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12月24日
「そう言えば、荻原さんへの告白の返事って聞いてないな…」
(あ…電話だ…もしもし…)
なな「あ…もしもし…荻原です…」
プレイヤー「あ、俺、(プレイヤー)」
なな「あ…(プレイヤー)君?こんばんわ」
プレイヤー「こんばんわ。どうしたの?」
なな「うん…あのね。突然なんだけど、私、明日、出発する事になったの」
プレイヤー「え!?」
なな「今まで黙っててゴメン…それで、あの時の返事なんだけど…」
プレイヤー「ああ、気にするな。向こうで思いっきり暴れてこい」
なな「……うん…本当にごめん…」
プレイヤー「………それで…明日は何時の飛行機?」
なな「1時の飛行機だけど…」
プレイヤー「そうか。見送りに行くよ」
なな「顔見ちゃうと、別れが辛くなるな…」
プレイヤー「じゃ、行かない方がいいか?」
なな「あ、やっぱり来て」
プレイヤー「はは、わかったよ。1時だな」
なな「うん…絶対だよ」
プレイヤー「それで、いつ帰ってくるんだ?」
なな「とりあえず、卒業式には戻ってくるよ。ゲリラ・ライヴやらないといけないし」
プレイヤー「そうか…でも、また行くんだろ?」
なな「そうね…卒業後はいつ帰ってこられるか…あ、でも売れなくなってすぐ帰ってくるかもね」
プレイヤー「嬉しいような嬉しくないような…」
なな「そうならないように頑張るけど」
プレイヤー「そりゃそうだ」
なな「……電話、切りたくないな…」
プレイヤー「そうだな…」
なな「でも、もうカードないし…また、明日、空港でね」
プレイヤー「ああ」
なな「それじゃ…」
プレイヤー「………」
なな「あ…(プレイヤー)君、先に切って…」
プレイヤー「ああ、わかった。それじゃ」
プレイヤー「1時の飛行機か…」

翌日、12月25日
プレイヤー「ん、んん…」
プレイヤー「なんか、目覚ましの音、小さいな…あ、布団の下に潜ってたのか……………………アッ!」
なな「1時の飛行機だけど…」
プレイヤー「……………1時15分…………遅刻だ!」

〈暗転〉
布団から跳ね起きた俺は、顔も洗わず電車に飛び乗った

プレイヤー「ああ…俺のバカ…」
なな「あ、やっぱり来て」
プレイヤー「でも、飛行機ってよく遅れるし…」
なな「うん…絶対だよ」
プレイヤー「よし、遅れる事を祈ろう」

結局、空港に着いたのは3時過ぎだった…

〈空港にて〉
プレイヤー「えーと…1時発のNY行き…もう出てるよ…当たり前だけど…終わった……………………帰ろう……」

〈暗転のあと、目の前になな〉
なな「遅い!2時間の遅刻だよ」
プレイヤー「あ…荻原さん…なんで…」
なな「見送りに来るって言ってたから待ってたんじゃない!」
プレイヤー「うそ……」
なな「なんてね!冗談だよ」
なな「あのね、やめたのアメリカ行くの」
プレイヤー「え!?契約は!?」
なな「白紙状態」
プレイヤー「なんでまた…」
なな「だって、どこにいたって音楽はできるでしょ?」
プレイヤー「そうだけど…」
なな「それに、このままNY行っても、哀しい曲しか歌えそうにないし…」

(選択肢「抱きしめる」)
プレイヤー「な、奈々…」
なな「やっと名前で呼んでくれた」
プレイヤー「奈々!好きだ!」
なな「ちょ、ちょっと!痛いよ…」
プレイヤー「もう、離さないから…」
なな「………バカ…」

〈暗転〉
荻原奈々の葬儀が行われたのは、それから約三週間後のことだった。
一月十九日、午後九時四十五分 彼女は自宅で突然倒れた。
翌午後二時過ぎ、勤め先から帰宅した母親がそれを見つけ、救急車を呼んだ。
が、既に手遅れだった。
彼女はギターケースの上で、十八年という短い生涯の幕を閉じた。

〈ななの葬儀のシーン〉
葬儀の日、彼女の母親から聞いた話によると、死因は、脳にあった血りゅうが突然、破裂した事によるものだったそうだ。
彼女の血りゅうは先天的なもので、いつ破裂するかは医者にも判らない不発弾のようなものだったらしい。
(もちろん、発病しないケースも珍しくない)
彼女は自分の病気を知っていた。
〔もしかしたら、残された時間の短さに気づいていたのかもしれない〕
彼女の生きざまを思い出しながら俺達はそんな事を考えていた。

そして、月日は流れ…

〈卒業式にて〉
自由登校となる三学期となると、みんなと顔をあわせる機会は、ほとんどなかった。
彼女の葬儀のあと、みんなで顔を合わせたのは卒業式の当日だった
卒業式は、何事もなかったように進行していった
3年7組の列の1つの空席が、哀しかった。

志摩(ななの親友)「あ、みんな…ここにいたんだ」
プレイヤー2「ああ…」
志摩「本当は今頃、ここでギター弾いてるハズだったのにな…」
プレイヤー1「弾いてるさ」
プレイヤー4「ああ、聞こえる」
志摩「本当だ…聞こえるね…」
プレイヤー3「…………」
志摩「あ、そうだ。ほら、私、8mm撮ってたでしょ」
プレイヤー1「ああ、そういえば」
志摩「この前、フィルム現像したんだ。今から見ようよ」
プレイヤー4「いいけど、どこで見るの?」
志摩「視聴覚室」

〈視聴覚室にて〉
志摩「これでよし…と。じゃ、電気消すよ」

(スクリーンに映し出される映像。そこにはななの生きていた日の証があった。バンドの練習風景、中間テストの結果発表の時のプレイヤーたちとの世間話、突然カメラを向けられ戸惑うななの表情、そしてカメラを向けられたななのぎこちない笑顔が…)

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