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*このゲームにはエンディングが幾つかあります。
*これはそのうちの一つ、「原初の炎」の作成に成功した場合に見られる「ベストエンド」です。

マリー:……じゃあ、始めようか。
エリー:いよいよですね。原初の炎……、どんなアイテムなんだろう?
マリー:誰か来たみたい。はあい、どなた?
フューレン:失礼します。
マリー:あ、フューレンさん。今ちょうど原初の炎を調合しているところなんだ。
フューレン:え?
エリー:もうすぐできますから、待っていてください。
フューレン:本当に原初の炎なのですか?
マリー:???そうだと思うけど……どうしたの?
フューレン:どうしたも何も……原初の炎とは何であるか、あなたがたは、気づいていないのですか?
マリー:ん〜?
フューレン:……かつて、世界には何も存在しなかった。その何もない世界に、突如として原初の炎が閃いたことをきっかけに、ほんの瞬きほどの間に、時間と空間と物質と生命とが生まれたといわれます。創世における第一原因。それこそが原初の炎です。
マリー:第一原因……?
エリー:じゃあ、今調合しているこれができると、どうなるんですか?
フューレン:判りません。私も、まさかできるとは思っていませんでした。
マリー:どういうこと?できないと思いながら、依頼したの?
フューレン:そうですね……原初の炎が研究されるようになったいきさつをお話ししましょう。錬金術はその名の示すとおり、金を作るために始まった技術。しかし、金は貴重だからこそ価値があります。多量の金は自らの価値を落とすだけです。時を経ることで、金を作ること、そのこと自体は大きな意味を持たなくなることは自明です。では錬金術は目標を失ったか?そうではありません。新たな目標が掲げられました。人間には、到底辿り着くことの出来ない遥かな目標。それは世界の成り立ちを知り、新しい世界を作ること。そのための原初の炎なのです。ですが、本当に完成すると信じている者はごく僅かです。実際のところ、原初の炎の名は、真理を究めたと思い込んでいる錬金術士の慢心を戒めるための存在でしかなかったのです。まさかそれを……。
マリー:……………………。どうしよう、エリー。やっぱり作るのやめ……。
エリー:……待ってください!マリーさん!カマが光っています!
マリー:え?なに?ちょっとエリー!何やったの!?
エリー:私、何もやってません!材料が勝手に……!ダメ、止まらないよ!!……きゃっ!
マリー:!!!

三人:………………………………………………………………。

*宇宙のような空間に三人は立っている

エリー:……ここは?
マリー:すごい星……。
エリー:星の世界?
マリー:どっちが下かもわからないよ。
フューレン:これは……完成してしまったということでしょうか?
マリー:原初の炎のせいなの?あたしたちの工房は?ザールブルグは!?
フューレン:何がどうなったのかは私にもよくわかりませんが……これが原初の炎の力なら、いっそ新しい世界を創るのも悪くはないかも知れません。
エリー:フューレンさん?そんなことを言ってる場合じゃ……。
フューレン:そうでしょか?これは、おそらく二度とはない好機です。今なら、全てをやり直し、戦争も、貧困もない理想世界を創ることができるのですよ?
エリー:そんな……。
フューレン:何をためらうことがあるというのです?
マリー:あのさ、あたしはそれは違うと思うんだけど……。
フューレン:なぜですか?
マリー:今まであったことを全部なかったことにしても、何も変えることはできないよ。あたし、これまで何度も失敗してきたけど、だからこそここまでこれたんだもん。
エリー:そうです。私だって、やり直したいことがないわけじゃありません。受け入れたくない哀しみや、目を背けたくなるような悲惨も、世の中には、あります。だけど、それでも……私はあの世界が好きです。ううん、世界のこととなると広すぎてよく判んないけど、ザールブルグが好きなんです。
マリー:あたしもみんなが好きなんだ。エリーや、シアや、イングリド先生……。まあ、おまけで、鼻につくことも多いクライスもね。
エリー:間違っている事だってある世界だけど、きっとそれも正すことができるはずです。だから……世界はきれいだと思うから。幸せは尽きることがないと信じられるから。
マリー:もしも、原初の炎の力で、世界を望むように変えることが出来るというのなら……。
エリー:お願い!何も変えないで!
マリー:何も変わらない、今まで通りの世界!元の世界に戻して!
フューレン:……………………。そうですか、判りました。では私も望むとしましょう。……すべて、あるがままにと。
三人:……………………。
マリー:きゃっ!?
エリー:わわっ!?また光がッ?

三人:……………………。

*工房に戻ってくる。

マリー:……はっ!?
エリー:あ……。
フューレン:どうやら、戻ってきたみたいですね。
マリー:それとも……今まで見ていたことは幻だった?
エリー:どっちにしても、カマの中になった材料は全部なくなってるみたいです。
マリー:うーん……。……まあ、いいか!取り敢えず街もみんなも何ともないみたいだしね。
エリー:あはは、そうですね。
フューレン:はぁ……世界が変わっていないということは、私の仕事も残ったままということですか。そもそも、自分の都合で世界を変えようなど、これほど傲慢なことはないのかも知れませんね。
マリー:そうでもないかも知れないよ。だって、元々ここはあたしたち皆が望んでできた世界だから。
エリー:そしてこれからも、少しずつみんなが望むように姿を変える世界です。
フューレン:いくら望んでも私の仕事は減りそうにありませんがね。さてと、さっさと戻ってあの仕事の山を片付けねばなりません……。
エリー:頑張ってくださいね。
フューレン:……と、その前に一つ言わせてもらってよろしいでしょうか?
エリー:何ですか?
フューレン:その……これに関しては、私もとても残念なのですが……。
マリー:???
フューレン:原初の炎は未完成なので、器具、補助金、3年分の家賃は、きっちり返してくださいね。では失敬!
マリー:えーっ!!!
エリー:そんなぁ……!
マリー:エリー!あっぱりもう一回、原初の炎を作ろう!
エリー:ダメです!
マリー:はーあ、がっかり……。
エリー:ほら、お客さんですよ!マリーさん!
マリー:はあい、どなた?
エリー:いらっしゃいませ!
マリー:ようこそ、あたしたちのアトリエへ!!

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