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マリア2 受胎告知の謎 (逃亡編) ノーマルエンディング


第9話 我が友に光あれ



その後、二階堂が言った通り、ヒール財団のあった建物は完全に崩れ落ちた。
鷲崎豪は緑川さんを抱き上げ、私たちは命からがらヒール財団から逃げた。

ヒール財団が崩れ落ちた日に、私たちにとっては大きな出来事が、もうひとつあった。
警察庁のホームページの投書コーナーに、匿名で映像が送られてきた。
それは、二階堂が亜門博士の部屋で、彼を殺害した映像だった。
そしてその後、博士のもとに駆け寄った景山純の姿もはっきり映っていた。
この映像が証拠となり、景山純の亜門博士殺害容疑は解けた。

でも……。


《希望の丘教会》

《礼拝堂で真里亜が祈りを捧げている》

神父「どうしました…… 何か、お悩みごとでも……。」
真里亜「神父さん……私…… 間違いを犯しました。」
神父「よろしければ、お話いただけますか……。」
真里亜「私が勝手な行動をとったために、大切な友達が二人、建物の下敷きになって行方不明なんです……。」
神父「ヒール財団、老朽化による崩壊事故ですね。」
真里亜「はい……。」
神父「私もニュースを見て驚きました。でも、ご自分を責めてはいけません。」
真里亜「で、でも……私のせいで……。」
神父「私も祈りましょう。あなたのお友達、お二人が無事救出されますようにと。」
真里亜「ありがとうございます。」

比奈子……あなただけが私の生涯の親友だった。
景山さん……約束したじゃない! 冒険映画のヒーローは、冒険を語るために死なないんだって。
お願い、二人とも生きてて……!

神父「そろそろ、よろしいですか?」
真里亜「はい。」
神父「つらいことがあったら、いつでもこの丘にいらしてください。私はお話を聞くことしかできませんが。」
真里亜「ありがとうございます。」
神父「実は、私の友人もヒール財団にあの日、おりまして……。」
真里亜「えっ……どなたですか?」
神父「ヒール財団の緑川さんという方ですよ。大ケガをされたんですが、助かりました……。すごい生命力だとお医者様が驚くほどだったそうで……。」
真里亜「その方助かってよかったですね。で、もう大丈夫なんですか? その方?」
神父「ええ、容態も大分おちついてきたと聞いています。」
真里亜「助かった方の話を聞くとほっとします。」
神父「その方、身よりがなくて心配してたんですがね、思いがけない方が看病してくださることになって、私も安心しているんですよ。」
真里亜「そうなんですか。」
神父「偶然なんですがね、その看病して下さってる方のお子さんの声が、今回大ケガをされた緑川さんの亡くなった娘さんにそっくりでしてね。電話でその声を聞いた時は驚きました。そのことも、緑川さんを大いに励ましているようなんですよ。」
真里亜「そうですか。」
神父「偶然とはいえ、うれしいことです。まだそのお子さんにお会いしたことはないんですが、近々会いに行ってみようと思っているんですよ。」
真里亜「そうですか……。」

神父「お名前、たしか景山さん……とおっしゃいましたっけ。」
真里亜「いいえ、国友です。」
神父「そうでしたか……。たしか、お連れの方が国友さんとおっしゃったかと思ったのですが、私の勘違いでしたかね。どうか国友さん、お力を落とさずにまた来てください。」
真里亜「ありがとうございます、神父さん。」
神父「国友さんのお友達の無事を私も毎日、ここで祈りましょう。」
真里亜「ありがとうございます。では、私はこれで。」


《真里亜、比奈子と暮していた比奈子の叔父の家ではなく、自分の家に帰宅する》

比奈子…… 比奈子の叔父さんの家に私、一人でいられないよ……。


《テレビでニュースが流れている》

「さて、7月7日に起きたヒール財団地下陥没事故の続報です。崩壊した建物の原因は、閉鎖されていた地下研究所の老朽化と見て、現在調査を進めています。なお、この事故で死亡が確認されたのは、二階堂巌さん37歳、行方不明で現在安否が気遣われているのは、桜沢比奈子さん24歳、景山純さん26歳です。」

「たった今、新しいニュースが入りました。どうやらヒール財団ビルに生存者がいた模様です! 現場から中継でお伝えします。後藤さーん!」


「こちら、ヒール財団事故現場前です。現場前は、がれきの山で救出が難航していましたが、生存者がいました。えー、生存者がいました! 生存者は……」


(終)
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