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『最終話 終焉(おわり)の街のアリス』

物質界にて…

激しい戦いの中、九十九の様子がおかしくなる…

九十九「我(われ)の…我(われ)の体が…崩れて…いく…。 なぜだ…力を手に入れた我(われ)が…。」
零児「…笑わせるな。 おまえは半身しかない。 それで、俺達俺達の全力を受け止められると思っていたのか。」
小牟「背負っとるもんがちゃうんじゃ。 …なめるでない…!」
九十九「背負って…いる…もの…?」
零児「…沙夜ならば、わかっていたかもしれん。 だが、わかるまい、おまえにはッ!」

そこで零児と小牟は、崩れ掛けている九十九を倒すべく、『真羅万象』でとどめをさした。 その後、九十九は消滅し、
沙夜は解放された。

零児「………」
沙夜「坊や…私を…もう一度撃ってくれる…? それで私は…ここから…解き放たれる…。 もう、坊やには…二度と…
    会えないけれど、ね…。」
彼女は弱くなりながらも、零児にそう頼んだ。
小牟「…零児、ぬしが手を下すまでもない。 こやつは…もう…。」
彼女は悲しそうに零児はそう言うが、そんな零児は沈黙のまま、沙夜の言われたとおり、銃を彼女の額に向かせる。
零児「………」
沙夜「…坊や…私の…最後のお願い…。」
零児「…地獄に落ちろ、沙夜。」
沙夜「ありがとう…。 本当に…いい男になった…零…児…。」

彼女がそう言い残した後、零児は沙夜に銃を撃ち、死滅した。

小牟「終わったのう…。」
零児「…ああ、親父の仇は討った。 これで…。 うっ!? なんだ!?」

突然地震が発生し、突如に閃光が放った。 その後に閃光と地震は収まり、零児と小牟、そして彼らの仲間達は振り向いた。
彼らの前に、イシターが現れた。

イシター「………」
カイ「イシター様!?」
ギル「物質界になぜあなたが?」
イシター「ようやく、この世界に来る事ができました。 強大な力が、物質界へ通じる次元の扉を封じていたのです。」
小牟「九十九の事じゃな。」
零児「間違いないだろうな。 で…女神イシター、あなたの目的は?」
イシター「すべての世界…そしてその世界に属する者達を正しき形に戻す事です。」
ワルキューレ「イシター様…そのために…。」

???「…わしもおるでな。」

デミトリ「ぬう…! この“気”は…。」
彼が感じるように、イシターの隣に何者かが現れた。 その正体は三途の川から来た安駄婆であった。

安駄婆「ひゃっひゃっひゃ…大儀であったのう、皆の者。」
スタン「え!? おばあさん…!?」
ルーティ「怖っ! だ、誰コレ!? 敵!?」
ジューダス「貴様らは会った事はないか。 …サンズノカワの渡し守、アンダバだ。」

たろすけ「安駄婆の婆ちゃん!? なんで?」
景清「…迎えに来たか、我らを。」
アーマーキング『………』
ローズ「…そのようね。」
安駄婆「察しの通りじゃ、景清。 おぬしらの戦(いくさ)は終わった。 そして残された“時”もまた然り…。」
御剣「そうか、景清達は…。」
イシター「残念ながら、あまり時間はありません。 次元を歪め、縛っていた存在が消え、再び不安定な状態になりつつあります。」
KOS-MOS「そのようです。 空間歪曲の反応が、急激に消失しつつあります。」
シオン「それって…どういう事?」
M.O.M.O.「通常空間に戻りつつあるんです。」
ワルキューレ「“次元の鍵”が、また世界を隔てようとしているのでしょう。 本来、あるべきかたちに。」
イシター「そうです。 そうなる前に、あなた方を元の世界に戻す…そのために来たのです。」
小牟「やれやれ…その口ぶりじゃと、ゆっくり別れを惜しむ時間もなさそうじゃの。」
安駄婆「左様。 それもまた宿命(さだめ)じゃ。」

零児「…了解した。 女神イシター、お願いする。」
イシター「わかりました。 世界が交わる事はもうないでしょう…。 次元の壁に“ほころび”は残ってしまうかもしれませんが。
      異界の勇者達よ、改めてお礼を言わせていただきます。」

飛竜「…俺は任務を果たしただけだ。」

超戦士2P「勇者か。 …ヘッ、ガラじゃねえぜ。」
超戦士1P「その勇者サマは仕事の途中なんでな。 次の相手は“天帝”さ。」

キャプテン「戦士に心休まる暇はなし、か。 我々がやって来た宇宙も、決して平穏な世界ではないからね。」
ジェネティー「………」
フーバー「帰ったら大変でしゅよ。 我々がいない間に、いろいろと問題が起こっているに決まってましゅ。」
翔「左様。 我らは次の戦いに臨むのみ。 …凱殿、協力に感謝する。」
凱「それはこちらが申すべき事でござる。 “世を乱す者”を討つのは、武神の宿命(さだめ)なり。 翔殿、
  おぬしと共に闘い抜いた記憶、忘れはせぬ。」

コブン28号「なんか…感動的ですぅ…。」
トロン「こんな辛気臭いのは苦手ですわ。 サッパリと別れたいですわね。」
ロール「それは冷たいんじゃないかな? お別れくらい…ちゃんとしたいよ。」
トロン「なにをおセンチになってるんだか、ヘッポコメカニックのくせに。」
ロール「ヘッポコ!? ちょっとどう言う事!? 私はあなたより…!」
ロック「ああもう…よしなよ、二人とも…。」

