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真・女神転生U

〜 CHAOS ENDING 〜


このゲームには、3種類のエンディングが存在し、途中、プレイヤーがとってきた行動により道が決まる。
プレイヤーのネームを自分で変えるかどうか…
どんな仲魔(敵悪魔や自分で合体させた悪魔を仲間した場合、悪魔は仲魔となる)を、
パーティーに入れるか…
様々な質問に、どう答えるか…
体力の回復に、どの施設を使うのか…など、
どのエンディングに導かれるかは、プレイヤーの行動次第。

このエンディングは、
魔王ルシファーと手を組み、
欺瞞に満ちた秩序を破壊し、生きとし生けるものに自由をもたらす世界を打ち立てようとする
CHAOSの道を選択した場合の、エンディングである…



神霊クズリュウの復活を阻止するため、魔界を進んでいたアレフ(オープニング時点では、記憶がなかったため、
ホークと名付けられていたが、後、本当の名前はアレフだったことが判明)と、ヒロコの前に、
ルイ・サイファーが現れた。
彼は、今までも時々、各地のバーなどに姿を見せては、
アレフ達に、噂話を聞かせたり、助言をしたりしてきた男だが、
実は、アレフも、この男のことをよく知らなかったし、
アレフ達の行く所に、必ず先回りしていたような気配もあり、
只者ではないことだけは感じ取っていたアレフ。
そして、その通り、ルイ・サイファーは、実は、自分は魔王ルシファーだったことを明かす。
また、このままでは、復活した神霊サタンにより、ミレニアムはおろか、地下世界も魔界も
破壊されることを告げ、この世界を守るため力を貸して欲しいと頼む。
アレフは、ルシファーと運命を共にすることを誓うのだった。
ルシファーは、アレフ達の力を試すため、自分たちの足で、ケテル城まで
来るようにと言い、姿を消す。

アレフ達は、ルシファーの言葉に従い、魔界の奥にあるケテル城を目指した。
ミレニアムでは、センターの支持するLAW(ロウ)思想のメシア教に弾圧され、ほとんど姿を見せない
混沌を望むCHAOS(カオス)思想を重んじるガイヤ教徒…
しかし、センターの支配の及ばない地下世界や、ここ魔界には、
まだまだCHAOSの思想が根強く残り、徐々に力を取り戻しつつあることを、
アレフ達は痛感していた。
ことに、魔界に住む者達は、センターを壊滅させるためなら、アレフ達への
どんな協力もおしまない…という雰囲気があり、それは、恐ろしいほどでさえある。
だから、ケテル城にも、さほど苦労すること無く、たどり着くことが出来た。
アレフとヒロコの到着を、ルシファーは静かに待っていた。
かつて大天使だったルシファー…堕ちてなお、神々しき羽根を背負っている。
しかし、内には、おとしめられた恨みや憎しみを隠しているに違いなかった。
「私の言う通り、自分の足でここまでやってきたか。
おまえには、私が必要とするだけの力があるということだ。
…アレフよ、共に行こう。我らが最後の戦いの道を!」
ルシファーがそう言った時、突如、激しい揺れが魔界を襲った。
「今の地震は、クズリュウ(九頭龍)の発動だ。だが、9本の頭全てを動かせば、
地上も魔界も、全てが破壊される。だから、1本の頭だけ動かし、
ミレニアムのみを、破壊させるのだ。」
ルシファーは、冷静だった…なぜなら、クズリュウを発動させて、センターを、
いや、ミレニアムのみを破壊することが、ルシファーの目的の一つだったからだ。
クズリュウの1本の頭が、魔界の天上を突き破り、ミレニアムへと伸びていく。
「これで、ミレニアムは破壊…!!お、おお、サタンめ、方舟をつくっていたか!」
センタービルの最上階部分が、方舟となって空中に浮かび上がり、
その直後、ミレニアムを破壊しながら、突き出したクズリュウの頭。
そして、センタービルは、崩壊。
「おそらく、方舟の中に、選び出した人間を乗せ、脱出後、地上を破壊しつくすつもりだろう。
サタンめ、そうはさせんぞ。すぐ、方舟に乗り込もう。」
ルシファーは、すぐさま、アレフ達を伴って、方舟へとワープした。

