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*ある山の中。
カイル:だいぶ雲行きが怪しくなってきたな……。
ドール:うん……。早いとこ、峠を越えてしまおうよ。
カイル:そうだな。こんなところで野宿はごめんだし……ん!?どうした?
ドール:カイル……あれは……!?
カイル:……何だ、お前達は……?何者だっ!?
???:ククク……。
???:ヒヒヒヒ……。
カイル:おい!聞こえないのか!?
ドール:……気をつけて!あいつら……人間じゃない!!
カイル:へっ!そういうことか!!おもしれぇ!やろうってんなら、受けて立つぞ!!
???:おやおや、威勢のいいこと。
???:ヒヒッ……そんなに死に急ぎたくば、私がお相手をしてあげましょうか?
カイル:なにっ!?ふざけるなーっ!!
???:フォッフォッフォッ……よかろう!我らの復活、お前達の血で祝おうではないか!!来るべき恐怖へのプレリュードを奏でるがいい!ワッハッハッハー!!
???:アッハッハッハッハッ!
???:ヒィッヒッヒッヒッヒー!!

*所変わって、城の中。

シリア:……以上のように、順調に進んでいます。この調子なら、あと半年足らずでアレサ神殿は完成です……!?どうかなされましたか……?アリエルさま!?
アリエル:えっ!?あぁ、ごめんなさい……。
シリア:……ここ最近お疲れのようですが、何かあったのですか?もし、よろしければ、お話してください。
アリエル:そうね……。実は、近頃決まって同じ夢を見るの……。
シリア:同じ夢……!?
アリエル:そう……カイルとドールが何者かに襲われる夢……。夢が不吉なことを暗示しているのではないかと、それで……。
シリア:お気持ちは判りますが、お二人の力はアリエルさまがよくご存じのはず。大丈夫ですよ、きっと。
アリエル:……そうね。ありがとう、シリア。

*そこにマリーが入ってくる。

マリー:こんにちは!アリエルさま!!お手紙をお届けに来ました!!
アリエル:ありがとうマリー。誰からかしら……?……ドールからだわ!!
シリア:本当ですか?それはよかったですね。……どうしたのです?手紙に何が……?
アリエル:マリー、急いでセアラお婆さまを呼んで来てちょうだい!!
マリー:は、はいっ!!
シリア:どうしたのです……何かあったのですか!?
アリエル:大変なことになったわ……大変なことに……。

セアラ:「親愛なるアリエルへ。今ボクたちは恐ろしい敵と戦っている。再び世界を破滅させようとする邪悪な者たちが現れたんだ!!残念だけど、ボクたちだけでは倒すことはできそうもない。お願いだ!アリエルの力を、『アレサ』の力を貸して欲しいんだ!!最早、一時の猶予もない、できるだけ急いで来て欲しい。ドールより」
セアラ:ふうむ……。
アリエル:お婆さま!私、すぐにもドールのもとに向かいます!!
セアラ:慌てるんじゃないよ!
アリエル:でも!!
セアラ:まあ、話をお聞き。確かに邪悪が平和を乱そうとしているのであれば、再び剣を取り戦わなければならぬじゃろう。しかし、敢えてお前がその役目を担う必要は、最早ないのじゃ。そのためにも、我らがおるのじゃから。それに、今のこの時期に女王であるお前の身にもしもの事があったらどうするつもりじゃ。最早以前のようなわけには行かぬのだぞよ。
アリエル:……わかりました。
セアラ:後のことはこのババに任せておくのじゃ。よいな。さあ、皆の者行くぞ。

*セアラとシリアたち三人は去る。

アリエル:確かにお婆さまの言うとおりだわ……でも……ドールが助けを求めているのよ……私に……。……私……どうしたらいいの……。……うん……そうね……その通りよね……。……うん!……判ったわ!やってみる!!後悔はしたくないもの!!

*アレサ神殿にて

アリエル:ごめんなさい、お婆さま……『アレサの指輪』を借りて行きます……。

*そこにシリアたち三人が入ってくる。

アリエル:み、みんな……。ごめんなさい……私は行くことに決めたわ。止めても駄目よ!もう決心は変わらないわ!!
シリア:いいえ、お止めするつもりはありません。
ミネア:そうよ!あたし達はアリエルさまの意志を尊重しています。
マリー:それに、くよくよ悩んでいるアリエルさまなんて見たくないもん……。
アリエル:みんな……ありがとう……。でも、本当にいいの……?
シリア:心配はいりません。後のことは私たちにお任せください。
ミネア:そうそう!大船に乗ったつもりで!!
マリー:そういうお姉ちゃんのほうが心配だけど……。
ミネア:……あんですって!?
マリー:へへん!本当のことだもーん!!
ミネア:あんたに言われたかないわよ!!
シリア:二人とも、いい加減にしなさい!!
アリエル:クスッ……。
シリア:すみません……。とにかく、私たちでやってみます。その代わり、必ず戻ると約束してください。
アリエル:判ったわ……約束するわ。
ミネア:それじゃあ、あたし達が途中までお送りします。
マリー:他の人たちに知られないうちに早く行きましょう!!
アリエル:みんな、ありがとう。一時も早く帰ってくるから、そのときまでお願いするわ。
シリア:ミネア、マリー。アリエルさまをよろしく頼みましたよ。
ミネア:判ってるってば!じゃあ、行きましょう!!

*アリエルとミネア、マリーは行く。すると後ろの方からセアラが出てくる。

セアラ:行ってしもうたか……。
シリア:セアラさま、本当によろしいのですか?今ならまだ間に合いますが……。
セアラ:……仕方あるまい。今まで私の言うことに逆らうことのなかったあの子が、自分の意志で決めたのだからね……。アリエルとレイラが一人になり、本当の人間のしてのアリエルに戻りつつあるのかも知れぬ。それがよいことか、悪いことかは問題ではない。この先あの子が自分の意志で未来を切り開いて行かなければ、あの子にとっても、私たちにとっても本当の幸せはないのかも知れないねぇ……。いずれにせよ、今の私たちにできることは。あの子の無事を祈ることくらいじゃよ。
シリア:はい……。

*港、船着場にて。

アリエル:それでは行ってきます。
ミネア:気をつけてください!ドール達によろしく!!
マリー:あれぇ〜!?「カイルによろしく!」じゃないのぉ?
ミネア:そんなことどうでもいいでしょう!?
マリー:あ〜っ!赤くなってる!!
ミネア:もぉーっ!あんたって子はっ!!
アリエル:まあまあ、抑えて、抑えて。
ミネア:もうっ!覚えてらっしゃい!!
マリー:もう忘れちゃったよ〜だ!!
ミネア:忘れ……!いけない、忘れるところだったぁ!!アリエルさま、この手紙、持ってってください!!コモの村にシリア姉さんの知り合いがいるそうです。確か、トッドさんていう方だったと思います。なんでも腕利きの猟師だとか……。とにかく、力になってくれるそうです。
アリエル:ありがとう。訪ねてみるわ。それでは後のこと、よろしくね。
ミネア:はい!お気をつけて!!

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