タイゾウ「らしくなって来たじゃねえか。 ま、面白かったぜ。 冒険家として、満足がいく冒険だったな。」
マスヨ「のん気なものねえ、タイゾウ君。 こっちは本部への報告書、どうしようか頭が痛いトコなのに。」

小牟「…組織に属しておるとつらいのう。 ま、わしらもじゃが。」
ブルース「細かい事ばかり気にすると老けるぜ?」
レジーナ「細かい事? …アメリカの総合戦略軍は、報告書を必要としないのかしらね、ブルース。」
鳳鈴「最後まで冬瓜(ドングァ)ね。」

M.O.M.O.「な、なんか皆さん大変ですね…。」
ひろみ「湿っぽいのは嫌ですけど、グチっぽいのもどうかと…。」
KOS-MOS「シオン、そろそろまとめた方がいいと思いますが。」
シオン「そ、そうね…。 有栖さん、小牟さん…そして皆さん、ありがとうございました。 戦いは大変だったけど…
     皆さんに会えてよかった。」
シルフィー「お買い上げ、ありがとうございました。 またのご来店をお待ちしております。」

零児「未来からの客には、もうこりごりだ。 …達者でな、みんな。」

彼は未来から来た仲間達に別れを伝えた後、閃光が放たれ、その場から消えた…。

デミトリ「次は我々だ。 イシターよ、とっととやってもらおう。 こんな空気の悪い所に長居はしたくない。」
モリガン「偉そうねえ。 人の世界の悪口を言うのは関心しないけど? デミデミ。」

英雄「いやあ、耳が痛いですな。 世界を救う話の後は、環境問題ですか。」
響子「…別れの雰囲気は台無しですけどね。」

リリス「リリス、哀しいのはキライだもん。 お別れはこのくらいがいいよ。」

ジューダス「…その通りだ。 別れに哀しみなどはいらない。」
スタン「リオン…帰ろう、俺達と一緒に! そしてまた、旅を…。」
ジューダス「…スタン、僕は一度死んだ男だ。 戻る場所は…決まっている。」
ルーティ「あんたはそれでいいの!? これってチャンスじゃない! 女神イシターとアンダバに頼めば…!」
ジューダス「チャンスはもう掴んだ。 戦いを終え…裏切り者としてではなく、おまえ達の友として死ねる。 …悔いはない。」

アーマーキング『ああ、俺達も幸運だ。 この大勝負…今までのどの試合よりも充実したものだったぞ。 そして、
          その終わりと共に散りゆく。 それもまた…華だ。』
キング『師匠…あなたの誇り、必ず次代のキングに伝えます…!』

安駄婆「ひゃっひゃっひゃ…別れはもう済んだかえ? 三途の川の渡し貸、今回は特別にわしがもってやろうかの。 
     兵(つわもの)達の働きに免じて、な。」
たろすけ「景清兄ちゃん、オイラ…。」
景清「小童…否、たろすけ。 哀しむ必要などない。 我(われ)の役目は終わり、再び闇に帰るだけのこと。」
ローズ「だけど、また今回のような事件が起きたら…お婆さんに頼んで、出てくるかもしれないけれどね。」
安駄婆「ひゃっひゃっ…元気のいい亡者どもじゃ。 じゃが、それもよかろう。」

イシター「では、アンダバ様…。」
安駄婆「魔界の者達よ、本来在るべき世に帰るとしようぞ。」

ルーティ「リオン…!」
ジューダス「…さらばだ。」

最後の別れを告げた後、安駄婆による閃光が放たれ、魔界から来た仲間達を元の世界に帰した。
もちろん、三途の川から来た死者達と共に…。

たろすけ「景清兄ちゃん…。」
景清が三途の川へ帰った事により、たろすけは悲しんでいた。
タキ「たろすけ、きゃつは己の戦(いくさ)をまっとうした。 笑顔で送ってやるがいい。 我らも戦場(いくさば)へ戻る時だ。」
御剣「ヘッ、そうだな。 おい、婆さん。 あんたが俺達を元の国に戻してくれるのか?」
安駄婆「ひゃっひゃっひゃ…そのつもりじゃ。 口の利き方を知らぬ若造よ。 わしらも戻ろうぞ。 “いしたあ”よ。」
イシター「わかりました。 後の事は私が。」

安駄婆「では、ゆくか。 からくりを除けば、ここにおる者達とはまた会う事になる。 三途の川の渡し口での。 ひゃっひゃっひゃ…。」
レイレイ「アタシみたいな例外もいるケド…縁起でもないコト言うなアル。」

わや姫「タキ、夢想抜刀のデータ…永久保存するわ。」
タキ「フッ、好きにせい。」

そう言い残した後、安駄婆による閃光が放たれ、魍魎界から来た仲間達を元の世界に帰した。

サビーヌ「これで、ヨソモノはオレ達だけだな。」
クリノ「そうだね。 オイラ達が元の世界に戻れば、すべて元通りに…。 あ! でも、世界が混ざり合ったこの状態はどうなるんだろう?」

ギル「そうだね。 放っておくわけには行かない。 元に戻す方法は…。」
イシター「心配はいりません。 障害が消えた今、乱された“次元の壁”はじきに修復され…切り取られた世界は、
      元に戻っていくでしょう。 私も力を使います。」
カイ「それを聞いて安心しました、イシター様。 このまま元の世界に帰るのは、無責任かと思っていましたので…。」

