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数日後――
 
ミケ「よし! 頼子、急げ! 帰るぞ! モタモタするな、バカ者!」
頼子「ミケ、そんなに慌てないでよ。わかってるってば〜」
ミケ「わかっとらん! 貴様、わかっとらん! 聖霊庁と約束した報酬、フレンチクルーラー1年分……
    その最初の1ヶ月分が今日届くのだ! 走れ頼子! ええい、まどろっこしい! 飛ぶぞ、頼子! 落ちるなよ!」
リリカ「おーい、ヨリコー♪ どっか遊びに行こっかー♪」
頼子「ミケ、やめてぇ〜〜〜! あーん! リリカ、ごめん! 埋め合わせは今度するから〜〜〜〜!」
リリカ「え? ちょっ、ヨリコ、ミケ! ……………………はー。つまんね。サキでもからかって帰ろ……」
クラリーチェ「ごめんくださいな♪ 聖霊庁から陛下と安栖頼子さんにご所望の品をお届けにあがりましたわ」
ミケ「ついに来たかーッ! クラリーチェ、気が利くではないか! ハッハー! 褒めてつかわす」
頼子「えーっ! 私の分も来たんですかー! やったぁ! 早く帰って来てよかったぁ!
    これが……伝説の魔法使い、M☆ランジェロがたった1冊だけ書き残した魔道書の原本……。がんばってよかったよ!」
クラリーチェ「失礼ですけど、安栖さん。もしや、ご存知ありませんの? その本の著者はミケランジェロ陛下ですわ」
頼子「………………………………え?」
ミケ「うむ、我輩がフェルフネロフと共に日本に来て間もない頃だったか……。金に困ってな……ふたりで飯も食えず……。
    そんな時、我ら魔族の初歩の初歩の魔術について落書きをすると喜んで金をくれるという変な人間がいてな。
   調子に乗って山ほど落書きしてやったらそいつが後生大事に本にしたようだな。うむ、懐かしいではないか」
頼子「え? ええ? えーっ!?」
ミケ「しかし……なぁ、頼子。我輩は普段からもっと高い魔術を貴様に教えているつもりだったが……」
クラリーチェ「陛下の教えを知らず知らずに初歩から学ぼうだなんて、安栖さんは陛下を敬愛していらっしゃいますのね♪」
頼子「そ、そんなぁ〜〜〜……。私、こんなつもりじゃ……。私の努力を返してよミケのバカぁ!!」
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