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ダブルキャストのバッドエンディング (3)


映研の撮影旅行の夜。


「キャァァァァァァッ!!」

宿泊先である遥の別荘で、女性の悲鳴が響く。
主人公の隣のベッドでは、同室の二村が熟睡している。

主人公「今の声は!? 女の悲鳴…… まさか、美月! 二村、二村!」
二村「ん〜?」
主人公「今の悲鳴、聞こえなかったか?」
二村「ひめいなんて知らないよ」
主人公「確かに聞こえたんだけど……」
二村「夢でも見たんだろ…… じゃあ、おやすみ……」

二村が布団を頭までかぶり、再び寝に入る。

主人公「寝ぼけてたのかな…… 気のせいだ、きっと……」

夜が更けてゆく。


主人公たちの部屋のドアが開く。
部屋に忍び込んだ何者かが、主人公目掛けてナイフを振り下ろす。
──が、二村が後ろから取り押さえる。

二村「そうはいかないって!!」
主人公「二村! しっかり捕まえてろよ!」
二村「OK!」

主人公が照明をつける。
犯人の顔が露わになる。

二村「き、君は……まさか……なんで!」

ナイフが振り下ろされ、二村の血が壁に飛び散る。

主人公「ウソだろ……なんで!? なんの理由があって……」


主人公目掛けてナイフが──。


狂気 (1)
Bad End 03



ダブルキャストのバッドエンディング (4)


バッドエンディング(3)の主人公「寝ぼけてたのかな……」より続く。


主人公「いや、確かに聞こえた……」


二村を部屋に残し、主人公は部屋を出る。

主人公「間違いない……確かに聞こえた!」

翔子の寝室の前に遥が立っている。

主人公「あっ、部長」
遥「あなたも聞いたの?」
主人公「はい。でも、寝てたんではっきりとは……」
遥「私には聞こえたわ。翔子ちゃんの声がはっきりと……」

主人公「なんだ、寝言だったんだ。……心配して損した…… じゃあ、おやすみなさい……」
遥「コラ! ホントに寝言だと思ってんの?」
主人公「そうに決まってる。あったり前じゃないですか! じゃあ、明日も撮影早いんで、おやすみなさい……」

夜が更けていく。


明朝。
別荘が焼け落ち、廃墟と化している。

「昨夜未明から怒った火災の焼け跡から、男女数名の遺体が確認されており、現在身元の確認を急ぐとともに、警察では放火の疑いがあるとみて、捜査を続けております……」


TVニュースを見つめる佐久間……。


狂気 (2)
Bad End 04



ダブルキャストのバッドエンディング (5)


バッドエンディング(4)の遥「私には聞こえたわ〜」より続く。


主人公「とりあえずノックしてみましょう」

遥がドアをノックする。

遥「やっぱりダメ、反応なし」
主人公「部屋の鍵って?」
遥「持ってきてるわ」

遥がマスターキーでドアを開ける。

遥「い〜い? 開けるわよ……」

真っ暗な部屋に入る2人。

遥「翔子ちゃん?」
主人公「返事がありませんね」
遥「そうね……翔子ちゃん?」
主人公「部長! 気をつけて」
遥「あぁっ!」
主人公「ぶ、部長!」
遥「大丈夫、つまづいただけだから」

翔子のベッドは、もぬけの空。

主人公「翔子ちゃん、いませんね」
遥「え、あらホント…… どこ行っちゃったのかしら……」

水の流れる音。
主人公たちがその方向に目をやると、そこはバスルームのドア。

遥「あ……」
主人公「部長、お願いします」
遥「あなた開けなさい、命令よ」
主人公「いや、女性が入浴中のドアを開けることは……」
遥「部長の言うことが聞けないの?」
主人公「わかりました、開けます……」

主人公がバスルームのドアを開ける。
そこには──血に染まった湯船に浸かる、動かなくなった翔子の姿。

主人公「うっ!! うわぁぁぁぁぁぁぁ?!! いったいなにが起こったんだ…… まだ生きているかもしれない! まだ息があるかもしれない。とにかくお風呂からあげないと」

翔子を引き上げた、そのとき──。

遥「キャァァァァァッ!!」
主人公「うわぁ!!」
遥「……!!」

あまりに無惨な遺体の姿に主人公が驚き、遥が嘔吐する。
腰の抜けた遥を、主人公が廊下へ連れ出す。

主人公「とにかく誰かに知らせましょう…… ここにいてください。とりあえず剛田先輩たちに!」

先輩部員の剛田の部屋に駆けつける主人公。

主人公「先輩! 起きてください」

ドアのノブに手をかける。

主人公「あついっ! ……なんでノブが熱いんだ!?」

思わず手を離す。

主人公「ドアノブが照れている?」


大爆発。


遥「気がついた?」
主人公「あれ、どうしたんですか? あ……」

そこは別荘の外。
既に別荘は火の海と化している。

主人公「燃えている!! 部長! なにがあったんです!!」
遥「とても恐ろしいこと……」
主人公「みんなは? 他のメンバーは?」
遥「剛田が守ってくれたの……私たちだけ先に逃げろって……」
主人公「そんな…… 赤坂さん…… 美月…… 美月は!!」
遥「大声出さないで、あなたは火傷がひどいのよ。あとで話してあげる、今はおとなしくしててね……」
主人公 (確かにその通りだ……身体が動かない…… 眠い…… 寒い…… 夏だというのになぜ、こんなに寒いのだろう…… あぁ……)

