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数日後――

なずな「千年守さま、此度はなずなの未熟さゆえ、大変なご迷惑をおかけしました。申し訳、ございません……。
     私情を滅して千年守さまに仕えるべきものをなずなは焦りや妬み、己の心の赴くまま、自らの欲に従ってしまいました……」

神依「……例えお前の申すとおりであろうと、此度の事変におけるお前の果たした役割は褒められて然るべきもの。
    それに、お前は己の過ちに気付き、認め、自省し、乗り越えた。ならば、もうお前を責める必要はない。
    堅苦しい言い方になるが……朱鷺宮千年守神依、犬若なずなの此度の働きと成長を、嬉しく思う」

なずな「あ、あ……ありがたきしあわせ……。千年守さまよりこの様なお言葉を賜ろうとは犬若なずな、感激の極みですー!」

神依「神依で良い。親しき者には可能な限り、役ではなく、名で呼ばれたい。……なずな、認めるか?」

なずな「か、か……かむいさま……………………な、なずなは……! うわーん! なずなはーっ!」

このは「わふー。神依さまー、なずなどのー、こちらにおられましたかー。」

あかね「なずな、もう歩き回って大丈夫なの? このはちゃん、あんたのこと心配―― って、なずな……? 泣いてるの?」

なずな「な、泣いてないよ! もう、お姉ちゃん!……小犬丸……このは。あなたにも、その、謝らなきゃ……」

このは「なずなどの、皆まで申されまするなー。里と一族を思う心はこのはも同じであれば、此度のことはもう水に流せばよいかとー」

なずな「……私……小犬丸のこと誤解してたかも……。あ、あの! これからは神依さまに仕える者同士、一緒に。その、仲良く――」

このは「わふー♪ 神依さまー♪ 何事も無く終わったところで、ご褒美にもふもふしてくださりませー」

神依「うむ。そうだな。このは、此度の働き、見事だったぞ。……もふもふ」

このは「わふわふ♪ わふわふ♪」

なずな「わ――っ! 人の話ききやがれですー! なずなだって、がんばったですー! なずなだって、ご褒美欲しいですー!
     なずなだって……なずなだって……神依さまにもふもふされたいですー! 代われぇ! 邪魔するなぁ! 小犬丸ぅー!」

このは「わ、わふーっ!? なずなどのは何故に怒っておりまするかー?」

なずな「ちょっとでも気を許した自分が許せない! ――小犬丸このは! やっぱりあなたとは仲良くできないですー!」

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