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※「ユグドラシルバトル」モードは、全9編構成です。

ロイド&コレット編

『騎士と神子(みこ)』

コレット:わ、私たち……。
ロイド:勝った……のか!?
クレス:おめでとう、ロイド。おめでとう、コレット。
ミント:あなたたちが次代の『世界樹の騎士』、そして『世界樹の神子(みこ)』です。
ロイド:やった……やったな、コレット!
コレット:うん……うん!みんな、ロイドのお陰だよ。
ロイド:そんなことないよ。ずっと俺を支えてくれたのはコレットの想いだからさ。
クレス:あれが『大いなる実り』だ。『大いなる実り』は、マナの源であるのと同時に、手にした人間の願いを一つだけ叶えてくれるんだ。
ミント:さぁ、あなたたちの願いを『大いなる実り』に告げてください。
ロイド:コレット、願いを言えよ。
コレット:でも、願いは一つだけだって……。
ロイド:俺はいいんだ。『コレットを世界樹の神子(みこ)にする』って願いは、もう叶っちゃったからさ。
コレット:……じゃあ、私の願いを言うね。誰かのために、みんなが少しだけ優しくなれる世界でありますように――。
ロイド:そんな願いでよかったのか?
コレット:うん。本当は、みんながロイドみたいになってくれるといいんだけど、さすがにそれは無理だと思うから。
ロイド:おいおい、みんなが俺になったら、俺は、すっげー嫌だぞ!?
コレット:でも、きっとみんなが幸せになるよ。今の私みたいに!だからね、私は次も次も次もユグドラシルバトルに勝って、同じことを願いたい。
ロイド:次の次の次のユグドラシルバトル!?はぁ、随分先の長い話だなぁ……。
コレット:ごめんね、ロイド。……付き合ってくれる?
ロイド:ばーか、当たり前だろ!頑張ろうぜ、コレット!いつか、みんなが幸せになる世界のためにさ!
コレット:うん!





クレス&クラトス編

『断ち切られし鎖』

ロイド:あ〜あ〜〜〜また負けたっ!やっぱクレスもクラトスも強えぇなぁ!
コレット:次は勝てるようにがんばろうね、ロイド。
クレス:ははは、君たちの成長ぶりは見届けたよ。もう僕の弟子は卒業だね。ご褒美に『大いなる実り』にひとつ願いを言うといい。ユグドラシルバトルの勝者は『大いなる実り』の力で一つだけ願いを叶えることが出来るんだ。
ロイド:え!?でも、俺たちは負けちゃったんだぜ?
クレス:いいんだよ。僕たちこそ、本来なら予選敗退だからね。
ロイド:願いか……『クラトスより強くなりたい!』な〜んて願いは反則だしな。う〜〜〜ん……。ごめん、クレス。せっかくだけど、特に願いはないよ。
クラトス:ふっ!ふふふ。ロイド!お前という奴は――。
ロイド:うわっ、びっくりした!クラトスも笑うんだな!?
コレット:クレスさんたちには何か願いはないんですか?
クレス:……本当にいいんだ。ミントの仇を討った今、僕に、もう願いなんてないんだから……。
クラトス:後悔とは、心を同じ刻(とき)に縛り付けるのろいの鎖……か。ロイド、お前に願いがないなら、頼みがある。『大いなる実り』の力で、クレスの後悔の鎖を断ち切ってやってくれないか?
クレス:クラトスさん……。
ロイド:……うん、わかった!『大いなる実り』よ!クレスの後悔の鎖を断ち切ってくれ!!

クレス:ああ……あ……。生きて……いたんだね……。
ミント:……はい。
クレス:ああ、ごめんよ……僕は……僕は……。
ミント:泣かないでください、クレスさん。あなたに会えて、こんなに嬉しいことはないんですから。
クレス:ああ、僕もだよ……。おかえり……ミント。





リオン&カイル編

『遺伝』

スタン:強く……なったな、カイル。
ディムロス:まさか、我らが敗れるとは……。
カイル:父さん、大丈夫?ごめん、オレ……。
リオン:……諦めろ、スタン。これでお前の旅も終わりだ。
スタン:……ごめん、ディムロス。
ディムロス:構わん……。
リオン:立て、スタン。
スタン:リオン……。
リオン:僕は今度こそ、お前を止めたぞ。
スタン:……ああ。だけど……これからどうしよう。
リオン:どういう意味だ。
スタン:騎士国家(フレスヴェルグ)へ帰ろうにも……帰れるのかな。
リオン:何?
カイル:大丈夫だよ!オレたちは帰れるよ、絶対にね!
スタン:カイルがそう言うと、なんだかそんな気がしてきたよ。
リオン:くくく……ははは。
スタン:どうしたんだよ、リオン?
リオン:スタン……。お前は昔から言い出したら絶対に聞かなかったな……。だが、今回ばかりはすべてカイルのわがまま通りになった。
カイル:オレのわがままってなんだよ!オレのわがままは父さんのが遺伝しただけだ!
ディムロス:その通りかもしれんな。
スタン:おい、ディムロス。俺、カイルみたいにわがままじゃないぞ。
リオン:下らん、二人とも国に帰るぞ。
スタン:ああ。
カイル:オレはシグルスになって変わったんだ!だから、オレはわががまじゃないってばー!

