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数日後――
 
このは「わふー♪ 神依さまー。今日も握り飯を作って参りましたー。今日はどちらで――わふーっ!?」
神依「このは、どうした……? ―― む、あれは……ゼニア・ヴァロフか」
ゼニア「……警戒の必要はない。今日はプライベートだ」
神依「ついぞ先日、刀と拳交えたばかりだが、久しいと言わせてもらおう。―― して、今日は何用で参った?」
ゼニア「……特に用はないが、帰国前に貴女の顔を見ておこうと思った。
    ……それだけだ。では、失礼する」
リーゼロッテ「ねぇ、千年守。あの人どこへ行くって?」
このは「わふーっ!? りーぜろってどのーっ!? どこから現れましたかー!?」
神依「ふむ……。確か、帰国前と申したことにより察するに、これより露国に向かうのではないか?」
リーゼロッテ「そう、ありがとう。―― じゃ、またね」
 
子供たち「あーっ! ゼニアのお姉ちゃんだー! 遊んでよー。お話聞かせてよー。今回のお仕事はどこに行ってたのー?」
ゼニア「そろそろ昼寝の時間だ。院長先生を困らせるな。起きたら、話をしてあげよう」
子供たち「はーい! 約束だよー!」
院長先生「ゼニア、お帰りなさい。……また、匿名でこの孤児院に多額の寄付金がありました。
       あなたが帰ってくる度に、この孤児院に幸福が訪れます。……ゼニア、ありがとう」
ゼニア「……私に礼を言う意味がわかりません。ただ、それで孤児院の運営が継続できるなら有効に使うべきでしょう」
院長先生「わかりました、そういう事にしておきます。―― それよりゼニア、あの子は……あなたのお友達かしら?
ゼニア「いえ、友人ではありません。顔と名前ぐらいは知っている範囲です」
院長先生「そう……? どこか、雰囲気とか、似てるのよね……。この孤児院にやってきた頃のあなたと……」
ゼニア「…………………………………………。奇妙な偶然でしょう、きっと」

 

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