アーサー「まったくだ。 魔界村の一部を、別の世界に残してなどおけないからな。」

ルーティ「あたしも、後片付けが大変そうだな〜…とは思っていたわよ? ま、あたしがやるわけじゃないからいいか、
      くらいに考えてたけど。」
さくら「うわ〜、アバウトだ…。」
かりん「こういう人が、ゴミのポイ捨てなどをするのですわ。」
スタン「ルーティ、最後の最後に印象悪いよ…。」

ガンツ「辛気臭くなるよりゃマシさ。 さて…なかなか面白かったぜ? とにかくメチャクチャな戦いだったが、
     オヤジの仇も取れたしな。」
クロノア「じゃあね、みんな! みんなの事、絶対に忘れないから! だから…ボク達の事も忘れないでよ!」
小牟「心配はせんでも、ぬしらのように覚えやすい連中に忘れはせんわ。」

ワルキューレ「私も、この戦いに身を投じたすべての人々の事…決して忘れはしません。 世界を救った勇者達に、
         幸あらん事を…。」

彼女がそう言い残した後、イシターによる閃光が放たれ、幻想界、及び神界から来た仲間達を元の世界に帰した。

キャミィ「…残るは我々だけか。」
春麗「ここは私達の世界…あとは解散するだけね。」
さくら「なんか…あっという間の出来事だったね。 走り回って、あとはずっと闘ってた感じ。」
リュウ「だが…その中でいろいろな事があったな。 豪鬼と闘い、ローズと再会し、ベガとの決着をつけた…そして俺の…。」
ケン「終わった事だぜ、リュウ。 強い奴らとやりあって、最後にはとんでもない大勝負に勝った。 …それでいいのさ。」
リュウ「………そうだな、ケン。」

平八「闘いといえば、仁よ。 …わしに何か用があるのではなかったか?」
仁「………」
平八「ここでやるか? フフ…おあつらえ向きの舞台だ。」
零児「おい、よせ。」
仁「…やめておく。 今はそういう気分じゃない。 それに一八がいなくなった今…平八、貴様の狙いは、
  俺の体に隠された“あの遺伝子”だ。 万全の状態ではない俺を、ここで倒す算段だろうが…その手は食わん。」
平八「ふん…。」

平八(小僧かと思っておれば…感情をコントロールする術を学びおったか。)

フェリシア「ほらほら! ケンカはやめてよ! どうせやるなら、みんなでお祝いのダンスの方がいいって。 はい! 
       レッツダンシン!」
零児「この状況で、このビルの上でか? …シュールすぎるぞ。」

中村「踊る前に、見届けになければならない事がありますよ。 イシターさん…いいですか?」
イシター「はい、“次元の壁”を元に戻します。 あなた方も、お望みの場所へお送りましょう。」

ハガー「さすがは女神だ。 サービスも満点だな。 私はメトロシティまでお願いしよう。」
桃「あ、じゃあ私はナムコシアターまで…。」

かりん「自宅までお願いいたしますわ。 住所は…。」
小牟「…神の力をなんだと思っとるんじゃ。 タクシーちゃうぞ。」
イシター「私は構いませんよ。 …では、力を使います。 異界の英雄達に、感謝をこめて…。」

彼女がそう言うと、無数の光が彼女の体に集まり始めた。

零児「祭りの終わり…か。」

零児(これが10年前の戦い…その結末だ。 …これで…よかったんだよな…親父。)

そして光が照らされ、零児と小牟、そして仲間達は、自分達の望む場所へ戻った…。




この日を境、世界各地で起こっていた怪異は影を潜め、平穏な日常が戻った。

突然起こった、あまりにも非現実的な現象の数々。

そして、跡形もなく消え失せた異世界の痕跡。

すべては夢のように消えた。

それは『世界』そのものが、その均衛を守ろうとした結果なのかもしれなかった。

…それから、3ヶ月の時が過ぎた。




-物質界…アメリカ、メトロシティ-

『ストリートファイターII』でケンのステージとして使われた港にて、ケン・マスターズは春麗と再会していた。

ケン「よう、久しぶりだな。 ICPOの捜査官様が、俺に何の用だい?」
春麗「単刀直入に言うわ。 一緒に日本に行ってほしいのよ。 それと、リュウの居場所を教えて。」
ケン「なんだよ、急に。 あれから3ヶ月…また何か起きたのか?」
春麗「あの事件と…無関係ではないわ。」
キャミィ「…その通りだ。」
彼女はそう言いながら、春麗の背後から姿を現した。 それに対してケンは彼女に驚いた。
ケン「…なに!? キャミィ、なんでおまえが?」
春麗「これを見て。」
彼女はそう言うと、赤いステッカーの付いた赤い封筒をケンに手渡した。
ケン「なんだこりゃ…手紙?」
キャミィ「全部で6通ある。 宛名を見てみろ。」
ケン「マイク・ハガー…市長か? それにチュンリー、キャミィ…リュウにガイのもあるのか? 最後が…俺か?」
春麗「中身はパーティの招待状よ。」
ケン「パーティ? ん? 差出人が…。 …デミトリ=モキシモフ…!?」


-物質界…日本、私立ジャスティス学園、校門前-

春日野さくらは私立ジャスティス学園に訪れ、そこで島津英雄と水無月響子と会った。

さくら「あ、来た来た。 島津先生、水無月先生、こんにちは!」
英雄「こんにちは、春日野君。」
響子「どうしたのかしら? 急に予定を空けてくれだなんて。」
さくら「それが…あたしも、よくわかんないんですよね。」
英雄「は?」
さくら「神月さんに、今日この時間に先生達と呼び出してくれって一方的に…。」

