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ダブルキャストのグッドエンディング (4)
学校祭。
校内放送が流れる。
「14時丁度から308教室にて、本日最後の打合せを行います。代表の方は308教室まで集合して下さい。21時までには飾りつけを済ませてください。21時30分、大学の門を閉めます。業務統括実行委員は、模擬店中央に集合」
主人公が校舎の廊下に、映研のポスターを貼っている。
回想。
校舎の屋上から落下する主人公と志穂。
遥と二村がとっさに用意したマットの上に、2人が落ちる。
(あの時はイチかバチかだった)
(美月の人格から目覚めない時は、屋上から一緒に飛び降りてショックを与えてみるっていう計画だった)
回想。
志穂が病院のベッドの上で暴れ出し、看護婦たちが取り押さえる。
(しかし……あの後、もとの彼女、美月の妹志穂さんにはもどれなかった……)
(ほとんどの時間志穂さんではなく美月、凶暴な以前の美月でいるほうが多く、森崎先生始め)
(たくさんの医者や専門家が治療に力を尽くしてくれている)
回想。
ベッドの上の志穂に、森崎先生がカウンセリングをしている。
(だが、あまり経過はよくないと森崎先生に聞かされた)
(もしかしたら、元々彼女は志穂さんではなく美月だったのではないか?)
(自殺してしまったのが、志穂さんだったのではないか?)
(そんな妄想さえも、最近抱くようになってきた……)
(もうこのまま、僕の知っているあの美月にはもどれないのかもしれない……)
「コラ!」
遥が現れる。その声に現実に引き戻される主人公。
遥「また泣いてたでしょ? 自分で言ったでしょ? 自分ががんばんなきゃ彼女を助けられないって」
うなだれる主人公。
遥「しっかりしなさい! 今日できた映画を志穂ちゃんに見せに行くんでしょ? そんな顔してたらだめよ! この前見舞いに行った時みたいにどやされて追い返されるだけ」
うなだれたままの主人公。
遥「大丈夫、この映画を見ればきっと記憶がもどるわ……」
ポスターの志穂の顔を撫でる遥。
遥「だってこの映画には、あの頃の楽しい思い出がいっぱい詰まってるんだから」
The End
とらわれた心
Good End 04