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周りの人が俺と保奈美が幼なじみの関係からなかなか抜け出せない為か
くっつけようと仕掛けてるらしい……。
確かに俺も保奈美もどっちかが告ったなんてこともないし、『付き合う』って区切りをつけた事もないし
保奈美と話していてもそんな色っぽい話が出てきたことはない。
それ以前に保奈美はどういうつもりで俺と一緒にいるんだろう。
幼なじみだから惰性で?それだけで毎朝俺を起こしに来るのも……普通じゃないよなぁ。
でも、朝から、ベッドで寝起きの青年をくすぐり攻撃してくるあたり……。とかで
保奈美のことで思考がぐるぐる回っている気がした。

そしてある日俺は保奈美と一緒に海に行き、なりゆきでそのままお泊まりすることになり
その後俺と保奈美は本当の意味での恋人同士になった。
そして学園では俺と保奈美がくっついたのを知ると「遅すぎるんじゃないかな」とか
「あれ?とっくに付き合ってるのかと思ってた」とか反応はいろいろだった。

俺はそんな保奈美と楽しい学校生活を送っていた。しかしある日学園に悪い噂が流れる。
なんでも俺が夜中に学園の辺りをうろうろしてしかも温室のガラスを割ったそうだ。
ちなみに俺は夢遊病なんかじゃない!ちゃんとそれを証明できる検証をいろいろやったんだからな。
でもその検証も空しく何人かが俺を夜中の学園で見たという証言があった。
そこで俺と保奈美は真犯人を捕まえるべく夜の学園に忍び込んだ。
そして……温室のガラスに拳を突き出した人影に俺は飛び出し保奈美はデジカメのフラッシュを焚いた。
フラッシュの光で浮かび上がった姿は俺にそっくりな男であった。
男は逃げ俺はそれを追いかけるが保奈美も俺の後を追った。その時俺は鈍い痛みを頭の中で感じていた。
ただ、その逃げる人影も俺と同じような頭痛に苦しんでいた。
警報装置があるにも関わらず俺達は校舎に入り男を屋上で追い詰めた。
装置の影響か屋上の扉から何故か恭子先生が現れた。
そして恭子先生は男に向かって「祐介君」と言った。
確か『ゆうすけ』は、美琴が俺を間違えて呼んだ名だ。まさかその祐介会うとは思ってなかった……。
そして祐介をどうにか捕まえた俺達は恭子先生に「明日このことを説明する」と言った。
次の日俺と保奈美は保健室で恭子先生から自分が100年後の世界から来た人間で
その世界があるウイルスによって人類がほぼ壊滅していること、自分が唯一のそのウイルスのワクチン研究者であること
ウイルスは致死性が高く蔓延していること、時空転移装置で一握りの未感染者が現代に非難していること、
ウイルスには感染したらすぐ死んでしまう甲種と感染しても何年か生きられる乙種がいること、
乙種に感染すると甲種には感染しなくなるが、治療法がまったくと言って良いほどない為感染=死ということになること、
恭子先生がウイルスに対抗するワクチンの研究を進めていること、祐介を対象に様々な治療の臨床実験を行なっていること、
美琴も100年後の人間であること、祐介が美琴の弟であることを話してくれた。
正直言ってその話には付いていけなかった。
そして時計塔の地下の病室に向かい、美琴から自分も未来人であることを聞いた。
さらに保健室にてワクチンの実験を行なっている恭子先生に変わって保険医をやっている結先生から
結先生も自分が100年後の世界から来た未来人であることを聞いた。