ワープした先は、方舟に造られた『エデン』と呼ばれる場所だった。
そこには、いわゆる「選ばれし者」達だけが、集まっている。
ある者は、選ばれたことを、神に感謝し…
ある者は、自分が選ればれたことは、運命だから当然だと言い…
またある者は、神のため、命ある限り働き続けると決意を語った。
皆に、選ばれし者である自負は感じられるが、
選ばれなかった者…つまり、ミレニアムに残された人々のことを
案じている者は…いない。

アレフとルシファー達は、方舟の中、ひたすらサタンのもとを目指した。
途中、三体の神霊を倒し、ついに、アレフ達は、サタンの処へたどり着いた。
サタンは元、アレフと共にセンターに造られたメシアプロジェクトの一員だったザイン…
しかし、今は、理想の千年世界を実現させるためには、手段をいとわない
サタンの他の何者でもない。
サタンは、アレフとルシファーがやってくるのを待っていたかのように話し始めた。
「アレフよ、偽りの救世主よ…ついにここまで、やってきたか。
だが、おまえはここで、最期を迎えるのだ。
自分の屍が、メギド・アークで焼かれぬ幸運を喜ぶがいい。
それとも、共に滅ぶのが望みか?」
それを聞いて、冷静なはずのルシファーが、声を荒げて言った。
「サタンよ!メギド・アークは、撃たせん!
理想の世界を造るために、全てを消し去るようなまねは許さんぞ!」
「ルシファーよ、クズリュウによる真の大破壊という、神から与えられた使命を忘れ、
何をしている。よりによって、人間のしもべに成り下がるとは…」
「私の行う破壊は、悪魔を、人間を、唯一神の支配から解き放ち、新たな世界を生み出すためだ!
かつて、私が人間に知恵を与えたのも、人間を自らに支配させようとしたため…
そして、地上は人間の国となったのだ!」
「それが、どんな結果を呼んだか。不完全な人間に、知恵を与えたために、
彼らは、暴力と破壊に明け暮れた。
それが、きさまの狙いだったのか?…ルシファーよ。」
「唯一神の手先ふぜいに、私の考えはしょせん理解できん!」
「……アレフよ、ルシファーよ、神の裁きを受け、永遠に地獄へ落ちよ!」
サタンは、一変、巨大な『神霊サタン』と化し、アレフ達に襲い掛かった。
以前には、共に助け合ったこともあったザイン…
ミレニアムの人々の支えでもあったザイン…
しかし、今、ここにいるのは、もはやザインではなく、
理想世界のため、ミレニアムをも見限った神霊サタンなのだ!
アレフは、ルシファーやヒロコ達と共に、力を合わせて戦った。
そして、長い戦いの末、神霊サタンを倒したのだった。
「…神の裁きまで…退けて…い、一体どうするのだ…どこへ行くのだ…」
そう言い残し、サタンは、跡形も無く消え去った。

その時、どこからともなく、何者かの声が聞こえてきた。
『誰だ?サタンを倒したのは…我が下へ来て 姿を見せよ』
どうやら、戦いはまだ、終わっていないようだ。
アレフ達は、その声のする方へと進んで行った。
『我が使いサタンを倒し…我が分霊たちを倒し…
数え切れぬほどの 命をもて遊びたる 呪われし者どもよ…』
やがて現れたのは、この世界を造り出したとされる
唯一絶対の神 YHVH !
「我が名を称えよ 我が 栄光に満ちた 並ぶ者無き 我が名を称えよ…
ルシファーよ ついに アレフとヒロコを伴い 我が前に現れたな
我が命に反して クズリュウでの大破壊を行わず ミレニアムのみ 破壊するとは…
かつての大天使としての 誇りは 微塵も残っていなかったようだな』
ルシファーは、答えた。
「大天使?神の奴隷に、一体何の誇りがあるものか。私は、自分のやりたい事をやる。
神の名のもとに命じれば、誰でも従うと、まだ思っているのか。
もはや、きさまの時代は終わった。
神が造り、破壊し、再生する…神の手の上での繰り返しは終わりだ。
神無き未来は、カオスのみかもしれん。だが、真の再生はその中にある!
我々は、きさまを倒し、その屍を乗り越え、未知の未来へと進もう!」
『…悪魔といい 人間といい しょせんは 我が手によって 造られしもの
汝らの刃は 我に 傷などつけられぬ
汝ら 我が雷に撃たれ 地獄へ落ちよ!永遠の業火に焼かれよ!
悪魔よ!悪魔と手を結んだ 人間よ!』
もう、アレフに残された道は、ただ一つ…YHVHを、倒すことのみ!!
ルシファーと共に、神の支配から抜け出し、たとえ戦いは絶えなかろうと
自分らしく生きていくと決めたのだ。
秩序を押し付ける、神の支配を打ち破るには、このYHVHを倒す以外に、
道は、ないのだ。
アレフは、最期の力を振り絞り、ルシファーとヒロコと、そして仲魔達と共に、戦った。
壮絶な戦いだった…
そして、とうとう、YHVHに勝ったのだった!
『汝らの勝ちだ 自らの創造物に敗れた 創造主は このまま 消え去ろう
我が法の下 動いてきた世界が 混乱するさまは 見るに しのびない
新しい だが 混乱した世界の支配者は ルシファーか?
アレフと ヒロコは 救世主と あがめられるのか?
覚えておくがいい 頼るもの すがるもの無く 生きていけるほど 人は強くない
人が 我に救いを求めるたびに 宇宙の大いなる意志は
何度でも 我を 生み出すであろう………』