リオン:だが、その力がカイルの世界を一変させたんだ。どうやら、その遺伝少しばかり……僕にも……お前と共に過ごした時間。悪くはなかったとだけ、言ってやる。





スタン編

『そして……』

リオン:急げっ!
カイル:間に……合わなかった。
スタン:立ち止まるな。まだ門まで行けば……!
ディムロス:無理……だろうな。外から門を開くフラッグも既に消滅している。
リオン:一生……このままか……。
カイル:何か方法があるはずだよ!それを探せば……!ね、父さん!リオンさん!
スタン:カイル……。ごめん……。
ディムロス:…………。
カイル:オレは諦めないからね!どんなに無理なことでもやってみせる!
スタン:でも……。
ディムロス:カイルの言う通りだ……。
リオン:何か思い当たるのか?
ディムロス:我が共振を起こす。
スタン:きょう……しん?
ディムロス:先程のバルバドスとの戦闘でレンズエネルギーの使い方が判った。我を魔界の扉に突き刺して共振を起こせば、扉を破壊できるかも知れん。
カイル:うん、それなら!
スタン:ダメだ!レンズのエネルギーで共振を起こして、お前は無事でいられるのか?
ディムロス:それは……。恐らく、我の身体はコアとともに瓦解する。
スタン:なら、ダメだ!
ディムロス:ではどうするのだ!何かを代償にせず、全てを得られると本気で思っているのか!?お前には二つの道しかないのだ。再び家族を見捨てるか!それとも、ここから出るかだ!
スタン:だけど……!
ディムロス:スタン……我はもういいのだ。バルバドスへの憎しみが消えた今、我は最早、ただの剣だ。願わくば、お前たちの行く末を見てみたいと思ったが……これが最善の選択なのだ。さあ、我を門に突き立てろ。
スタン:それしか……ないのか。
ディムロス:しゃきっとせんか!我の相棒(パートナー)だろう。最後ぐらい、我の言う事を聞いてくれ。
スタン:ディムロス……すまない……。
カイル:ダメだ!
スタン:カイル……?
カイル:ダメだったら、ダメだ!ディムロスさんを犠牲になんかしない!
ディムロス:カイル、気持ちは嬉しいぞ。だが……。
カイル:ディムロスさん、自分で言ったでしょ!オレたちの未来を見たいって!そんな気持ちになるのは、人間だって証拠じゃないか!それに……えっと……だから!
リオン:……ふっ。
スタン:リオン!こんなときに何を笑ってるんだよ!
リオン:そんな顔で、嫌だの、ダメだの言い出したカイルは、もう、どうにもならないぞ。誰かさんにそっくりになっただろう、スタン?
スタン:でも……。あの前回大会からディムロスと一緒にいて、俺は知ってる。どうやったって、変えられない事だってあるんだ……。
リオン:変えられない…………!カイル!
カイル:あ、そうか!
スタン:……どうしたんだ?
カイル:父さん、ディムロスさん、変えられるんだよ!どんなに難しいことでも『願い』さえすれば、変えられるんだ!たった一つだけどね。
ディムロス:まさかお前たち……。
リオン:『大いなる実り』の願いがある。
スタン:それじゃあ……カイル、ユグドラシルバトルで優勝したのか!?
カイル:うん!ちょっと待っててね。
ディムロス:そうか……。カイルはもうスタンを超えたのかもしれんな。
リオン:スタン、既にカイルは国を代表する剣士だ。今度は僕たちが国にいて、カイルたち次の世代を支える番かも知れない。
スタン:俺にとっての、ディムロスのように、か。
ディムロス:ああ、その通りかもしれんな。
カイル:もう、父さんたち何を話してるの?準備出来たよ!
スタン:あ、ごめんごめん。それじゃ、カイル。頼むよ。
ディムロス:礼を言わせて貰うぞ。
リオン:さあ、やれカイル。僕たちは騎士国家(フレスヴェルグ)へ帰るんだ。
カイル:うん!『大いなる実り』よ……願いをきいて……。この閉じられた魔界から出て……オレはリオンさんやディムロスさん!何より父さんと一緒にいたいんだ!ずっと!