彼女がそう悩んでいる内に、どこかからヘリの音が聞こえて来た。

さくら「わ! な、なになに!?」
響子「ヘリコプター…!?」
英雄「だ、誰か降りてきましたが、あれは…。」

三人は動揺していると、ヘリから神月かりんが降りて来た。

かりん「おーほっほっほっほ! 皆さん、お集まりのようですわね。」
さくら「そろそろ教えてよ、神月さん。 一体何があるの?」
彼女はそう問い掛けると、かりんは例の手紙を取り出した。
かりん「先日、こんなものが私の屋敷に届けられたのですわ。」
さくら「何これ…招待状…?」


-物質界…日本、ナムコシアター-

ナムコシアターにて、フェリシアとワンダーモモこと、神田桃はショーに出演していた。 そのショーに対して、
観客達は歓迎の拍手をした。

ワンダーモモ「どうもありがとう! またここに帰ってくる事が出来ました! 本当にありがとう! これからも、
         いつまでも、がんばります!」
フェリシア「みんな、バトルミュージカル、楽しんでくれた!? 次も絶対やるからね! お楽しみに〜!」
観客達は更に拍手を送り、閉幕した。

劇が終わった後、ベラボーマンこと、中村等とキングがいた。

中村「いやいや、面白かったですね。 バトルミュージカル。」
キング『うむ、プロレスとはまた違うエンターテイメントだ。 アマゾーナ君も出ていたが…元気そうだな。』
中村「あの戦いの記憶はないそうですよ。 まあ…その方がいいでしょう。」
キング『君と同じ姿をした黒い男は?』
中村「………」

???「あいつなら普通に営業に出てるわよ。」

キング『む…?』

その時、キングと中村の前にわや姫が現れた。

わや姫「そういう人間の感覚って、理解できないわよね。」
中村「わや姫、それが人間らしいという事ですよ。」
わや姫「解析には時間がかかりそうね。 …で、あなた達のところにも来てるんでしょ?」
彼女はそう言うと、例の手紙を中村とキングの前に取り出した。
中村「これですね。 今日は桃さんにこれを届けに来たのですよ。」
キング『ああ。 私とフェリシアのところにも来ている。』


-物質界…太平洋上、スペンサーレイン号-

『GUNSURVIVOR 4 BIOHAZARD -HEROES NEVER DIE-』の舞台として使われたスペンサーレイン号にて、
ブルース・マッギャヴァンと鳳鈴、そしてレジーナとレイレイが集まっていた。

鳳鈴「…で? なんで私達はまたこの船に乗っているの? しかもこのメンツで。」
レジーナ「まったくね。」
ブルース「腐れ縁ってやつさ。 こいつが来なけりゃ、休暇中にこんな所にいやしない。」
彼はそう言いながら、例の手紙を取り出した。
レイレイ「でも、デミトリもイキなコトするアルな。 ちょっとだけ見直したワケ。」
鳳鈴「もう少し考えてほしかったけどね。」
レジーナ「何か問題が?」
ブルース「俺達以外にあと二人…招待状を届けてくれとさ。 カザマ・ジン、ミシマ・ヘイハチにだ。」
レイレイ「なんでイヤそうアルか?」
ブルース「流出した“あのウィルス”がミシマの手に渡るはずだったって話…あの事件で結局ウヤムヤになっちまったからな。」
鳳鈴「カザマとミシマの確執を考えると、同じパーティに出席しろというのも…モメそうね。」
レイレイ「デミトリの奴、ワザとやってるっぽいアルな…。」


-魔界…三途の川-

死者達の居場所である三途の川にて、平景清は安駄婆の前に、眠りから召喚された。

景清「………」
安駄婆「目覚めたか? 景清よ。」
景清「…何のつもりか、安駄婆。 なぜ我(われ)の眠りから呼び覚ました。 もしや…源氏が…?」
安駄婆「ひゃっひゃっひゃ…慌てるでない。 ぬしにこのような物が届けられたのよ。」
そう言うと、景清に例の手紙を手渡した。
景清「書状…? ………。 ……………。 …………………。」
安駄婆「“でみとり”めも律儀な男よの。 閻魔大王様からお許しを得ておいた。 感謝せい、景清。」
景清「…我(われ)が成すべき事は終わった。 ただ、郷愁の彼方へ消え去るのみ。」
安駄婆「おぬしの役目は終わったやも知れぬ。 じゃが…こ奴らをその場所まで導くのはおぬしの役目よ。」
景清「“こ奴ら”…とは?」

その時、ジューダス、アーマーキング、そしてローズが現れた。

ローズ「久しぶり…でもないかしら?」
アーマーキング『ふん、また呼び出されるとはな。』
ジューダス「………」

安駄婆「ひゃっひゃっひゃ…どうするかね、景清。」
景清「………」


-魍魎界…上ノ伊城近辺、竹林-

『ソウルキャリバー』シリーズのステージの一部、上ノ伊城の近辺にある竹林にて、御剣平次郎とタキは邪剣『ソウルエッジ』に関して争っていた。

御剣「…もう一度言ってみろ、タキ…!」
タキ「ふん、何度も言ってやろう。 貴様のような田舎侍が『そうるえっじ』を手にする事などできぬ。 悪い事は言わぬ…
   この件から手を引け。 …貴様は目障りだが、共に戦ったよしみで忠告してやろうというのだ。 フフフ…。」
御剣「…いい加減にしやがれ。 やはりてめえは気に入らねえ。 この場で斬る…!
    貴様の滅鬼丸とやらは『そうるえっじ』を探すのに役立ててやるぜ。」
タキ「見逃してやろうと思えば、阿呆が。 …ではここで死ぬがいい。」

