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最終面後編「岐阜城の戦い」で徳川家康を倒した後

毛利輝元 なにっ!家康が岐阜城を脱し、逃げただと!
しかし、あの兵力ではそう遠くには逃げられまい。
小早川隆景 しかし、家康ともあろう人物が。・・・・・・あっけないものですな。
毛利輝元 あっけない、か・・・・・・。以前、元春叔父が似たようなことを言っていたな。
そう、たしか・・・・・・。羽柴だ。羽柴秀吉を倒したときに元春叔父が言っていた気がする。
小早川隆景 そういえば、確かにそのようなことを言っていましたな。
毛利輝元 滅びさるときはみな同じということか・・・・・・。
十年百年の後に、毛利家が衰えるのは仕方ないことだが、滅びさるのは御免こうむりたいものだ。
・・・・・・暗い話になったな。せっかくの勝ち戦だというのに。
小早川隆景 いえ、当主として立派な見識です。亡き元就公も喜ぶことでしょう。
毛利輝元 うむ。・・・・・・われらの勝利だ!

(尾張の海岸にて)

岐阜城で毛利に敗れた家康は、数名の兵士と城を脱し、三河をめざした。
しかし、退却の途中、落武者狩りに遭遇、配下の兵士は一人減り、二人減り・・・・・・、
とうとう家康だけになってしまった。
その家康も深手を負い、息も絶え絶え、どうにか尾張の海岸までたどりついた。

徳川家康 ど、どうにか・・・・・・、尾張まで来たが・・・・・・。
ぐっ・・・・・・。
も、もう・・・・・・。駄目のようだの・・・・・・。
うっ!
どうやら、最後の時のようじゃな・・・・・・。
ん・・・・・・?

(あたりを見渡す)

こ、この景色、見覚えがあるぞ・・・・・・。

ああ、あの時の海ではないか・・・・・・。

(回想シーン)

竹千代 うわあ〜い!海じゃ、海じゃ!
松平広忠 竹千代は、海を見るのが初めてだったかな。
竹千代 はい、父上!
わ〜い。
室 あまり遠くへ行ってはいけませんよ。
竹千代 はいっ!母上!

(元に戻る)

徳川家康 父上・・・・・・、母上・・・・・・。
ああ・・・・・・、あの頃が・・・・・・、懐かしいのう・・・・・・。

(家康、倒れる)

(京 二条城にて)

岐阜城で徳川軍を破った輝元ら毛利軍は、京に戻った・・・・・・。

毛利輝元 家康は、見つかったか?
小早川隆景 いえ。しかし、家康とともに逃げた兵士を捕らえましたところ、
家康は、逃走の途中で落武者狩りに遭いかなりの深手を負っているとか。
直に見つかりましょう。
毛利輝元 そうか。
福原貞俊 殿。
相模の北条氏政、越後の上杉景勝、土佐の長宗我部盛親、薩摩の島津義久、
みな、毛利家への臣従を誓う誓書を送ってきております。
志道広忠 これで朝廷より征夷大将軍に任命されれば、殿は名実ともに天下人でございますな。
口羽通良 しかし、宿敵大友宗麟はいまだ九州で大勢力をかかえておる、油断はなりませぬぞ。
児玉元良 な〜に、大友など、当家が出るまでもない。島津にでも任せておけばいい。
毛利輝元 いや、元就公や父隆元を手こずらせた大友宗麟。是非、戦ってみたい・・・・・・。
よし、これより、郡山に帰還し、すぐさま豊後に遠征、宿敵大友家を討つ!
志道広忠、児玉元良はここに残り、京の警護にあたってくれ。
志道広忠 御意。
毛利輝元 児玉就方、国司元武は、摂津に入り、畿内勢力を監視してくれ。
児玉就方 承知仕った!
毛利輝元 恵瓊には、朝廷との交渉役を任じる。
安国寺恵瓊 はっ、承知仕りました。
毛利輝元 他の者は、帰国の準備をすすめてくれ!
小早川隆景 御意!

(家臣が去り、輝元と隆景だけになる。)

小早川隆景 立派になられましたな・・・・・・、輝元殿。
亡き元就公も、あなたの父である兄隆元殿も、今のあなたの姿を見てきっとお喜びでしょう。
毛利輝元 いいえ、叔父上。
いまの私があるのも、元春叔父上、隆景叔父上の両川と、多くの家臣達のおかげです。
この輝元、元春叔父上、隆景叔父上に感謝致します。

(そこに、以前二代目山中鹿之助に重傷を負わされ休んでいた吉川元春が来た)

吉川元春 輝元殿!
毛利輝元 おお、元春叔父上!お怪我の方は、もう大丈夫ですか?
吉川元春 この通り、もう完治しましたぞ!
輝元殿・・・・・・。
実は、そなたに是非会わせたい人がいてな。
毛利輝元 ・・・・・・?
吉川元春 入られよ!

(正装した女性が来る)

毛利輝元 ・・・・・・?
・・・・・・?
ほ、蛍(毛利のくの一で輝元の恋人)か?
蛍 はい・・・・・・。
毛利輝元 ・・・・・・?
小早川隆景 兄上、わしらは退散した方が良さそうですな。
吉川元春 おお、そうだの。

(二人、去る)

毛利輝元 ・・・・・・蛍。
蛍。
綺麗だ・・・・・・
蛍 輝元様・・・・・・。
毛利輝元 さあ、郡山に戻り、祝言を挙げよう。
蛍 こんなわたくしで、良いのですか?
毛利輝元 うむ。毛利家の忠臣世鬼政清の娘じゃ。誰も文句は言うまい。

(二人、抱き合う)

その後、
上洛を果たした毛利家がどうなったか、
豊後に遠征した毛利家がどうなったか、
輝元と蛍の二人がどうなったかは・・・・・・。

また別の話である・・・・・・。

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