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真・女神転生U

〜 NEUTRAL ENDING 〜


このゲームには、3種類のエンディングが存在し、途中、プレイヤーがとってきた行動により道が決まる。
プレイヤーのネームを自分で変えるかどうか…
どんな仲魔(敵悪魔や自分で合体させた悪魔を仲間した場合、悪魔は仲魔となる)を、
パーティーに入れるか…
様々な質問に、どう答えるか…
体力の回復に、どの施設を使うのか…など、
どのエンディングに導かれるかは、プレイヤーの行動次第。

このエンディングは、
神霊サタンの力も、魔王ルシファーの力も借りずに、
最も人間らしい(と思われる)ニュートラルの道を選択した場合の
エンディングである…



魔界で魔王ルシファーを倒し、ミレニアムの地下世界で、神霊クズリュウを倒したアレフ
(オープニング時点では、記憶がなかったため、ホークと名付けられていたが、後、本当の名は
アレフだったことが判明)とヒロコ達は、STEVENにより、サタンの待つ『方舟』へと転送される。
入り組んだ『方舟』の中を、ひたすらサタンの元へ急ぐアレフとヒロコ。
途中、三体の神霊を倒し、ついに、アレフは、サタンの処へたどり着いた。
サタンは、静かに話し始めた。
「アレフよ、君もそうだが、私もセンターの計画に従って造られた人間だ。
ザインだった私が、べスよりも、ギメルよりも、ダレスよりも、
…そして、君よりも優れたいたのはなぜか?」
サタンは、姿をザインだった頃に戻し、続けた。
「神は、TOKYOミレニアムを見捨てていた。今の人間がいる限り、
理想の世界は実現不可能だと知っていたんだ。
だから、メシア教徒や天使たちが理想世界…千年王国を造ろうとしても、
神は、救世主を遣わさなかった。センター元老院は、現れない救世主を
自分たちで造ろうとした、それが、メシア・プロジェクト…
プロジェクト5番目の人間ザイン、つまり僕の能力は、
最も優れていたはずだった。なぜなら、僕は、神に遣わされた魂だったからだ。
救世主ではなく、裁く者サタンの化身、僕を遣わして、TOKYOミレニアム、
大天使たち、人間、悪魔…全てを裁こうとしているんだ。
そして、最も強く、神に逆らう人間…アレフ…を、裁く!
君を裁かなければならないのは、とても残念だ。
君には、新しい世界に行って欲しかった…だが、もう遅い。
…さようなら…アレフ…」
そして、再び、サタンに姿を変え
「…では、アレフよ、神の裁きを受け、永遠の地獄へ落ちよ!」
そう言ったかと思うと、今度は、巨大な『神霊サタン』へと姿を変えた!
サタンは、情け容赦のない攻撃で、アレフたちに襲い掛かる。
もはや彼は、理想郷のためなら、どんな犠牲もいとわない魔物の様にしか見えない。
「ミレニアムの人達を救うんだ!」と、立ち上がった頃のザインの面影は、
…もう、どこにも見当たらなかった。
思えば、アレフ達5人は、センターがバイオテクノロジーを駆使して創り上げた、
言ってみれば人造人間同士。
ミレニアムの救世主として造られた アレフ…
(実は、アレフは、ヒロコの子宮を借りて造られたのだった)
アレフのパートナーとして造られた べス…
アレフを民衆に認めさせるため、アレフに倒されるニセ救世主として造られた ダレス…
理想郷のモデル地区アルカディアを統治する、人々の心を魅了する美青年 ギメル…
そして、アレフの見張り役だったはずの ザイン…
すでに、べスは、アレフを守ってこの世を去り、ギメルも、アレフに倒された。
ダレスは、今、ミレニアムの地下世界で、小さな幸せを見つけて暮らしている。
…残るアレフとザイン
同じプロジェクトから生まれた2人が…今は、こんなにも進む道が違ってしまった。
アレフは、神霊サタンと化したザインと戦いながら、
本当に、自分の選択した道は正しかったのか…と、考えていた。
この世界を救うために、たくさんの悪魔達を殺してきた。
金品で敵悪魔をだまし、仲魔にしては、次々と合体を繰り返した。
べスやギメル…同じプロジェクトから生まれたのに、進む道が違うというだけで、
犠牲になっていった仲間を、見殺しにした。
…そして今、ザインをも倒そうとしている。