たろすけ「到着〜〜!」

死闘が始まる寸前、御剣とタキの間に突然たろすけが現れた。

タキ「たろすけ…!?」
御剣「小僧が! どけッ!」
たろすけ「御剣兄ちゃん、はいこれ。」
脅されているにも関わらず、たろすけは笑顔で例の手紙を御剣に手渡した。
御剣「ああ? …なんだ、これは…。」
たろすけ「タキ姉ちゃんにも来てるよ。」
彼は再び笑顔で例の手紙をタキに手渡した。
タキ「…たろすけ、今は取り込み中だ。 死にたくなければどけ。」
たろすけ「なに遊んでるんだよ。 ほら、行くよ。」
御剣「俺はここでこいつを斬らなきゃならねえ。 …邪魔をするな、小僧…!」
たろすけ「そんなの向こうに着いてからやれって! ほら、二人ともこっちこっち!」
全く空気を読んでいないたろすけは、御剣とタキを案内するかのように歩き出した。

御剣「………」
タキ「………」
御剣「…ふん、水を差された。 命拾いしたな、タキ。」
タキ「口の減らない奴め。 …だが、興が削がれた事は認めよう。 たろすけ…我々をどこへ連れて行く気だ?」


-幻想界…ドルアーガの塔、廃墟跡-

廃墟状態となったドルアーガの塔にて、スタンとルーティがいた。 しかしルーティは何かでイライラしていた。

ルーティ「…遅い。」
スタン「だから落ち着けよ、ルーティ。 遅い遅いって…まだ約束の時間が10分しか…。」
ルーティ「じゅ〜〜ぶんよッ! レディを待たせるなんて、白銀の騎士も底が見えたわね!」

スタン(前にしたなあ、この会話…。)

スタン「あ、白銀の騎士!」
ルーティ「ふふ〜ん、甘いわね、スタン。 ヒゲオヤジ、どうせすぐになんて…。」

アーサー「遅刻は10分だけだぞ、お嬢ちゃん。 それにヒゲは嫌いかな?」

彼はそう言いながら、ルーティの背後から突然現れ、彼女はそれに対して驚いた。

ルーティ「え!? あ…あはははは! もう男らしいヒゲ、大好き! …スタンッ!」
最後に彼女は小声でスタンに突っ込んだが、スタンには悪気はなかった。
スタン「いや…ちゃんと言ったって。 すいません、アーサーさん。 俺達に用事って…なんですか?」
アーサー「俺と君達宛に、こんな物が届いてな。」
彼はそう言いながら、例の手紙を取り出した。
ルーティ「手紙…?」
アーサー「地獄からの招待状…と言ったところだな。 どうにも縁が断ち切れんらしい。 ははは。」


-神界…天空寺院、大巫女の間-

天空寺院の大巫女の間にて、クロノアとガンツはロロと出会った。

ロロ「クロノアさん、ガンツさん!」
クロノア「ワッフゥ! ロロ、がんばってる?」
ロロ「はい! もう少しで見習い卒業です!」
ガンツ「おいおい、そんな話をするためにオレにバイクを出させたんじゃねェだろな?」
クロノア「そうだね。 ロロ、ボク達に用事ってなに?」

カイ「それは私からお話しするわ、クロノア君。」
ギル「久しぶりだね、二人とも。」

クロノアとガンツの前にギルガメスとカイが現れた。

ガンツ「こんな所に黄金の騎士とイシターの巫女がお出ましかよ。 今度はなんだ?」
再会したにも関わらず、ガンツは冷たそうに問い掛けた。
クロノア「ま、まさか…また事件〜?」
その次にクロノアは疲労を感じているように、目を×にしながらそう言った。
ギル「事件と言えば事件…かな。 これを君達に渡そうと思ってね。」
彼はそう言いながら、例の手紙を取り出した。


-神界・イシターの神殿-

イシターの神殿にて、ワルキューレが訪れた。

ワルキューレ「ワルキューレ…ただいま参りました。 イシター様、また世界に何かが起きたというのですか?」
イシター「ワルキューレ…あなたには、いつも困難な戦いを言いつけてきましたね。」
ワルキューレ「…それが私の使命です、イシター様。」
イシター「ですが、今回は…いつもと異なる理由で、あなたを呼ぶ事ができました。」
ワルキューレ「…え? どう言う事ですか…?」
イシター「これが、あなた宛に届けられたのです。」
彼女はそう言いながら、例の手紙をワルキューレに手渡した。
ワルキューレ「手紙…でしょうか? 差出人は…デミトリ=マキシモフ…!?」
イシター「そうです。 そして、同じ手紙がもう2通あります。 あなたの大切な仲間二人に、です。 
      今回は連れて行っておあげなさい。 あなたと共に。」
ワルキューレ「…はい。 ですが、イシター様…私が声をかけるまでもないでしょう。」
イシター「……?」
ワルキューレ「あの二人ならば、どんな場所であっても必ず来てくれます。 どんな戦いのさなかであろうとも、
         私の背を守ってくれる…それがあの二人なのですから。 今回は…戦いではありませんが。」
イシター「本当に…いい友を持ったようですね、ワルキューレ。」
ワルキューレ「はい…!」