ルーク&ティア編

『願い』

アッシュ:くっ……この俺が……このクズに負ける、とは……。
ティア:……うっ。
ルーク:ティア!大丈夫か!
ティア:大丈夫……よ……。
アッシュ:……お前たちは……『大いなる実り』に、何を望むんだ……。
ティア:それは……。
ルーク:争いと憎しみのない平和な世界、だっけか。
アッシュ:は……壮大な妄想だ……。
ティア:…………。
アッシュ:第一、ルーク……お前は戦うために生み出されたレプリカだ。争いがなくなれば、お前の存在に意味がなくなる。お前は、あのレプリカたちのように消されるだけ。
ルーク:そんなの……承知の上だよ。
ティア:ルーク……!
ルーク:人に作られた人は世界の旋律(リズム)を狂わせる……だったっけか。レプリカはこの世界にいちゃならねー存在だ。
ティア:それを知ってて、あなた……。
ルーク:しゃあねーだろ……。もし、俺が消されても、お前の記憶の中に俺が行き続けるなら、それでいい。お前、俺のこと、認めてくれただろ、相棒(パートナー)だって。
ティア:…………。
ルーク:さぁ祈れよ。せっかく『大いなる祈り』を手に入れたんだぜ?
ティア:……無意味だわ……平和な世界を願うなんて……。
ルーク:なんだよ、それ……!?
ティア:そんなもの……壮大な妄想よ。人間がいる限り、争いごとはなくならないし、平和なんて来ない……。それを望みかなえてもらうことなんて無意味だって知ってた……。
アッシュ:ふん……。
ルーク:何だよ……じゃあ、船の上で俺に話したことはなんだったんだよ!?
ティア:聞いて、ルーク。……たとえ、そうであったとしても……人は平和を望み続け、争いを否定しなければならない。平和であることも大事。でも、それ以上に大切なのは、その気持ちだと思う。
ルーク:気持ち……か……。それじゃあ、『大いなる実り』の願いってのは俺が貰ってもいいんだな。
ティア:いいわ……。でも……何を願うの?
ルーク:『大いなる実り』!俺の願いを聞いてくれ。ティアの身体に取り憑いてる病気の野郎をぶっ飛ばしてくれ。
ティア:あなた……。
ルーク:命がけも悪かないけど、その気持ちを一番に持ってるお前が死んだら、それこそ無意味じゃねーか。
ティア:……そう、ね。
アッシュ:茶番だな……。平和を望む者ですら、理不尽な境遇に陥れば憎悪を芽生えさせる。それが人間だ。
ティア:たとえ、そうだとしても……。私はその憎悪を否定し、その奥にある本当の答えを探していきたい。私はそのために行動する。新帝国(ニーズホッグ)の軍人として。
アッシュ:俺は……俺を翻弄したこの世界が憎い。憎悪などというのはそう簡単に消えるものじゃない。だが、もし、お前がそれを否定し続けるというのであれば……足掻くがいい。
ルーク:……あいつ……どうして、あれほどまでに……。
ティア:判らない。深い事情があるのかも知れない。彼の言う通り、それで生まれた憎悪は簡単には拭い去れない。
ルーク:それでもやるんだろ、お前は。
ティア:ええ。さあ、帰りましょう。……あ、それと。言っておくけれど、私はまだ、あなたのことを相棒(パートナー)だなんて認めたわけじゃない。
ルーク:さっき、相棒(パートナー)だって言わなかったか!?
ティア:言ってないわ。
ルーク:いや、言った!……てか、もうユグドラシルバトル終わっちまったじゃねーか。あっ!そーなったら、もう相棒(パートナー)とかそういうの関係なくねーか?
ティア:そうね、残念ね。
ルーク:だったら、こういうのはどうだ。お前の、その平和な世界を望むってのに俺も協力するとか。
ティア:……勝手にすれば。
ルーク:上手くいったら、相棒(パートナー)として認めて……おいっ!待てってば……!





