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新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンドのエンディング (マナ編2)


そうだ、加持さんならマナがどうなったのか
ハッキリ答えてくれるはずだ
気持ちの整理をつけよう
誰にも甘えることのないように……


学校で、シンジが加持に電話をかける。

加持「はい、加持ですが」
シンジ「……」
加持「もしもし? 葛城か?」
シンジ「碇です、すみません」
加持「なんだ、シンジ君か どうした、悩み事か?」
シンジ「加持さん…… 僕はもうダメです」


学校の屋上。

シンジ「……」
加持「シンジ君」
シンジ「加持さん、すみません 突然電話してしまって……」
加持「ん? いいんだよ暇だし 一度学校に来てみたかったんだ 学校はいいよなぁ、もう一度やり直してみたいよ」
シンジ「勉強なんか、つまんないですよ」
加持「これだけ、仲間がいれば退屈することもないだろう?」
シンジ「僕はいつも一人だから 何もする事ないし……」
加持「悩み、聞いてやるよ 言ってみな」
シンジ「霧島さんのことです」
加持「彼女か……」
シンジ「気持ちの整理を付けたいんです 彼女の運命もしっかり受け止めようと思って 加持さんからマナのことを聞けば諦めもつくと思うんです」
加持「そうか…… シンジ君はどうしたい?」
シンジ「まさか……」
加持「生きていたよ」
シンジ「本当ですか!」
加持「救命カプセルで海に浮いていたところを漁船に回収されたんだ ただしこの事は一部の人間しか知らない 彼女は別の町で別の人生を歩むことになっている」
シンジ「逢えますか?」
加持「逢いたいか?」
シンジ「逢いたいです」
加持「一回きりのチャンスだ、学校は早退できるか?」
シンジ「やります」
加持「よし、この事は誰にも内緒だぞ」


職員室。

シンジ「先生、早退します」
教師「そうか、いつも地球の平和のために、頑張っているね 今日は、なんの用事だね?」
シンジ「人命救助です」
教師「そうか、人の命は尊いものだ 行っておいで」
シンジ「ハイ」


加持の車の中。

シンジ「いい先生で少しつらいです」
加持「この世に恋人に逢うこと以上に大切なことなどあるものか」
シンジ「うそはうそです……」
加持「シンジ君はやさしいな いい男だ」

アスカ「馬鹿シンジ!」

加持の車をミサトの車が追う。助手席からはアスカがハンドスピーカー片手に顔を出している。

シンジ「アスカ!」
アスカ「あの女に逢うならもう絶交よ!」
シンジ「僕はマナに会うけれど! アスカと絶交する気もない!」
アスカ「アタシのこと好きなくせに!」
シンジ「そんなのしらないよ!」
アスカ「アホー! スケベ! 女の敵!」

加持の携帯が鳴る。

加持「ハイ、加持ですが」
ミサト「あんた! これ以上シンジ君を巻き込まないでよ!」
加持「なにもしてないよ、俺は」
ミサト「あの子に逢わせるんでしょ! 危険だからやめて! 軍がからむと厄介なの、わかってるでしょ!」
加持「なんの話だかわからん、切るぞ」

携帯を切る加持。

ミサト「あいつの車、崖に押しつけてやるわ」
加持「傷つけられてたまるか」

激しいカーチェイスが始まる。

加持「普段の誘いには知らん顔して、こういうときは追ってきやがる」
ミサト「あんたの行動はいつでもむかつくのよ」


山道の中で車を止め、4人が対峙する。

加持「すぐ済むことなんだ、黙って見ていてくれないか」
ミサト「加持君 あなた一匹狼を気取って気持ちいでしょうけど シンジ君にその生き方、押しつけないでよ」
加持「葛城、邪魔するなら今すぐアスカを連れて帰れ」
ミサト「私はネルフの人間です。シンジ君も連れてゆくわ」

加持が銃を取り出し、ミサトに向ける。

加持「こうすれば全て俺の責任になるだろう」
ミサト「あんたはいつもそうね 自分勝手で! 強引で! そうやって私から全て取り上げてゆくのよ シンジ君を返して! その銃で私を撃てばいいでしょ」
加持「帰りに一杯どうだ? パスタを山盛りに出すイタリア料理の店があるんだ」
ミサト「ごまかさないで……」
加持「時間だ」
アスカ「誰か、こっちに来るわ」


1台の黒い車がやって来て、止まる。
運転席から黒服とサングラスの男が、助手席からマナが現れる。

シンジ「マナ」
マナ「シンジくん 助かったのね よかった」
シンジ「加持さん」
加持「ん?」
シンジ「ありがとうございました」
加持「ああ」
シンジ「ミサトさん」
ミサト「……」
シンジ「すみませんでした」
ミサト「いいのよ、もう」
マナ「ごめんなさい」
ミサト「お礼はいいからさ、眺めいいとこ見てきなさいよ 時間がないんでしょ」
マナ「アスカさん」
アスカ「お久しぶり」
マナ「シンジ君、お借りします」
アスカ「なんなら、持って帰れば」


湖のほとりで水面を見つめるシンジとマナ。

シンジ「マナの姿を見て 一番ホッとしたのは、ミサトさんかも知れない」
マナ「いいお姉さんって感じね」
シンジ「僕のせいで、いつも困らせてしまうんだ」
マナ「私 責任感じてるの」
シンジ「そんなつもりじゃ」
マナ「いいのよ 謝ってもすむ問題じゃないもんね 償いはするつもりだから この世界から消えるのよ、霧島マナは…… 私ね 別の名前をもらって、新しい部屋に住んで、新しい学校に通うの ずっと遠く、誰も知らない町」
シンジ「本当に逢えなくなるんだね」


マナ「いつか…… いつか逢いにくるよ」

シンジ「待ってる」


(終)
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