それからしばらくして波風立たない日が続いたが、俺は最近変な夢をみることが多くなってきたいた。
祐介が見つめているはずの病室の屋上祐介が見ていた100年後の世界を夢のはずなのに俺は鮮明に覚えていた。
そして、こういう夢を見た翌日は、必ず寝た気がしない。おかげで最近はずっと、ふらふらしている。
保健室で寝させてもらうのが、唯一の体力回復手段になっていた。
そして保健室で美琴から祐介は本当の弟ではなく5年前(100年後での)に記憶をなくしている為天ヶ崎家の養子にしたこと、
両親をウイルスでなくし、祐介と二人で助け合っていたことを話した。そしたら保奈美が突然保健室を出た。
慌てて保健室を出た保奈美を追って俺は時計塔の一室についた。
そこで保奈美から5年前に起こったことをすべて話した。
神社の裏手、学園のすぐ裏には、あまり知られていないけど見晴らしのいい場所あり、5年前にそこで俺と、俺の両親と保奈美は
お弁当を持って軽いハイキングのようなことをしていた。しかしその日5月5日に俺の両親と記憶を失った事件が起こった。
偶然なのか必然なのか、100年後の5年前の5月5日には時空転移装置が暴走しかけたそうだ。
まさか俺の事故と100年前の事故にこんな繋がりがあったとは聞いた当初は思ってなかった。
そして保奈美は、俺と祐介が同一人物じゃないかと思っていた。そして保奈美の予感は当たっていた。
俺と祐介のDNAはまったく同じで親子兄弟や双子なんかのレベルじゃないくらい同一人物であることが判明した。
俺の方も白昼夢なのか起きているにもかかわらず100年後の世界を見るようになっていた。
祐介との融合が進んでいるようだ……。
俺と祐介が融合すれば、記憶が戻るかもしれないが、記憶が二人分あることになりその部分が重複しているのを
解消しようとすると、俺か祐介のどちらかの記憶が……失われてしまうことになってしまう……。
そうなると……今まで保奈美と過ごしてきた記憶が……そんなのを失いたくない。
そこで俺は融合するかどうかを一晩考えることにした。

保奈美も、俺を失うことを恐れていた。そして自室で俺が保奈美を忘れないように、保奈美のことを焼きつかせるために
俺と抱き合い……キスをした……。今までに無い積極的なキスだった。だが『もしも』のことが起こるとなると怖かった……。
保奈美に俺を深く刻み込んで、もし俺が消えてしまったら……それは保奈美を傷つけることになるのではないか?と思っていた。
そんな不安を保奈美は見透かすように感じ、俺を慰めた。
そして保奈美を家まで送り……別れた……。正直言って離れたくなかった……そこまで保奈美は俺にとって大きな存在であった。
そして恭子先生からの電話で俺は祐介と融合することを決心した。当然、祐介も同じ意見であった。

次の日、俺は保奈美が来る前に目が覚めた。そしてすぐさま寝てるフリをする。
そして保奈美が起こしに来たのだが……その声はとても寂しそうだった。まるで俺を起こすのが今日で最後の様に……。
そして時計塔へと向かい保奈美と別れを告げた……。
そして……時空の狭間で、祐介と会った。

※ここからゲーム中の文です。
目の前に祐介が立っている。
祐介「よう」
直樹「よう」
祐介「融合することにしたんだってな」
直樹「お前こそ」
祐介「記憶が残るといいな」
直樹「ああ、5年以上前の記憶も、きっと何とかなるさ」
祐介「そう上手くいくか?」
直樹「いく……と信じて待つしかないだろ」
祐介「まあ、そりゃそうだ」
直樹・祐介「……あっ」
……。
俺と祐介が分離して5年半。その祐介が経験してきたこと、知識、周りの人との関係。
一気にそれらが頭の中に流れ込んできた。
100年後の世界。記憶も無く、右も左も分からない祐介。そんな祐介の面倒を見てくれた美琴。
世話になった天ヶ崎家、美琴の両親。
……。
そして、ウィルスによって崩壊していく世界。祐介と美琴を残して倒れていく、美琴の父さん、母さん。
泣いている美琴。残された二人。
……。
ついに祐介にも感染するウィルス。
美琴は、時空転移装置の存在を教えられ、100年前への避難を勧めたが……断った。
それが自分のせいなんじゃないかと、悩む祐介。
そこに、臨床試験のための被験者にならないか、という話が来る。
心配させないように「いい病院が見つかった」と嘘を言い、美琴の元を離れる祐介。
臨床試験を行なうのは恭子先生。臨床試験が行なわれるのは蓮美台学園。
……。
失敗の連続の臨床試験。徐々に自分を失っていく恐怖。止められない狂気。記憶の混乱。感覚の共有。
そして……。
……。
…………。
祐介「いろいろあったけど、こっちはこっちで何とかやってたよ」
直樹「こっちもだ」
祐介「記憶は共有するとして、人格はどっちか残るんだろうな」
直樹「まあ、どっちも俺だし、変わらないさ」
祐介「そうだな」
……。そして
(画面がズームアップする(祐介と融合?))
光に包まれる。