ジェイド&アニス編

『過去に囚われた心』

アッシュ:バ、バカな……俺は最強の戦士……敗北は……許されない……。
ジェイド:アッシュ、確かにあなたは強い。ですが、その強さは三年前から成長していない。過去に囚われ続ける心があなたの成長を止めているのですよ。
アッシュ:へっ、それが『レプリカ原型』としての俺の評価かよ?そりゃあ、帝国執行部も、俺の『廃棄』を決定するはずだぜ。
ルーク:アッシュ、お前は……。
アッシュ:うるせぇっ!!俺はもっと強くなる!強くなってみせる!!……レプリカ野郎に出来て、俺に出来ないはずがないんだからな。
アニス:追いかけますか?
ジェイド:追いかけても、私には、何も出来ません。アッシュが、どのように成長するかは彼次第です。
アニス:きっとまた襲ってきますよ。
ジェイド:そのときは、戦うしかないでしょう。……死なないように頑張りましょうね。
アニス:うう、やっぱり私もですかぁ……。
ミュウ:『ベルザンディフラッグ』が全部揃ったですの!
ジェイド:では……このフラッグはあなた方に差し上げます。
ルーク:差し上げますって……これは世界樹の間に入る鍵『ウルズフラッグ』だぞ!?どういうことだよ?
ジェイド:『大いなる実り』に願う権利をあなた方にお譲りするということです。
ティア:でも、それは……。
ミュウ:ルール違反ですの!みゅうぅ〜〜〜……。
ジェイド:同じ新帝国(ニーズホッグ)のシグルスじゃないですか。固いことは言いっこなしですよ。……行きなさい、ルーク。あなたには叶えたい願いがあるのでしょう?
ルーク:……ありがとう、ジェイド。
ジェイド:礼はいりませんよ。面倒な責任を、あなたたちに押し付けるだけですから。

アニス:いいんですか?フォミクリー施設を消滅させるって願いを叶えなくて……。
ジェイド:あの二人を見ていたら、どうでもよくなりました。
アニス:はぁ……いーかげんですねぇ。
ジェイド:あなたには申し訳なかったですね。玉の輿相手を見つける願いを叶えられなくて。
アニス:……それも、どーでもよくなりました。
ジェイド:ははは、いーかげんですねぇ♪
アニス:これで私たちのユグドラシルバトルは終わったんですね。
ジェイド:……いや、まだ一つ、忘れていたことがあります。あなたへのお礼です。アニス。最後まで私のわがままに付き合ってくれて、ありがとう。
アニス:ど、どーしたんですか大佐!?まさか、ルークが『大いなる実り』に『大佐の性格がよくなりますように』ってお願いしたとか!?
ジェイド:ひどい言われようですね。せっかくしんみりとお礼を言ってみたのに。
アニス:変に気を遣わないでくださいよ。性格極悪でなきゃ、大佐らしくないですよ?
ジェイド:ははは。極悪で、いいんですね?
アニス:いーんです♪パートナーの私が言うんだから、間違いありませんよ♪





ユーリ&ファラ編

『お祭りの歌』

ダオス:ここまでして負けるとはな……。私の想いが……貴様らの想いに負けるとでも……。無念、だ……。
ファラ:私たちの想い、甘く見ないでよね。
ユーリ:これが、『大いなる実り』……。
???:あなたたちの戦いから、その強く熱い想いを受け取りました。どうぞ、『大いなる実り』をあなたの手に……。
ファラ:わぁ……。
???:『大いなる実り』が一つ、あなたたちの願いを叶えてくれるでしょう。
ファラ:あ、そうか。えっと……何にしよう、かな……。
ユーリ:ん?何だよ、決めてなかったのか?
ファラ:え?あ、うん。あはは、願い事の方は何も考えてなかったから……。そうだ!大っきな農場作って、収穫高倍増!……あ、でもダメだ、働いてくれる人いないし……。そう言えば、みんなミルク、飲みたがってたから、乳牛たくさん貰って……あ、村長さんちのミシン、壊れてたっけ、あれを直すとか……。
ユーリ:……。
ファラ:……子供たちが、次のお祭りで歌う歌が作れないって悩んでたっけ……。
ユーリ:……それに決定な。こいつに一曲、歌を作ってやってくれ。
ファラ:え?あ、ちょっと……。
???:『大いなる実り』があなた方の願いを聞き届けました。きっと、この歌はあなたの村へ届き、豊かな歌になるでしょう。
ファラ:むーちょっと、ユーリったら……。
ユーリ:早く決めないから、だろ。
ファラ:もぉ……。……ま、いっか。ユーリ、責任とって、うちの村に来てね。
ユーリ:はぁ?なんだよ、それ。
ファラ:ユーリが願ったことなんだから、ちゃんとみんなと一緒に歌うの。
ユーリ:何だ、そのよくわかんねぇ理屈……。
ファラ:そうだ、ついでに畑仕事も手伝ってもらおうかな。
ユーリ:あのなぁ……オレは勘弁だぜ。
ファラ:へーきへーき、問題ないってばっ!





