戻る TOPへ

真・女神転生U

〜 LAW ENDING 〜


このゲームには、3種類のエンディングが存在し、途中、プレイヤーがとってきた行動により道が決まる。
プレイヤーのネームを自分で変えるかどうか…
どんな仲魔(敵悪魔や自分で合体させた悪魔を仲間した場合、悪魔は仲魔となる)を、
パーティーに入れるか…
様々な質問に、どう答えるか…
体力の回復に、どの施設を使うのか…など、
どのエンディングに導かれるかは、プレイヤーの行動次第。

このエンディングは、
ザイン(神霊サタン)と手を組み、
神の意志に基づき、全世界に秩序をもたらすことを旨とする
LAWの道を選択した場合の、エンディングである…



神霊クズリュウの復活を阻止するため、魔界を進んでいたアレフ(オープニング時点では、記憶がなかったため、
ホークと名付けられていたが、後、本当の名前はアレフだったことが判明)と、ヒロコの前に、
突然、大天使ガブリエルが現れ、
センタービルの最上階に造られた「エデン」で、ザインが待っていることを告げた。
エデン…そう、選ばれし者だけが入ることを許される、理想世界。
ザインたちの「理想郷計画」は、着々と進んでいるようだ。
アレフ達は、ガブリエルにいざなわれ、エデンへと向かった。

エデンで、アレフ達を待っていたのは、自分の本当の姿を取り戻し、
「サタン」となったザインだった。
真の理想郷のため…選ばれし者だけで新しい世界を築くため、
力を貸して欲しいと頼まれるアレフ…。
アレフは、サタン(ザイン)と運命を共にすることを誓うのだった。

アレフ達は、早速、魔界に君臨する魔王ルシファーを倒すため、
魔界のケテル城へと向かった。
静かに、アレフとサタンを待ち構えていたルシファー。
ルシファーの背中に光り輝く白い羽根は、かつてルシファーが大天使だったことを
物語っていた。
「ついに、来たか…サタンよ。だが、そこにいる罪深き人間達に、
助力をしても、よいのかな?」
「大天使から堕ちたあなたに、言われたくはない。
あくまで、神の意志に逆らうつもりか?」
「地上の全てを消し去り、人間をヒツジのように飼いならすのが神の意志なら、
従うわけにはいかぬ…サタンよ、アレフよ…もはや、話すことはない。
おまえ達が、今まで生きのびられたのは、大魔王ルシファーに
見逃してもらっていたからだと、思い知るがよい!」
そう言い放つと、ルシファーは一転、巨大なデビルと化し、
アレフ達に襲い掛かってきた。
漆黒の体から繰り出される攻撃は、破壊的な威力で、慈悲のかけらも感じられない。
かつて大天使だった意地もプライドも、白い羽根が黒く染まった時、
捨て去ってしまったのだろう。
苦戦を強いられたものの、アレフとサタン達は、ルシファーとの戦いに勝った。
「…私が消え去って、おまえのたくらみが、実現できるな…サタンよ…
アレフ、自分の行いが、どんな結果を招いたか、その目でよく見ておくことだな…」
そう言い残し、ルシファーは、消滅した…。
その時!
激しい揺れが、魔界を襲った。
「今の地震は…ついにクズリュウが、起き上がるのか!ルシファーめ、死して後にも
手を用意していたか。おお!アレフ、これを見ろ!地下世界にクズリュウが!」
サタンが、叫び、指差した時、
魔界から首を伸ばし、魔界の上にある地下世界へ突き抜けてゆく
巨大なクズリュウの姿が!!!
「このままでは、エデンが危ない、すぐ戻ろう。」
サタンは、アレフとヒロコ達を伴って、魔界を脱出した。

転送された先は、見たことのない不思議な空間だった。
「…2人とも無事か?ここは、エデンの管制室だ。エデンは、方舟の一部で…」
サタンがそこまで言った時、爆音と共に激しい揺れが…
「いかん、くわしく説明する時間は無い。クズリュウが、ミレニアムを破壊し始めた。
すぐに、方舟を飛び立たせよう。」
センタービルの最上階部分である方舟が、センタービルから空中に飛び立った瞬間、
クズリュウの頭が、魔界から地下世界…そしてミレニアムを突き破って、
方舟の飛び立った後のセンタービルを突き抜けた!…まさに、間一髪だった。
驚きを隠せないアレフ…
どうやら、自分たちは難を逃れたようだが…?
サタンは、そんなアレフに、冷静に声をかけた。
「驚いたかね?方舟は今、ミレニアムはるか上空の宇宙にいる。
方舟は、君たちの母なる星を飛び出した。乗っているのは、
新しい世界を造るために、選ばれた人々だ。
方舟には、もう一つ役目がある。再生の為に行う、真の大破壊
………イレース だ!
それは、強力なエネルギー光『メギド・アーク』を地上に浴びせ、
全ての悪しきものを消滅させる。
人間は、数多くのあやまちを犯してきた。その結果が、今の荒れ果てた世界だ。
生き残った全ての人間で、新しい世界を造ろうとしても、それは、
あやまちを繰り返すだけ…
より優れた人間、真実を理解する人間を選び出し、新たな世界の担い手とし、
それ以外のものは、イレース…消し去る。
これが、唯一神の命により、私が行う裁きなのだ。
……では、メギド・アークを撃ち、イレースを行う!」
サタンの合図で、方舟から放たれた光の束が、遠くに光るアレフの母なる星を、
あっという間に覆いつくし…一瞬で粉砕してしまった!
「イレースは、終わった…」
サタンは、なんでもないというように、さらりと言ってのけた。
アレフには、ただ、見ていることしか出来なかった。
ついさっきまでいた星なのに…
全て、消し去られてしまった。
ミレニアムも、地下世界も、魔界も…何も助けることは出来なかった。
貧しいながらも、明るく一生懸命生活していた、ミレニアムの人達…
地下世界の長老は、アレフがクズリュウを退治してくれると信じていたに違いない…
魔界で、静かに暮らしていきたいと言っていた、妖精…
…全部全部、消えてしまった。
が、これが、自分で選んだ道なのだ、仕方が無い。
サタンと共に、選ばれし者だけで、理想郷を築くと決めたのだ。
それもこれも、みな、新しい世界の為なのだ。
アレフは、自分自身に、そう言い聞かせるのだった。