別荘の炎の海の中から、人影が現れる。

遥「剛田……」

剛田の無事を喜ぶ遥。
だが、それが剛田でないことに気づき、表情が凍りつく。
その人影の手に、ナイフが光っている──。

遥「キャァァァァァッ!!」


狂気 (3)
Bad End 05



ダブルキャストのバッドエンディング (6)


バッドエンディング(5)の主人公「あついっ! 〜」より続く。


主人公「まさか……火事! 部長! 火事です!! 逃げましょう!」

主人公が遥を連れて階段を降りる。
そんな2人を追うように、段上に人影が。

主人公「誰かいる!」

人影が階段から転げ落ちる。
剛田である。頭から血が流れている。

剛田「部長…… オレです……剛田です……」
遥「どうしたのいったい!? なにがあったっていうの!」
剛田「部屋に入れたら、急にナイフを振りかざして……」

遥の顔を見上げる剛田の表情が強張る。
遥の背後に、ナイフを手にした人影が迫っている。

遥「誰、誰がナイフを!?」

背後に気づかない遥。

主人公 (とにかく逃げよう)

剛田「部長を頼むーっ!! 早く部長を!!」

犯人を取り押さえる剛田。
主人公が逃げ出そうとし、勢い余って階段下へ転げ落ちる。
転落の拍子にケガをしたか、膝から血が流れ落ちる。

剛田「なにやってんだ! こっちに来て部長を連れてってくれーっ!!」
主人公「そんなこと言っても、立ち上がれない……」
剛田「部長、逃げて下さい!! 早く、はや……」

ナイフが一閃。剛田の血が遥に降りかかる。

遥「イヤァァァァァァッ!! イヤ、お願い…… 助けて……」

腰が抜けた遥、床を這って必死に逃げる。

遥「お願い……お願いよ……助けて…… お願い!……お願い……おねが……」

動けない主人公に、犯人が迫る。

主人公「もうダメか……逃げられない…… お前は誰なんだ? それになぜ、僕たちのことをこんな目にあわせる?」

火柱が立つ。
その灯りに照らされ、露わになった犯人の顔は──美月。

主人公「まさか…… なんで!?」


驚愕する主人公を目掛け、ナイフが振り下ろされる──。


狂気 (4)
Bad End 06



ダブルキャストのバッドエンディング (7)


バッドエンディング(6)の遥「誰、誰がナイフを!?」より続く。


主人公「部長が危ない!!」
剛田「部長を頼む!!」
遥「キャァァァァッ!!」

剛田が犯人を取り押さえる。
犯人から部長を助けようとした主人公、勢い余って2人とも階段下へ転げ散る。

遥「剛田!!」
剛田「今のうちに逃げて!!」
遥「でも……」
剛田「早く!」

主人公の膝から血が流れ出ている。

遥「どう、立てる?」
主人公「いえ、どうも……階段から落ちたとき、ケガしたみたいで……足が動かないんです」
遥「肩かすわ、行きましょう」

遥が主人公に肩を貸し、2人で玄関を目指す。
玄関を出ようとしたとき、大爆発。2人は外へ吹き飛ばされてしまう。
遥の脚には無数のガラス片。立ち上がろうにも立ち上がれない。

別荘の炎の海の中から、人影が現れる。

遥「剛田……」

剛田の無事を喜ぶ遥。
だが、それが剛田でないことに気づき、表情が凍りつく。
その人影の手に、ナイフが光っている──。


遥「キャァァァァァッ!!」


狂気 (5)
Bad End 07



ダブルキャストのバッドエンディング (8)


バッドエンディング(6)の遥「誰、誰がナイフを!?」より続く。


主人公「あいつ、もう許せない!!」

主人公が犯人を取り押さえる。

主人公「部長! 剛田さんを連れて逃げてください!」
遥「でも……」
主人公「早く!!」

そのとき、火事の炎の灯りに照らされ、犯人の顔が露わになる。

主人公「え!?」
遥「そんな……あなたが翔子ちゃんを……」
主人公「そんな…… まさか!!」


驚愕する主人公を目掛け、ナイフが振り下ろされる──。


狂気 (6)
Bad End 08
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