-超未来…貸客船、エルザ艦内-

『ゼノサーガ』シリーズから登場したエルザ艦内にて、シオン・ウヅキ、KOS-MOS、M.O.M.O.がいた。

シオン「KOS-MOS、調子はどう?」
KOS-MOS「筐体(きょうたい)そのものに異常はありません、シオン。」
シオン「よかったわ。 ようやく元の状態に戻ったわね。」
M.O.M.O.「KOS-MOSさん、そんなにひどかったんですか?」
シオン「もう関節は負担でガタガタだったのよ。 戦闘用アンドロイドとはいえ、あの戦いは想定外の事ばかりだったから…」
KOS-MOS「ですが、シミュレータでは得られない戦闘データの蓄積を行う事が出来ました。」
シオン「まるで汎用性のないデータだけどね…。」
M.O.M.O.「でも…なんだかあっという間でしたね…。 少し寂しいです…。」
シオン「そうね…。」

そんな寂しそうな空気の中、アレンが現れた。

アレン「主任…あのう…。」
シオン「あら? アレン君…どうしたの?」
アレン「あのですね…主任にお客さんが。」
シオン「お客? え? もしかしてヴェクター本社から?」
アレン「それが、コマンドーチームなんです。」
M.O.M.O.「えっ!? キャプテンさん達ですか!?」
彼女がそう言った後、アレンは例の手紙をシオン達に手渡した。
アレン「これを持って、一緒に来てほしいと言う事なんですが…。」
シオン「これなに!? 今時、紙の書類なんて…。」
普通この時代では紙は存在しない。 それに対してシオンは驚いていたが、アレンは突然呆れ始めた。
アレン「主任、なにか…やらかしたんですか?」
シオン「え? え? ええっ?」


-超未来…近境惑星、古代遺跡上空-

古代遺跡の上空に飛行しているフラッター号を操縦しているロック・ヴォルナットとロール・キャスケット。
他にもホリ・タイゾウも乗船していたが、彼はここから降りる事をロックとロールに伝えた。

タイゾウ「おう、ここらでいいぜ。 すまねえな、ロック、ロール。」
ロール「え? こんな所でいいんですか? この辺はもうディグアウトし尽された遺跡ばかりですけど。」
タイゾウ「かまやしねえさ。 …俺はお宝目当てで遺跡に潜るわけじゃねえからな。」
ロック「え? じゃあどうしてタイゾウうさんは…。」
タイゾウ「…より深く、より奥へ。 ただ掘り進んでみたいだけさ。 その先に、誰も見た事のないモンがあるかも知れねえ。
      ヘッ…ワクワクしてこねえか?」
ロール「形のない何かを追い求める…それって、もうディグアウターじゃないですよ。」
タイゾウ「そうだな。 ディグアウター…とは言えねえな。 …“ドリラー”。 ドリラー…なんてのはどうだ?」

通信の声「さしずめ、ミスタードリラー…ってとこね、タイゾウ君。」

ロール「通信!? って、この声は!」
タイゾウ「…マスヨか。」
ロック「ロールちゃん、上だ! 通信用モニターを開けて!」

言われた通りにロールは通信用モニターを開けると、画面からボーン一家の飛行船、ゲゼルシャフト号が映り出した。

トロン「ようやく見つけましたわ。」
フラッパー号を探し続けていたらしく、ボーン一家長女のトロン・ボーンは疲れ気味であった。
もちろんゲゼルシャフト号にはトビ・マスヨと天現寺ひろみも乗船していた。
マスヨ「まったくタイゾウ君…ロック君達に迷惑かけるんじゃないわよ。」
ひろみ「まあまあ、先輩…。」
タイゾウ「おいおい、いいのかよ。 空賊が宇宙軍の空間騎兵を運ぶなんてよ。」
トロン「仕方ありませんわ。 事情が事情なんですわよ。」
ロール「私達を捜していたっていうのも?」
マスヨ「そういう事よ。 こんな物が、私達全員に来てるんだから。」
彼女はそう言いながら、例の手紙を取り出した。
ひろみ「どうせなら一箇所に集まった方がいいですからね。」
ロック「それは…手紙…?」


-超未来…ダストワールド、シルフィーの店-

この時、名無しの超戦士1Pと2Pは、シルフィーの店に訪れていた。

シルフィー「いらっしゃいませ。 私はシルフィー、この店の主人です。」
超戦士2P「おう、邪魔するぜ。」
超戦士1P「珍しいじゃねえか、特売セールするから来てくれなんてよ。」
シルフィー「それはもう! 新しいサテライトなどいかがでしょう?」
超戦士1P「『サイドアーム』タイプで十分だぜ。 気に入ってるんでな。」
シルフィー「まずはご覧になってくださいませ。 新入荷の『ソルバルウ』タイプでございます。」
超戦士2P「ほう…ゼビウス軍と戦った戦闘機か。 渋い趣味だな、シルフィー。」
シルフィー「一度に2000機と戦闘できる性能を持った、超お買い得商品でございます! お値段はなんと…!」
超戦士1P「2000機? その辺はマユツバじゃねえのか?」
超戦士2P「で、本当に売りたい物ってのはなんだ?」
シルフィー「はい、こちらでございます。」
彼女は笑顔で例の手紙を超戦士の二人に手渡した。
超戦士1P「なんだこりゃ、手紙…? 情報でも書いてあるのか?」
超戦士2P「ん? どこかで見た事があるマークが入ってねえか?」

その間に、ストライダー飛竜が店に入って来た。

飛竜「…注文したサイファーのエネルギーパックは入っているか?」
シルフィー「これはこれはヒリュウ様。 はい、入荷しております。 それから、こちらもいかがでしょう?」
彼女は再び笑顔で例の手紙を飛竜に手渡した。
超戦士1P「おい、これっておまえが値段つけて売っていい物じゃねえだろ。」




