1939年3月25日1000時
総合大演習当日
かっ、艦長！？ 国防軍演習艦が発砲っ！！
演習ではありません！ 実弾による砲撃です！
僚艦パーヴル、ダーイン、撃沈っ！
本艦の被害状況は？
左舷中央部に被弾！ 艦橋損傷！！
目下、航行に支障なし！
――ですが、副長が！ 戦死されましたっ！
くそっ…… 総員、応戦準備！！
| ナギ | ■ | どうして演習中にこんな事が……？ |
| シュルツ | わからん…… とにかく、後方の海域で待機しているはずの 近衛本隊と合流を急ぐぞ |
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我が祖国、ウィルキア王国 その起源は、遥か北欧から渡来したデーン系 部族｢ヴィルク族｣であるという 彼らが新大陸を横断し、アムール川流域定 着、建国した小国家である。 間もなく、近隣の大国の支配を受け、近代に 至るが、今から１世紀前、転機が訪れた クリミア戦争期、帝国の後背の混乱を狙った 欧州各国の援助を得、独立戦争に勝利 その数十年後、ウィルキアの再併合を目論ん だ再侵攻に際しては、海を隔てた隣国、日本 と同盟を組むことにより、これを撃退した 続く欧州大戦では、現地まで遠征し、現在の ドイツ共和国建国を支援した歴史を持つ 以来、わが国とイギリス、ドイツ共和国、日 本の同盟関係は、今日に至るまで続いている 戦後のウィルキアは工業国家として、また 海軍国家として目覚しい成長を遂げていた その頃の私は、近衛艦隊上級士官候補生とし て、海軍大学での演習に明け暮れていた…… |
時は１年遡るーー
1938年4月5日0800時
ウィルキア海軍大学単艦演習課程開始
| ナギ | ■ | ……長、艦長！？ |
| シュルツ | ああ、すまない 少し、考え事をしていたようだ…… どうした、ナギ少尉？ |
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| ナギ | 艦長は、なぜ国防軍が我々に攻撃を 仕掛けてきたとお思いですか？ |
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| シュルツ | ……今の状況では何の判断も下せないな | |
| ナギ | 艦長！ 近衛司令部から緊急通達です！ 副指令ガルドナー大佐から近衛艦艇へ向け、 現状に関する重大発表があるとのことです |
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| シュルツ | よし、回線開け | |
| ガルドナー | 近衛艦隊諸君 戦死した司令に代わり、 苦い通達をせねばならないことを遺憾に思う 本日、総合演習に乗じ、ウィルキア各地で 国防軍部を中核とした軍事クーデターが 勃発し、主要都市・軍事施設が制圧された 幸い、国王陛下は艦観のため、近衛旗艦 イダヴァルに座乗されており、ご無事である 陛下のご家族や政府首脳部も、近衛 陸軍の懸命の活躍により、無事近衛各艦に 座乗を果たされた 反乱軍は、陛下と政府首脳の即時引き渡しを 要求してきたが、我々に呑めようはずもない だが、残念ながら戦況は、我々がほうに圧倒的 不利であることは、事実である この状況を鑑み、国王陛下は一時、 ウィルキアからの脱出を決定された 近衛全艦隊はこれより、国王陛下の座乗する 旗艦を護衛し、ウィルキアを脱出する 航路と目的地は後ほど秘匿暗号にて送る 各艦は可能な限り反乱軍追撃艦との交戦を 避け、現有戦力の温存に努めよ 以上だ |
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| ナギ | ……大変な事になりましたね、艦長 |