自分は、間違っているのかもしれない…
この選択が、最善ではなかったかもしれない…
しかし、自分で選んだ道だ。
この神霊サタンであるザインを倒さなければ、
今居る『方舟』だけを残して、ミレニアムも地下世界も魔界も…全て破壊されるのだ。
そんなことを、させるわけにはいかない!
選ばれた人間だけが生き残ればいいなんてこと、あっていいはずがない!
アレフは、迷いを断ち切り、振り下ろす剣に力を込めた。
ヒロコと、そして縁あって一緒に戦ってくれた仲魔たちと力を合わせ、戦い抜いた。
―― 長い長い戦いの末、ついに神霊サタン、いや、ザインは力尽きた…
「…神の裁きまで…退けて…い、一体どうするのだ…どこへ…行くのだ…」
そう言い残し、ザインは、跡形もなく消え去った。
ほっとする間も無く、突然、何者かの声が聞こえてきた。
『誰だ?サタンを倒したのは…我が下へ来て 姿を見せよ』
どうやら、戦いはまだ、終わっていないようだ。
アレフ達は、その声に導かれるように、不思議な空間を進んで行った。
『我が使いサタンを倒し…我が分霊達を倒し…
数え切れぬほどの命を もてあそびたる 呪われし者どもよ…』
やがて現れたのは、この世界を造り出したとされる
唯一絶対の神 YHVH !
『我が名を称えよ 我が 栄光に満ちた 並ぶ者無き 我が名を称えよ…
アレフよ…ヒロコよ…ついに 我が前に姿を現したな…呪われし 人の子よ
アレフよ 汝は 我が命の法に逆らい造られた 邪なる人間
ヒロコよ 汝は 邪なる人間を造るため 自らの身体を 差し出した者
どちらも 我が命の法を犯したばかりか 我が前に立つまでに犯した罪の数々
万死をもって なお 償えぬ 死を与え 地獄まで せめ続けた後 
その転生の末の末まで 災いをなし 罰を与えん
汝ら 我が雷に撃たれ 地獄へ落ちよ! 永遠の業火に 焼かれよ!
悪魔よ! 悪魔と手を結んだ 人間よ!』
もう、アレフに残された道は、ただ一つ…YHVHを、倒すことのみ!!
もう、迷い恐れることはない…
自分を、ヒロコを、仲魔を信じ、今まで犠牲となった者達の分も…
持てる力の全てで、このYHVHを、倒すしかないのだ!
しかし、唯一絶対の神であるYHVHの強さは、計り知れないものだった。
何度となく、もうこれまでか…という状況に陥ったアレフ。
が、ザインやべス…今まで、力を貸してくれたたくさんの仲魔や人々…
その者達のためにも、負けるわけにはいかない!
アレフは、最後の力を振り絞って、全身全霊の力で、YHVHに立ち向かった。
そして、とうとう、YHVHに勝ったのだった…!
『呪われし者たちよ ついに 最大の罪を犯したな 創造主である 我を滅ぼすとは
万物の父である 我を滅ぼした今 汝らには 頼るもの すがるものは 何もない
汝らは 魔界の王ルシファーまで 手にかけてしまった 汝らのみで 一体どうするのだ?
覚えておくがよい 頼るもの すがるものなく生きていけるほど 人は強くない
人が 我に救いを求めるたびに 宇宙の大いなる意志は
何度でも 我を 生み出すであろう…………』


気づくと、アレフとヒロコは、ミレニアムのホーリータウンに立っていた。
少し前までは、悪魔であふれかえっていたこの街にも、もう小さなグレムリンさえ見当たらない。

終わった…
終わったのだ。
自分探しから始まった、この長い戦いも…

ホーリータウンの人達は、皆、元通りの生活をしている。
武器屋は、今でもなお武器が売れることを、不思議そうにしていた。
占い屋も、相変わらず、怪しげな格好で営業している。

…しかし、もうザインは、いない。
記憶の無かった自分を世話してくれたジムのあったヴァルハラの街は、
街ごと悪魔に飲み込まれ…もう、ない。

全てが元通りというわけではない哀しさが、アレフの心に突き刺さる…
しずむアレフに、ヒロコが、そっと声をかけた。
「もう私達には、頼るもの すがるもの…何もないのね。
…でも、あなたには、私がいる。
私には、あなたがいるわ。
さあ、行きましょう。
私達の世界は、私達の手で、造るのよ。」

遠くにそびえる山々の間から、今まさに、太陽が昇り始めた…


〜 END 〜

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