マオ&カイウス編

『世界樹とマオ』

ダオス:私の想いが……敗れる、とは……。ユージーンよ……どうして真実を知ってなお、『大いなる実り』を持ち帰ろうというのだ。
ユージーン:それは、世界樹の意思を見たため。
ダオス:世界樹の意思、だと……?
ユージーン:ああ。『大いなる実り』は、世界樹の人間に対する大いなる慈愛なのだ。自らを巡って争いを絶やさぬ憐れな人間へのささやかな恵みなのだ。だから、三年ごとに実をつけ、人間の世界を救い続けている。
ダオス:そうした世界樹の心に付け込み、いつまでも人間は世界樹に甘えるつもりか。
ユージーン:……そうだな、いつか、人は世界樹から乳離れしなくてはならないのかも知れない。
ダオス:今はその時ではない、と……?
ユージーン:もし、人が世界樹を頼りとしなくなれば、『大いなる実り』がこの樹の下にならなくなる。頼りにされるからこそ、世界樹は人々の声に応えている。
ダオス:笑止。では、真の繁栄は私の幻想だとでも?
ユージーン:それは俺には判らない。だが、その可能性もある、ということだ。
ダオス:…………。
ユージーン:マオ。お前の母親に挨拶をするといい。
マオ:え……?お母さんって……誰が?
ユージーン:目の前にいるだろう。お前の母親はこの世界樹だ。
マオ:どういう……こと……?
ユージーン:六年前、『大いなる実り』に乞われて生まれたのがお前なのだ、マオ。
マオ:ボクが……『大いなる実り』の力で?
ユージーン:ああ……三年前、お前を連れてきたのは、真実を伝え、お前を母に会わせるためだ。結局、あの騒ぎで、それも果たせなかったがな。
マオ:……そっか……。そういうこと、なんだネ……。……お母さん……。
ユージーン:さぁ、マオ、カイウス。『大いなる実り』にお前たちの望みを。
マオ:え?あ、そっか……うーん……あれ?そういや、ボク、ユージーンに会いたかっただけなんだっけ。カイウスは?
カイウス:オレも、ユージーンにこうして会えたし……。
マオ:……でも、カイウスはレイモーンも人間もない世の中を望むって……。
カイウス:あれは……。……もういいや。だって、マオはオレを受け入れてくれた。ユージーンだってさ、守備隊長として多くの人々に受け入れられているんだろ。望みっていうのはさ、自分と周りが叶えていくもので、何かに叶えてもらうものじゃないんだなって。
マオ:そうだね。たとえ、その望みの裏で犠牲になってる人がいたとしても、自分の力で叶えたなら、その傷を受け止めることが出来る。
ユージーン:……聞いたか、ダオス。『大いなる実り』がなければ人は暮らしてはいけない。しかし、この子らのように、人がその望みを自力で叶えるならば、あるいは、その分、消費されるマナは少なく、『真の大いなる実り』は実現可能かも知れない。
ダオス:すべての人間がその子らのように自らの手で願いを叶えようとするとは限らない。
ユージーン:だとするならば、そのように努力するまでだ。
ダオス:何百年、何千年……掛かるかわからない。
マオ:いいじゃない。ゆっくりやれば。もしかして、ボクには永遠の命が宿っているのかもしれない。だから、ボクが見届けるヨ、何百年、何千年先まで。
ダオス:……まさか……お前はそのために生まれてきたというのか、オルセルグ……。世界樹とともにある人間の歩みを見つめ続けるために、世界樹はこの者を作り出したというのか。
マオ:そうなの……?お母さん。
ダオス:……世界樹の子、オルセルグよ。その無垢なる瞳でこの世界を見よ。広く、そして公正に。……いつか、判るだろう。人の傲慢さはいつまでも変わらず、真の繁栄など決して訪れないと。私は願う。そのとき、お前が人々に、正しき真理を下すことを……。
カイウス:正しき真理って……何だろ?
マオ:さぁ……でも、ボクは信じるヨ。真の繁栄が来ることを。
ユージーン:そうだな……俺も信じている。
マオ:はぁ……なんかほっとしたら、急にお腹が空いてきちゃった。
カイウス:……相変わらず、緊張感がないな、お前って。
ユージーン:よし、じゃあ、海で魚を獲るか、森でウサギを獲るかして、丸焼きにするか。
マオ:え〜、どこか宿屋で食事とかにしない?
カイウス:こんな島にそんなものあるわけないだろ?
マオ:残念でした!精霊闘技場にはシグルス用の宿屋があるんだヨ!
ユージーン:そういえば、お前たち、どうして二人でユグドラシルバトルに?
マオ:それはね……。
カイウス:それはね……。

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