気づくと、アレフとヒロコ達は、地下世界の一角に立っていた。
ルシファーが、言った。
「よくやった、アレフ、ヒロコ。我々を悪魔として、おとしめた者…かの、唯一神が消えた今、
我々は、もはや悪しき者ではない。この世界で、自由に生きていけるのだ。
また、ミュータント(地下世界で生活していた人間と悪魔の入り混じった種族)達も、
開放された。しいたげられた者達が、ついに光を手にしたのだ。
ミュータント達から見れば、おまえ達は、さしずめ真の救世主だろう。
混沌の中、平和は失われているが、自由は手に入った。
無論、平和を求める自由もある。
さあ、行こう。何者の支配も無くなった世界へ…」
そこへ、たくさんのミュータント達が集まってきた。
皆、うれしそうに、解放された喜びを分かち合っているかのようだ。
「アレフよ、あなた方は、我々ミュータントが滅ぼされるところを救ってくれた。
本当に、ありがとうございました。我々、しいたげられた者を救ってくれた、
あなたこそ、真の救世主です。」
「もし、メギド・アークを撃たれていたら、地上だけじゃなく、地下世界も
全滅するところだった。それを止めてくれたんだ。
何と礼を言ったらいいか…」
「これで、おれ達も、日の目を見られるぜ。」
「本当に、ありがとう!!」
口々に、アレフとヒロコに礼を述べるミュータント達…。

だが、これでよかったのだろうか。
確かに、地下世界と魔界は、守られた。
しかし、地上のミレニアムは、ルシファーの命により
クズリュウが壊滅させてしまったのだ。
ミレニアムの人達は、おそらく、誰も助かりはしなかっただろう。

ルシファーは、『自由』だと言った。
生きとし生けるもの全てが、『自由』なのだと…
だから、自分たちの『自由』をつかみ取るためには、それを阻むものは疎外する。
攻撃し、破壊し、勝ち取っていく…
それが、本当に『自由』なのか?
おそらく、これから先、はむかう者がでれば、ルシファーはそれを、たたくだろう。
『自由』の名の下に、自分を脅かす者は、平気で切り捨てるだろう。

結局、自分達のため、戦いを繰り返していくだけじゃないのか?
『秩序』を押し付け、支配してきたセンターと、
どこが、違うというのか?!

現に、ルシファーをはじめ、ミュータント達の中に、
ミレニアムが破壊されたことを悲しむ者は、誰もいない…。

今まで過ごしてきたあの街も、
センターに支配されながらも、日々、頑張って生きていた人達も、
ザインや、自分を助けてくれたべスや、仲間達も…
今は、もういない。

次々と浴びせられる賛辞の中、虚しさだけが、アレフの心を覆った。

そんなアレフに、ヒロコが言った。
「さあ、行きましょう。私達は、ルシファーと共に
進むことを、選んだのだから…」

崩れ落ちたミレニアムのガレキの間から、
地下世界へと、光が、差し込んでくる…


〜 END 〜

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