶とペアを組み、
何度も仕事をしている。
「そう言えば、お見合いパーティー行くんでしたっけ?アタシら、土日もへったくれも
ないからねぇ…たまには、思い切り羽伸ばしてくるといいよ。」
舞耶は、これから取材が入ってしまったと、ゆきのに言った。
「え?仕事で半休取り消しにされたって!?そんな横暴なことあるもんか!
アタシが文句言ってやるよ!!」
(ありがとうユッキー 私なら大丈夫だから…、と、レッツ・ポジティブシンキング!へっちゃらよ、
の、選択肢あり、今回は、レッツ〜を選択)
「アタシとのコンビも解消なんて、なんて見え透いた嫌がらせだい…負けちゃダメだよ、舞耶さん!
そうだ、セブンス(七姉妹学園)への取材なら、アタシの恩師がいるから連絡しておいてあげるよ。
黛の紹介って言えば、悪いようにはしないさ。」
ゆきのの言葉に、舞耶は少し気を取り直したが、問題は、お見合いパーティーに行くつもりで
もうすぐやってくる友人だ。それを考えると、また、気が重くなった。

編集室の中は、今、2つの話題でもちきりだ。
一つは、「連続猟奇殺人事件」。食い散らかしたようなむごたらしい殺され方の死体が、
もう10体以上も出ているにもかかわらず、警察は、犯人の目星すらつけられないらしい。
噂は噂を呼んで、犯人は「悪魔使いのJOKER」だとも言われている。
もう一つは、「ワンロン占い」。「望龍術」という風水の秘術を分かりやすくしたもので、
12匹の守護龍別に運勢を占うというもの。あまりにもよく当たるという噂で、
OLや女子高生の間で大人気!編集室も、反響の多さに驚いているという。

「今、内線あったよ。芹沢さん、受付に来てるって」
ゆきのにそう言われ、編集室を出てゆく舞耶。

「チャ〜オ、マーヤ。んじゃ、気ばっていくかんねぇ〜
絶っ対、イイ男捕まえんのよ!」
舞耶を待ち構えていたうららは、もうすでにハイテンションのようだ。
(芹沢 うらら:舞耶の親友 占い好きの化粧美人 男運がないのを悩んでいる)
舞耶は、うららに、半休が取り消され、お見合いパーティーに行けなくなった事を告げた。
「なにぃ〜!?仕事でいけなくなったぁ〜!?ちょっとアンタ、初めっから行く気なかったんじゃ
ないの?あ、わかった。例のデジャ・ヴュの少年が気になってんでしょ?かぁ〜やめときなって!
大体、なんで駅前で1回ぶつかっただけの年下に、そんなに入れ込むかねぇ〜。
いくら、前に会った気がするからってさぁ…」
(デジャ・ヴュ:既視感 初めて見たはずの景色や人が、なぜか懐かしく感じられること)
「なに、本当に仕事なの?七姉妹学園でJOKERの噂取材?あ〜もう、しゃーないな。
ホレ!ちゃっちゃっと済ませば、まだ間に合うわ。手伝ってあげっから、急ぐのよぅ!!」
うららは、どうしてもお見合いパーティーに行く気らしく、おもむろに携帯を取り出して
「ホラ見てみ、ワンロン占いでも、『今日は運命の出会いの日』って出てんのよ。
絶対、パーティー行くかんね!」
と、舞耶に、携帯に配信された占いを見せた。

しかたなく、舞耶はうららを連れて、七姉妹学園へと向かって行った。

…そこで、とんでもない『運命の出会い』が
待ち受けているとも知らずに…


ペルソナ 2 罰  Start…


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