(保奈美の回想)
好く晴れたある日の春、久住家一同にわたしを加えた4人は町外れの丘を目指していた。
おじさんの手には、レジャーシートなどが入った大きな手提げ袋。おばさんの手には、ご馳走が入ったバスケット。
前にはなおくん。全てがそろっている。丘が見えてきた。
なおくんとよく遊んでいる場所なのに、なんだかいつもと違う気がする。
よくない種類の予感がする。なぜだろう。
そうだ……今日は楽しい日だからだ。私はそう信じることにした。
丘の頂上に生えている、大きな木の下に陣取る。
「保奈美、ボールで遊ぼう」
なおくんが笑顔でそういった。どうせ嫌だといっても、聞きはしないのだ。無言で従う。
なおくんの後ろは嫌いじゃなかった。
……しばらくボールを投げ合って遊んだ。ボールをとって、投げるだけ。
何が面白いのかよくわからない。でも、なおくんは、ボールが動くたびに大喜びしている。
私が何を言ってもあんなに喜んではくれないのに。なおくんが楽しいなら……いいか。
……しばらくすると、おばさんに呼ばれた。お昼の時間みたいだ。
さっきまでボールに熱心だったなおくんは、私を置いてさっさと丘を登っていく。
「保奈美〜、早くしろよ〜」
なおくんの声が聞こえる。男の子って言うのは、何でこんなに勝手なんだろう。
……。
のろのろと歩き、陸の中腹に達したとき
不意に……全ての音が消えた。ありふれていた鳥の声も、風の音も、全てが聞こえなくなった。
丘に光の格子模様が走る。おじさんとおばさんと……なおくんが、きれいにマスの中に収まった。
なおくんが、私に向かって何かを叫んでいる。行かなきゃ。
私は走り出した。そんなに遠くなかったはずなのに、なかなかたどりつけない。
早く行かなきゃ。足が痛い。息が切れる。
光の格子が、四角い光の柱に変わった。3人の背中に光の羽が生えた。……天使みたいだ。
羽は、準備運動をするかのように、ゆっくりと大きく羽ばたいた。3人の体が浮き上がる。
もう少しで、もう少しでなおくんのところにいける。精一杯手を伸ばした。よかった、体が軽くなった。手が……届いた。
……
……なのに
なのに
なおくんが
私の……
……
……光が弾けた。






