…それからデミトリからの招待状を貰った仲間達は、魔界・デミトリ城のパーティ会場に集まった。

ブルース「悪夢はあの時終わったかと思ってたが…続きがあるとはな。」
超戦士1P「ヘッ、食い物に酒が出る悪夢なら、いつまでだって寝続けるぜ。」
レジーナ「それは悪夢とは言わないわよ。 再びあらゆる『世界』が繋がった…というのは悪夢的ではあるけど。」

フーバー「でしゅが、時間の壁を越えて、再び皆しゃんと会えるとは思っていましぇんでした。」
ジェネティー「………」
鳳鈴「そう言えばそうね。 どんな技術が使われたのかしら。」

ワルキューレ「イシター様が『時の鍵』を今回特別に使ってくださったのです。」
景清「我(われ)を再び地に立たせたのは閻魔の力だという。」
ジューダス「…フッ、甘い地獄の王もいたものだな。」

クリノ「でも、そのおかげでオイラ達はまた会う事ができたんだ。 感謝しないと。」
飛竜「浮かれるな。 あの戦い…すべての決着が付いたわけではあるまい。」
超戦士2P「空気読めよ、ヒリュウ。 パーティがシラけちまうぜ?」

仁「決着がついていない…それは同感だ。 …一八との決着はつかなかった。 それに、貴様もだ、三島平八。」
平八「ほう? ならばここでやるか? 仁よ。 ククク…パーティのいい余興にはなろう。」
場所はパーティ会場ではあるにも関わらず、仁と平八はお互い睨み合いながら、戦闘に構えた。

サビーヌ「…少しは仲良くしろよ、アンタら。」
ローズ「妙な空気になってきたわね。 リュウ、格闘家の代表として、何か言ってあげたら?」
リュウ「………」
彼は無言のまま、仁と平八の元へ駆け付けた。

リュウ「風間仁、三島平八…あの闘いの中で、何度も思ったよ。」
仁「ん?」
リュウ「…拳を交えたい、と…!」
ケン「出たぜ、こいつの悪い癖がよ。 …まあ、わからなくもないな。 こいつらを見てるとよ。」

凱「…手合わせ願えるか?」
翔「凱殿…? どういうつもりだ?」

さくら「いいねいいね、やろうよ!」
キャプテン「おいおい、ここでかい?」
かりん「…止められる雰囲気ではありませんわね。 それに、私も興味がございますわ。」

御剣「こりゃいいぜ。 祭りにケンカは付き物だ。 派手にやりな。」
タキ「フッ…こやつらの実力を考えれば、見世物として面白かろう。」
たろすけ(さっき殺し合いしようとしたくせに、よく言うよ。)

響子「英雄先生…止めた方がいいのではありませんか?」
英雄「…わかりました。 島津流空手、全身全霊をもってお相手します…!」
レイレイ「それは止めてる事にならないアル。」

ハガー「お、何か始まるのか? フフフ…私も混ぜてもらおうかな?」
彼は張り切りながら、スーツを脱ぎ捨て、戦闘に構えた。

キング『タッグマッチもありか。』
アーマーキング『このメンツか…。 フフフ…面白い事になりそうだな。』
ロール「みんな…どうしちゃったの!? こんな所でケンカなんて…。」
ロック「ケンカとは…ちょっと違うみたいだけど…。」

キャミィ「チュンリー、いいのか?」
春麗「強い相手を見ると、血が騒ぐ…。 格闘家にしかわからない感覚ね。」

トロン「ふう…さっぱり理解できませんわ。」
アーサー「ならば、理解するべく加わってみるか。 はっ!」
彼は一発気合を入れた後、鎧を全て投げ捨て、パンツ一枚の半裸状態になった。
アーサー「これで俺も格闘家っぽく見えるだろう?」
クロノア「いや、見えないよ! ただのパンツの人だよ! アーサーさん、死んじゃうって!」
ガンツ「いいじゃねェか、やらせてみよォぜ。」

カイ「ギル…あの…止めなくていいの?」
ギル「彼らもわかっているさ。 それに…僕も少し見てみたくてね。」

シルフィー「では、これより受付を開始いたします。 ご観覧の皆様、蓄ってお賭けください。」
ルーティ「あたしの独断と偏見で決めたオッズ表によると…」
スタン(いつ作ってたんだよ…。)

タイゾウ「まったく…はしゃぎやがって。 酒くらい静かに飲ませろってんだ。 なあ、マスヨ。」
マスヨ「………。 …そうね。 誰に賭けようかしら。 ふふ…。」
ひろみ「…ダメです、タイゾウさん。 こっちはこっちでデキ上がってます…。」

フェリシア「ねえねえ、殴りっこするより、みんなでダンスの方が楽しいって! ほら、ダブルモモちゃん!
       変身して! へんし〜ん!」
M.O.M.O.「ダブルモモって…え?」
桃「変身…っ!」
ここで桃はワンダーモモに変身した。
ワンダーモモ「これでいい? フェリシアさん。」
M.O.M.O.「じゃ、じゃあ…スターウィンド、ドレス・アーーーップ!」
ここでM.O.M.O.も変身した。
M.O.M.O.「変身完了です!」
フェリシア「よぉし! じゃあKOS-MOSちゃんも変身いってみよう!」
シオン「え? KOS-MOSに可変機構なんて付いて…。」
KOS-MOS「完了です。」
彼女はそう言いながら、変身はした…が、姿形はそのままで、ただ頭に猫耳をつけていただけであった。
シオン「それって変身なの!?」