その時、どこからともなく、何者かの声が聞こえてきた。
『よくやった サタンよ アレフを伴い 我が下へ来るのだ』
アレフ達は、サタンと共に、その声に導かれるように
不思議な空間を進んで行った。
『アレフよ よく戦った ヒロコよ よく戦った
汝らの戦いは 全て 我が行いの為となったのだ』
やがて現れたのは、この世界を造り出したとされる
唯一絶対の神 YHVH !
『我が名を称えよ 我が 栄光に満ちた 並ぶ者無き 我が名を称えよ…
アレフ ヒロコ よく我が下まで やってきた 汝らこそ 真の救世主だ
そして サタン よく 我が裁きを行った メギドの光に 照らされし世界は
やがて 我がしもべに満ちて 栄える』
YHVHは、満足そうにそう言った…が、それもつかの間、
いきなり、サタンは、YHVHにこう言い返した。
「…神よ、私の裁きは、未だ終わっておりません。最後に裁かれる者は……
唯一にして最高の神、我が創造主 Y H V H !」
『裁く者サタンよ 汝 我をも 裁くと言うのか 造られし者が!
…汝ら 我が雷に撃たれ 地獄へ落ちよ!永遠の業火に焼かれよ!
悪魔よ!悪魔と手を結んだ 人間よ!』
もう、アレフに残された道は、ただ一つ…サタンと共に、YHVHを倒すことのみ!!
たくさんの犠牲があった…迷い、裏切りもあった…
だが、サタンを信じてここまで来たのだ。
サタンが、神を倒すと言うのなら、恐れることなど何もない。
アレフは、最後の力を振り絞り、サタン、ヒロコ、そして仲魔達と共に戦った。
苦戦は覚悟の上だ。なにせ、相手は『神』なのだから…
アレフも、サタンも、必死に戦い抜き…そして、とうとう、YHVHに、勝ったのだった!
『我が創造物に 裁かれようとは もはや 汝らは 我が手をはなれた
我が見えざる手の助けも無く 汝らに 進むべき道が見つけられようか
覚えておくがよい 頼るもの すがるもの無く 生きていけるほど
人は 強くない 人が 我に救いを求めるたびに
宇宙の大いなる意志は 何度でも 我を 生み出すであろう……』


気づくと、アレフとヒロコは、方舟の一角に立っていた。
と、2人の目の前に現れた、大天使ガブリエル。
思えば、彼には何度となく助けてもらった。
サタンであるザインと、アレフとをつなぐ強い鎖のようでもあった。
「…終わった、何もかも。神が消えた今、神の使いである私に行き場は無い…
だが、君らは違う…さあ、エデンへ行くのだ。」
そう言って、ガブリエルは、姿を消した…
ガブリエル…彼は、一体どこへ行くのだろう?
神の使いですら、選ばれなければ、エデンには入れないというのか…
誇り高き、大天使ガブリエル…もう、彼には、会えないのか…

そういえば、サタンの姿が見えない。
もしかすると、先にエデンへ行っているのかもしれない。
とにかく、エデンへ行ってみよう。
アレフとヒロコは、方舟の奥に造られたエデンへと急いだ。

美しき花の咲き乱れる楽園、エデン…
選ばれし者のみ、入ることが許される理想郷、エデン…
まさに、理想の千年王国!
アレフも、ついに、ここへたどり着いたのだ。

やはり、サタンは、そこにいた。
「アレフ…ヒロコ…エデンの、みなが待っている、行け。
私の役目は、終わった……
私は、土に、かえろう……」
そう言ったサタンの体が、ボロボロと崩れ始める。
「さらば、真の救世主 アレフ…さらば、新しい聖母 ヒロコ…」
そして、サタンの…いや、ザインの体は、土にかえってしまった。

なぜ…なぜだ?
どうして、みな、遠くへ行ってしまうのだ?

とうとう、ザインまで…救うことができなかった。

違う…何かが違う…
自分の望んでいたのは、こんなことじゃない!
自分は、救世主なんかじゃないんだ!
みんなが…みんなが手を貸してくれたから、ここまで来られただけなんだ。
一体、自分は何のために戦ってきたのか?
自分を、本当の自分を知りたかっただけなのに…
自分の記憶を、取り戻したかっただけなのに…

どこで、どう、道を見誤ってしまったのか…

後悔の念にさいなまれるアレフに、ヒロコが言った。
「アレフ、 サタンの…ザインのためにも、私達は、行かなくちゃ…
これから造る、新しい理想の世界へ…」

選ばれし者だけを乗せた方舟が、
新しい星へ向かって、進んで行く…


〜 END 〜

inserted by FC2 system