ゆっくりと瞼を開く。
(病室)
ここはどこだろう。
そして自分は誰なんだろう。
必死に何かを話しかけてくる周りの人。特に保奈美。
……保奈美?
直樹「あ……保……奈美?」
保奈美「な……
    なお……くん?」
直樹「ああ
   なんだか……とてもよく寝たような気がする」
……どさっ……
保奈美「なおくん、よかった、よかったね……っ!」
俺の首が折れそうになるくらいに、思いっきり抱きついてくる。
保奈美「ああぁ……なおくんだ……っうぅぅ……ぐすっ」
失くしたものを見つけたような、そんな表情で。周りの目もはばからずに、嬉し泣きしてる保奈美。
直樹「泣くなよ、保奈美」
俺は、保奈美の背中を、ぽんぽんっと叩いた。
この腕の中に。また保奈美を抱ける喜びが……体温とともにじわっと腕に広がる。
……。
…………。
直樹「……で、今は何年の何月何日?」
優しい目で、出来の悪い幼なじみをたしなめるように見つめてくる保奈美。
その瞳には、とても複雑な思いを湛えた色が宿っていた。
保奈美「なおくんが倒れてから、一晩しか経ってないよ……
    でもね、わたしは、その一晩、胸が潰れそうなくらいに心配してたんだから」
保奈美が、俺の頭をほんの少しだけ強く抱きしめる。
保奈美「……それこそ、100年経ったような気がするくらい」





































(場面暗転)
保奈美「なおくん、起きなくていいの?」
直樹「うーん……あと5分」
保奈美「もう、式が始まっちゃうよ」
……式?
直樹「じゃあ3分」
茉理「バカ直樹っ!」
すぱーん(同時にすぱーんという派手な音が鳴る)
茉理「こんな日くらい、さっさと起きなさいよっ!」

そう。
今日は俺と保奈美の結婚式。
……。
俺は、祐介と融合して……ここ5年間の祐介の記憶と、それ以前の喪失していた間の記憶を取り戻した。
そして、蓮美台学園を卒業してからすぐプロポーズ、そして婚約。
今は、教会の控え室で着替え終わり、式が始まるのを待っているところだった。
(画面白くなる)
直樹「っていうか、新婦が新郎の控え室に、式の前からいていいのか?」
保奈美「うーん。何となく寝ちゃってるような気がしたから」
カラーン、カラーン……カラーン…………(鐘の音もなる)
森の小さな教会。誓い。指輪の交換。簡単な儀式はすぐに終わる。
直樹「開けるぞ」
保奈美「うん」
ぎいっ(扉を開ける音 場面変更。)
パンッパパパーンッ!(クラッカーの音もなる)
美琴「おめでとーっ!」
ちひろ「おめでとうございます」
茉理「保奈美さん、こっちこっちー」
結「投げたとこ、撮りますね」
直樹「みんな……今日は来てくれてありがとう」
……本当は。みんなに、色々と支えになってくれたこと、俺と保奈美を見守ってくれてこと、そして、これまでお世話になった
全てのことのお礼を言おうとしたんだけど。
いざとなると、照れ臭くて、まったく別の言葉が口をついた。
直樹「さっきまで控え室で寝てたら、また保奈美に起こされました」
失笑を買う俺。
直樹「いつまでも、保奈美の世話になってばかりいられないと思ってたんだけど……
   早速、世話になってしまいました」
となりの保奈美も、しょうがないなぁ、という顔をして笑っている。
直樹「……こんな二人ですが、これからも、よろしくお願いします」
みんなに頭を下げる、俺と保奈美。
(拍手が鳴る)
茉理「ひゅーひゅー」
恭子「久住も立派になったじゃない」
……。
直樹「じゃあ保奈美、思いっきりな」
保奈美「うん
    みんな、ありがとう。行くよ……それっ」
(パシャッというカメラのシャッターの音)
保奈美の投げたブーケが、宙を舞う。ゆっくり、ゆっくりと。
日の光に輝きながら、青い空に溶けていくように。
……。
……俺と保奈美が、一緒に歩いてきたこれまでの時間。
これから、一緒に歩いていく時間。
あっという間のような、それでいて長いような、その幸せを。
かけがえの無い一瞬一瞬を。
……例え死が二人を別つとしても。しっかりと胸に刻んでいこう。
もう絶対に……見失わないように。

(教会をバックに燕尾服姿の直樹とウエディングドレス姿の保奈美が腕を組んでいる。空にはさっき投げたブーケ。)

END(日本語表記でのスタッフロール&保奈美の名場面紹介)

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