わや姫「…なにをやってるんだか。」
中村「いやあ、いいじゃないですか。 私は好きですよ、この雰囲気。」

モリガン「パーティは盛況ね、デミトリ。」
デミトリ「…ふん。」
モリガン「意外ね。 …あなたがこんなに気が利く男だとは思ってなかったわ。」
デミトリ「連中がいなければ、あの戦い…敗れていたかもしれん…それは事実だ。 これくらいの事もできんようでは、
      マキシモフ家の沽券(こけん)にかかわる。」
モリガン「うふふ…今のあなた、とても素敵よ。 いつの世も、戦いは男を成長させるものなのかしらね。」
リリス「オトナだね、デミトリ!」
デミトリ「…ふん、茶化すな。 それに、魔蟲族が現れた事…覚えているだろう、モリガン。」
モリガン「………」
デミトリ「ドーマ家のジェダ…魔界に舞い戻ったのかもしれん。」
モリガン「…来るべき戦いのために、このコ達を利用しようとするわけ? 前言撤回ね。」
デミトリ「フッ…。」

リリス「難しい話は退屈だよ! ほら、みんなとご飯食べようよ! っていうか、戦いが始まるよ!」
モリガン「分かったわよ、リリス。 またしばらく会えなくなるんだしね。 …あら? でも…これで全員?」
リリス「レイジとシャオムゥちゃんなら、さっきバルコニーの方へ行ったけど?」


-魔界…デミトリ城、バルコニー-

外には大きな満月…デミトリ城のバルコニーにて、零児と小牟がいた。

小牟「下は盛り上がっておるようじゃのう。 それにしても…いい月じゃ。 魔界の月も、ウサギっておるのかのう?」
零児「どこの月だろうが、ウサギはいないぞ。」
小牟「まったく…夢のない奴じゃのう。 ピチピチのバニーちゃん達が、ぺったらこぺったらこやっとるかも知れんぞ?」
零児「それはもうウサギじゃない。 …こんな所に呼び出したのは、そんな話をするためか? 会場に戻るぞ。 
    酒も飲みたいしな。」
呆れた彼は、仲間達が盛り上がっている会場へ戻ろうとする。

小牟「……零児。」
先ほど遊び半分の小牟は、一瞬に心配そうな表情に変わり、零児を止めた。
零児「ん…?」
小牟「あの時…ぬしは自らの命を断つ事になる“術”を使おうとしたであろう?」
零児「…その話か。 結果的に俺は生きてここにいる。 運があった…それでいいんじゃないのか?」
小牟「…そうはいかん。 またこう言う事が起こったら…ぬしは同じ事をするつもりか?」
零児「………」
小牟「ぬしの…人間の命は短い。 それなのに、なぜそれをもっと短くしようとする? 言ったはずじゃ。
    わしの命は…わしの『刻(とき)』は…!」
彼女は悲しそうに零児にそう言う…。

零児「俺とおまえ、どちらが先に死ぬか…考える事自体に意味がないさ。 まっとうな仕事じゃない。 
    いつ死ぬかなんてわからん。」
小牟「………」
零児「ただ、命を賭けねばならん『時』だけは…誤りたくはないと思ってる。 10年前、親父は…そうやって死んだ。」
小牟「そうじゃ、あやつが…わしが…。」
零児「自分を責めるな、小牟。 親父は…その時を誤らなかっただけだ。 『遙魔』の企みを阻止し…おまえを生き残らせた。 
    そしておまえは俺を組織の一員として育て…俺は『遙魔』の計画を潰す事ができた。 そう考えれば…親父の死は、
    約束されたものだったのかもしれない…。」
小牟「………。 それが、ぬしらと異なる『刻(とき)』を生きる…わしの役目だと言うのか?」
零児「…そこまでは知らんさ。 言ったろ? 任務の中で、いつ死ぬかなんて…誰にもわからない。 ただ…。」
小牟「ただ…?」
零児「…おまえが先に逝くのなら、俺はそれを看取ってやる。 俺達は、どちらか死ぬまで…コンビなんだからな。」
小牟「…零児…! ………。 わしも約束するぞ。 …ぬしは死なさん。 そしてわしも死なん。
    ぬしがこの仕事を引退するまで…わしが面倒を見てやる。」
零児「小牟…。」
小牟「それだけではないぞ? 炊事洗濯やら夜伽(よとぎ)まで…なんでもござれじゃ。 ヨレヨレの爺さんになったら、
    介護だって任せい。 付きっきりで見てやるからのう。 そして…そして…最後にぬしが死んだら…
    毎日墓参りをしてやる…。 毎日キレイに掃除して…毎日花を供えてやる…! …そのつもりでおれ、零児。」
零児「フッ…それは重畳。 何年先になるかわからんが、死んだ後まで面倒を見てくれるとは、至れり尽くせり…だな。」
彼はそう言った後、タバコを取り出す。

小牟「おっと、さっそくじゃな。 それはダメじゃ。 寿命が縮まる。」
彼女はそう言うと、零児からタバコを奪い取る。 その後、零児は小牟を抱き上げる。

零児「何するんだ、返せ。」
小牟「ダ〜メ。 それに…タバコはキスの味が悪くなるでな。」
零児「なに? おい、こんな所で…。」
小牟「大丈夫じゃ♪」

小牟「月しか…見ておらんでな。」

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