主人公の女子中学生・高橋瑞穂は、5年前に事故死したと聞かされていた姉・奈々が、実は他殺の可能性があると知る。目撃者の証言によれば、当時奈々と同じ大学に通っていた瑞穂の担任教師・中田良輔が、奈々をマンションの階段から突き落としたという。 瑞穂は中田を問い詰めるが、中田は逃げ出す。怒りのあまり瑞穂は地獄通信にアクセスして藁人形を受け取る。瑞穂に呼び出された中田は、瑞穂が藁人形を持っていると知るや、急にそれを取り上げようとする。奪われまいとする瑞穂の指が藁人形の糸に触れる。 |
《5年前の回想》 「きょ、今日こそは、これを渡して……彼女に僕の想いを……」 「あら、中田君? どうしたの、こんな所で?」 「え、あの、その……ぼ、僕は、その、高橋さんに……」 「私に……? なんの用?」 「いや、だから、その……」 「ごめんなさい。私、ちょっと急いでて。また今度でもいいかしら?」 「う、うん……こっちこそ邪魔して、ごめんね」 「それじゃ……」 「はぁ……また、ダメだったか」 |
《ある日。奈々に恋人のタカヤが詰め寄る》 「なあ、頼むよ。あと5万、あと5万あれば、今度こそ……」 「で、でも……この前だって、3万円も渡して……」 「あぁ!? なんだよ! オレの頼みが聞けないって言うわけ?」 「そ、そんな事は……」 「だったら、ツベコベ言ってねえでよ、出す物を早く出しやがれ!」 「……」 「なんだよ、その目は? また殴られてぇのか?」 「わ、分かったわ。だから、ぶたないで……」 「ククッ、サンキュ。愛してるぜ、奈々」 「……」 「さあて。この金で一発……」 「……」 「高橋さん……」 「な、中田君? いまの……見てたの?」 「ご、ごめん。覗く気はなかったんだけど……」 「ううん。こっちこそ、恥ずかしい所を見せちゃって」 「……彼とは上手くいってないみたいだね」 「ううん……そんな事ないよ」 「そうかな。そんな風には見えなかったんだけど……」 「……」 「まあ……なにかあったら、なんでも言ってよ。相談になるからね」 「……ありがとう。中田君って優しいのね」 「い、いやあ。僕はただ……君の事が……」 |
「なんで分からないんだ!」 「……」 「あの男は、絶対に君を不幸にする……いや、現に不幸にしてるじゃないか!」 「……」 「あんな最低の男、君には合わない。別れたほうがいい!」 「彼の事、悪く言わないで! なにも知らないのに!」 「……!」 「私は彼を愛してるの! 別れるなんて出来ないわ!」 |
《繁華街で中田がタカヤを探す。タカヤは別の女と酒を飲んでいた》 「おい、いつまで待たせる気だよ? 酒、早く持って来いよ」 「ねえ、いいの? お金、大丈夫?」 「心配すんなって。オレには金ヅルがいるんだからさ」 「金ヅル? ああ、あの美人のカノジョね」 「カノジョとか言うなよ。オレが好きなのは、お前なんだからさ」 「フフ、嬉しいわ」 「それにしても、奈々のヤツ。最近、金を出すのを渋りやがる」 「あなたが、お金を取りすぎなんじゃない?」 「ハン。金がないんじゃ、アイツも用なしだな」 「ひどーい」 「いっそ、保険金でもかけて始末しちまうか……?」 |
「あまり、タカヤの事を悪く言わないで……」 「だ、だけど、アイツは君に保険金をかけて……」 「どうしてそんな嘘を言うの? どうして、彼を貶めようとするの?」 「う、嘘なんか……」 「もう帰って! 帰ってよ! 私の前からいなくなってよ!」 |
あなたの怨み、晴らします。
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《マンションの階段。中田と奈々が言い争う》 「か、返してっ! 私の彼を返してよっ!」 「た、高橋さん……」 「は、離してっ! 彼の……タカヤの所に行かせて……!」 「だ、ダメだ! こんな場所で暴れたら……!」 「きゃあああぁぁぁ!!」 《口論の末に奈々が誤って階段から転げ落ち、動かなくなる》 「う……あぁ……」 「た、高橋さん……。ぼ、僕は……僕は……。こんなつもりじゃ…… うわぁぁぁぁぁ!!」 |
《中田の赴任当時の回想》 「うーん、まいったな……。あ、そこの君」 「はい、なんでしょうか?」 「え、えーと……職員室ってどこだったかな?」 「ぷっ。先生ったら、迷子ですかぁ?」 「し、仕方ないじゃないか。僕は赴任してきたばかりなんだから……」 「だからって……あはは」 「わ、笑うなよ。君……」 「先生! いい加減、自分のクラスの子の名前くらい覚えてくださいよ!」 「えっ! 君、そうなのか?」 「もう……高橋です。高橋瑞穂。ちゃんと覚えてくださいよ」 「……努力します」 |
終劇